シジュウカラ (四十雀) ~鳥は楽しそう~
- 2019/02/28(Thu) -
四十雀2282

可愛い小刻みな鳥の声。
四十雀だ。
江戸彼岸桜にいる。
枝を楽しそうに次々に移る。
目で追うのが忙しい。

今日は三人の来客の日。

二月も終わる。
少しの慌ただしさと充実感。

   ほどほどに手足を使ひ二月尽   (長谷川双魚)

四十雀2283

四十雀2284

四十雀2285

四十雀2286
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コウバイ (紅梅) ~濃きも薄きも~
- 2019/02/27(Wed) -
紅梅191

薄色の紅梅も咲き出す。
花数が少ないのは昨年強剪定したからなのか。

清少納言は書いている。
  木の花は 濃きも薄きも、紅梅。 (枕草子 第三五段)

愛らしさ、優しさ、微笑み。
紅梅には華やかさというより、そんな親近感を抱かせるような美しさがある。

「梅は花一輪一輪を見て楽しむ」
「蕾の一つ、咲きかけの一つ、開いた一つ、その育ちの姿を」
いつだか聞いた梅守さんの言葉を思い出しながら見る。

    このころや梅咲くほとの日の力   (松岡士喬)

紅梅191-1

紅梅192

紅梅193

紅梅194
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クリスマスローズ(Christmasrose) ~青春の頃~
- 2019/02/26(Tue) -
6濃紫クリスマスローズ

昨日のこと、ある文章の中で青春の頃を思い出させる懐かしい言葉に出会った。
瞬間にその時代の自分や友人達の姿が記録映像のように甦った。
それはどれもが白黒ではあったが、誰もが情熱に満ちた表情で自己表現をしていた。

書架に目を遣れば、当時購入した本がまだ何冊も並んでいる。
著者の数人を見れば、その時の自分が駆り立てられ飢えていた世界がわかる。

その文章の中には女性歌人の一首が添えられていた。
胸が熱くなった。
その短歌の中にある《歌》が収められた染みの付いた小さな歌集を取り出し口ずさんだ。
たしかにあった私の歴史。


暖かい。
濃紫のクリスマスローズも咲き出す。
ついついその顔を見たくなる。

家族は三泊四日の旅から帰ってきた。

   二月二十六日軍靴響きし夜  (稲畑廣太郎)

1濃紫クリスマスローズ

2濃紫クリスマスローズ

3濃紫クリスマスローズ

4濃紫クリスマスローズ

5濃紫クリスマスローズ
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『雛図』  ~「乗り切りまっしょ」~
- 2019/02/25(Mon) -
雛図191

電波を通じて様々な雛飾りの話題が各地から届く。
女の子にとって、うれしい季節。
今は昔の女の子の皆さんも、さぞかし過ぎ去りし幼い自分を懐かしく思い出したりして…。

床の間には『雛図』。
女の子には縁のないわが家だが、同じようにこの季を楽しむ。

気がつけば、今週に二月も終わる。
「二月は逃げる」、まさにである。

「乗り切りまっしょ」

   この二月乗りきる心調へり  (稲畑汀子)

雛図192

雛図193
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スノードロップ(snowdrop)  ~「白菜と玉葱だけど」~
- 2019/02/24(Sun) -
スノードロップ2241

アトリエで制作していると車が止まる音がした。
ドアを開けると、見慣れたクロ-ムイエローのW車。
穂波さんのだ。

「こんにちは。野菜ある?白菜と玉葱だけど」
「両方ともあるけど、野菜ならいくらあってもいいのでうれしい」
「何作っているの?」
「若い女性の胸像」
「へえ、また仕上がったら見せてね」
「できたら連絡するよ」
「そうそう、教えて貰いたいことがあってさあ、来週、書道の先生を連れてお邪魔したいけどいい?」
「特に予定は入っていないからいいよ」
「事前に連絡してから来るようにするね」
「そうして、くれるとありがたい」
「じゃあ、実家にも届けるのでこれで失礼するわ」

