
江戸の先人に「 三度思いて一度(ひとたび)言え」との言葉がある。
自分が言わんとする「言葉」の意味、伝える相手への思い、どのように発するかの形。
今一度、それらを心の中で巡らせてから言うようにとの意なのだろう。
良寛さんもまた、言葉についての戒めを次のように説く。
「ことばの多き」
「早まり過ぎたる」
「物知り顔に言う」
「かしましく、ものいう」
そして
「いったことはふたたびかえらず」
「すべて言葉はしみじみと言うべし」と。 (青山俊董師の著より)
自らの言葉に慙愧の念を抱くことしばしば。
省みて、悔いたりする。
言葉は生きている。
口から出たその瞬間から、動物にも道具にもなる。
炎にも氷にも、日光にも暗闇にも。
そして、暖炉にも刃物にも。
軽々な言動を戒めよう。
書物の中の言葉に触れては、少しでも「言葉」を正しく使えるようにと思う。
心の石鹸があったらば、窓と同じようにきれいにしたい。
誠実であったかと問いつつ、年の暮れを過ごす。
叱らるゝ人うらやましとしの暮 (一茶)
