シデコブシ(幣辛夷・姫辛夷) ~捻れて垂れてひらひらと~
- 2021/03/31(Wed) -
姫辛夷031

春信濃に少し強い風。

幣辛夷のうす紅色の花びらが揺れる。

細長く不規則に捻れて垂れて。
それはたしかに紙で作られた幣の様。

高く大きな白木蓮の下で。
枝から吹き出るようにしてひらひらと。

やわらかくふんわりとした白木蓮と自由気ままなスタイルの幣辛夷。
また一瞬の風。
白と薄紅を吹き散らす。

   幣辛夷風に揺れ甲高い木遣りの声が耳の中さては来年の御柱は出来るのか (上武旋転子)

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ハクモクレン(白木蓮) ~離れて見る、近づいて見る~
- 2021/03/30(Tue) -
白木蓮031

木が白で埋め尽くされています。
白木蓮が満開です。

離れて全体を眺めます。
やわらかでおおらかです。
近づいてそれぞれの形を見ます。
優しくて清らかです。
花の中を覗きます。
座る蕊は深い悟りの姿のようです。

白、白白白。
純な白。
諭す白。
温かな白。
見守る白。
思慮する白。
白白、白白白白。
いろいろな白色の白木蓮です。

   白木蓮を眺むる我にウオーカーは「見事だね」と立ち止まらずに行く (居山聞涛)

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コブシ(辛夷) ~優しい手と無垢な拳と~
- 2021/03/29(Mon) -
辛夷031

春の青い空が広がりました。

白いその花はとても高いところにあります。
ひらいたのはひらひらとして。
つぼみはやわらかくとじて。
それぞれあたたかな母の手と寝た赤ちゃんの握る手のようで。

そんな辛夷の花も咲く三月の末です。

   荷物一つ故郷発ちし十八の春犀星の歌を幾度も口遊むも故郷を捨てし悲しき我  (上武旋転子)

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アセビ(馬酔木) ~早朝の電話~
- 2021/03/28(Sun) -
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昨日の早朝のこと、電話が鳴った。
鳥の声が聞こえる中、畑仕事に出る準備をしていた6時20分。
古い友人からだった。
私が早起きなのを知っているので、その時間でも大丈夫だと思ったのだろう。
そして「携帯に掛けようと思って、間違って家電話に掛けてしまった」と。
私の企図することについて依頼してあった件で、調べてくれた結果の連絡だった。
関係する複数の方々にあたって確かな情報を得たという。
ありがたい。
夜にあらためて私からお礼と今後の進め方についての確認の電話を入れる。
最終的には明日月曜日に結論が出るとのことで、今後うまい方向に導くことが出来そうだ。

電話を切った後、昭和45、6年の頃の自分の生活を思い出していた。

馬酔木が山茱萸の木の下で溢れるように咲いている。
つぼめた花の先がなんとも愛らしい。

   『馬酔木』について語っていた現国教師の顔が浮かぶ日の光の中にその花がある (上武旋転子)

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オオサカフユザクラ(大阪冬桜) ~冬と春に二度~
- 2021/03/27(Sat) -
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白い八重の桜が咲いています。
大阪冬桜です。
冬と春に二度咲きます。
ほかのように桜色でないためか地味であまり目立ちません。
家人たちも気に止めないようで、話題にもしません。
毎年、つくづくと味わい眺めるのは私一人だけです。
近づいて見れば、なかなかいい花姿なのにもったいないなあと思います。

「二度の開花には多くのエネルギーを費やすことでしょう」
「この先もどうか元気でそこで伸び伸びと過ごしてください」
「時には一季休んで冬だけでもいいですから……」

   細い苗木の冬桜今では縦横の枝に花満ちその下にて時を一人見る (居山聞涛)

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ヒメリュウキンカ(姫立金花) ~春の幸せ色ありて~
- 2021/03/26(Fri) -
姫立金花031

