凍る ~年暮れの川~
- 2018/12/31(Mon) -
冬の川181

家の横を川が流れている。
庭からは春夏秋冬のその様子が見える。

昨日、その水が凍る。
跳ねた飛沫は様々な造型となる。

次々に重なり層を厚くし、太い塊となったもの。
滴が落ちる途中で凍ってしまったもの。
草の葉を標本のように閉じ込めたもの。
あるいは氷柱や氷筍の形に。
そして湧き出る泡のようだったり。

それはいつもなら厳冬期にある様相だから年の内に見るのは珍しい。
今年の年暮れはいつもよりかなり寒いことを示している。

さて一年果てる時、「あとみよそわか」を唱え、年を仕舞おう。

   行く年やもどかしものは水ばかり  (千代女)

冬の川182

冬の川183

冬の川184

冬の川185
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アイビー(ivy) ~年深む~
- 2018/12/30(Sun) -
アイビー181

頼まれて隣町の農産物直売所へ買いものに出かけた。
すると「やい、〇〇さん。久しぶり」と男性に声を掛けられる。
一瞬誰だかわからなかったが、「奥さんも元気かな」の口調ですぐに思いだした。
初任で勤めたときの、勤務先の先輩だった。
やはり年暮れの買いものだったようだ。
彼は農作業姿、私はジーンズ姿。
互いにネクタイも必要だった頃からはかなりの歳月が流れ、今は気ままな白秋期にいる。

気温はさほど上がらないものの、陽射しがあり暮れの準備も進む。

南天の下にはアイビーが広がる。

  少しづつ思ひ出しては年用意  (稲畑汀子)

アイビー182

アイビー183

アイビー184
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トクサ(木賊・砥草) ~『率直』『非凡』~
- 2018/12/29(Sat) -
木賊181

楓の下に木賊がある。
細竹のように節を持って真っ直ぐ伸びる。
その立ち姿は地味だが、他にない妙味がある。
こんな木賊にも花言葉があり、それは“率直”“非凡”だと。
たとえば活け花だと、なかなか主役にはならないが、しかし名脇役といったところか。

  恋人よ有る時をこそ木賊立つ   (安井浩司)

木賊182

木賊183

木賊184
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ザクロ(木彫柘榴の実) ~年内に仕上げると決めて~
- 2018/12/28(Fri) -
0着色

柘榴を彫り始めたのは12月7日。
そして昨日着色を済ませ、一応の完成です。
材は朴の木です。

11月20日のブログには次のように書いてあります。

 《ザクロ(柘榴の実) ~くれなゐの泪~ 》
 石榴の実が割れました。
 均等ではありません。
 でもそれがいい表情になっています。
 乱調の美とでも言ったらいいのかもしれません。
 高村光太郎に「石榴」の木彫があります。
 何度か見たことがあります。
 好きです。
 今年は私も彫ってみましょう。
   くれなゐの泪ぎつしりざくろの実  (和田知子)

年内に仕上げると決めていました。
予定通りでほっとしています。

年明けてからまたもう一つ彫ろうかと思います。

   はらわたの紆余曲折を年の暮  (中原道夫)

0柘榴

1朴材

2粗彫り

3彫り

4彫り

5彫り

6着色

7完成

8完成

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カマキリ(蟷螂の卵鞘) ~産んだのは楓の中~
- 2018/12/27(Thu) -
カマキリの卵鞘181

枝姿となった楓の中にオオカマキリの卵の塊を見つけた。
そのスポンジ状の卵鞘は少し艶々しているので、どうやら最近産卵されたものらしい。
そういえば、20日ほど前にスノードロップの横を大きなお腹の雌が歩いていた。
もしかしてそれか。
ここでこうして冬越しをして、楓が瑞々しい葉を付ける4月頃には孵化するはずである。
産まれたばかりのかわいい幼虫がうじゃうじゃしているのを何度か見たことがある。
春にまた覗いて見よう。

   冬木の枝しだいに細し終に無し  (正木浩一)

カマキリの卵鞘182

カマキリの卵鞘183

スノードロップとカマキリ2
                                       12月6日
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シモノハナ(霜の花) ~凍てつく朝に~
- 2018/12/26(Wed) -
霜の花2181

-6℃と今季一番の朝。
庭に出るとやはり秋丁字にシモノハナ。
その根は土深くでまだ働いている。

原種シクラメンの葉に棘の霜。
砂を乗せる霜柱。
楓の葉を閉じ込める氷。

凍みで現れるさまざまな形。
凍みが感じさせてくれるありがたさ。

   微小なる柱を組みて霜の華  (関洋子)

