アンズ(杏の花) ~思い出すことなど~
- 2018/03/31(Sat) -
アンズ181

学生下宿の古木に咲くその薄桃色の花に初めて出会って以来、杏にはいくつかの思い出がある。
何十年も前のことだったりするのに、それぞれの場面や状況は脳裡に映像となって鮮明に浮かぶ。
懐かしさというだけでは片付けられない胸の奥底に染みこんだ深い繋がりなど。
杏は私の青春の一頁から続く時の流れを心に刻む木。

三月も去る。
「生」をトントンと片付け、内も外も整える。
四月というその特別の響きにうまく対応できるように。
 
   花咲くといふ静かさの弥生かな (小杉余子)  

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サクランボ(暖地・桜桃の花) ~待つということ~
- 2018/03/30(Fri) -
サクランボ181

木々も春を謳歌する。
枝は葉の芽吹きの前に花で満たされる。
じっと耐え抜いた冬から解放された喜びを発散するかのように。

桜桃の白い花も咲く。
桜に比べ、長く飛び出るような蕊を持つ。

待つということで花は生まれるということ。
眺めていてふとそんなことをも思う。

   春愁や些細なことに気落ちして   (高浜虚子)

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ウメ(豊後梅の花) ~ジャスミンにも似たほのかな香り~
- 2018/03/29(Thu) -
豊後梅181

豊後梅も花盛りです。
花びらはほんのり紅をまといます。
仄かにジャスミンのような香りが届きます。

ようやくジャガイモを3畝植えました。
それにしても暑かったです。
まだ3月というのにです。
「晴の日」の連続日数が大幅の記録更新だそうです。
「春に3日の晴れなし」と言われますが。

近くに黄鶺鴒がやって来て、お尻を上下させながら私に声をかけてくれていました。

   紅梅や枝々は空奪ひあひ  (鷹羽狩行)

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オオサカフユザクラ(大阪冬桜) ~今回は春だけに~
- 2018/03/28(Wed) -
大阪冬桜181

大阪冬桜は二度咲きの白い桜です。
まずはその名の通り寒さ増す冬、12月頃に咲きます。
そして年が明け、しばらく休んでまた再び春に咲くのが例年のことです。
ですが、今期は冬は咲きませんでした。
樹にもいろいろ考えることや都合があるのでしょう。

「チョットコーイ、チョットコーイ、チョットコーイ」
今年初めて、小綬鶏の大きな声が響き渡ります。

  ひとゆれに消ゆる色とも冬ざくら  (平子公一)

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アセビ(馬酔木) ~きのう思い出したこと~
- 2018/03/27(Tue) -
アセビ181

「俳誌『馬酔木(あしび)』を主宰したのは水原秋桜子」
そのことを学んだのは高校の「現代国語」の授業だったと記憶している。
きのう、ひょんなことから、当時教わった先生の名前やお顔などが頭に甦ってきた。
そのあとしばらくしてから、「古典」の先生とご結婚なさったのではなかったか。
あれから何十年…、よく覚えていたものだ。

馬酔木の花言葉には「二人で旅をしよう」「清純な心」「献身」などがあるという。
秋桜子の『馬酔木(あしび)』の名付けにはどんな思いが込められているのだろう。

その花が今ちょうど盛りとなっている。

花は瞬時に過去のいろいろな出来事や人との思い出を呼び起こしてくれることがある。

  来し方や馬酔木咲く野の日のひかり   (水原秋桜子)

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カゴシマコウバイ(鹿児島紅梅)  ~すてきな「春の声」~
- 2018/03/26(Mon) -
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ウグイスの初音である。
いい声だ。
近くにいるらしいが、姿を確かめられない。
すでにどこかで発声練習でも済ませてきたのか、正調なリズムとクリヤーな声が響き渡る。
まさに美しい独唱。
手を動かすのを止めてしばらく聞き入る。
また一つ、「春の声」が加わった。

八重のカゴシマコウバイも咲く。
深紅の花びらが魅力的である。

   紅梅やゆつくりとものいふはよき  (山本洋子)

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クリスマスローズ(Christmasrose)  ~遅くなったが~
- 2018/03/25(Sun) -
黒いクリスマスローズ183

そろってお墓参りをした。
予定してあった先の春分の日は雪で行けなかった。
やはりお彼岸をそのままやり過ごすことは心中、立たぬ思いになる。

家から歩いて30分ほど、正面に南アルプス、眼下には天竜を眺めるところにある。
用心のためマスクをしていたが、やはりくしゃみと鼻水。
天気も良く、爽やかな春の風もあればいたしかたない。