李の木の下では姫立金花が並び咲く。
黄金色の花は光を返して艶やか。
その付け根にはそれぞれからしみ出すような花びら模様を持つ。

姫立金花は春の暖かな陽気に誘われるように開きだす。
そして明るい陽射しとともに目を覚まし、光のある日中咲いて、弱くなると閉じて休む。

あかるくて、やわらかくて、しあわせをかんじさせて。

春は陽を。
陽は花を。
花は私を。
私は……。

   六年ぶりに再会した彼女はキャリアを得て管理職凜として春麗ら (上武旋転子)

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ウメ(豊後梅の花) ~楽しみの仕事~
- 2021/03/25(Thu) -
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通常の梅に遅れて咲いているのは豊後梅です。
これもなかなか素敵な花姿です。

梅干し作りのために植えたもので、大型の実がなります。
いい実だけを選別するため、その量は年によって違いますが、4㎏をめどに漬けます。
毎年の私の楽しみの仕事です。

鶯がやってきました。
初音です。

   草取れば木には初音春また一つ (郷羽三夜子)  

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スイセン(水仙・スイートネス) ~癒やす~
- 2021/03/24(Wed) -
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道路から家に入るところ、山茶花と石楠花の足下に黄色い水仙が並んで咲いている。
この小振りの水仙はとても丈夫で、何年も植えっぱなしだが、こうして春にはいつもこのような姿を見せてくれる。
朝日のあたる時間、アングルを地面すれすれに構えて青空をバックにするとその黄色はいっそう映える。
定かではないが名はスイートネスだったという記憶がある。

帯状疱疹の痛みはまだ続く。
そんな私を春の花が癒やす。

   患部見ず「痛み止めの薬を倍にしますね」と事務的な女医の言葉発疹は酷く青黒く (居山聞涛) 

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アンズ(杏の花) ~青春の木~
- 2021/03/23(Tue) -
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杏の花も満開になった。
いつもの年より少し早めだ。
色は淡いピンク。
梅とも桜ともちょっと違った美しさがある。

私は大学の時、老夫婦の家に一年間下宿していた時があった。
その中庭に杏の古木があり、夏に実をたくさんつけていた。
頼まれて収穫した。
杏を食べたのはその時が初めてだった。
そんな思い出などもあり、自分でも庭に植えた。
多くはないが、家内で食する分は収穫できる。

質屋で手に入れたナショナルの「ワールドボーイ」でコッキーポップを聞き。
外に置かれた、サイドに脱水用の手回しハンドルのついた洗濯機を共用し。
専攻は別だったが親しくなった新潟出身の友人と大きな「ゆ」のれんの銭湯をよく利用し。
必死で課題やレポートに取り組んでいた……。
杏はその頃を思い出させる私の青春の木である。

   「木に登って杏をとってくださいな」と下宿屋のおばちゃんに頼まれた20の夏夕方のデザートに3つずつ (居山聞涛)

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スイセン(原種水仙・ペチコートスイセン) ~雨の中、届く磯の香り~
- 2021/03/22(Mon) -
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また雨の一日でした。
風を伴って激しかったり、鵯が椿を食べに来ることができるほどだったりと、強弱を変化させての降りです。

そんな中、郵便屋さんが遠方からのチルドの小包を届けてくれました。
家人は留守していましたので、帰るまで開けずに待つことにしました。

傘と長靴で外に出ます。
杏が咲いています。
馬酔木が咲いています。
石楠花、三椏、白木蓮、姫辛夷にも蕾の先に色が見えます。
チューリップやヒヤシンスも花茎が伸びています。

そして幾種類かの水仙も濡れています。
小さくてかわいい形をした黄色いのはペチコートスイセンでしょうか。
その細い茎は乗る雨粒を持ちこたえられないのか、9つの花はみんな少し下向きに咲いています。

夕方帰宅した家人と一緒に箱を開けました。
どれもが一つ一つ丁寧に紙に包まれていて、送り主の心遣いと温かさが伝わります。
手で摘んでくれたという磯の香りのする海苔とその土地独特の変わりソバと希少部位の豚肉などが入っていました。
当然夕食はそれできまりです。
めったに味わうことのできない珍しい料理に舌鼓を打ちます。
ああ、なんて美味しいこと、幸せ気分です。
そして感謝感謝です。