遠い親戚に当たる彼女は車で5分ほどの町内に住んでいて、こうして時々いろいろなものをよく持ってきてくださる。
実はしばらく前にも白菜と玉葱をいただいたが、まだそのままになっているのだ。


「すっかり春の光ね」
「三月みたい」

駐車スペースのそばで咲くスノードロップたちからもそんな楽しそうな会話が聞こえてきそう。

さて、私は続きを。

   春めくと春めくやうな声で言ふ  (鷹羽狩行)

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スノードロップ2243

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ロウバイ(臘梅) ~蕾の数が花の数~
- 2019/02/23(Sat) -
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窓の外には蝋梅。
数日前から咲き始める。

天気もよく、そばへ。
下に立つといい香り。
まだ蕾の方が多いが。

透明感のある花びら。
どれもが蝋を塗ったかのように艶やか。

家族は3泊4日で出かける。
私は一人で春の中に居る。
空の青と黄色の蝋梅。

   臘梅を月の匂ひと想ひけり  (赤塚五行)

2蝋梅197

3蝋梅196

4蝋梅195

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7蝋梅192
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マンサク(満作) ~懐かしい「吹き戻し」~
- 2019/02/22(Fri) -
満作191

暖かさが続き、そしてまた一つ、春告げの花も。

枝から吹き出るように咲くのはマンサク。
その黄色い花姿は変わっていてけっして美しいと言うのではない。
でも捩れた紐のようなその形は特異で個性的で他にない魅力。

毛に包まれた淡茶の蕾。
その中には花びらがくるくると巻かれて収まっている。
蕾の先が解かれると、それはまき皺をそのままに絡み合うようにして外に飛び出す。
まるで子どもの頃遊んだ懐かしい紙製おもちゃの「吹き戻し」のよう。

そうそう、「吹き戻し」は六角の鉛筆に捲いて手作りもしたっけ。

   まんさくの花びら縒(より)を解きたる  (仁尾正文)

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カゴシマコウバイ(鹿児島紅梅)  ~一日ごとにハル~
- 2019/02/21(Thu) -
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気温がぐんと上がり、暖かな一日だった。
4月頃の陽気だったとか。
草木は一段と開花を促される。

そんな光と風に「外に出ておいで」と誘れれば。
いつもなら三月に入って咲く鹿児島紅梅にも深紅の八重の花。
前日よりその数を増やしている。

一日ごとにハル。
目にも楽しく。

   近づけば向きあちこちや梅の花  (三橋敏雄)

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スーパームーン ~幸せ気分の朝~
- 2019/02/20(Wed) -
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目覚めたら明るかった。
いや、明るいから目が覚めたのかもしれない。

カーテンを開くと、今、西の空に満月が浮かんでいる。

そういえば「雨水」の昨日、ニュースでスーパームーンの夜だと伝えていた。
その時外は雨で、見えなかった。
そして今朝、雨が上がった後の澄んだ暗い空にくっきりとそれは見える。

  小夜ふけてあまのと渡る月影に
          あかずも君をあひ見つるかな

いにしえの人はそれを朝帰りに見たか。

一人で見るスーパームーン。
早起きで得られるちょっとの幸せ気分。

   月影と家路をたどる雨水かな  (松村光典)

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クリスマスローズ(Chritsmasrose)  ~色も光も春めいて~
- 2019/02/19(Tue) -
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淡黄色のクリスマスローズが咲いているのだが、どれもが下を向いている。
恥ずかしがり屋なのかずっとそのままでいたいらしい。

しかし、私とてはどうしてもその顔を見たい。
めいっぱい目を地に近づけて下から覗いた。
花にはたくさんの蕊と赤紫の斑点があった。

ふと「鉢かつぎ姫」のことが頭に浮かんだ。

立ち上がり、両腕を伸ばせば青い空と白い光。
ズボンは土で汚れていた。

   春めきてものの果てなる空の色  (飯田蛇笏)

