『子どもの正月遊び』(叔父の紙細工) ~今日の日記は~
- 2022/12/31(Sat) -
紙細工正月041

毎年のことだが、叔父手作りの紙細工「子どもの正月遊び」を飾る。
男の子の凧、独楽、竹橇。
女の子の毬、羽子板と羽根。
それに寒椿も添えられる。
微細にわたって丁寧な作り。

遠い昭和の話、私も実際に凧を作って揚げ、やはり肥後守で独楽を拵えて仲間と遊んだ。
もしここに独楽があるのなら、今でも投げて引き戻し掌の上で廻すことができるのではないか。

さて大晦日。
来るは「兎年」。
今日の日記は丁寧にきれいな字で締めくくろう。

   おおみそかという響きに生きた一年が早送りのコマで流れている  (居山聞涛)

紙細工正月042

紙細工正月043

紙細工正月044

紙細工正月046

紙細工正月045

紙細工正月047
この記事のURL | 日常・おはなし・他 | CM(0) | ▲ top
『富士松原』と『菩薩像』 ~叔父からの電話~
- 2022/12/30(Fri) -
久保田米僊・富士松原

叔父から電話があった。

「干し柿がさっき届いた。ありがとう。みんなかわりないかな」
90過ぎの一人暮らし。
「春になって陽気が良くなったらうちへおいでなんしょ」
「私の方でお迎えに上がりますので、我が家へおいでいただいて、食事しながらゆっくりお話ししましょう」
「そうかな。じゃあ楽しみにしているで」
以前は自ら運転して40分ほどの道のりをよく訪ねてこられた。
数年前に免許を返納して以来、外出はあまりされてない様子。
季節ごとの紙細工や園芸を楽しみ、俳句や短歌なども嗜みつつ豊かに過ごされる。
「ようやく年賀状を書き終わったとこな」とも。
それも手作りのステンシルの多色版画で。
いろいろにおいて器用である。
7分ほどの会話は明るくはっきりとした口調で安心した。

久保田米僊の『富士松原』を掲げる。
そして菩薩像も。
   
   新年準備もすんでお茶が美味しい外では鵯が蝋梅の花芽を食べている  (上武旋転子)

月光菩薩
この記事のURL | 日常・おはなし・他 | CM(1) | ▲ top
『墨竹』(木村武山) ~新年準備~
- 2022/12/29(Thu) -
木村武山『竹図』041

朔太郎に「竹」という詩がある。

 光地面に竹が生え、青竹が生え、
 地下には竹の根が生え、
 根の先より繊毛が生え、
 かすかにけぶる繊毛が生え、
 かすかにふるへ。
 かたき地面に竹が生え、
 地上にするどく竹が生え、
 まつしぐらに竹が生え、
 凍れる節節りんりんと、
 青空のもとに竹が生え、
 竹、竹、竹が生え。

一年を通しての青々とした生命力。
節とともに上へと伸びるたくましさ。
そして折れぬそのしなやかさ。

床の間の掛け軸を木村武山の「墨竹」に替えた。
絵に陽が反射する。

   寒中も色褪せず竹のある折々の節があるからこそ高く伸び  (居山聞涛)

木村武山『竹図』042

木村武山『竹図』043
この記事のURL | 日常・おはなし・他 | CM(1) | ▲ top
シジュウカラとメジロ(四十雀と目白) ~鳥語~
- 2022/12/28(Wed) -
冬の鳥040

聞き慣れた鳥の声が耳に入る。
ツッピーツッピーツッピーと。
椅子から立ち上がって外を見廻す。
四十雀は染井吉野にいた。
そしてそばにもう一つ羽色の違うのも。
目白だ。
二羽仲良く盛んに何かを啄んでいる。
目白は逆さになったり。
互いを気にすることなく安心しきった様子で。
違う種だがどうやら相性がいいらしい。
鳥語があるのなら二羽の間で交わされる会話を聞いてみたいものだ。

その上を飛行機が飛んでいった。

   四十雀来て目白来て年の暮青い空を飛行機が飛んでいる   (上武旋転子)

冬の鳥041

冬の鳥042

冬の鳥044

冬の鳥045

冬の鳥046

師走の空に飛行機
この記事のURL | 草と花と鳥と | CM(0) | ▲ top
ノコンギク(野紺菊) ~十月の花と綿毛の今と雪帽子~
- 2022/12/27(Tue) -
冬の野紺菊041

