ホオズキ(霜鬼灯) ~やはりそうだったか~
- 2019/12/31(Tue) -
霜の鬼灯191

やはりそうだったか。

年末なのに、いつもよりのんびりしているなあと思っていた。
台所での動きがふだんとあまり変わらないし、お重の姿もなかったからである。

12月入ってすぐの頃からデパ-トの通販カタログをよく眺めていた。
特におせちの特集を何度も開いて。
それでもしかすると今年は作らないのか、そんことがちらっと頭によぎってはいた。

そしてきのう、宅配便で「おせち」が届いた。
9月に左手を骨折したことが影響して、その気を失せたのかもしれない。
まだ箱は開けてはいないが、添付された中味の明細を見るとおせちの定番がぎっしり。
家の味と形が詰まった手作りが一番いいことではあるが、店監修の豊かな彩りと珍味で過ごす正月もまた楽しみだ。

鬼灯も霜とともに静かに年の暮を迎えている。

   大晦日定なき世の定かな  (井原西鶴)

おせち191

おせち192

おせち193

霜の鬼灯192

霜の鬼灯193

霜の鬼灯194

霜の鬼灯195
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ローズマリー(rosemary) ~届いた~
- 2019/12/30(Mon) -
ずわいかに

“ずわいかに”が届いた。
注文したのでなく、景品として当たったものらしい。
年末の思いがけないプレゼントである。
ところで箱には“ずわいかに”とあるが、よく聞くのは“ズワイガニ”だが、どっちでもいいのだろうか。
それとも地方によって呼称(にごる、にごらない)が違うのか。
調べてもよく分からなかった。
そして漢字では“楚蟹”と書くという事を初めて知った。

家人は正月飾りに勤しむ。
庭ではローズマリーが咲いている。

   妻すこし昼を睡りおり小晦日 (星野麦丘人)
 
ローズマリー1920

ローズマリー1921

ローズマリー1923
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ナツロウバイ(夏蝋梅の実) ~ギャップ~
- 2019/12/29(Sun) -
冬の夏蝋梅の実191

褐色の実がぶら下がる。
夏蝋梅だ。
初夏の清らかな花。
とても繋がらないようなそのギャップ。
冬に見るそんな姿も楽しい。

   冬帝に心委ねて行くことに  (稲畑汀子)

冬の夏蝋梅の実192

冬の夏蝋梅の実193

初夏の夏蝋梅1

初夏の夏蝋梅2
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ヤツデ(八手)とイチョウ(公孫樹) ~きっぱりと冬が来た~
- 2019/12/28(Sat) -
冬ヤツデ191

落ちるべき葉はほとんど落ちた。
庭掃きも一段落した。

そして新たに地面にはヤツデ。
それは掃かずに、2、3日そのままにしておいた。
光太郎が書いたのは今のこんな時期のことなんだろうかと思いつつ眺める。

   「冬が来た」
 きつぱりと冬が来た
 八つ手の白い花も消え
 公孫樹(いてふ)の木も箒(ほうき)になった

 きりきりともみ込むような冬が来た
 ……………………………

裏に回り、公孫樹を見た。
箒になっていた。

   天龍も行きとどこほる峡の冬  (松本たかし)

冬ヤツデ192

冬ヤツデ193

裸銀杏191
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フユソウビ(冬薔薇) ~聞こえる~
- 2019/12/27(Fri) -
冬薔薇191

周りの景色は冬の色。
そんな中に一輪の赤い薔薇。
哀愁をおびた静かな姿。

聞こえる私に問う声。

   よき言葉聴きし如くに冬薔薇  (後藤夜半)

冬薔薇192

冬薔薇193
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リュウノヒゲ(竜の髭) ~湯疲れ?~
- 2019/12/26(Thu) -
リュウノヒゲの実191

あそこを少し。
そこもちょっと。
そしてここもと、思いつくところを。
そんな小掃除をすませ、久しぶりに二人で温泉へ。
展望風呂からは南アルプスの雪嶺。

「気持ちよかったけど、ちょっと疲れたから、おそばにするわね」
湯疲れしたのか。
葱を取ってきて細かく刻み、そばつゆに入れる。

ところで今年のおせちはどうするんだろう。

リュウノヒゲに少し褪せた青い実が残っている。

   誰がための深き瑠璃いろ竜の玉  (鈴木二郎)