さて、この雨でさらにいろんな花が一気にパッパッパッと開くかもしれません。
私の目と耳もその動きにあわせていっそう忙しくなりそうです。
雨も楽しく嬉しい3月です。

   齢重ねても青春の時を忘れずにいたいと思う3月の雨心にも降る  (郷羽三夜子)

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ジンチョウゲ(沈丁花) ~目をとじていても~
- 2021/03/21(Sun) -
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それは目をとじていてもわかる。
周りに春が沸き立つのを知らせる沈丁花の爽やかな香りである。

厚みのある小さな花は集まり手毬状に。
花びらはラメが入ったような光沢を持ち、奥に香りの元の黄色い蕊。

鼻を近づけ頭の隅々まで深く吸う。
それは母を思い出させる香りである。

   一輪挿しに沈丁花鼻を寄せ「いい香り」と何度もいう母は着物姿   (上武旋転子)

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サクランボ(桜桃の花) ~桜に先駆けて~
- 2021/03/20(Sat) -
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桜に先駆けて二本の桜桃が満開となりました。
もちろん実を得るために植えたものですが、花も桜に劣らぬ美しさがあります。

すでに蜜蜂などがやってきて蜜を吸っています。
そうして飛び回って次々にたくさんの受粉をしてくれてありがたいことです。
それによって毎年初夏にはあの赤い実を付けてくれるのです。

ただ、しかし、残念なことに、実の大部分は鵯の三度の食事になります。
木が高くなって、実り多い中程から上の方は私の手が届かないのです。
その頃になってきまってくり返される私に対しての家人のフレーズがあります。
「私たちの食べる分がほとんどなくなっちゃう。なんとかして~」
私だってなんとかしたいといつも思っているのですが、なかなか有効な手立てを講じることができずにいます。
今年は鵯に負けずに多く収穫できるように、少しは対策と工夫を考えることにします。

桜桃の花に戻ります。
蕾はほんのり桜色をまといますが、開くと色は白寄りになります。
桜に比して大きさも少しだけ小振りといった感じです。
蕊がいくぶん長く飛び出るようになっているのも違いの特徴でしょうか。

一人で早い花見気分を桜桃で楽しむ私です。
「たくさんな~れ」

   待ちて桜桃に花満つる蜂訪れ鵯が笑っている  (上武旋転子)

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クロッカス(Crocus) ~のどかな会話~
- 2021/03/19(Fri) -
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クロッカスが咲いたね。
咲いた。
白はいいね。
いい。
清純な花ね。
そう。
可愛くてずっと見ていたくなる。
クロッカスの話を教えてあげようか。
どんな?
ギリシア神話にある物語なんだけど。
聞かせて。
クロコスがスミラクスというニンフに恋したけど、彼のその思いは成就せず死んでしまい、それが変身した花だってさ。
へえ~、じゃクロッカスは男性ということ?
そういうことになるかな。
少女のイメージにしか見えないけど。
自分の感覚で好きなように見ればいいさ。
そうだね。次々に花が出てきて春っていいね。
春はいい。
どこか行きたいね。
行きたい。
でも行けないね。
そう、まだしばらくはがまんしよう。

   クロッカス二輪のどかな会話のひだまりかな  (郷羽三夜子)

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サンシュユ(山茱萸) ~老いてなお盛ん~
- 2021/03/18(Thu) -
山茱萸031

木が黄金色に染まる。

山茱萸が咲き出したのは一週間程前からだった。
高くて太い木のその枝にはまだ葉はない。
それがびっしりの小さな花をつけている。
それはまるで枯れ木に花が咲くといった感じだ。

古木は今年の春もまた新たに色をまとい、潔さと堂々とした風格を見せる。

   山茱萸老いてなお盛ん也尽きるまで我が道を行く (上武旋転子)