十月の野紺菊はきれいな紫でした。
年末の野紺菊はやわらかな綿毛です。
先日は雪帽子をかぶっていました。

   のこんぎく (奈美あや)

 のんのんのぎく のこんぎく
 それはふたりの あいのはな
 つんであなたに ささげます
 かみにもひとつ さしましょう

さてガラス戸、ガラス窓は拭き終わりました。
家人も正月の花飾りができたようです。
今日は和室の掃除と掛け軸を替えましょう。

   穏やかにおおらかにと言い聞かせつつ年の暮 (居山聞涛)

冬の野紺菊042

冬の野紺菊043

冬の野紺菊044

野紺菊045

野紺菊042

雪のの紺菊2

雪の野紺菊1
この記事のURL | 自然・菜園・風景 | CM(0) | ▲ top
カエデ(楓) ~庭を歩いて~
- 2022/12/26(Mon) -
楓に鳥の巣041

私の部屋の外に楓がある。
座して首を横に振ればすぐそばに見える。
木はその向こうの景色を遮らないように頭を切って低く押さえてある。

今はその葉はすべて落ち、枝だけの様になっている。
外に出て横を通った時、中に鳥の巣があるのに気づいた。
大きさや形からしてヒヨドリのに思える。
ちゃんと雛は育ったのだろうか。
そのそばに蟷螂の卵鞘も。 
そして枝にはいくつもの小さな赤い芽が。

近くに尉鶲がとまり、愛らしい声を聞かせてくれた。

   冬だからこそ見えるもの気づくこと風の庭を歩いている  (上武旋転子)

楓に鳥の巣042

楓に鳥の巣043

楓に鳥の巣044

楓に鳥の巣045

尉鶲041
この記事のURL | 自然・菜園・風景 | CM(0) | ▲ top
雪景色 ~雪のあるアートガーデン~
- 2022/12/25(Sun) -
雪のアートガーデン041

雪が降りました。
雪かきをしました。
軽い雪でした。
汗を搔くこともなく捗りました。
朝食をとります。

陽が広がってきました。
義兄に暮れの届け物を持って行きます。
「聖護院大根を持って行くかい」と雪を被った畑から二つ抜いてくださいました。

「アオキと南天を切って」と言います。
正月飾りの準備をするようです。
よさそうなのを見繕って剪定鋏をあてバケツに入れます。
「はいよ」。

ガーデンの彫刻も雪の中です。
一段といい表情です。

   半纏を着た義兄(あに)が丸大根の尻尾を持って渡すクリスマスイブの朝   (居山聞涛)

雪のアートガーデン042

雪のアートガーデン043

雪のアートガーデン044

雪のアートガーデン045

雪のアートガーデン046

雪のアートガーデン047

雪のアートガーデン048

雪のアートガーデン049
この記事のURL | 自然・菜園・風景 | CM(1) | ▲ top
イソギク(磯菊) ~ローストチキン~
- 2022/12/24(Sat) -
冬の磯菊041

磯菊の多くは枯れ色に変わった。
白く縁取られる緑の葉も赤になる。
その中にあってわずかに名残の花が咲いている。
磯の名のつく暖かい地の花なのに。
クリスマスまで。
なおも黄色を保って。
何やら小さな虫も。

遠くに居る姉から毎年のロ-ストチキンが届いた。
お礼の電話を入れた
元気な声だった。

   冬至過ぎてもまだ南瓜を食べている  (上武旋転子)

冬の磯菊042

冬の磯菊043

冬の磯菊044
この記事のURL | 自然・菜園・風景 | CM(0) | ▲ top
シロヤマブキ(白山吹の実) ~ふしぎたのし~
- 2022/12/23(Fri) -
白山吹の実041

冬枯れの中に黒い実がある。
そうだ。
思い出した。
春、そこには白山吹が咲いていた。

その艶と色。
「ぬばたまに似ている……」。
今年、桧扇は咲かず、それを見ることはできなかったが。
万葉の相聞歌を口遊む。

   白い花が黒い実になったふしぎたのし冬の白山吹 (居山聞涛)

白山吹の実042

白山吹の実043

白山吹の実044

白山吹の実045

白山吹041

白山吹042

白山吹044
この記事のURL | 草と花と鳥と | CM(0) | ▲ top
カラタチ(枳殻の実) ~鋭い棘の中に~
- 2022/12/22(Thu) -
枳殻の実041