霜の花2182

霜の花2183

霜の花2184

霜2185

氷2186
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シデコブシ(冬の幣辛夷) ~冬に育まれる花芽~
- 2018/12/25(Tue) -
冬の姫辛夷181

この時期にしては珍しいほどの暖かな日和が続いた。
見ればシデコブシにも花芽。
やわらかな毛を纏い膨らんでいる。

はや数え日。
指を折りつつ為事する。

   ものごころつきし如くに冬木の芽   (岬雪夫) 

冬の姫辛夷182

冬の姫辛夷183

冬の姫辛夷184

四月のシデコブシ1
                                        四月
四月のシデコブシ2
                                        四月
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ミツマタ(三椏・三叉) ~毛に包まれる冬蕾~
- 2018/12/24(Mon) -
三椏2181

三椏に冬蕾。
枝が三本ずつに分枝するその先に。
それはビロードのような艶ある毛に包まれて。

冬の木のそれぞれ。
春を待つ喜びは冬があるからこそかと。

   枝をさしのべている冬木  (種田山頭火)

三椏2182

三椏2183

三椏2184
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マサキ(柾の実)  ~クリスマスにと~
- 2018/12/23(Sun) -
姉からのメッセージ18

この時期になると届くうれしいチルドの小包。
遠く離れて住む姉から。
家族でクリスマスを楽しんでと、中味はいつもチキン。
異郷の末弟のことを思い何年も続く。

柚子湯に入り、出てから姉に電話を入れる。

入っていたカードを見て思った。
そう、母の文字に似ている。

庭には赤い柾の実が弾けている。
葉の緑と合わせ見れば、こちらもクリスマスカラー。

  柚子湯して十指に余る人の恩  (府中谷幸枝)

柾の実181

柾の実182

柾の実183

柾の実184

柚子18
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クロホオズキ(黒鬼灯) ~その時々のうつろう姿~
- 2018/12/22(Sat) -
冬の黒鬼灯181

畑の一角にある黒鬼灯。
今は全体が薄茶色。
そして袋は網目に包まれ。
こうした衰えゆく冬の姿も趣がある。

  冬至とは影を忘れし形なり  (村木佐紀夫)

冬の黒鬼灯182

冬の黒鬼灯183

冬の黒鬼灯184

黒鬼灯18713
                                         7月
黒鬼灯181017
                                         10月
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カネノナルキ(金のなる木・花月)  ~心も冬日和~
- 2018/12/21(Fri) -
金のなる木181

カゲツが咲き始めました。
星形の5弁の花です。
でもよく見れば4弁のも少しあります。
そのいくつかの花芯には1㍉ほどの小さな水玉が付いています。
どういう作用かわかりませんが、見つけてちょっとうれしくなります。

ガラス拭きをしました。
暮れの大掃除の多くは毎年私がします。
掃除や片付けは好きです。
若い頃からです。
明日もします。
場所ややることの予定を立て、計画的に進めて終わらせます。

  冬日和心にも翳なかりけり  (星野立子)

金のなる木182

金のなる木183

金のなる木184
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アジサイ(冬の紫陽花) ~蕭条と~
- 2018/12/20(Thu) -
冬の紫陽花180

切られずに残っている紫陽花がある。
それの今は穏やかな枯れ姿。

色を失った花びら(苞)は光の中で走る脈を際立たせる。
色があったときには見えなかった形が見える。

冬の紫陽花はあはれのたたずまい。
遠くから“いとをかし”の声が聞こえてきそうに。
好き。

   枯といふこのあたたかき色に坐す  (木内彰志)

冬の紫陽花181

冬の紫陽花182

冬の紫陽花183
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キスジアマリリス(黄筋アマリリス) ~師走の窓辺~
- 2018/12/19(Wed) -
黄筋アマリリス1821

九月に咲いた黄筋アマリリスにまた花がある。
開いたのは一つ、蕾が三つ。
花びらにはあみだくじのような網目模様。
大きな葉の中央に黄色い筋が走るのでその名がある。

「ねえ、あと十日すこしでお正月よ」としみじみと言う家人。
突然、何を感じたのだろう。

   大空のあくなき晴れし師走かな (久保田万太郎)

黄筋アマリリス1822

黄筋アマリリス1823

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『ムンク展』 ~A Retrospective(大回顧展)~
- 2018/12/18(Tue) -
ムンク展2