リュウノヒゲの実192

リュウノヒゲの実193

リュウノヒゲの実194
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フユシラズ(冬知らず) ~冬にも黄色~
- 2019/12/25(Wed) -
冬知らず1912241

黄色い花が広がっています。
それこそ名前はフユシラズです。
その名の通り、寒気をものともせず冬に元気に咲く花です。
この先、さらに株を大きくし、次々に花を増やしていきます。
毎年、こぼれ種からの花です。
花の少ないこの時期に和みます。

   何か書けば何か失ふ冬の机 (長谷川秋子)

冬知らず1912244

<冬知らず1912242
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ハクモクレン(白木蓮) ~膨らむ~
- 2019/12/24(Tue) -
冬白木蓮191

白木蓮の冬芽が膨らむ。
深い光沢のあるやわらかな形。
それは沈潜するかの如き姿。
花を咲かせるにはそんな静かな時間が必要。

   冬木の芽ことば育ててゐるごとし  (片山由美子)

冬白木蓮192

冬白木蓮193

冬白木蓮194

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2つの液体絆創膏 ~割れて痛い~
- 2019/12/23(Mon) -
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あれからずっと食器洗いは私がしている。

数日前から右と左両方の親指と爪の間が割れて痛い。
それで絆創膏を巻いてやってきた。
でも、翌日にはだいたい取れてしまう。
そんな私の様子を見て家人は言った。
「液体絆創膏がいいかもよ」
「そうだな」と軽く返事する。

ガソリンを入れたついでにドラッグストアに寄って“消毒もできる液体ばんそうこう”を買った。
帰ると、家人は買いものに出かけたようでいなかった。
さっそく箱を開けて割れ目を覆うように塗った。
すぐに乾き、しっかり保護されているのがわかる。
箱を棄て、私専用の薬置きにしまった。

食料品の入った大きな袋ともう一つ小さな袋を持って帰ってきた。
「はい」と渡されたのは、私の買ったのとは違う液体絆創膏の“エキバンA”だった。
さりげなく「ありがとう」と受け取った。
だが、「さっき買ってきた」とは言わ(え)なかった。
そしてだまって共用の薬箱に入れた。

夕食後、買ってきてくれたエキバンAを箱から出してすでに処置した上に重ねて塗った。
そしていつものように黒いエプロンをして食器を洗った。

きのうは冬至だった。
頼まれて落花生の殻を割った。

家人が左手橈骨を骨折をしたのは9月18日だった。
今ではすっかり完治し、元通りの生活に戻っている。

   行く水のゆくにまかせて冬至かな  (鳳朗)

落花生の殻剥き
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マユミ(冬の檀)  ~冬晴れの昼食会~
- 2019/12/22(Sun) -
冬檀191

「お宅にお邪魔するのは一年半ぶりになるかや」
免許証を自主返納したので、めっぽう外出が減った助手席の叔父がしみじみと言う。
それまでは年に1~2度、わが家まで運転して来てくださっていた。
「みんなに迷惑をかけちゃいかんでな」と返納はご自身の判断。
近くに住む義姉にも声を掛けて、4人での昼食会をセッティングしてあった。

「送迎しますから、ぜひ」とお誘いしたら叔父は喜んでくれた。
お一人住まいなのだが、まだ生活全般を自分でこなしている。
着る物も常に清潔感のある粧いで、スラックスには折り目がビシッとついている。

家に着くとすでに義姉はテーブルを前にしていた。
懐かしそうに二人はすぐに会話を交わす。

おもてなしというには質素な、畑で取れたものやあるものによる手作りである。
浅漬けのキクイモは叔父は初めてでおいしいと、とても気に入ったようで私もうれしくなる。
朝に皮を剥いて用意してあった栗ご飯も好評。
箸を動かしながら、時と場所を瞬間移動させてあれやこれやの話題で盛り上がる。
歌人の義姉は指導や主宰する歌会が六つあり、加えて新聞の選歌などで忙しい様子。
時間はあっという間に過ぎる。