冬のカラタチ。
葉が落ちた今はその固くて鋭い棘が目立つ。
攻撃的で威嚇的にも見え。

その中にピンポン球ほどの黄色い丸い実。
生食できない。
見るだけ。

春の花は可憐で香りもよくて。

   何の利点を見つけてこの棘ある姿に進化したのか枳殻は  (上武旋転子)

枳殻の実042

枳殻の実043

枳殻の実044

枳殻の花192

枳殻の花033

枳殻の花035
この記事のURL | 自然・菜園・風景 | CM(0) | ▲ top
サザンカ(山茶花) ~薄茶色の花びらと蝉の脱け殻~
- 2022/12/21(Wed) -
茶色くなった山茶花041

-4℃と連日厳しい冷え込み。
白山茶花も凍みたのか。
花びらは薄茶色に。
冬ならではのしみじみとした様。

蝉の脱け殻がしっかり葉を掴んでいる。
強風の日が何日もあったはずなのに。

   霜柱が土を持ち上げているザクッザクッザクッと靴の形  (居山聞涛)

茶色くなった山茶花042

茶色くなった山茶花043

茶色くなった山茶花044

茶色くなった山茶花045
この記事のURL | 草と花と鳥と | CM(0) | ▲ top
サンシュユ(山茱萸の実) ~甘そうだが~
- 2022/12/20(Tue) -
冬の山茱萸の実041

山茱萸も葉をすべて落とした。
それに実がまだ残っている。
赤くて艶があって甘そうだがそうでもない。
だいたいこの冬の時期まであるということは鳥も食べないということだ。
漢方ではいろいろに効能があると聞くが。

最高気温が3℃と一月並の寒い日が続く。
中に入れるのを忘れていた小さな鉢の月下美人が萎れていた。
   
   お気に入りの小鉢を割ったラジオはクリスマスソングの特集をしている  (上武旋転子)

冬の山茱萸の実042

冬の山茱萸の実043

冬の山茱萸の実044

冬の山茱萸の実045
この記事のURL | 自然・菜園・風景 | CM(0) | ▲ top
河原の石(木彫) ~彫ってみよう~
- 2022/12/19(Mon) -
0-0彫り完成

庭に沿って川が流れている。

先日河原に降りた。
石を木で彫ってみようと思った。
そして年内には仕上げようと。
冬の水は澄んでいる。
川底から数個拾い上げる。
それらをいろいろな角度から見て一つに決めた。
全体の角が取れて丸味を帯びている。
触った感触が少しざらっとしている。
どうやら砂岩のようだ。
うまく彫れるだろうか。
なにせ、石を彫るのは初めてだ。

彫る材はストックしてある木の中から朴を選んだ。
実物とほぼ同じ大きさに仕上がるようにサイズを確かめて切る。
角材の三面に形を写して面取りする。
あとは平刀で少しずつ削り落としていく。
細部のところどころは丸刀や三角刀なども使い分けて。
朴はやわらかいので作業が捗る。
刀痕の強く出たところは稜を落とし目立たないようにする。
彫りが終わった。
さて、仕上げは木地のままにするか、着色するか。
少し考えよう。

   師走だからこそ落ち着こう遠くを眺め広くを見渡し足元をしっかり見つつ  (居山聞涛)

0-1川底の石

1モチーフの石

1彫刻材「朴」

2荒取り2

3面出し

5木彫1214

5木彫1215

7彫り完成1840

12彫り完成1227
この記事のURL | 彫刻を作る | CM(1) | ▲ top
マユミ(真弓の実) ~口笛を吹く~
- 2022/12/18(Sun) -
真弓の実0420

真弓の葉はすべて散った。
その枝には赤い実が吊り下がる。
風吹けばいっせいにぶらぶらぶら。
そばの蝋梅ではまだ黄葉が残っている。
どこかからジョウビタキの声が聞こえる。
私も口笛を吹いた。

   ハエが一匹飛んでいたどこで生きていたのかフユなのに (上武旋転子)

真弓の実0421

真弓の実0423

真弓の実0422
この記事のURL | 自然・菜園・風景 | CM(0) | ▲ top
オモト(万年青) ~赤い実が一つ~
- 2022/12/17(Sat) -
万年青041