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ボタン(牡丹の蕾) ~その症状は~
- 2021/03/17(Wed) -
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きのうはまた雨が降った。
芽時の草木にとっては嬉しい湿りだろう。

それは4日程前からである。
左脇腹につぶつぶ状の腫れと皮膚の奥の方でキリキリした痛み。
通常のかゆみを伴うきれいな赤い色の湿疹とは違う。

今から20年程前の夏、私は息子と二人で富士山に登った。
その当日の朝、背中に強い痛みを感じた。
位置からして自分の目でその様子を確かめることができなかった。
原因や症状もわからないまま、これくらい大丈夫だろうと、頂上を目指すことにし、無事に登頂した。
帰宅した後、痛みの部分は一層広がり、強くなっている。
明けた日に皮膚科に通院した。
「帯状疱疹ですね」と医師の診断であった。
リュックを背負っていた負荷と擦れもあり、少しただれも出ていたらしかった。

今回の症状がそれに似ている。
しかし帯状疱疹は一回かかると免疫ができるということを言われた気もする。
ともあれ、皮膚科で診てもらうのがいい。
そして昨日、朝一番で近くの病院へ。
女性の医師は症状を見るやいなや「帯状疱疹です」と診断を下す。
「20年程前にかかっているんですが、免疫はできていないんでしょうか」
「ごくまれに、こうして再発する方もいらっしゃるんですよ」と。
ウイルスの増殖抑制、熱下げ、消化管運動の整え、痛み緩和の4種類の処方箋が出た。
そして再診の日を決めて診察は終わった。
先週連日して6時間程の畑仕事をしたことの体力消耗で、体内に潜むウイルスの目を覚まさせたのだろうか。

帰宅し、庭を一廻りした。
牡丹も動き始めている。
赤を帯びた柔らかな葉が膨らみ始めた蕾を包んでいた。

   牡丹の先に蕾ありまだその色わからず春雨の中   (居山聞涛)

雨の中の牡丹032

雨の中の牡丹033

雨の中の牡丹034 - コピー

雨の中の牡丹035
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クリスマスローズ(Christmas rose) ~何歳まで生きる~
- 2021/03/16(Tue) -
クリスマスローズ赤ドット031

週末にある会議の厚い資料を読み終え、片付けようと左手に持って移動した時、湯飲みに当たり倒してしまった。
お茶は8分目程入っていて、そのすべてがこぼれ、テーブルクロスの上に長く伸びた。
このところ何度か同様のことがある。
クロスの上を吸い取りながら、巧緻性がだいぶ低下していることを嘆く。
「あ~あ。最近多いなあ。困ったもんだ」と。
幸い、横に積み上げてあった買ったばかりの久坂葉子の4冊は濡れることはなかったのでよかった。

私はこの先何歳まで生きるのだろう。
ふとそんなことも駆け巡ったりして。

クリスマスローズの花びらにヒラタアブがとまった。
彼らも春が待ち遠しかったんだろうなあ。

   湯気立ち上るご飯に蕗味噌四十雀の群れに交じりて柄長一羽  (郷羽三夜子)

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ムラサキハナナ(紫花菜) ~爽やかなコントラスト~
- 2021/03/15(Mon) -
紫花菜032

臘梅の下で薄紫の花が咲いています。
紫花菜です。
本来の時期には少し早く、出てきている株の多くはまだ蕾です。
この先の4月5月が最盛期で、その頃になると一面に紫を広げてくれることでしょう。
ほっといてもこぼれ種でどんどん増えていく強くて元気な花です。
周りにあるカレンデュラの黄色とオオイヌノフグリの青と相まって爽やかな春のコントラストを醸しています。
日毎に彩りの増えていく楽しい三月です。

   春風に花菜揺れ屈み見れば確かにあった少年のこころ (上武旋転子)

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紫花菜033

紫花菜034
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コウム(原種シクラメン・Cyclamen coum) ~ひっそりとした雨の情景~
- 2021/03/14(Sun) -
コウム201