義姉が席を立ち「また今度二人でうちにも来てな」と言うを見送る。
そして杖を持つ叔父のもう一方の手を引き車へ。
隣の市のご自宅まで40分で到着。
玄関には新作だという紙細工のサンタクロースと俳句の短冊。
まだ創作意欲は衰えていない。
「また春になり、暖かくなったらおいでください」
「ありがとう。うれしかったよ。また来年も来れるように健康でいなくちゃあな」
叔父は満91歳。

家に戻ったら、テーブルの上はすべて片付いていた。
その部屋からは冬の檀が見える。

    冬日和心にも翳なかりけり  (星野立子)

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オオサカフユザクラ(大阪冬桜) ~白い桜に白い月~
- 2019/12/21(Sat) -
大阪冬桜2191

少し前から小さな八重の白い桜が咲き出した。
それは大阪冬桜。
氷点下もある季を好んで。

冬の青に白い桜。
白い桜に白い月。
私一人の冬花見。

そして器に挿して部屋にも。
年暮を急がず慌てず穏やかに。

   冬桜空の碧さとかかはらず (馬場移公子)

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焚き火と焼芋 ~たまにはこんなこともいい~
- 2019/12/20(Fri) -
焼芋191

朝6時40分。
栗と木蓮の落ち葉を掃き集める。
小山になるほどの量。
火を付ける。

思いついた。
「焼芋をしよう」。
収穫した薩摩芋がまだ5本残っていたはず。
外からガラス戸を叩き声を掛ける。
「焼芋ができるように芋を準備して、畑に持ってきて」
阿吽。
年に一度はやっている。
何をどうするのかは互いに分かっているので、段取りはいい。

火が収まり燠となる。
頃よく、濡れ新聞の上をアルミ箔で包んだ芋が3本届く。
燠を広げ、芋を並べて再び被せる。
しばらく放置し、部屋に入る。
出かけたようだ。
服には煙の匂いが染みこんでいる。
お茶を飲む。

山頭火の句集を開く。
それを仮借してアレンジして作ったのが挟まっている。
・雲見れば 故郷恋し夕のひぐらし
・ふるさとは遠く 陽の沈む島影
・冬が来て 木ぎれ心切れ涙切れ
・朝の土手に拾う そのままの自分を拾う
・蟻も歩いている 吾も一足ずつ
・こおろぎよ 人の心も聞いてくれ
・あがくことさえ惨めに 虫の鳴く声さえ悲しい
・ここにこうしているわたしがふしぎ
・月の明るさに 心の表も裏も照らされる

再び外に出てホウレンソウを抜いたりしながら様子を見る。
2時間半ほどが経つ。
いいだろう。
燠を広げ芋を取り出す。
包みのアルミ箔と新聞紙を解く。
どんな感じか、一つ折ってみる。
しっかり火が通り焼き上がっている。
上でき。
駐車場を見ると車がある。
帰ってきているようだ。
火の用心。
水を掛ける。
辺りを片付け、部屋に戻る。
「やけたよ。まだ熱いから気をつけて」と渡す。

折ったのを二つの皿に分けて置き、食べる。
ねっとりとしてうまい。
願わくばコゲの香りがあればよかった。

たまにはこんなこともいい。
   
   畑火よりにほひほのぼの藷焼けぬ   (飯田蛇笏)

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ブルーベリー(冬紅葉) ~季節ごとの趣~
- 2019/12/19(Thu) -
ブルーベリー紅葉191

畑の端では他の木々に遅れてブルーベリーの冬紅葉。
楓などのような鮮やかさとは違う控えめな彩りがまたいい。
逆光で見るとなおさらに。

ブルーベリーには季節ごとに、花で楽しみ、実を味わい、そして葉に感じる三つの興趣がある。

   冬紅葉冬のひかりをあつめけり  (久保田万太郎)

ブルーベリー紅葉192

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5月のブルーベリー
                                      5月の花
8月のブルーベリー
                                      8月の実り
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チーズ(cheese) ~冬の雨に届いたのは~
- 2019/12/18(Wed) -
アトリエ・ド・フロマージュ1