中庭の山茶花の下にある杜鵑草(ホトトギス)を切って片付けた。
辺りには落ちた 白い花びらが広がっている。
と、万年青に赤い実が一つ。
どうやら杜鵑草が葉を広げていたため、隠れてそれに気づかなかったようだ。
いくつか実の抜けた跡らしいのも見える。
きっともっとたくさんあったのだろう。
草花は人に見られることなくても己の四季をたしかに歩む。

   「もう」とみれば淋し「まだ」とみればやる気今年の残り日  (居山聞涛)

万年青042

万年青043

万年青044
この記事のURL | 自然・菜園・風景 | CM(0) | ▲ top
オオサカフユザクラ(大阪冬桜) ~冴えた青空と白い月~
- 2022/12/16(Fri) -
大阪冬桜0421

大阪冬桜が咲き出した。
まだ蕾が優勢なので、三分咲きといったところか。
これは二季咲きの桜で、染井吉野などと同様春にも咲く。
花は葉と一緒の春の方が大きい。

冬晴れの空は冴えた青。
白い月が浮かんでいる。

   冬桜が咲いている冴えた青空と白い月がある朝野良猫が行く (上武旋転子)

大阪冬桜0422

大阪冬桜0423

大阪冬桜0424

大阪冬桜0425

大阪冬桜0426
この記事のURL | 草と花と鳥と | CM(1) | ▲ top
アセビ(馬酔木) ~初雪だった~
- 2022/12/15(Thu) -
冬の馬酔木041

馬酔木は3月から4月頃に壺状のかわいい花を咲かせる。
その蕾が冬の今たわわである。
房状になって垂れて。
草木は厳しい季節の中で春の準備をする。

昨日は初雪だった。
とい言っても舞う程度の。

   舞う初雪をしばらく眺め伸びた爪を切る  (実野滸人)

冬の馬酔木042

冬の馬酔木043

冬の馬酔木044

冬の馬酔木045

冬の馬酔木046
この記事のURL | 自然・菜園・風景 | CM(0) | ▲ top
クロホオズキ(黒鬼灯)  ~ガタガタゴトゴト ガタゴトガタゴト~
- 2022/12/14(Wed) -
黒鬼灯2041

黒鬼灯は夏から晩秋まで爽やかな青い花を咲かせていた。
今は稜のある袋になり淡い茶や黒い色で並んでいる。
毎年こぼれ種でたくさん出てくる。

先日来訪された彫刻家のY先生はそれを見て、「自分の家ににもほしいので分けていただけますか」とおっしゃった。
それで中にたくさんの細かな種が入っているその袋を三つ取って差し上げた。
その手を上に向けそっと包むようにして嬉しそうな顔で持ち帰られた。
昨日お礼の手紙が届いた。
ご自宅は台東区谷中。
私も何度か訪ねたことのある朝倉彫塑館の屋上彫刻が見えるところだとお聞きしている。

今朝は風が強い。
ガタガタゴトゴト ガタゴトガタゴト。
雨戸がぶつかる。
ビュー ガサガサガサザザザザー。
木がこすれている。

   雨戸の揺れてぶつかる大きな音で目が覚めた3時40分新聞を取った  (居山聞涛)

黒鬼灯2042

黒鬼灯2043

黒鬼灯2044

黒鬼灯2045

黒鬼灯192

黒鬼灯191
この記事のURL | 日常・おはなし・他 | CM(1) | ▲ top
マンリョウ(大実万両)  ~起きたら雨音~
- 2022/12/13(Tue) -
大実万両041

昨日は冬晴れ。

大実万両の赤い実が生っている。
艶っとして美味しそうに。
でもこれは口でなく目で食べるもの。
いろいろな角度で味わう。

夕方久しぶりに温泉に入った。
天丼を食べた。

今朝は雨。

   起きたら雨音だった雪でなかったお茶が美味しい  (実野滸人)

大実万両042

大実万両043
この記事のURL | 自然・菜園・風景 | CM(0) | ▲ top
カシワバアジアイ(柏葉紫陽花の紅葉) ~発芽玄米餅のお土産~
- 2022/12/12(Mon) -
柏葉紫陽花の紅葉041

落葉樹の多くは枝と幹だけの姿になった。
柏葉紫陽花もわずかな葉だけの淋しい様に。

幾日か前までは毎朝竹箒を手にしていたが、このところその出番もだいぶ減った。
何も考えず、ただひたすら掃き、集め、捨てる。
それは私の生活の中の楽しい時間となっていた。

