ナンテン(南天の実) ~雨粒の中の光と景色~
- 2019/11/30(Sat) -
南天の実191

枝もたわわに南天の実。

鮮やかな赤い実はところどころに雨粒を垂れる。

その粒ごとにある小さな太陽が光を放射状に広げて伸ばす。

またそれは周りの景色を閉じ込めて映す。

そして11月も終わる。

   今日といふ十一月の得難き日  (稲畑汀子)

南天の実192

南天の実193

南天の実194

南天の実195
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バラ(雨薔薇) ~山茶花梅雨~
- 2019/11/29(Fri) -
秋薔薇191 - コピー

冷たい雨が止んだ後、外に出た。
いつものようにラジオを耳にしながら。
すると女性の気象予報士がその向こうから教えてくれた。
「この時期に長く降る雨のことを“山茶花梅雨(サザンカヅユ)”と言います」
「季節的にちょうど山茶花が咲く頃の雨だからです」と。
そしてそれが秋と冬を分ける目安になるのだという。
なるほど、今わが家でも赤と白の山茶花が咲いている。
素敵な言い回しだと、2、3回頭の中で繰り返し、ファイルした。

クロームイエローと深紅の薔薇が咲いている。
その山茶花梅雨の雨粒を乗せて。

   これよりと思ふ日もあり秋惜む  (稲畑汀子)

秋薔薇918
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フウチソウ(風知草黄葉) ~物寂し草もみじ~
- 2019/11/28(Thu) -
風知草黄葉191

この時期は草も色づく。
庭の風知草も美しくもみじする。
そのふわりとしたさまには少しのもの寂しさも。
そしてそれはもうすぐ土の中での静かな眠りにつく。
風知草の感傷。

  懸命にこの世を生きて草紅葉  (八幡操)

風知草黄葉192

風知草黄葉193

風知草黄葉194
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ベニシダレモミジ(紅枝垂)  ~その下に入り、陽を背にして見る~
- 2019/11/27(Wed) -
紅枝垂紅葉190

紅枝垂がある。
私はその下に入り、陽を背にして見るのが好きだ。
裏から見ると、葉色もいっそう鮮やかさを増し、様々な表情が広がる。
上の葉と下葉の重なりが作る影の味わいは表からでは見つけることはできない。
また濃い陰影が作り出す切り絵のような葉の輪郭も素晴らしい。
細かな鋸歯の先々までをもくっきりと浮かび上がらせる。
横にある青木(アオキ)の緑葉とのコントラストも映えて美しい。
そうした「裏紅葉(モミジ)」「影紅葉(モミジ)」の妙を楽しむのである。

   かざす手のうら透き通るもみぢかな  (大伴大江丸)

紅枝垂紅葉191

紅枝垂紅葉192

紅枝垂紅葉193

紅枝垂紅葉194
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キク(紅菊) ~晩秋の情景~
- 2019/11/26(Tue) -
赤い菊191

李の下におそ咲きの真紅の菊があります。
もう何年もその場所に溶け込むように咲きます。
歳を重ねた思慮深い姿にも見えます。

西日があたり、色にコントラストを付け、いっそう鮮やかにします。
その向こうでは鷹の羽薄の白い穂が揺れています。
数羽のかわいいエナガがピチュピチュピチュピチュとやって来ました。

そんな晩秋の情景です。

   今日はまた今日のこゝろに菊暮るゝ  (松尾いはお)

赤い菊192

赤い菊193

赤い菊194
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イチョウモミジ(銀杏黄葉) ~そのタイミング~
- 2019/11/25(Mon) -
公孫樹黄葉191

銀杏の樹が鮮やかな鬱金色に染まる。

それを何度伐ろうと思ったことか。
しかしこんな様を眺めればまた逡巡する。
結論はすでに出してあるのだが、あとはそのタイミングだけ。
樹が眠りに入り、そして目覚める前の来年の早い春に…、できる?