きのうは雨の一日でした。
二十一歳で亡くなった女流作家の本を読んでいました。
目が疲れたので傘を差して庭に出ました。

コウムを見つけました。
西洋石楠花の下に一輪だけです。
とても小さな原種シクラメンです。
花びらは雨粒を乗せています。
ひっそりとした雨の情景です。
晴れの日に、もっと日当たりのいい場所へ移してやりましょう。

十八歳の時に書いた作品で芥川賞候補にもなった彼女が選んだのは特急電車での自死でした。

   春愁というか雨のシクラメン差した傘は骨が1本折れている  (上武旋転子)


コウム202

コウム203
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クリスマスローズ(Christmas rose) ~友からの電話~
- 2021/03/13(Sat) -
白クリスマスローズ031

「このご時世だから、そちらはどうしているかと思ってさ」

夕方のことだった。
東京在住の同期生から電話があった。
生徒時代はそれほど親しかったという記憶はないが、何か思うところがあったのか、今年初めて年賀状を送ってくれた。
年賀状に記された電話番号にお礼の電話を入れて少し話した。
それ以来である。

彼はテノール歌手。
メインはカンツォーネ。
電話を通してもさすが言葉が明瞭だった。
「近々会いたいね」と。
富士見に別荘があり、信州には折々来ているらしい。
我が家はそこから1時間半ほどなのでついでに脚を伸ばしてくれるといい。

国立の工学部を卒業した彼。
しかし高校時代からの夢だった声楽家を目指してイタリア留学。
そんな経緯なども詳しく聞きたい。

   張りのある太い声懐かしき旧友の顔浮かぶ春の夕  (居山聞涛)

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白クリスマスローズ033

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カタクリ(片栗) ~いろいろが~
- 2021/03/12(Fri) -
片栗の蕾

カタクリの葉が土のすぐ上にちょこんと出ているのを見つけて喜んでいました。
ああ、ここにも小さな春が生まれていると。
翌日、葉が二つに分かれて開いていました。
一日でこうも伸びるのか……。
その翌日、蕾が出ていました。
一気に生長が進み、新しい姿になっていきます。
そして次の日、花が開きました。
葉を見つけてから4日目でした。
やや斜めになった花茎は5㎝程でしょうか。
下向の花は地面につきそうです。

咲くのはいつもは四月に入ってからだったと思います。
ほかのはまだ土の下で眠っている中、この株だけは早く目覚めたようです。

探せばいろいろが見えます。
澄ませばいろいろが聴こえてきます。
そんなこの頃です。

   去来する愁いは片栗の花一つの大きさ  (奈美あや)

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片栗032

片栗033
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マンサク(満作) ~不思議な魅力~
- 2021/03/11(Thu) -
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満作がほぼ満開。

花びらはまるでよれよれの布きれのようで、その集まる様をたとえていうなら、それは“はたき”。
きわめて個性的で、一般的な花のイメージからは離れた不思議な魅力がある。
虫が惹き寄せられる形とも思えないが、この咲き方に何かそうでなくてはならない特別な意味でもあるのだろうか。

空から、ご高齢でお亡くなりになった女性芸術家の声……。
「美は他人が決めるものではない」
「自分が美しいと思ったものを徹底して追求するのだ」
「湧き起こる情念に駆られるものを表現すればいい」

(そういえば家にも年季の入った“はたき”が1本あったはず)
(取り出してきて見てみれば、ん~ん、似ている)

   満作の花溢れクックドゥードゥーと地をつつき歩くキジバトが居る (上武旋転子) 

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はたき
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ロウバイ(臘梅) ~漫ろ歩けば~
- 2021/03/10(Wed) -
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長く咲いてくれているロウバイ。
相変わらずの芳香を漂わせて。
でももうだいぶ散った。
残る花は少なくなり。
枝も少しさびしい。