義姉がお土産だといって2種類の発芽玄米餅をくださった。
北信方面へ出かけてきたらしい。
初めて見る。
古代米も入っている。
どんなんだろう。
正月にいただこう。

   水面の光がゆれる冬の川は澄んでいる水底の石を一つ拾った  (居山聞涛)

柏葉紫陽花の紅葉042

柏葉紫陽花の紅葉043

発芽玄米餅1

発芽玄米餅2
この記事のURL | 日常・おはなし・他 | CM(0) | ▲ top
中国現代芸術家の作品展 ~岩茶のおもてなし~
- 2022/12/11(Sun) -
円室ギャラリー1

それは先日のこと。

友人のK君は小諸の自宅を出て岡谷から高速に乗ってやってくる。
待ち合わせ場所は伊那インターを出てすぐのスーパーの駐車場。
10:30、ほぼ予定通りの到着。
「中国現代芸術家の作品展」が行われているギャラリーはそこからおよそ10分弱と思われる。
私が先導する形で向かうことに。
アクセス道路を東に向かって下り、天竜川を渡る。
竜東線に突き当たり、そこを左折し北に向かう。
場所は大きな家具店の裏手付近だと言われていた。
その近くに車を止めてオーナーのTさんに電話を入れる。
「これから道に出ます」と。
すぐそばの家から笑顔の男性が出てきた。
「遠くからようこそおいでくださいました」
初対面である。
まずはその場で互いに自己紹介。
来日して18年経つという中国河南省出身の彼は、流暢な日本語を話す。
日本人の奥様と結婚され、この地に住宅を購入し、そしてその敷地内に新たにギャラリーを設置。

案内されてギャラリーに入る。
和風の室内は2間に仕切られている。
壁、床、畳、間仕切りの漆喰などのギャラリーの内装のすべてを一人で手がけたのだという。
展示スペースは20畳ほどとさほど広くないので作品数も少ない。
でも一つ一つに味がある。
銅板に文字を刻した作品や抽象的な銅版画がメインの展示。
作品の配置や見せ方、照明などに細やかな工夫がなされている。
すべてが作家の作というのではなく、Tさんご自身の手によるものもコラボとしていくつか。
その一つ、縦長の古い金属の器に黒いぬばたまが挿してあったのにもセンスを感じる。
それらの素材や表現の意図などを説明してくださる。
全体を見終わったところで「お茶を淹れますからどうぞお座りください」とテーブルに促される。

小さな円卓には中国式の茶道具一式が用意されていた。
「これは中国の岩茶(がんちゃ)です。独特の香りがしますので嗅いでください。」
少し黒っぽい茶葉を鼻に寄せるとなるほどたしかにこれまで知っている茶の香りとは違う。
展示作家のことや中国現代アートの話をしながらも彼の手は茶の準備の為に常に動いている。
何度も湯呑みや急須に入れては空けてを繰り返す。
小さな器に淹れて「さあ、どうぞ」と差し出しされたのは5分ほど経ってからだった。
岩茶を一番美味しく飲むにはどうやらこうした手順と時間が必要らしい。
一杯目を飲み干すと、「器に残る香りを嗅いでください」と。
そして2杯目、3杯目も「それぞれの段階での香りと味を楽しんでください」と。
丁寧な言葉遣いと穏やかな話ぶりに誠実な人柄がうかがえる。

そして12時近く、それぞれ連絡先を交わす。
「ではこれで失礼します。ありがとうございました」
駐車場を出る時、腰を折って見送ってくださる。
どこまでも丁寧な方である。

私達はインター近くまで戻り、それぞれ蕎麦とソースカツ丼を食べた。

   現代美術との新たな出会いと楽しいひとときを過ごし伊那の蕎麦の美味しい師走 (上武旋転子)

円室ギャラリー2

円室ギャラリー3

円室ギャラリー4

円室ギャラリー5

円室ギャラリー6

円室ギャラリー7

円室ギャラリー8
この記事のURL | 日常・おはなし・他 | CM(0) | ▲ top
霜が降りた ~氷点下の朝~
- 2022/12/10(Sat) -
霜が降りた041

今季初めての氷点下の朝だった。
霜が降りた。
弱い冷え込みなのでまだ軽く。
黒御影石の作品にも白い細かな氷の結晶が乗る。
それは徐々に解け、黒肌との比を変える。
中に朝陽も映り込み、荒い彫りに塗られた赤い弁柄も映える。
霜の情景が好きだ。