少し拾う。

    銀杏黄葉昨日のことは忘れたい  (武井梅仙)

公孫樹黄葉192

公孫樹黄葉193

公孫樹黄葉194

銀杏落葉
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サザンカ(白山茶花) ~はたらく~
- 2019/11/24(Sun) -
白山茶花191

前日とは一転して、気温が上がり、気持ちのいい秋晴れだった。

せっせと落ち葉を掃いた。
布団を干したあと、花梨を採った。
次に部屋の大掃除。
テーブルなどを動かしてフロアーにスチームをかけた後、絨毯を敷いた。
この時期には珍しく汗を掻いた。
自分でも褒めてやりたいほど、よく働いた一日だった。

白い山茶花が咲いている。

   山茶花の日和に翳のあるごとく  (西島麦南)

白山茶花192

白山茶花193

白山茶花194

白山茶花195
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カリン(花梨の実・榠樝) ~免許証の返納~
- 2019/11/23(Sat) -
花梨の実191

久しぶりに叔父からの電話。
自動車免許証を返納することにし、車も処分したと。
ニュースでいろいろを見て、考えるところがあったようだ。
そういえば今年はわが家への訪問はなかった。
これまでは必ず年に二度ほどはご自分で運転して、やく40分ほどの道のりを来てくださっていた。
その度、帰りを案じていたので、安心する。
一人暮らしなので、お寂しいはずと春と夏にお邪魔した。
訪ねるといつも玉露を淹れておもてなししてくださる。
これからはたまにはこちらから迎えして、お昼を食べながら、ずっと続けられておられる「紙細工」などの話でもと思う。

今年も花梨に黄色い実がたくさん。
少し落ち始めている。
きょう収穫しよう。
そしていつものように砂糖漬けに。

   花梨の実天賦をとめの薫りの実 (中村草田男)

花梨の実195

花梨の実194

花梨の実193

花梨の実192
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イソギク(磯菊) ~ほんらいの姿で~
- 2019/11/22(Fri) -
磯菊191

イソギクが咲いている。
ほんらいの筒状花だけの姿で。
周りには多くの花磯菊があるので、交雑が少し心配。
この先も花の形を変えることなく、ずっとイソギクのままで咲いてくれるといいのだが。

   小雪(しょうせつ)の寒き日となり一日過ぐ  (大塚洋子)

磯菊192

磯菊193

磯菊194

磯菊195
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マンサク(満作の黄葉) ~一人笑い~
- 2019/11/22(Fri) -
満作の黄葉191

それを見た時、おかしくて一人笑いをしてしまった。
そう、移植ゴテがあったのだ。
♪探すのをやめたとき…と、あの歌の通りに。
それで思わず「ふっふっふっ」と。

場所は畑の横を走る道のガードレールの下。
プラスチックゴミを出した帰りに見つけた。
でもなんでそこなんだろう。

黄葉の満作。
見ればすでに蕾もたくさん。
木々はこの時期から春への準備を進めている。

   黄落の日々こがね透くごとくなり  (松村蒼石)

満作の黄葉192

満作の黄葉193

満作の黄葉194
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ハナノキ(花の木の紅葉) ~♪探しものは何ですか ♪見つけにくいものですか~
- 2019/11/21(Thu) -
花の木191

ここ3日ばかり探しものをしている。
長年使ってきたステンレス製の移植ゴテだ。
クリスマスローズを移し替えた時に用いたのだが、それ以来見当たらない。
置き場所はきちんと決めてあり、使用後はそこにかならず掛けるようにしている。
おかしな事があるもんだと、どうも腑に落ちずにきょうまで。

花の木も紅く染まる。
ほかのカエデ科同様に、葉には切れ込みが入るが、この木の場合は浅い3裂。

♪探すのをやめた時 ♪見つかることもよくある話で
しばらく探すのはやめ、粧う秋に目を向けよう。

   思い出を花の木の葉に見つけたり (居山聞涛) 

花の木192

花の木193

花の木194

花の木195
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ジョウビタキ(尉鶲) ~畑に出ると~
- 2019/11/20(Wed) -
尉鶲191

畑の周りの木を尉鶲が飛び移る。
ニワザクラからナンジャモンジャノキ、そして梅から李へと。
まるで私の働きぶりを見守るかのように。
ツッツッツッと愛らしい声をかけつつ。
今年の渡来は十月の下旬だった。
この人なつっこい鳥が私は好きだ。