しとしとと、きのうは冷たい雨の日だった。

そんな中に宅配便が小さな箱を届けてくれた。
いつも明るく挨拶してくれる顔なじみのKさんだ。

送り主は小諸の友人。
箱を開けるとチーズの詰め合わせセットが入っていた。
同梱の案内を見ると、東御市の工房で作られた手づくりチーズだった。

さっそくお礼の電話をする。
「さっき荷物が届いた。ありがとう。すごい高級なチーズじゃん」
「店の創業者がさ、知り合いなんだよ。今は一線を退いているけどね」
「どうだい変わりないかい」
「元気元気。オレは体力勝負だから」
「それはそうだな」
「それじゃあ、また来年の秋に」
「ほんとうにありがとう」

大学時代からだから、その付き合いは長い。
そして今は毎年1度は、六本木で会う。
バイタリティーに富み、そしてそのエネルギッシュの姿に学ぶことの多い良き友である。

どんな味わいなんだろう、楽しみ…。
「ん?」
夕食に出してくれるかと思ったが、お預けだった。

   冬の雨コーヒーの香と人のこゑ  (加藤みき)

アトリエ・ド・フロマージュ2

アトリエ・ド・フロマージュ3

アトリエ・ド・フロマージュ4
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カゲツ(花月) ~心の荷物も大掃除~
- 2019/12/17(Tue) -
クラッスラ191

しばらく前から花月が咲く。
薄紅色の可愛い花がひとかたまりになっていくつも。
どの花も花芯の周りに水滴を浮かべる。
中からしみ出ているようだ。

4弁の花を見つけて喜ぶ。
花月は12月から1月までの冬の部屋に小さな潤いをくれる。

   捨てきれない荷物のおもさまへうしろ (種田山頭火)

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クラッスラ194

クラッスラ195
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ホオズキ(冬鬼灯) ~枯れの趣~
- 2019/12/16(Mon) -
冬鬼灯191

冬枯れの鬼灯がある。
春や夏の姿とはまた違ったしみじみとした趣がある。
破れ袋の中には珊瑚のような艶々した赤い実もあって。

今年も残り半月。
為すべき事がきちんと締めくくられるように、手足で思い、考える。

   智恵借りることも師走でありしかな  (稲畑汀子)

冬鬼灯192

冬鬼灯193

冬鬼灯194
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ル レクチエ(Le Lectier) ~「しっかり追熟させてから…」~
- 2019/12/15(Sun) -
洋梨ルレクチエ1

チャイムが鳴ってドアが開く。
そして「おるかや」と大きな声。
立っていたのは果樹農家の小松さん。
「ほれ洋梨よ」と言って、レジ袋を差し出す。
「ルレクチエの出荷がほぼ終わったもんで、はじいたものをちょっとだけどな」
「少し青いのはしっかり追熟させて、黄色くなってから食べてな」と笑顔で。
「いつもありがとうございます。どうぞおあがりください」
「なあに、まだほかにも配って歩かなきゃだで。あがれんのな。じゃあな」
もう何年もいろいろなものを持ってきてくださるが、そのたび忙しそうにそくそくとお帰りになる。
一度くらい、ゆっくりお茶でも飲みながら、いろいろとお話しをしたいと思うのだが。
お酒好きなのでいつかわが家にお招きして一献傾けるのもいいか。
とにかく面倒見がよく、皆から好かれている方だ。

お帰りになった後、“ル レクチエ”を見ていると心動かされるものがあった。
「いいフォルムだ…。木彫(もくちょう)で作品にしてみよう…」と。

   今日はけふ明日はあした十二月  (保坂加津夫)

洋梨ルレクチエ2
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ヤブコウジ・ジュウリョウ(藪柑子・十両) ~ひっそりと~
- 2019/12/14(Sat) -
十両190

注文してあった品物が宅急便で届いた。
すると夕方、“お荷物を配達しましたがお留守でしたので持ち帰りました。下記のアドレスへご連絡ください”とのSMSが入る。
すぐに怪しいと分かったので、無視した。
でもどうして配達日と電話番号などの情報が漏れたのだろうか。
利用したのは最大手のネットショップ。
よくも考えるあの手この手の罠。