   屈んで霜に目を寄せ指先でそっと触る脚は冷えている  (居山聞涛)

霜が降りた042

霜が降りた043

霜が降りた044

霜が降りた045
この記事のURL | 自然・菜園・風景 | CM(1) | ▲ top
クリスマスローズ(Christmasrose) ~冬の葉切り~
- 2022/12/09(Fri) -
12月のクリスマスローズ041

中庭の小径。
その両サイドにはクリスマスローズ。
株はどれも大きな葉を広げている。
私はそれを根元で切る。
いつもの冬作業。
葉がどけられたそこには新たな芽生えが隠れていた。
そして早々と蕾も。
来春もたくさんの花が期待できそうだ。

   わたしとワタシが私のなかで言い合っているつまらないことで  (上武旋転子)

12月のクリスマスローズ041-2

12月のクリスマスローズ042

12月のクリスマスローズ043

12月のクリスマスローズ044

12月のクリスマスローズ045

12月の花芽

クリスマスローズ043302
                                      春の小径
クリスマスローズ033142
                                  春のクリスマスローズ

この記事のURL | 自然・菜園・風景 | CM(1) | ▲ top
ツルバラ(蔓薔薇)  ~師走の空と冬薔薇(ふゆそうび)~
- 2022/12/08(Thu) -
冬の蔓薔薇041

高いところで赤い薔薇が咲いている。

枝は登り。
枝は絡む。
枝は延び。
枝は撓む。

この蔓薔薇はとてもありがたいのである。
春5月に咲き出し。
夏7月に咲き続け。
秋9月にもまだ咲いて。
冬12月、朝霜にも耐えてこうして咲いてくれる。

ある歌人は冬に咲く薔薇を「ふゆそうび」と詠んだ。
ふ・ゆ・そ・う・び……その響き。

   『年末』が目に耳にやってきて気がせかれる蔓薔薇を見て落ち着く  (居山聞涛)

冬の蔓薔薇042

冬の蔓薔薇043

冬の蔓薔薇044

冬の蔓薔薇046
この記事のURL | 草と花と鳥と | CM(1) | ▲ top
キク(寒菊) ~一緒に観に行かないか~
- 2022/12/07(Wed) -
黄菊041

三椏の枝に絡むように小さな黄色い菊がある。
時期からして寒菊の仲間なのだろうか。
三椏にはすでに蕾がいくつも見られる。
こちらは春の花準備。

「伊那で中国現代芸術家の作品展をやっているようだけど一緒に観に行かないか」と小諸の友人からメール。
「それはおもしろそうだ」と返す。
予約制だというので、ギャラリーのオーナーに電話を入れて、OKをいただいた。
インターチェンジを出たところで落ち合うことにした。
中国の現代アートについてはほとんど見たことがないので、興味をそそられる。

   絨毯の上にホットカーペットを敷く生活が段々厚く重くなる  (上武旋転子)

黄菊042

黄菊043

黄菊044-2

三椏の冬蕾
この記事のURL | 日常・おはなし・他 | CM(0) | ▲ top
ヤブコウジ(藪柑子・十両) ~片隅にひそりと~
- 2022/12/06(Tue) -
千両041

落葉を片付けていて庭の隅に赤い小さな実を見つけた。
その低い木は藪柑子(十両)。
離れて数本に一つ、二つあるいは数個。
実が生っているということは花が咲いたということ。
でもその記憶がない。

穂波さんが手作りの干柿を持ってきてくださった。
一つに15個ほど入って3袋。
12月に入ると毎年こうして。
それぞれが師走をしている。

   インフルエンザの予防接種も済ませ師走の恒例を一つ一つ今日は何する  (居山聞涛)

千両042

千両043
    
千両044

穂波さんの干柿

穂波さんの干柿2
この記事のURL | 日常・おはなし・他 | CM(1) | ▲ top
ヤツデ(八つ手の花) ~花の少ない冬に~
- 2022/12/05(Mon) -
八つ手の花040

青く晴れた朝。

目に付くのはたくさんの八つ手の花。
小さな花が球状に集まる形で。

下に向かって大きく反り返る花びら。
上に向かって突き出る葯。
さらに進んで花びらを落とし雌蕊だけがちょんちょんの若い緑の実。
どれもが意志を持っているかのようないい形。