苺の畑に籾殻を蒔いた。
白菜を一つ取った。

    ひるがへり去りし鶲の紋の白  (坊城としあつ)

尉鶲192

尉鶲193

尉鶲194

白菜191

白菜192
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キギク(黄菊) ~落葉はらはら~
- 2019/11/19(Tue) -
黄菊191

小さな黄菊が咲いている。
なぜだか茎は上に伸びず、横になる。
花は終わりに近くなっているのか、ところどころ色傷んで。

上から桜の葉がはらはら落ちる。
公孫樹の葉も少し。
そして花の木のも。
それらが吹き溜まるところ黄菊はある。

   次の世のしづけさにある黄菊かな  (浅井一志) 

黄菊192

黄菊193

黄菊194
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ドウダンツツジ(満天星躑躅の紅葉) ~秋色の景色~
- 2019/11/18(Mon) -
満天星躑躅の紅葉191

空が青い。
隣の畑から煙が真っ直ぐに上がる。
のどかだ。

満天星躑躅の紅葉も進む。
その中に蟷螂の卵が一つあった。

   信濃路に十一月の空のあり  (遠藤和彦)

満天星躑躅の紅葉192

満天星躑躅の紅葉193

満天星躑躅の紅葉194
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キクイモ(菊芋の収穫) ~意に秋深し~
- 2019/11/17(Sun) -
菊芋の収穫191

昨朝は初霜だった。

朝食後、私は菊芋を掘った。

株を抜くとその根の中に芋が埋まっている。
そして抜いた後の穴を手で掘ると、土の中から芋が次々に現れる。
形はでこぼこしていて生姜のよう。
抜いたのは一株だったが、けっこうの数が採れた。
軽く洗い籠に入れる。

さっそく浅漬けにしてくれる。
「食べてみて」と小皿に。
シャキシャキとした食感。
そして味噌汁にも。
ほかに煮物にしたり焼いたりしても美味しい。
味噌漬けと梅酢漬けは私が担う。

苗を植えてから10数年、今ではすっかりわが家の秋の定番の一つに。

   籠にさせるものの意(こころ)に秋深し (富安風生)

菊芋の収穫192

菊芋の収穫193

菊芋の収穫194

菊芋の収穫195

菊芋の収穫196

菊芋の浅漬け

菊芋20190919
                                   キクイモの花(9月17日)
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ニシキギ(錦木の紅葉) ~喪中はがきが届く~
- 2019/11/16(Sat) -
錦木紅葉191

昔同僚だった先輩から喪中はがきが届いた。
若い頃から書を嗜まれていての達筆な宛名書きで。
奥様が八月にお亡くなりになった旨が記されていた。
まだ11月半ばという早めの欠礼挨拶は、几帳面な人柄ゆえの心遣い。

ところで来る年は私が皆さんに年賀状終いの挨拶をしてから三年目となる。
先輩にももちろんお出ししてあったが忘れてしまったのだろう。
ある意味ではまだ繋がりを大事にしてくださっていることへ感謝しなくてはと思う。

錦木の紅葉が映える小春の日のこと。

   錦木のもの古びたる紅葉かな  (後藤夜半)

錦木紅葉192

錦木紅葉193

錦木紅葉194
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ジネンジョ(自然薯) ~零余子も摘んで~
- 2019/11/15(Fri) -
自然薯918

自然薯のハート形の葉が黄色くなる。
見れば零余子(ムカゴ)もけっこうに付いているので摘んだ。

そして蔓を切り、芋を掘る。
掘って掘って…、結局40㎝ほどまでで取れるものだけにした。
まだ土の中に伸びているのはわかるが、これ以上はとても難儀そうだったのでそこで折った。

零余子は少し次の種としてとっておき、残りをその日のうちに食べた。
素朴な食感で、少し馬鈴薯にも似ているか。
芋はまだ手付かずで、料理してくれるのはもう少し先になりそうだ。

   自然薯の全身つひに掘り出さる (岸風三樓)

