
「二度とない人生だから」
………(略)
二度とない人生だから
まず一番身近な者たちに
できるだけのことをしよう
貧しいけれど
こころ豊かに接してゆこう
二度とない人生だから
つゆくさのつゆにも
めぐりあいのふしぎを思い
足をとどめてみつめてゆこう
二度とない人生だから
のぼる日しずむ日に
まるい月かけてゆく月
四季それぞれの
星々の光にふれて
わがこころを
あらいきよめてゆこう
………(略)
(『自選 坂村眞民詩集』より 「二度とない人生だから」部分)
軽快な音楽と華やかな彩りに包まれて街は賑わっている。
プレゼントの品定めだろうか、ガラスケースの中をじっと見つめる若い男性。
ネクタイを何本も手にとってじっくり眺める若い女性。
母親は絵本にリボンをかけてもらっている。
父親はおもちゃ売り場を歩く。
私はO・ヘンリーの「賢者の贈り物」を思い出す。
眞民さんは「貧しいけれどこころ豊かに接してゆこう」と。
眞民さんは「わがこころをあらいきよめてゆこう」と。
カネノナルキが咲く。
カネがある不幸とカネがない幸せ。
日向ぼこ仏掌の上にある思ひ(大野林火)