そして艶のある大きな緑葉にも力を感じる。

   花八手のしみじみ一人会話する師走の晴れた朝   (上武旋転子)

八つ手の花041

八つ手の花042

八つ手の花043

八つ手の花044

八つ手の花045
この記事のURL | 草と花と鳥と | CM(0) | ▲ top
バラ(白薔薇) ~冬には「冴え」の言葉~
- 2022/12/04(Sun) -
白薔薇041
 
車3台のタイヤを替えた。
それは毎年12月第1週の週末と決めている。
逆に春の交換は3月第1週の週末と。
その作業をしながら年々体力の衰えを自覚する。
腕力も腰の力もスピードも。
あと何年できるか。

周りが枯れ色に変わる中に、薔薇が咲いている。
少しの葉の緑と花の白。
仲良く寄り添うように二つの赤い実。
そばにはどっしりと黒御影の石彫。

   友人のメールにあった「冴え」の言葉なるほど冬の修飾にふさわしい  (実野滸人)

白薔薇042

白薔薇043

白薔薇044

白薔薇045

白薔薇046
この記事のURL | 日常・おはなし・他 | CM(0) | ▲ top
キク(寒菊) ~あららら、はずかし~
- 2022/12/03(Sat) -
紅い菊041

個展の友人から電話があった。
「昨日は遠くからわざわざありがとう。あのさ、○○○を忘れたでしょう。マスターに預けてあるから」
あららら、はずかし。
すぐに取りに行った。

庭の片隅で赤い菊が咲いている。
花数は少ないがこれも毎年この時期の花。
いつの頃に植えたのかは忘れた。

   赤い菊が咲いている12月そうそう私は忘れ物をとりに行った  (上武旋転子) 

紅い菊042

紅い菊043

紅い菊044

紅い菊045
この記事のURL | 日常・おはなし・他 | CM(0) | ▲ top
ヒマラヤユキノシタ ~「記帳を頼むね」~
- 2022/12/02(Fri) -
ヒマラヤユキノシタ041

ピンクの小さな花が3輪。
ちょっと淋しげに。
それはいつもなら春に咲くヒマラヤユキノシタ。
今年も4月初旬にたっぷり咲いていた。
なぜ寒気強まる今頃なんだろう。
その2度咲き見るのは初めて。

30年来の知己であるM氏の個展に出かけた。
広域農道を北に向かって走り、およそ1時間。
そこは大学近くの喫茶店に併設されたギャラリーだった。
中に入ると彼の姿、手を上げて振ると彼も同じように返す。
「記帳を頼むね」とまっさらな芳名帳と筆を差し出された。
初日のオープン時間に合わせて行ったので、どうやら私が最初の鑑賞者。
人物をモチーフにした小品がおよそ20点ほど。
彼特有のいつものデフォルメとソフトな色遣いによる不思議な世界。
私が見終わる頃を見計らって彼はマスターにコーヒーを頼んだ。
3年間を共に過ごした“あの時代”の懐かしい話などもしながらいただく。
三人のお客さん、どうやらお知り合いのよう。
私はおいとました。

   通ったその路どこも懐かしく様々を脳裡に描きつつハンドル握る12月の朔日  (居山聞涛)

ヒマラヤユキノシタ042

ヒマラヤユキノシタ043

ヒマラヤユキノシタ044

「種蒔きの頃」

「種を蒔く人」
この記事のURL | 日常・おはなし・他 | CM(1) | ▲ top
フユシラズ(冬知らず) ~おやおや~
- 2022/12/01(Thu) -
冬知らずと蟷螂041

フユシラズの花があった。
一旦通り過ぎてから「あれっ」と戻った。
よく見ればそのそばにいたのは体を土色にした蟷螂だった。
「へえ~」
こんなに寒くなっても動くのか。
「ふ~ん」
しばらく屈んで見ていた。
何か絵本の物語の一場面のようにも思えて。
フユシラズという名の通り、この花は冬から明けて初夏まで長く咲く。
もしかすると蟷螂は卵を産み付ける場所を探していたのかもしれない。

昨日はよく働いた。
左右の親指が割れて痛い。

   「おやおや」そんなところでなにをしている目が合う土色の蟷螂よ  (上武旋転子)。

冬知らずと蟷螂042

冬知らずと蟷螂043

冬知らずと蟷螂044
この記事のURL | 自然・菜園・風景 | CM(0) | ▲ top
| メイン |