
昨日、今日と朝が涼しい。
涼しいというより、肌寒いといった感じである。
暦は白露、朝の気が秋の気配を進めるのも故なるかなと思う。
庭の欅の下にタマムシ(玉虫)が横たわっていた。
卵を産みつけて、生を全うしたのだろうか。
光沢のある緑にブロンズ調の縱紋、体全体が輝いて美しい。
まるでブローチのようだ。
中学校の国語の教科書に載っていた法隆寺の「玉虫厨子」を思い出す。
しばらく部屋に置いておこう。
摘めといふから
ばらをつんでわたしたら
無心でそれをめちゃめちゃ
もぎくだいてゐる
(略)
そのこなごなの花びらを
そっと私の手にのせた
佐藤春夫「感傷肖像」より
秋の薔薇は心を深く掘り起こす。
白露に阿吽の旭さしにけり (川端茅舎)

