
ハイタカが入ってきた。
そっと近付き、手で捕らえた。
キッキッキッと高い声で鳴く。
少しすると落ち着いて静かになった。
いい顔をしている。
野生の強さを感じさせる美しさがある。
鋭い嘴と釣り針のような鋭い爪。
これで他の小鳥たちを捕獲するのだろう。
この珍しい闖入者を私は手の中で数分の間観察した。
胸にハート形の模様があること、黄色いリングを持った眼はまるでガラスのように光っていることなどを。
こうしてハイタカを目の前で見ながら、子どもの頃、サシバを同じようにして手に持って遊んだのを思い出していた。
丁度秋の今頃のこと、故郷にはたくさんのサシバが渡ってくる。
「タカドーイ、ジャングミッ」と空高く群がるサシバを見て子ども達は口々に声を上げていた。
野球で小麦色になっていた少年の頃の懐かしい思い出だ。
カメラに収め、窓を開けて逃がした。
元気に大空へ飛び立った。
忙しさの中、ちょっとうれしい一人時間だった。
鳥のうちの鷹に生れし汝かな (橋本鶏二)