日曜日は都立美術館で『ムンク展』。
9時30分の開館に入場できるようにホテルを早めに出て9時には着いた。
しかしすでに館前は長蛇の列、皆同じような考えで行動している。

9つのテーマ毎に101点の作品が展示される。
 Ⅰムンクとは誰か
 Ⅱ家族-死と喪失
 Ⅲ夏の夜-孤独と憂鬱
 Ⅳ魂の叫び-不安と絶望
 Ⅴ接吻、吸血鬼、マドンナ
 Ⅵ男と女-愛、嫉妬、別れ
 Ⅶ肖像画
 Ⅷ躍動する風景
 Ⅸ画家の晩年

メインの「叫び」だけは、1列で歩きながらの鑑賞がとられる。
ゆっくり見たければ一旦流れから離れてパーティションの裏に立つように促される。
私もそうした。
そしてじっくり、じっくりと見た。
それはまさに“共鳴する魂の叫び”。
飛び出るように迫る。
強烈だ。

ムンクは自分に厳しさを求め、画家として生きるためにと生涯独身を貫いた。
どの絵にもその呪縛のような精神性を感じさせる。
たとえば額に縁どられたような“マドンナ”の外を動くのは精子、そして下方に青い顔で描かれるのは胎児。

知っていたムンクと知らなかったムンク。
60年に及ぶ画業と彼の生涯を辿ることができた大回顧展だった。

外に出ると、まだ列は途切れることなく連なっている。
みんなムンクに、あの叫びの人に会いたいのだ。

   なかなかに心をかしき臘月(しはす)かな  (松尾芭蕉)

マドンナ
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「フェルメール展」 ~冬の上野へ~
- 2018/12/17(Mon) -
牛乳を注ぐ女・真珠の首飾りの女

フェルメールは来日のたびこれまで何度も観に行った。
そして今回も足は冬の上野に向かう。
日時指定入場制が取られていて、私達は午後3時から。

現存作35点のうち初来日の3点を含めて8点が展示される。(大阪展では9点)

穏やかな光の美しさ。
人物と家具や道具、楽器などの見事な配置による画面構成。
身に纏う衣服や装飾品と人物の視線と動作に込められた物語性。
そしてそこにある確かな空気感と時間。
  
その作品の前に立てば無条件に、感覚的に人は惹かれる。

満たされた思いの中、心静かに駅に向かう。
またいつかフェルメールは来るのだろう。
そしてきっと私は観に行く。

   とかくして風に聴き入る十二月  (堀葦男)

フェルメール展2

フェルメール展6
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コブシ(冬辛夷) ~冬為し~
- 2018/12/16(Sun) -
冬の辛夷181

冬には冬為しの姿。
それは人だけでなく、動物や植物も。
辛夷も冬芽を膨らませている。

己と周りを見渡しながら懈怠なく少しずつ。

  真直ぐに行けと冬芽の挙(こぞ)りけり (金箱戈止夫)

冬の辛夷182

冬の辛夷183
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サザンカ(白山茶花) ~生きる~
- 2018/12/15(Sat) -
紅心180

新語・流行語大賞が発表され、「ボーッと生きてんじゃねーよ!」がベスト10入りしたという。
私はテレビをあまり見ない。
でもそれがテレビ番組のタイトルであることと、それ発する女の子の名前は知っている。
始まった頃に家人が見ているのを一緒になって2度ほど見たことがあるから。

最近読んだり、聞いたりした「生きる」。

 生きる、ということは徐々に生まれることである。(サン=テグジュベリ)
 生きるとは行動することである。ただ呼吸することではない。(平塚雷鳥)
 どれだけ生きたかではなく、どのように生きたかである。(18年度サハロフ賞・ウクライナ人映画監督オレグ・センツォフ氏)

私はボーッと生きているつもりはないが、外を眺めつつボーッとする時間があるのもいいとは思っている。

花芯と外の花びらをほんのり紅く染める白いサザンカがある。
ものによってはそんなちょっとだけがいい場合もある。

   つましく暮らし山茶花のうすべに  (兼崎地橙孫)

紅心182

紅心184

紅心185
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スイートアリッサム(sweet Alyssum) ~ぽかぽか~
- 2018/12/14(Fri) -
ピンクアリッサム181

冬の日の陽射しは気持ちいい。
心をも暖かくしてくれるよう。
昨日もそんな一日だった。

スイートアリッサムもうれしそうに見える。

   日向ぼこ何とはなしに掌をかざす  (吉弘恭子)