片栗の葉が2枚出ている。
ムスカリの青い花も伸び出す。
ヒメリュウキンカには艶やかな黄色い花。
咲き出したばかりの白椿をヒヨドリが食べている。

久しぶりにゴッホの画集を開く。
表紙は“プロヴァンスの老いた農夫”。
若い頃に観た滝沢修演じる「炎の人 ヴァン・ゴッホの生涯」を思い出しつつ、ページを捲る。

    目薬差し漫ろ歩けばうらうらに草木萌えて三月半ば (奈美あや)

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フキノトウ(蕗の薹) ~そろそろ摘んでも~
- 2021/03/09(Tue) -
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柿の下に、梨の下に、木槿の下に、無花果の下に、そして土手に。
家のあちこちに蕗の薹が。
みなどれもが自分時間のいい表情で。

重なる葉の包みがほどかれ、中からはぎゅっとした花蕾がのぞく。
その形と大きさはそろそろ摘んでもいい頃。
まずは5つを小籠に。

一つは刻んで味噌汁に。
残りは天麩羅に。
特有の香りとほろ苦い風味が口の中に広がる。
好きだなあ、春の旬。

2,3日してまた採ろう。
今度は蕗味噌をも注文しよう。

   「そうこの風味」と一年ぶりの舌鼓春は嬉し蕗の薹 (上武旋転子)

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クリスマスローズ(Christmas rose) ~ひと味違う~
- 2021/03/08(Mon) -
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くしゃみが頻繁に出る。
ティッシュで鼻をかむ回数も増える。
これは長年三月に出てくる症状。
昨日はお茶を淹れた湯飲みを持っているタイミングでのくしゃみで手が動き、少しこぼした。
このように生活に多少の支障もあるが、毎年のことゆえ、うまく付き合う方法は身についている。
去年はマスクやティッシュがなかなか手に入らず困ったが、今年はその心配もないことだし。
時期が来て収まるのを待つしかない。

春は土の喜ぶ顔や、花の色、香りなどの楽しい誘いも多い。
身支度も含め、できる対応策をしっかり講じながら、外を楽しむ。

葉と花が同じ黒紫色のクリスマスローズも咲く。
ひと味違う。
人にたとえるならそれは気難しい哲学者の雰囲気か。

   年とともに腰をいたわるタイヤ交換時折くしゃみも出て (居山聞涛)

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オダマキ (西洋苧環) ~パンを買いに~
- 2021/03/07(Sun) -
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紅茶を飲んでいた。

「このパン、おいしそう」
タウン誌のパン屋さん特集の中で紹介されていたサンドの写真を見ていた家人が話しかける。
「ねえ、買いに行かない?」
我が家の主食は米なので、パンを食べることは少ない。
珍しいことを言うもんだと、案内記事を見る。
知らない店だった。
場所は近隣の市のショッピングセンターなどが集まる地区の一角で、車で30分程かかるる。
「これからすぐに出たいけど……」
もう行くことは決定したつもりになって、準備を促す。

渋滞することもなく、車は順調に進んで店に着く。
構えは小さいが、店内には数人の客がいて繁盛している様子。
お目当てを探す。
しかしそのサンドのトレーは空、売り切れだった。
もともとこの店で人気のサンドなのかも知れない。
せっかく来たのだからと、別の2種類を買い求めた。
家路につく車の中でいう。
「あのパン、絶対欲しい。また行こう」と。
「パン一つのためにわざわざ往復一時間も掛けて……」と胸の内でつぶやきつつ、「わかった」と返事する。

クロッカスの隣で西洋苧環が咲いている。
目がかゆくなった。
まさか、もしかして、いよいよ来たか……。

  草木彩り目は下に上に遠くに遊ぶマスクの春日和 (上武旋転子)

西洋苧環032

バゲットサンド
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クリスマスローズ(Christmas rose) ~日常の一コマ~
- 2021/03/06(Sat) -
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以前から読みたかった本が届いた。
最近は本もネットで注文することが多くなった。

