ドリテノプシス(Doritaenopsis・胡蝶蘭) ~昔のこと~
- 2014/02/14(Fri) -
胡蝶蘭142141

片付けている。
色々を。
本棚も。

  ひよどりが赤い木の実を啄む一月のひだまりの中
  日曜の新聞をぼんやり眺めていると
  ある詩集の書評が目を引く
  初めて知る女流詩人
  
  さりげない当たり前の言葉の中に
  心を動かされることの多いこのごろのこと
  その詩人との出会いを求め
  新聞の切り抜きを持って注文する
  
  書店の手配も及んで
  手元に届いた本のページをめくると
  そこには彼女の生き様のファイルともいうべき深淵の世界が
  苦悩と呻吟の流麗な相克
  歓びと摂理の間で揺れ動くあからさまな感情
  歪曲と混迷した叙情の時間
  
  どこか なぜか
  一つひとつの言葉が描く映像に
  そういえば
  
  手が最後の一ペ-ジになったとき
  桜の木の影が部屋深く忍び込んでいた
  
  私もまた
  今 多くの矛盾と悔恨を抱えつつ生きているように思う
  蹉跌と蹉跌のはざまをよろけ飛び越え歩く私
  幾度となくつまづきつつも
  それが独自的存在としての私らしく生きている証ではないか
  弱くとも薄くとも脆くとも
  むりせず
  今の自分らしさを認め
  これからも

昔綴った文章を集めたファイルが出てきた。
18年ほど前のものだ。
感熱紙にワープロで打たれており、文字が消えかかっている。
これも私の歴史…。
今本棚にその詩集はない。

暮れに買い求めた胡蝶蘭がまだ部屋を潤す。
花言葉には「幸福が飛んでくる」「変わらぬ愛」「あなたを愛します」などとある。
そうか、今日は2月14日。

  バレンタインデー心に鍵の穴ひとつ  (上田日差子)

胡蝶蘭142142
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