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セグロセキレイ(背黒鶺鴒・Japanese Wagtail ) ~水も温みつつ~
- 2019/02/18(Mon) -
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「ジュビジュビジュッビ」と聞こえる。
庭から下の川を見ると、河床に1羽のセグロセキレイ。

たまにやってくる。
ただその頻度としてはキセキレイの方が多い。
英名にJapanese Wagtailとあるように日本固有種。

細く長い脚にバランスの取れた体型で、人で言えばプロポーションの整ったモデル風。
首を後ろに回し羽繕いする。
そして時々尾を上下に振る。

そんな様子を見れば、水も温みつつあるのだろうと思ったりする。

  水温む鳥は反り身に羽ばたきて (田中美幸)

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フクジュソウ(福寿草・ことぶきぐさ) ~輝いている~
- 2019/02/17(Sun) -
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いつか読んだことがある。
春手前のこの時期のことを「遠くで聞こえていた鼓笛隊が近づくように」と記した文を。
なるほど、ワクワクするそんな喜び感。

福寿草も輝いている。
あふれる笑顔のよう。

    りんの中に春やもてくる福寿草  (伊藤信徳)

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キンギアナム(Dendrobium kingianum) ~部屋には~
- 2019/02/16(Sat) -
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今私がいる部屋にはかなり強いな香りが満ちている。
それを放っているのは白い小さな蘭のキンギアナム。

一つの花茎は石斛にも似る2㎝ほどの花をおよそ10個前後付ける。
舌花にはスパッタリングしたかのような紫の細かなドットが散る。
その中央の太い筋を薄黄色で染める。
蕾も三日月のようでかわいい。

この花は10数年前に蘭ミュージアムで小さな鉢のを買い求めた。
以来鉢の大きさを2回替えた以外は育つに任せてきたが、これまで病気らしいこともなく、今日に至っている。
そしてこうして一番の寒い時期に毎年多くの花を咲かせてくれる。
比較的花期が長いのもありがたい。

南アルプスを望める高台にあった蘭ミュージアムは、残念ながらその数年後、入館者数の減少に伴い閉館となった。

   夜の蘭香にかくれてや花白し (与謝蕪村)

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クリスマスローズ(Christmasrose) ~春近し~
- 2019/02/15(Fri) -
クリスマスローズ2141

新聞はこれまで3時20分頃に配達されていた。
多少の前後はあったとしても雪の日であろうが、雨であろうが年間を通し、ほぼ同じように届いた。
最近になって、それが4時20分頃になった。
バイク音も少し違う。
配達人が変わったのだろう。
そんなことを思いながら、今朝も冷たい新聞を取る。

さて、週間天気予報ではこの先は暖かくなっていくと言う。
冬との綱引きで徐々に春が優勢になってきたようである。

クリスマスローズも花の数を増す。

   春近し石段下りて薺あり   (高野素十) 

クリスマスローズ2142

クリスマスローズ2143

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ツグミ(鶫) ~桜に寒禽~
- 2019/02/14(Thu) -
ツグミ191

キュッキュッ、キュッキュッと鳥の声。
窓を開けて見上げればソメイヨシノにツグミが一羽。
首を回して辺りを見渡している。
また鳴く。
鵯ほどはうるさくない。

少しして飛び去った。
ツグミはこの時期、何を食べて生きているのだろう。

   つぐみ来て地鳴きひとこゑ春浅し  (井上あい)

ツグミ192

ツグミ193
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中央アルプス南部 ~望む~
- 2019/02/13(Wed) -
1921南アルプス南部

長野県南部のこの地域は伊那谷と呼ばれる。
天竜川沿いに南北に延びる細長い盆地だ。
川を挟んで東には南アルプス、西に中央アルプス。

雲一つない晴天。

中央アルプス南部の雪嶺を望む。
左から仙涯嶺と南駒ヶ岳。
そして南駒ヶ岳と赤椰岳の下に摺鉢窪カール。
さらに右手に丸い頂の田切岳とその北になだらかな空木岳。

太古の昔からそこに生きている山々。
悠然と。

頼まれて銀行と役場を回り、ネット注文の支払いのためコンビニに寄ったあとの眺め。

   雪嶺よ日をもて測るわが生よ  (相馬遷子)