居間の絵を入れ替え、レリーフの位置を移動した。
椅子のムートンも取り外した。

パソコンに向かっていると、戸が開き、「海老の皮をむいて~」の声。
料理の下拵えなどで、台所に立つことが多くなった。

クリスマスローズも次々と咲く。
その下ではこぼれ種から子どもたちが生まれている。

   ラジオからは思い出と希望の歌皆五感に冬じまい   (奈美あや)

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『女の首《(ポニーテール》』(仮題) ~石膏直付けによる表現~
- 2021/03/05(Fri) -
1女の首正面

モチーフは若い女性。
髪型はポニーテール。
表現方法は石膏直付けで。
それだけを決めて制作に取りかかった。

モデルはいない。
頭の中でイメージを膨らませる。
首はほんの少し右に向ける。
ポニーテールの形と長さは顔とのバランスがとれるように。
そしてようやく終わる。

「ごくろうさん」
「さて次は……」

   サティを聴きつつ手考足思三月のアトリエ (上武旋転子)

2女の首右向き

3女の首左向き

4女の首後ろ向き

ポニーテールの表現1

ポニーテールの表現2

石膏直付け道具
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コウバイ (紅梅) ~その育ちの姿を~
- 2021/03/04(Thu) -
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八重の紅梅も開きはじめる。
まだ蕾のほうが多く、三分咲きといったところか。

「梅は花一輪一輪を見て楽しむ」
「蕾の一つ、咲きかけの一つ、開いた一つ、その育ちの姿を」
だいぶ前のテレビで、梅林の梅守さんが語っていた言葉である。

全体を見るだけでなく、まとまりや一つ一つに向ける。
生まれたての姿から時間の移ろいとともに変わっていく姿を見る。

そんなことを思い出しながら、それぞれの形と時間を味わう。

   このころの暖かさや朝の梅は昼の姿に (居山聞涛)

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クロッカス (Crocus) ~とんとんと~
- 2021/03/03(Wed) -
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とんとんと3月3日。

黄色いクロッカスも咲く。

溌剌として爽やかで。
笑顔で会話がはずんで。

かたまり咲くを見れば、連想されるそんな女の子たちの様。

   花言葉は「私を信じて」日燦燦黄のクロッカス (奈美あや)

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クロッカス034

クロッカス035

クロッカス036
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コゲラ(小啄木鳥・Japanese Pygmy Woodpecker) ~『ささやかな日常』~
- 2021/03/02(Tue) -
コゲラ032

3月1日、床屋さんに行った。
仕事が一区切りし、先の見通しがついて。

済んで家に戻ると、庭にコゲラの声。
「ギーッギーッギー」とドアが軋むようなその特徴ですぐわかる。
垂直に伸びる柘榴の枝にいた。
高さの中程から、向きをぐるぐる変えながら上へ上へと登っていく。
そして先端近くなったところで離れていった。
今年になって初めて見たコゲラだった。

夜、日記を書こうと開く。
月はじめの扉には季節、天文、行事などについての資料が記される。
啓蟄ももうすぐだ……。
そしてページの頭には『ささやかな日常』という10行の詩。
胸の奥にスーッと素直に入ってきた。

 窓辺に降りそそぐ
 柔らかな日差し

 何気ない会話
 小鳥のさえずり

 記憶の隙間に
 そよ吹く風

 あなたにも届けてあげたい
 穏やかな時の輝き

日記はいつも15分程度で書き終える。
蕗の薹を4つ採ったこと、『にごりえ』を読み始めたことも添えて閉じる。

   柘榴枝(え)に小啄木鳥きて三月湧きあがる熱き静かな思い (上武旋転子)

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タンポポ (蒲公英) ~タンポポンポンポン~
- 2021/03/01(Mon) -
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タンポポを見つけました。
桜の木の下に顔をよせあうように二つありました。

地面のすぐ上に葉があります。
茎はまだ伸びていません。
葉のすぐ上に花があります。
花の中にはいくつもの蕊が見えます。

日々新しい彩りがあります。

そして三月です。

   蒲公英二つ子どもになってタンポポンポンポンと口鼓 (上武旋転子)

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蒲公英031
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