
蝦蛄葉仙人掌が満開となった。
色は白に近い薄いピンク。
花は蝦蛄葉の先端から伸びて咲く。
一つひとつをよく見れば、それはまるで飛翔する鳥のよう。
嘴は濃い紅色。
艶々した花弁はビロードの翼。
そこにあるのは空を群れ飛ぶ鳥たち。
もう何年も鉢も土も変えていない。
「すみません」と「ありがとう」。
きれいな花の根元はすっかり老木である。
そこに刻まれた深い皺がこの花の長い時を物語っている。
鳥のような軽やかで瑞々しい花と朽ち果てんばかりの枯色の茎。
鉢の中の哲学的な対照。
月の暦もいよいよ1枚だけになった。
今年がだんだんに引き算されていく。
「未だやることはたくさんあるんだよ」。
自分に言い聞かせて「31!」と胸の中で声に出す。
なかなかに心をかしき臘月(しはす)かな (芭蕉)