道々には梅の花。
蕾の膨らみぐあいを見れば桜も近い。

家に戻ってはくしゃみと鼻水に目のかゆみも加わる。
困ったものだ。

黒紫のクリスマスローズがある。
奥には黄緑がのぞく。

  月日過ぎただ何となく彼岸過ぎ (富安風生)

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原種シクラメン・コウム(Cyclamen coum) ~思わぬところから~
- 2018/03/24(Sat) -
コウム181

春蘭の葉の中に2輪のコウムがある。
こんな所に植えたはずはないのだが。
現にすぐそばのいつもの所ではいつもの株が葉を広げている。
種でも飛んだのだろうか。
ふえるのはうれしいいことだ。

小さいコウムは原種だけに繁殖力も強いのかもしれない。

   恋文は短きがよしシクラメン  (成瀬櫻桃子)

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コウム183
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サンシュユ(山茱萸)  ~枯色の枝に黄金色~
- 2018/03/23(Fri) -
山茱萸181

三月下旬の山茱萸の樹。
今年もまたその古木が黄金色に染まり、一気に華やぐ。
いつものように桜に先駆けて。
樹幹にはいくつもの割れや洞(うろ)も。
それでもなお毎年毎年こうして元気色、幸せ色の花。
まさに“年年歳歳花相似たり”
花言葉に「持続」「耐久」「気丈な愛」。

  枯色に山朱萸の黄の新しや (高木晴子)

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クリスマスローズ(Christmas rose) ~春なのに~
- 2018/03/22(Thu) -
雪のクリスマスローズ3221

雑誌では特集で桜旅。
ラジオからは春の歌。
みんなでその到来を楽しみ喜び合う。

ところが、きのうの春分の日は時ならぬ雪。
落ちてくる一つひとつが大きい。
水分が多くて重い。

花の上にも積もる。
咲きだしたクリスマスローズたちもびっくりしただろう。

お墓参りもできなかった。

   煩悩のたとえば春のぼたん雪   (柿畑文生)

雪のクリスマスローズ3222

雪のクリスマスローズ3224

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ユキワリソウ(雪割草) ~地を割って~
- 2018/03/21(Wed) -
雪割草2174

理容店へ行った。
髪を切ってくれたのは若い女性の店員さんだった。
いろいろ話をしてくれ、退屈しない。
「ここのところお客さんが少なかったんです」
「2月と3月に入ってからも寒かったからだと思います」
「外出を控えたり、短くすると頭も寒くなるからかもしれません」
「お客さんもだいぶ長くなりましたね」などと。
厳しい寒さはこんなところへも影響するものらしい。
「私の中学校の卒業式には雪が降っていました」
「卒業式のあとで撮った写真は雪景色でした」とか。
飽きない。
手の捌きが軽快で見ていて無駄なく美しい。
終わるまでずっとにこやかに話しかけてくれて、短く感じた。
技術の高さは当然であるが、客に気持ちよく時間を過ごさせることも大事なスキルである。
次回もこの人にあたるといいなあと思いつつ店を出る。

また2種類の雪割草が咲いた。
ほかにも別の色の蕾が地面近くに見える。
見つける喜びが続く。

   控へ目に雪割草の地を割りぬ  (吾孫のどか)

雪割草2173

雪割草2172

雪割草2171
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クンシラン(君子蘭) ~春の雨は草木の慈母~
- 2018/03/20(Tue) -
君子蘭181

目覚めれば雨音。
暖かい朝。

土の下で出番を待っている草花の芽たちはこの雨をさぞかし喜んでいるにちがいない。
「さあいくぞう」と声を掛ければ、「いきましょう。いきましょう」と合いの手を入れて。
雨が上がると庭のいたるところで新たな花の姿を見つけることができるはず。

早朝のしじま、一人の部屋には君子蘭がある。
鮮やかなオレンジの花がまとまり咲く。
数えれば一つの花茎に花はどれも9輪ずつ。
濃い緑色の葉との色取りが相互を引き立てあう。
鉢の中がだいぶ窮屈そうだ。
さらに一廻り大きな鉢に替えてやろう。

「喜びにも悲しみにも、花は我等の不斷の友である」と述べたのは岡倉天心。
私も動ける限り花を友としたい。

    君子蘭の鉢を抱へる力なし  (阿部みどり女)

君子蘭183

君子蘭182
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クロッカス(Crocus)  ~おしゃべりしたくなる~
- 2018/03/19(Mon) -
クロッカス185