零余子911

零余子912

零余子910
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サザンカ(山茶花) ~無心になって~
- 2019/11/14(Thu) -
赤い山茶花191

昨日は作業に一日を費やした。
動かす手に感じる言葉に出来ない重さ。
目の前のことをただひたすら無心になって繰り返す。
これまで経験したことのない体と心の協調。

…………………………………………。

赤い山茶花にもだいぶ花が増えてきた。
花の奥にはヒラタアブがいた。

   山茶花の明るき日和たまはりぬ  (稲畑汀子)

赤い山茶花192

赤い山茶花193

赤山茶花191

赤山茶花193
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ダイコン(宮重大根) ~両手で握って引く~
- 2019/11/13(Wed) -
宮重大根191

「大根、そろそろ取れそう?」
「うん、いいかもしれん」
「一本欲しいんだけど」
「わかった」
「待って、私も行く」

「あっ、これがいい。抜いて」
手を骨折した家人はまだ力仕事はセーブしている。
私が大根を両手で握って引く。
さほど力は要らなかった。
「葉はどうする?」
「つけたままにして。葉っぱも使いたいから」
畑の端にある外水栓で洗う。
色白のいいフォルム…。

夕食、葉は味噌汁とおひたしに、根はサラダに。

   大根引身を柔かに伸ばしけり   (川端茅舎)

宮重大根192

宮重大根194
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ナンテン(白実南天)  ~「そろそろ霜も降りそうなので…」~
- 2019/11/12(Tue) -
金時草

義姉が訪ねてきた。
「金時草だけど」と、膨らむレジ袋を差し出す。
「そろそろ霜も降りそうなので、さっき全部取ってお終いにしたの」
久しぶりに上がってもらう。

日曜日には長野で歌会があって出かけたという。
それは午前で終わり、その後いろいろと廻ったらしい。
「善光寺の紅葉が綺麗だったわよ」
「早い七五三の家族連れがけっこういた」
「ついでに東山魁夷館も観てきたの」
相変わらずアクティブな義姉だ。
一人暮らしをエンジョイしている。

お茶を飲みながら、3人の子どもさんの近況やメダカの話や何やらを30分ほど。
「さっき雷が鳴っていたから、これからちょっとソーラーを点検してくる」
「影響で稼働しなくなるときがあるの」
自宅から離れた土地に太陽光発電を持っている。
帰りに柿を8個ほど用意したら、「2個でいい」と言って2つだけ取りだし、残りを袋ごと返した。
「それじゃあ」


白実南天の実がところどころ欠けている。
このところ、その周りにジョウビタキがいたりするので、それか。

   たましひの抜けしにあらず白南天  (片山由美子)

白実南天192

白実南天193

白実南天194

白実南天191
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サトイモ(里芋) ~土の中にも秋~
- 2019/11/11(Mon) -
里芋193

雲一つない秋だった。

里芋を掘った。

ラジオからはバッハのフーガが流れていた。

合わせて口笛を吹いた。

近くでキセキレイが鳴いた。

   地の底の秋見届けし小芋かな  (長谷川零余子)  

里芋192

里芋191

里芋194
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琉球舞踊と組踊 ~琉球芸能の美と心~
- 2019/11/10(Sun) -
組踊パンフレット

秋晴れの爽やかな天気の中、一人高速を走らせ〈まつもと市民芸術館〉に行った。
目的は『琉球芸能の美と心』の鑑賞。

指先までが語るようなしなやかな手の動きと身のこなしの琉球舞踊。
色も音も雅やかで、観るも聴くも華麗で美しい。

そして初めて観る、琉球王朝に伝えられていたという歌舞劇“組踊”。
古語で語られる台詞は琉歌の八.八.八.六の独特のリズム。
優雅な古典の調べに乗って、美しい琉球衣装(紅型)を身につけ役者が表情豊かに舞い、物語が展開されていく。
演じるのがすべて男性なのは王朝の役人がその任を担っていたからだと言う。
所作など、表現要素はどこか歌舞伎や能に近い感もある。

帰宅後もあの抑揚を抑えた八.八.八.六の役者の声が耳に残っていた。

   天上の声の聞かるゝ秋うらら  (野田別天楼)