1922仙涯嶺。南駒ヶ岳

1923摺鉢窪カール赤梛岳

1924田切岳

1925空木岳
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キジバト(雉鳩)  ~たまには~
- 2019/02/12(Tue) -
キジバト192121

蕾を付けるマンサクの向こうにひとつの影…。
ひょこひょこと出てきたのはキジバトだった。
いつもならだいたいつがいで仲良くくっついて歩いているのだが。

たまにはそれぞれが束縛されずに自由にしたいこともある。

紅梅蝋梅クリスマスローズ…、庭は花色を増す。
私は靴下に貼る使い捨てカイロがまだ離せない。

   たつぷりと寝て寒禽をまのあたり  (細川加賀)

キジバト192122

キジバト192123
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レオパ(レオパードゲッコウ・豹紋蜥蜴擬) ~こんな姿ですみません~
- 2019/02/11(Mon) -
レオパ191

レオパが脱皮中です。
今年になって3度目です。
白くなって浮き上がった古い皮を時間を掛けてゆっくり脱いでいきます。
脱いだ皮は自分で食べます。
ちょっと手伝いもしますが、ほとんどのその後始末を自分でするいい子です。

わが家の一員になったのは2008年ですから、かれこれ10年以上も一緒に住んでいます。
性格は無口で大人しく、そして感情の起伏もなく穏やかです。
つぶらな瞳といつも微笑んだような魅力的な口をしています。
今風に言えばイケメンです。(と私は思っていますが)

一日2~3回は家人の手の中で弄ばれています。
彼は表情に出しませんので、それがうれしいのかいやなのかよくわかりません。
だまってされるようにしています。

言い遅れましたがレオパはヤモリの仲間です。
ちょっと寒がり屋なので、ヒーターを入れてあげています。

時々ペロちゃんのように出す真っ赤な舌に、赤ちゃんを思わせる手足など…。
いろいろな仕草がかわいくて、見ていて飽きないわが家のアイドルです。

   それ以来誰にも逢はず春浅し (鈴木花蓑)

レオパ192

レオパ193

レオパ194

レオパ195
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クリスマスローズ(Christmasrose)  ~五月に予定しています~
- 2019/02/10(Sun) -
クリスマスローズ1911

同級会についての連絡があった。
五月だという。
予め出席の有無を確認したいと。
そして今回は節目にもなるので特別に少し華やいだ会にしたいとも。
日時や場所などの詳細についてはこれから確定して、あらためて連絡するとのこと。
もちろん出席することを伝える。
彼女はいつも幹事役を買って出る。
こうしてとりまとめてくれるのはありがたい。
長年の看護師としての仕事柄、人への奉仕や仲間を大事にする精神が自然と身についているのだろう。
それぞれがどんな顔で現れるのか、3ヶ月後を楽しみにして待ちたい。

立春が過ぎてからの寒の戻りが厳しい。
いっそう春が待ち遠しい。

白いクリスマスローズが一輪だけ開いた。

    時ものを解決するや春を待つ  (高浜虚子)

クリスマスローズ1912

クリスマスローズ1913
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『命といふもの』 ~「生きている限り未熟です」と語る信念の画家~
- 2019/02/09(Sat) -
堀文子191

 「堀文子展」~命の不思議~を観てきた。
 中に入るとすぐに、震えるような不思議な感覚を覚えた。
 緊張感をもって観なくてはならないような張りつめたものを求められる空間が漲っている。
 その感動をどう伝えればよいか、うまく言葉に乗せられない。
 1枚1枚の絵に堀文子その人の心と顔がある。
 御年94歳、今なお現役の画家である。

 『花吹雪』は丁度今頃の桜が花びらを散らせていく様子を描いたものである。
 画面から花びらが飛び出して、今にも頭や肩に降りかかりそうな、そんな空気感がある。
 桜の木にある花ははきわめて装飾的であるが、散る花びらは写実的で空に舞い上がり、地に落ちていく。
 風や音すら感じさせる。
 私もこのような、心の振り子を振幅させる絵を描きたい……。