庭の片隅に数本のヤブコウジ(ジュウリョウ)がある。
今それに、艶やかな小さな赤い実。
歳暮から正月の庭を静かに彩ってくれる。
こちらはうれしい気分。

   まぎれつつしづかにあるや藪柑子   (松村巨湫)

十両191

十両192

十両193
    
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クリ(栗ご飯) ~「はい」と素直に~
- 2019/12/13(Fri) -
栗ご飯190

「栗ご飯にするので皮を剥いて~。渋皮は少し残っていてもいいから」
20余の栗が入った小さなボウルを渡される。
家事に協力的なやさしい夫は「はい」と二つ返事で素直に栗を剥く。

今秋も多くの実りがあり、いろいろにして味わうことができた。
そして10月下旬、その残りを3袋に分けて冷蔵庫に保存した。
剥いたのはその一つ、あとの2つは正月用に使うという。

季節外れの栗ご飯。
冷蔵していたわりには香りも甘味も十分に保たれていた。

長年、栗拾いと栗剥きは私の仕事。
いつも楽しいと思う。

   栗飯にする栗剥いてをりしかな (安住敦)

栗ご飯191

栗ご飯192

栗ご飯193

栗192
                                      9月中旬の実り
栗193
                                     9月下旬の栗拾い
栗194
                                    10月初旬の虫抜き
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マンネンタケ(万年茸) ~もしかして…、やはり~
- 2019/12/12(Thu) -
ワインと塩ふきべに芋

作業用の防寒手袋を買いに出かけていた。
帰ってくると玄関にレジ袋が二つ置いてあった。
それぞれに塩ふきべに芋と白ワインが入っていた。
誰が来たんだろう。
部屋に入りラベルを見ると、松本市と塩尻市。
それはもしかして…、たぶん。
近くに住む一人暮らしの義姉に電話する。
そして、やはりそうだった。
「窪田空穂記念館に行ってきたの。留守だったから置いといた」
「ありがとうございました。今度家で夕食会しましょう。14日の土曜日は空いていますか?」
「予定はないので、行くね」
その時にいただいたワインも開けよう。

庭の片隅、カリンが落ちて転がっているそばにキノコを2本見つけた。
野菜を洗ったりする時によく使う外水栓のすぐ近くにあるのにまったく気がつかなかった。
堅そうな傘は赤褐色で艶があり、黒褐色の軸は枯枝のよう。
その特徴からそれは不老長寿のおめでたいキノコと知られるマンネンタケ。
何か良いことがあるか。

   忘れゐし師走の用を又一つ  (松尾緑富)

万年茸190

万年茸191

万年茸192
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フユギク(冬菊) ~写真の前に~
- 2019/12/11(Wed) -
フユギク190

トンビがゆっくり空を旋回していた。
ヒヨドリがピラカンサを食べていた。
ジョウビタキが葉の落ちたハナミズキに止まった。
ハクセキレイが電線の上で鳴いていた。

庭では少しだけキクが咲いている。
母の名のその花を一枝剪った。
着物姿の仏壇に供えた。
母の命日だった。

     「母の顔」 八木重吉
 お母さんの顔をみたくなった
 お母さんの顔をとおりぬけると
 本当のことがわかるように思えてならない

   寒菊の霜を払つて剪りにけり  (富安風生)

フユギク191

フユギク193

フユギク194

フユギク195
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氷の花(霜の花) ~冬の朝に~
- 2019/12/10(Tue) -
氷の花191

この時期、花の終わった“関屋の秋丁字”の茎にはまた新たに別の花が咲く。
それは寒い冬の朝に現れる氷の花(霜の花)。
形や大きさはその日毎に変わる。
そしてこの白い絹のような花を見ることができるのはほんのわずかな時間だけ。
あたりに陽が射し始めるとたちまちのうちに姿を消してしまう。

   ひとときの霜の花咲く今朝の庭  (奈美あや)
 
氷の花192

氷の花193

氷の花194

関屋の秋丁字
                               10月下旬に咲いた関屋の秋丁字
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リンゴ(林檎) ~タイヤ交換~
- 2019/12/09(Mon) -
ホズミさんの林檎1