白アリッサム181

赤アリッサム181

ピンクアリッサム1821181

白アリッサム182

赤アリッサム182
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ナンテン(白南天の実) ~冬ごもり~
- 2018/12/13(Thu) -
白南天の実180

今の時期を七十二候では熊蟄穴(くまあなにこもる)というのだと。
いわゆる冬眠、春までぐっすりというわけだ。

そう言えば以前、「今日昼頃、西山付近でツキノワグマの目撃情報がありました」と町の広報が流れたことがあった。
西山とは折々に行く温泉施設の近く。
彼らは腹に春までの十分な蓄えはできたのだろうか。

白い南天にも実がある。
小鳥さんたちか、やはりところどころが欠けている。
人には食べられないというが、実際どんな味なんだろう。

   たましひの抜けしにあらず白南天  (片山由美子)

白南天の実181

白南天の実182

白南天の実183
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シモノハナ(霜の花) ~寒いからこそ~
- 2018/12/12(Wed) -
霜の花21

昨朝は氷点下4.3℃と、今冬一番に凍みた。
庭に出れば蓮鉢と睡蓮鉢にもしっかりと氷が張る。
そしてやはり咲くいくつもの霜の花。
目を巡らせばそれは枯れ姿となったランタナの茎にも。

冬の凍みはいろいろに大変さもある。
しかし、寒いからこそ出会える美しさや味わえる趣もある。

 冬はつとめて。
 雪の降りたるは言ふべきにあらず、
 霜のいと白きも…

   ランタナに霜の花咲く今朝の凍み (居山聞涛)
 
霜の花22

霜の花23

霜の花24

霜柱181
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シモノハナ(霜の花) ~寒い朝の儚き白い花~
- 2018/12/11(Tue) -
霜の花181

庭に不思議な白い花が現れた。
銀杏落ち葉の中にある秋丁字の茎に咲く。

霜の花…。
それは冷え込みの厳しい朝だけに見られる美しい造型。
そして陽が広がれば消える儚い存在。

次にはどの茎にどんな形の花を咲かせるのだろう。

   霜柱顔ふるゝまで見て佳しや (橋本多佳子)

霜の花182

霜の花183

霜の花184

霜の花185
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ナンテン(南天の実) ~赤い鳥小鳥~
- 2018/12/10(Mon) -
南天の実181

南天にたくさんの実です。
鮮やかできれいな赤です。
丸くて艶々としています。

見ればその房にはいくつもの欠けがあります。
小鳥さんたちがやって来て食べたのでしょう。

子どもの頃の歌を思い出しました。

 赤い鳥 小鳥
 なぜなぜ赤い
 赤い実を食べた

北原白秋の書いたその赤い実はもしかしてこの南天の実だったかもしれません。

   実南天二段に垂れて真赤かな  (富安風生)

南天の実182

南天の実184

南天の実185
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シャコバサボテン(蝦蛄葉仙人掌) ~魂のテノール~
- 2018/12/09(Sun) -
新垣勉コンサート

義姉と私達夫婦の3人で「新垣勉コンサート」に出かけた。
初めて入る会場はキャパシティは500人ほどと小さい。
歌手と距離が近いのはうれしい。

歌唱は芭蕉布に始まり、カーペンターズ、ビートルズ、カンツォーネ、ハイドン、金子みすゞ、童謡、ロシア民謡など。
低音から高音まで伸びやかに響き渡るそのテノールは心に染み入る。
それはまさに“その声は愛と慈しみに満ちて”とリーフレットに紹介されるように。
アンコールは“さとうきび畑”。
1時間半があっというまに過ぎた。

ホールで客を見送る新垣さんに感動を直接伝えたく、話しかけ握手もさせていただいた。
新垣さんもにこやかに「ありがとう」と声を返してくださった。

帰り、二人が語り合うあれやこれやの感想に耳を傾けながら高速道のハンドルを握る。
私も琴線に触れる深い思いに包まれたままに。

家についても「♪海の青さと空の青~」と芭蕉布のメロディーが再生され。

  ビートルズ聴きゐて十二月八日 (山田天) 

夜のシャコバサボテン754

夜のシャコバサボテン755
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カエデ(楓落葉) ~得手不得手~
- 2018/12/08(Sat) -
1楓落葉18