琉球芸能の美と心(リーフレット)
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アキアカネ(秋茜) ~小春の日に~
- 2019/11/09(Sat) -
アカトンボ191

アキアカネが地面にいました。
あきあかねは李の葉の上に移りました。
秋茜は無花果の枯れた枝の先にとまりました。
そこにそのまま10分ほどとどまっていました。

陽が気持ちいいんでしょう。
見ていてこちらまでほっこりしました。

路を緑のダンプがドッドッドッと通りました。
赤蜻蛉は飛んでいきました。

   小春日や石を噛み居る赤蜻蛉   (村上鬼城)

アカトンボ192

アカトンボ193
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カラタチ(枳殻の実) ~棘囲ふ~
- 2019/11/08(Fri) -
枳殻の実191

4月下旬に白い花を咲かせていたカラタチも、およそ半年を経て香りのする黄色い実を付けている。
その色形はいかにも柑橘類らしいが、惜しむらくは食用に向かないこと。
薬効はあるらしいのだが。

実はこのカラタチ、私は植えたのではない。
いや、正確に言えば金柑を植えたはずだった。
しかし気がつけば金柑でなくカラタチになっていた。

そして調べて分かったのは、柑橘類栽培ではカラタチを台木に使うことが多いとのこと。
接いだ金柑より、台木のカラタチの方が勝って成長したのだ。
若木の時のそれを知って、放置せずにきちんと剪定しておれば今頃は金柑が…と何度も切ろうかと思った。

しかし。
春の清楚な白い花。
夏には濃い緑葉を好むアゲハの幼虫。
そしてトゲトゲの混み合う枝の中での蛹の羽化。
今はそんな様を味わうことができ、ありがたく思っている。

   からたちの実の金色を刺囲ふ  (野沢節子)

枳殻の実192

枳殻の実193

枳殻の花191

枳殻の花192

カラタチとナミアゲハ191

揚羽蛹
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ハナイソギク(花磯菊) ~交雑変化~
- 2019/11/07(Thu) -
花磯菊191

磯菊の苗を購入したのは今から12年ほど前。
浜菊と一緒に。
タグには温暖な海辺で育つ花と書いてあり、ここ山国でも育つのだろうか思って。

最初はその特徴である筒状花のみの黄色い菊だった。
しばらくしてからその周りに白い舌状花が付く花に変わった。

後で分かったことだが、磯菊は家菊や野菊と交雑しやすいという。
そして交雑によって舌状花を持つようになったのは《花磯菊》と呼ばれると。
今では舌状花の方がかなり優勢なものも見られるようになった。
どれも葉だけは縁が白いもとの磯菊のままだが。

この花にはアブなどが次々にやってきて楽しんでいる。

   磯菊の香りの中の秋思かな  (奈美あや)

花磯菊192

花磯菊194

花磯菊195

花磯菊196

花磯菊197
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ピラカンサ(Pyracantha・タチバナモドキ) ~実をこぼす~
- 2019/11/06(Wed) -
ピラカンサの実191

ジムグリが秋丁字のそばで体を伸ばしていた。
冬眠に入る前に陽に当たり、体調や気力を整えているのか。

初氷の便りも届く。
孔雀仙人掌などの鉢花もそろそろ中に入れた方がよさそうだ。

ピラカンサには小さな蜜柑のような実がいっぱい。
小鳥がその実をこぼす。

   やゝ寒や日のあるうちに帰るべし  (高浜虚子)

ピラカンサの実192

ピラカンサの実193

ピラカンサの実194
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メマツヨイグサ(雌待宵草) ~そを聴きにゆく~
- 2019/11/05(Tue) -
雌待宵草190

箒を持つ私の周りを、いくつもの白い小さなものがちらちら、ゆらゆら。
まるで綿が漂うように。
飛んでいたのは雪虫。
彼らの登場は季節がいっそう寒さに向かっていることを教えてくれる。

手を動かしながら、なぜか頭に浮かんできたのは啄木の歌。
 ふるさとの
 訛なつかし 
 停車場の
 人ごみの中に
 そを聴きにゆく

庭の片隅に黄色い花が咲いている。
その高さや花びらの大きさからして、雌待宵草だろうか。

   海二日見て三日目の秋深し  (長谷川双魚)