タイヤを交換した。
作業するにはもってこいのいい天気だった。
SUVから始め、普通車、軽の3台すべてをスタッドレスに履き替える。
これでいつ雪が来ても安心と、ほっとする。

道具を片付け、部屋に入ってお茶にした。
と、チャイムが鳴り、玄関を開けると穂波さんが箱を抱えて立っていた。
「林檎の手伝いに行って来たの。これキズリンゴだけど」と。
「出荷できないのがたくさんあって棄てるというので、もったいないから頂いてきたのよ」
「シナノゴールドと、ぐんま名月と、シナノスイートと、もう一つの赤いのは…忘れちゃった」
「こんなにたくさん!うれしい。あがってよ」
「今日は疲れたのでこれで帰る。インドネシア行く前にもう一度寄るわ」
そういえば前に来たときに、下旬から1月半ばまでご夫婦で行ってくるという話をしていた。

そのキズというのは、多くは素人目にはほとんどわからないほどの微細なものばかり。
ともあれ、ありがたい。
さっそくシナノスイートを一ついただく。

そのあと、近くの温泉に行った。
気持ちよかった。
ハンドルを握る黄昏の東の空に白い月があった。

「ねえ、今日は鍋にするから、白菜を切って~」

   りんご紅し机上に愛をころがして (飯村寿美子)

ホズミさんの林檎2
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シャコバサボテン(蝦蛄葉仙人掌) ~繚乱と垂れ~
- 2019/12/08(Sun) -
蝦蛄葉仙人掌0

私の部屋には蝦蛄葉仙人掌がある。
それは毎年師走になると、繚乱と垂れて咲く。

艶やかな花びらは三段になって葉から伸び出る。
その透き通るような白からピンクへのグラデーションがまことに美しい。
それらは羽を広げて飛ぶ鳥のようにも見えたり、あるいはこれから飛び立とうとするポーズにも。
蕾のフォルムにもえも言われぬ趣がある。
そして無骨な葉と繊細で色鮮やかな花とのアンバランスの妙も。

これは5年目の冬を迎えた。

   ビートルズ聴きゐて十二月八日 (山田天) 

蝦蛄葉仙人掌1

蝦蛄葉仙人掌2

蝦蛄葉仙人掌4

蝦蛄葉仙人掌5

蝦蛄葉仙人掌6

蝦蛄葉仙人掌7

蝦蛄葉仙人掌8
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イチョウ(裸公孫樹) ~心委ねて~
- 2019/12/07(Sat) -
裸銀杏191

裸になった公孫樹を見ていると気持ちがいい。
凜として、その上、力強さがあって。
そこには過ぎ去った時ときっぱりと訣別したかのような潔さえ感じられる。

テレビの中である方が語られた言葉が耳に残っている。
「過去を振り返ってばかりいると、やり遂げたことを喜ぶよりもやり残したことを悔やんで過ごすことになる」と。
冬の公孫樹からもそんな言葉が聞こえてきそうな気がする。

見ればすでに枝には小さく膨らむ冬芽。
前を見据えて。

   冬帝に心委ねて行くことに  (稲畑汀子)

裸銀杏193

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レオパ(レオパードゲッコウ・豹紋蜥蜴擬) ~すでに終わりに近づいていた~
- 2019/12/06(Fri) -
レオパ脱皮191

気がついたときにはそれはすでに終わりに近づいていた。
レオパ(愛称)の脱皮である。
いつもなら始まる兆候(体全体が白くなる)があってすぐに解るのだが、うっかり見すごしていた。
見れば残るのは顔半分と尻尾だけになっている。
多くの場合、脱いだ皮は自分で食べる。
今回も周りに皮があまりないということはもうほとんどは腹の中に収まったのだろう。

レオパは年に何度も脱皮する。
その様子はいつ見ても楽しい。(懸命になってやっている彼には申し訳ないが)
鼻の先を脱ぐとき、あるいは人間の赤ちゃんのような指先を脱ぐときなどは特に愛らしい。