昨日の家人。
「また歯医者さんの場所を教えて…」

2ヶ月前に歯科医院を替えた。
その2度目の治療があるのだが、どのように行ったらいいかよく覚えていないという。
新しくできたそこは車で15分ほどで、家から農道に出てそのまま一本道なのだが。
前回は地図を書いて説明した。
今回は口頭でポイントになる交差点の信号に書かれた地名を教えた。
「〇〇〇〇〇の信号を過ぎて200㍍ほどの左手ね」と、分かったようだった。

夕食時にニコニコしながら話しかけた。
「あのね、歯医者さん、遅れちゃった」
「言われた通りに行ったつもりなんだけど、行き過ぎたかと思って心配になって引き返したの」
「そしたら、今度はだいぶ戻ったようで…」
「おかしいと思って、もう一度もとの道を走ってやっと着いた」
どうやら1往復近く余分に運転したようである。
明るく振る舞っていたのは照れ隠しだったのだろう。

昔から方向音痴である。
これまで何回も行っているはずの叔父の家さえ、いまだに一人では行けず、必ず同行を頼まる。
ほかにもイベントなどもその会場の位置が把握できず、何度も送迎したりもする。
たとえば、家に居ても北の話をしながら西を指さすこともある。
地理や方角がどうも苦手なのだ。

ま、人にはそれぞれ得手不得手なものがある。
とうぜん私もいろいろ頼ることも多い。
そうやって互いを補い支え合いながら長く生活を共にしてきた。
これからはもっとそうなるのだろう。

楓の落ち葉が広がる。
今年は紅くならずに黄色のままのものが多い。

   掃かれゆく落葉の中に石の音  (上野章子)

2楓落葉18

3楓落葉18

4楓落葉18

5楓落葉18

6楓落葉18
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サザンカ(山茶花・朝倉) ~言葉は…~
- 2018/12/07(Fri) -
朝倉187

岡井隆さんが短いコラムの中で書いていた。

  『言葉は病める心の医者である。』 (ギリシャのアイスキュロスの言葉)

 言葉は、しばし人の心を傷つけることがある。
 そういう体験を重ねて来ると、ある日「言葉」は「病める心」にとって癒やしでもあるのだと思うことができる。
 そういう時の「言葉」はやはり、相手のことを気づかうやさしい心から発せられている。

自分の場合はどうであったか。
振りかえる。


白い山茶花の朝倉は朝陽が一番最初に当たる場所にある。

   山茶花に咲き後れたる白さあり  (宮田正和)

朝倉186

朝倉185
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スノードロップ(snowdrop) ~おやおやおや~
- 2018/12/06(Thu) -
スノードロップとカマキリ1

スノードロップが顔を出しました。
一輪だけですが。
いつもなら2月頃です。
年の内に見たのは初めてです。
しかも初旬ですし。

すると蟷螂がその前を横切っていきました。
お腹が大きいのでどうやら産卵直前の雌かもしれません。
お産の場所を探しに来たのでしょうか。

それぞれの小さな営みを見つけた暖かな冬のひだまりでした。

   冬暖きことすこし不安な思ひあり  (能村登四郎)

スノードロップとカマキリ3

スノードロップとカマキリ2

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バラ(冬薔薇・ふゆそうび) ~保存~
- 2018/12/05(Wed) -
冬薔薇1811

義姉から電話があった。
「USBへの保存の仕方を教えてほしんだけど」
ちょうど来年のカレンダーを貼っているところだったので、それをすませてから行くことを伝えた。
車で数分のところにお住まい。
新聞掲載の短歌の選者で、歌会を主宰し、歌集も何冊か出している。

あらましはこういうことだった。

93歳になる遠い親戚の金山さんはコツコツと歌を作ってきた。
それがだいぶ溜まったので見て欲しいと呼ばれた。
クリスチャンで、最近子どもさんお二人を続けて亡くされたのだという。
その悲しさを詠んだ歌も多く涙を誘った。
すべてに目を通しながら、深い信仰とともにあるその美しい生き方と子どもへの愛を一冊の歌集にしてあげたいと思った。
自身、義母のことをいくつも歌にしており、それと重なったのかもしれない。
中から700首を原稿用紙に写して持ち帰った。
さらに250首を厳選し、添削してパソコンに保存した。
そして編者として後書きも書いた。
最後にすべてを印刷し本としての体裁を整え、校正も済んだ。
それらのデータを印刷会社に届けたいので、USBに保存したい。
自分の書いた文章などはすべてハードディスクに保存してあり、他のメモリーを使った事がないので方法が分からない。

