
「むすめに与ふ」 吉川英治
倖(しあわ)せ何と ひと問はば
むすめは なにと答ふらん
珠になれとは いのらねど
あくたになるな 町なかの
よしや三坪の庭とても
たのしみもてば 草々に
人生 植えるものは多かりき
仕事の納である。
省みて、一年の自分の「働き」は肯けるものか。
その仕事に、その生き方に「誠」ありや、「真」ありやと。
「楽」を食し、「易き」を飲みほしてきたのではないかと。
悲しいかな、年の初めに「何」を心に刻んだかすら失念している。
毎年同じ思いを抱く年終いの「愚」。
四書『大学』の中に「日々新たに、又、日は新たなり」とある。
「今日は昨日よりも進歩し、明日は今日よりも進歩するように心がけなければならない」との湯王が自戒語だという。
私の365日は果たして365の新しい日としてあったか。
惰眠の快を貪ってはいなかったか。
己の小さな欲のみに走っていなかったか。
仕事を終えるにあたって、背筋を伸ばし、自分自身のマニフェストを検証しよう。
「人生 植えるものは多かりき」の言葉あり。
私という地にはまだまだ植え育てていかなければならないこともの多しである。
取り除かなければならない草もまた多くて。
暦替へ自省の多し用納 (文)