玄関チャムが鳴って馴染みの配達員さんが届けたのはイエコオロギ。
レオパの大好物の餌。
無くなる直前だったのでいいタイミングだ。

ヤモリの一種であるヒョウモントカゲモドキの彼がわが家にやって来てから11年目になる。
これまで一度も体調を崩すこともなく今に至っている。
そのスローな動きと温和な性格、そしてつぶらな瞳と口元の微笑み(のように見える)に長年癒やされてきた。
また時々見せる四肢を投げうって、だらりとした無防備な姿もかわいい。
人間でいうならその年齢はすでに後期高齢者の域。
大事にしなくてはと思う。

そうこうしているうちにすべてを脱ぎきった。

   冬と云ふ口笛を吹くやうにフユ  (川崎展宏)

レオパ脱皮192

レオパ脱皮193

レオパ脱皮194

レオパ脱皮195

レオパ脱皮196

イエコオロギ191
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カリフラワー(花椰菜) ~霜の朝~
- 2019/12/05(Thu) -
カリフラワーの霜191

冷えた朝だった。

畑に出ると、野菜を霜が覆っていた。
紫カリフラワーの大きな葉にも。
しばらくすると畑に陽が広がった。
葉の上の霜は溶け出した。
そしてそれは集まって水玉になった。
小さな水晶のようにきれい。

雉鳩がつがいで畑を歩く。
私はカリフラワーを包丁で一つ切り取り部屋に戻る。

   霜消えて同じ朝ではなくなりし  (稲畑汀子) 

カリフラワーの霜193

カリフラワーの霜194

カリフラワーの霜195

カリフラワーの霜196
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ヤツデ(八手の花) ~見たのは~
- 2019/12/04(Wed) -
ヤツデの花91

 仲間で温泉施設に行った。
 大浴場でゆっくり浸かった。
 私は気持ちよくなりつい寝てしまった。
 目が覚めたら、周りに誰もいなかった。
 慌ててロビーに行き、みんなのことを尋ねる。
 「だいぶ前に揃ってお帰りになりました」
 外に出ると、マイクロバスが止まっていた。
 乗って運転手さんに聞く。
 「皆さんを駅まで送りましたよ」

そこで夢から覚めた。
なにか無意識の心理と繋がっているのだろうか。
それにしても変、快ではない。

箒を持って庭を掃く。
冬に入り、落葉はだいぶ少なくなった。
短時間で片づく。
八つ手を朝陽が射す。
花はそろそろ終わりつつある。

   みづからの光りをたのみ八ツ手咲く  (飯田龍太)

ヤツデの花192

ヤツデの花193

ヤツデの花194

ヤツデの花195

ヤツデの花196

ヤツデの花197
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キバナヤマボウシ(黄花山法師の実) ~実を拾う~
- 2019/12/03(Tue) -
黄山法師の実191

黄色山法師の実を拾う。
外皮にはいくつもの小さなイボのようなのが並ぶ。

半割にして食べる。
米粒大の種が5~10個ほど入っている。
さほど糖度は高くないが甘実がある。
季節のものとして少しだけ楽しみ味わう。

落葉する普通のヤマボウシと違って、これは常緑樹。
花は6月に咲いた。

   よろこべばしきりに落つる木の実かな  (富安風生)

黄山法師の実192

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黄山法師の実196

黄山法師の実197

黄山法師6月の花
                                       6月の花
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イロハカエデ(いろは楓) ~着物柄の図案に~
- 2019/12/02(Mon) -
イロハカエデ190

私の部屋から手の届くところにイロハカエデがある。
十二月に入ったというのに、今年は散るのが遅い。
ところどころには緑の葉さえある。
下に入って見れば、葉の重なりが影絵のようになるのも趣がある。
それこそ着物の柄図案にすれば素敵ではないかと思うほど。
一人紅葉狩りを遊ぶ師走。

   なかなかに心をかしき臘月(しはす)かな  (松尾芭蕉)

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イロハカエデ196
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ビワ(枇杷の花) ~師走…~
- 2019/12/01(Sun) -
枇杷の花190

枇杷に白い花。
まだ褐色の毛に覆われる蕾が多いが。

こうして冬に咲く。

今夏の実のなりはわずかだった。
来年はどうか。

暦も最後の月。
師走…。

   枇杷の木に近づけば花はつきりと   (大串章)

枇杷の花191

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枇杷の花193

枇杷の花194

枇杷の花195

枇杷の花196
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