 清められた思いの小一時間を過ごして美術館を出る。
 善光寺界隈の桜はまだ固い蕾のままである。
                             -2012年(平成24年)4月-


昨日の新聞で知った。
堀文子さんが5日に亡くなられたことを。
画家として人生の先輩として、尊敬し私淑していた。

画文集と展覧会図録を広げて偲ぶ。
 私に必要なのはますます深まる生命の不思議を見つめる感性を研ぎ、日々の衰えを悔い止めることなのだ。
 残り少なくなった私の日々は 驚くこと、感動すること、只それだけが必要で、知識はいらない。
                                                         (『堀文子画文集 命の軌跡』より)
 私が確かに生きている今日、全身全霊を傾けて、考え、嘆き、感動する事のできるのが今(現在)なのだ。
 過ぎた昨日には戻れず、明日の未来はどうなるか見当もつかない。
 季節も変わり、雲行きも月の形も、思い掛けない出来事も一日として同じ日はない。
                                                (『堀文子画文集 命といふもの第3集 名もなきものの力』より)
 刻々と失われていく身心のエネルギーの目減りを防ぐのは自分自身の力でしか出来ない事だ。
 人の助けで埋められるような生やさしいものではないのである。
 私は私の手足で働き、私の頭の回線を使うしか方法はないのだ。
                                       (『堀文子画文集 トスカーナの花野』より)
貫かれる強い信念。
また一つ美しく大きな星が光を落とす。

   潮満つるごとくに二月訃多し (轡田進)

堀文子193

堀文子192
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ジョウビタキ(尉鶲) ~また切る~
- 2019/02/08(Fri) -
尉鶲3191

秋からほぼ毎日林檎を食べている。
その皮を剥く、割る、デザート皿に乗せるは私。
ずっとそうしている。

昨日その際、左手人差し指を切った。
割る時に刃が滑って。
この頃そんなケガやうっかりミスが多い。
絆創膏を強く捲いた。

去年は近くの無人販売が終わる4月いっぱいまで食べることができた。
家族皆が好きなのだ。

柿の木に止まっていた後ろ姿の尉鶲が振り向いてくれた。

  春を待つおなじこころに鳥けもの (桂信子)

尉鶲3192
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作る(石膏直付け) ~ブロンズ風に着色~
- 2019/02/07(Thu) -
黒人の青年着色1

造型の終わった石膏作品に着色をする。
使うのは水性のサクラポスターカラーEX。
仕上がりはブロンズ風で。

パーマネントグリーン5、バーントシェンナ3、ブラック2の割合で混色。
それにおよそ40% ほどの水を入れる。
紙に試し塗りをし、濃淡を確かめて微調整。

斑にならないように平筆で素早く塗る。
一時間ほどおいて、化繊を当て、軽く磨く。
やわらかな金属質の光沢が出る。
完成。

   命あるものの呟く二月かな  (滝川名末)
 
黒人の青年着色2

黒人の青年着色3

黒人の青年着色7

黒人の青年着色5

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作る(石膏直付け) ~私の“手考足思”~
- 2019/02/06(Wed) -
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正月に思った。
今年は制作に費やす時間を多くしようと。

まずは小品の頭像。
瞬間、頭に浮かんだのは黒人の青年。
強い意思を内に秘めている。
決めた。

台座に心棒を立てる。
モデルはいない。
イメージの中に見える彼の姿。
発泡スチロールを棒に固定し、カットして大まかな動きを作る。
石膏を溶いて少しずつ粗付けしていく。
台座に対しての作品の大きさを決めだし、全体のバランスを確かめつつ肉付けする。
サフォームや出刃包丁を使って余分な部分を削り落とし、面で捉えていく。
首と頭部の量感と動勢を決定する。
各部分の位置や長さなどをチョークでデッサンしながら確認して進める。
付けては削り、削っては付けるを繰り返し。
彫刻刀や鑢などを用いて各パーツの細部を仕上げていく。
最後に特有の縮毛を表現する。