雌待宵草192

雌待宵草191
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ミヤマカイドウ(深山海棠の実) ~寒暖差アレルギー?~
- 2019/11/04(Mon) -
深山海棠の実191

このところ朝晩にくしゃみや鼻水が出る。
そしてむずむずする。
ところが日中になるとそれは止む。
昨夜など、洟をかみすぎて鼻血まで出てしまった。
頭痛や熱は全くない。

寒暖差アレルギーを最近知った。
日較差の大きい秋に起こることが多いという
激しい気温差で自律神経が乱れることに起因するらしい。
自己診断ではその症状が当てはまる。
それだろうか。
単に体の抵抗力が弱くなってきているということなのかもしれないが…。


深山海棠の実も赤く色付く。
大きさは径が1㎝ほど。
長い花柄にいくつかに分かれてある様はサクランボにも似る。
色形からすれば甘くておいしそうにも見えるが、そうではない。
春に咲く花は薄らと紅を帯び、林檎の花にも似て可憐である。

    行く程のうちにも秋の深まるか (佐藤漾人)  

深山海棠の実192

深山海棠の実193

20170503ミヤマカイドウ
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ヒマワリ(枯れ向日葵) ~遠い青春~
- 2019/11/03(Sun) -
枯向日葵191

ヒマワリの枯れ姿にはどこか惹きつけられるものがある。
あの笑顔のようないきのいい黄色とはまるで違って。
それもそろそろ片付けなくてはと、抜いた。
だいぶ種がこぼれていた。
来年またそこで芽を出してくれることだろう。


10代にタイムスリップしての宴。

何十年ぶりに会う友、友、友。
わずかに当時の面影が残る顔。
まるで名前も思い出せない顔。
幾人かが声を掛けれくれるが・・・、失礼するばかり。

東京からやってきたカンツォーネ歌手の彼とは名刺を交換し、互いに連絡を取り合い、訪問しようと約する。
地元の発掘調査や歴史的文化財の調査にあたっている彼女はその研究書物を数冊くださる。

校歌で始まる。
最初の2行までだけしか歌えない。

卓を挟み、時空を超えて共有される会話。
記憶の片隅からお全く呼び戻されず、中に入っていけないことも。

高校生当時のクラス写真や活動の様子が映し出され、歓声が上がる。
歌や華麗な舞踊など、さまざまな余興が続く。
幹事である医師のM君が歌の指揮したり、ひょうきんな仮装とパフォーマンスで場を盛り上げる。

そして舟木一夫の「仲間たち」の大合唱で、3時間にわたる同期会は閉じられた。

ともに学び歩んだ3年の月日。
たしかにあった遠い青春の数々…。
そしてきっと、もう二度とは会うことのないであろう彼や彼女達。

   山国の秋迷ひなく木に空に  (福田甲子雄)

枯向日葵192

枯向日葵193

枯向日葵194

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キク(菊) ~母と菊~
- 2019/11/02(Sat) -
赤い菊191

赤い菊がある。

母は菊の花が好きだった。

それで私にとって菊はいつも母に重なる。

  〈母を慕う〉 サトウハチロー

 母を慕う/吾が心 すなおなり
 母にそむく/吾が心 いがむなり
 このふたつ/いつも母の姿につながり
 からみあいて この年までつづきぬ
 あわれにしておかし

きょうは兄弟揃ってお墓参り。

   わがいのち菊にむかひてしづかなる (水原秋桜子)

赤い菊192

赤い菊193

赤い菊194
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ツルバラ(蔓薔薇) ~ その対照 ~
- 2019/11/01(Fri) -
蔓薔薇3191

蔓薔薇が他の木をたよって高いところで咲いている。
青い空を背景に。
そこはいい眺めだろうなあ。
夏に咲いたそれは丸い実になって枝に並んでいる。
秋のその対照もいいなあ。

11月かあ。

   今日といふ十一月の得難き日  (稲畑汀子)

蔓薔薇3192

蔓薔薇3193

蔓薔薇3194
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