すでに新しいUSBが用意されていた。
義姉のはかなり使用感のある年季の入ったパソコンだった。
キーの位置や機能などを確認して操作は数分で終わった。

東京に住む息子さんが送ってくれたというお菓子を頂きながら世間話。
ほかに油彩画・水彩画もたしなみ、都会まで美術鑑賞、コンサートや観劇へ出かけたり、ツアー旅行にもよく参加している。
そのうえ、畑仕事もと、その生き様はアクティブでかつ広くて多彩。
一緒に居て学ぶことが多い。

「また何かあったら、いつでも呼んでください」

季節が戻ったような12月。
庭には薔薇も咲く。

   冬さうび咲くに力の限りあり  (上野章子)

冬薔薇1812

姉の歌集から
                                      義姉の歌集から
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シャコバサボテン(蝦蛄葉仙人掌) ~四年目の冬~
- 2018/12/04(Tue) -
シャコバサボテン181

12月に入ってから暖かな日が続く。
寒くないのはありがたいが、時期らしくないのもなんとなくつまらないものだ。

4年目の冬を迎える蝦蛄葉仙人掌が見頃となった。
5月に外に出し、ひと月前に部屋へ入れた。
そして11月下旬に咲き出し、今に至る。

いつもの年より一つひとつの花が大きい気がする。
透明感があり、艶やかで美しい。
横から見ると飛んでいる鳥のようにも見える。

5年前まであった白いのは10数年も花姿を見せてくれた。
最後は茎が古木のような佇まいになって土に返った。
さてこれはどうだろう。

   冬の日よものぬくめゐる静けさよ  (小島政二郎) 

シャコバサボテン182

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シャコバサボテン186

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キク(赤菊) ~切ったのは~
- 2018/12/03(Mon) -
赤菊181

「包丁を研いでね」と言う。
だいたい一月に一度の割合にはする。

丁寧に時間を掛けて研いだ。
最後はいつものように刃を洗い流して…、「あっ」。

切った。
右手中指の爪の下を。
血が出た。
すぐに処置したがなかなか止まらない。
絆創膏とテープに血がしみ出ている。
さらにしっかり押さえながら重ねて強く巻いたらなんとか収まった。

研いだあとはいつも新聞紙や野菜などで試し切りをする。
でも今回は必要ない。
なぜなら痛みを感じさせないほどに切れ味充分であることが自分の指で確かめられたから。

最近ドジなことが続く。
先般、本を数冊買った。
家に帰って、その一冊を捲ったら、前に読んだものだった。

これからもっとそのようなことが増えていくのだろう。
いっそう何事にも注意深く、そして慎重にと思う私であった。

庭には赤い菊も咲く。
こちらのは深くて美しい赤だ。

    菊を剪る手に菊の香の移りけり  (石渡雁聲)

赤菊182

赤菊183

赤菊184
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ヤツデ(八手の花) ~冬支度もだんだんに~
- 2018/12/02(Sun) -
ヤツデの花181

赤石山脈を越えた陽が、庭に当たる。
たくさんの小さな八つ手の花と濃い色の1本の杉と24齢の白い月と、澄んだ青い空の朝。

落葉掃きの後、車3台を冬用タイヤに替えた。
午前中には済んだ。
少し腰が痛くなった。
季節への備えがまた一つ。

みんなで近くの温泉に行った。
露天風呂に長く入った。
上がると体から疲れが取れた気がした。
寝る頃には腰の痛みも感じなくなっていた。

冬支度もだんだんに。

   昼の月泛くところ得て花八ツ手  (長谷川双魚)

ヤツデの花182

ヤツデの花183

ヤツデの花184

ヤツデの花185

ヤツデの花186
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サザンカ(赤山茶花) ~ただ過ぐるもの~
- 2018/12/01(Sat) -
赤い山茶花180

毎日『枕草子』を読んでいた。
ページも進み、二百四十二段。

 ただ過ぐるもの 帆かけたる舟。
 人の齢。春、夏、秋、冬。

ただ秋も過ぎ、気がつけば師走。
月ごよみを破れば一枚。

暮れを待たずに大掃除をしよう。
あわせて心の蜘蛛の巣や煤などもきれいに取り除こう。

楓のそばで赤い山茶花が咲いている。

   この冬をここに越すべき冬仕度  (富安風生)

赤い山茶花181

赤い山茶花183

赤い山茶花184

赤い山茶花185
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