造型のすべてを終えたのは立春の夕刻。
今日、着色して完成する予定。
タイトルはまだ決めていない。

   待春の心が先に歩きをり  (稲畑汀子)

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フクジュソウ(福寿草・ことぶきぐさ) ~春立つや黄金の歌聞こえけり~
- 2019/02/05(Tue) -
立春の福寿草190

昨日は立春。
いつもの信州なら「♪春は名のみの 風の寒さや ~♪」の歌の通りで迎える。
しかし今年は3月下旬から4月初旬の暖かさに。
珍しいこともあったもんだ。

庭ではこの日に合わせるかのように去年より二週間ほど早く福寿草も咲き揃う。

福寿草はいい。
ほんとにいい。
言葉いらないね。
好きだなあ。

   花かずに過不足のなき福寿草  (鷹羽狩行)

立春の福寿草191

立春の福寿草192

立春の福寿草193
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ヒヨドリとロウバイ(鵯と蝋梅) ~風流と狼藉~
- 2019/02/04(Mon) -
蝋梅にヒヨドリ191

鵯が蝋梅にやって来てさ。
周りを見渡して。
「ど・れ・に・し・よ・う・か・な」と。
膨らみ始めた蕾をね。

そして一つをゲット。
でもすぐには食べないんだ。
しばらく嘴に挟んだまま、「いいだろう」って、これ見よがしに。
それからゆっくり喉の奥へ送り込む。

そんな鵯に家人は窓を開けて怒っている。
「コラッ! シッ!アッチイケ!」
「ヒヨドリだけはちっとも好きになれない!」
毎年リフレインされるフレーズだ。
時には両手でパチンパチンと大きな音を立て脅したりもするが、たいして効き目はない。

温和で寛容でおもてなしに心がける私でもその気持ちはわかる。
艶やかで香りのいい春告げ花が開く前に食べられるのだから。
彼はそれを食べもにしか見ていないんだもの。
たしかに困るよな。
季節感とか花を愛でるとか、そんな風流を理解できないのは。

彼が立ち去った後にはいつも、いくつかが落ちている。

   臘梅に鳥の狼藉ありにけり  (大畠政子)

蝋梅にヒヨドリ192

蝋梅にヒヨドリ193

蝋梅にヒヨドリ194
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アセビ(アシビ・馬酔木) ~鬼とは~
- 2019/02/03(Sun) -
馬酔木の蕾191

昨日、お茶の時間になぜだか住宅顕信の句集を取り出して読んでいた。
16年前に購入した本だ。
夭折の俳人である。
中に豆まきの句があった。
2歳の幼い男の子を一人残して、享年25歳。

アセビにたくさんの蕾。
小鈴のように。
葡萄の房のように。

  鬼とは私のことか豆まかれる  (住宅顕信)

馬酔木の蕾192

馬酔木の蕾193

住宅顕信句集
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カシラダカ(頭高) ~冬のいのち澄む~
- 2019/02/02(Sat) -
カシラダカ191

冬鳥がよくやってくる。
今は木々に葉がないので、その姿を見つけやすい。

いたのはカシラダカ。
ホオジロの仲間で、よく似ている。
腹が白いのと特徴ある背の模様で区別できる。

これも大陸からのお客さん。
こころゆくまでどぞうごゆっくり。

  冬鳥のひそと来てゐてひそと去る  (田中藤穂)

カシラダカ192

カシラダカ193

カシラダカ194
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雪の朝 ~ガガガガー~
- 2019/02/01(Fri) -
雪の朝211

ガガガガー。
除雪する車の音で目が覚める。
4時を少し回ったところ。
人が働く前に働いてくれている人がいる。

窓を開けると辺りはまだ暗い。
楓、山吹、李…。
どの木も枝に雪を乗せている。

二月の始まりは白い朝。
あれもこれもの一月よさようなら。

  除雪車の残しゆく雪掻いてゐる  (二瓶洋子)  

雪の朝212

雪の朝213

雪の朝214

雪の朝215
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