昨日は自治会総出の道作りだった。
毎年お彼岸前の日曜日ときまっている。
長靴を履き、鋤簾を持って集合場所へ向かう。
道に溜まった落葉や土砂などを片付ける。
口々に「いつもよりかなり多いじゃないかな」と言いつつ。
小一時間で終わる。

あたたかな陽射しにいざなわれるように白いクロッカスが咲いてくれた。
花を覗けば虫もいて。
どれもこれもみんな春の笑顔。

  日の庭に愛語撒くごとクロッカス   (下村ひろし)

クロッカス181

クロッカス182

クロッカス183

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モズ(百舌・鵙) ~その声は…~
- 2018/03/19(Mon) -
百舌1649

窓の外から届く“キィー キィー キチキチキチ”の鳴き声。
窓越しに見れば、やはりモズ。
豆柿の枝に止まっている。

数年前のこと、いわゆる「百舌の早贄(はやにえ)」があったのを思い出す。
梨の木に刺されていたのは蜥蜴だった。
その後、食べられずにそのまま干からびた。

モズは一羽で行動することが多いようだ。
“孤高“を愛する鳥なのかもしれない。

私もどちらかというと、静かな場が好きである。
でも協調性はある方だとは思うが。

   われありと思ふ鵙啼き過ぐるたび  (山口誓子)

百舌3654

百舌4666

百舌5675

百舌の早贄(111112)
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クリスマスローズ(Christmas rose) ~体も心も温まる~
- 2018/03/18(Sun) -
クリスマスローズ180

春暖という言葉がふさわしい天気の中、あれこれの外の作業で汗をかく。
東京の桜も開花宣言だとか。

町の温泉施設へ行く。
一人で入るのは初めてのことだ。
家人達は都会へ出かけている。
夕方の早い時間だったので、客は多くなかった。

脱衣所で白髪の高齢の方と30代の頃のお孫さんとおぼしき方と一緒になる。
がっしりとした彼は、祖父(たぶん)の手伝いをし、そして手を添えて中に入っていく。

最初に大きな源泉湯。
聞くとはなしに耳に入る二人の小さな声の会話。
「この間来たときは、ジェットバスに入らなかったから今日は入っていこうね」
ここの浴場にはいろいろな種類の湯が用意されている。
そして、洗い場では自分より先に少し丸くなった背中を流している。

湯のどれに入るか、希望を聞きながら寄り添って順番に入る。
私とほぼ同じタイミングで次に移っていく。
その度に彼は祖父に話しかけながら。

上がりも一緒だった。
そして同様に優しい声がけ。
「また来ようね」
やはり大事に手を添え、その足の運びに合わせながらゆっくりて出ていった。

体も心も温まる気持ちのいお湯だった。

緑色のクリスマスローズも咲く。
葉色に同化し、離れてみると花の存在がよくわからない。
でもまたそれがいい。

  暖かきことが決意をうながせる   (稲畑汀子)

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クリスマスローズ182

クリスマスローズ183
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カキドオシ(垣通・連銭草) ~ここにも~
- 2018/03/17(Sat) -
カキドオシ3171

庭の南側、地面近くに淡紫色の小さな花を見つけた。
小さな睡蓮のような円い葉の中に咲いている。
唇形花には濃い紫の模様。
カキドオシだ。

目を動かすところに生まれているさまざまな春。
ああ楽しい。
体の隅々までが。

    おくのほそみちここにはじまる垣通し  (西本一都)

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カキドオシ3173

カキドオシ3174
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コウバイ(紅梅)  ~花咲かすほどの日の力~
- 2018/03/16(Fri) -
八重紅梅181

きのうは町立中学校の卒業式だったようだ。
多くの祝福に包まれながら、万感を胸に一人一人証書を受け取ったのだろう。

私の場合、大きな中学校だったので、卒業証書は学級毎の「総代」が代表で受け取っていたように記憶している。
男子は丸坊主に学生帽と詰め襟の学生服、女子はセーラー服、それ以外の細かな様子はあまり覚えていない。
数十年前のこと…、卒業写真を見れば生意気な中学生だった気がする。

暖かな日和が続き、八重の紅梅も開く。
香りが広がる。

人生の学び舎には卒業はない。

   うすきうすきうす紅梅によりそひぬ  (池内友次郎)

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クリスマスローズ(Christmas rose) ~「起こしてごめん。おどろいた?」~
- 2018/03/15(Thu) -
蚯蚓315

土起こしをした。
一匹の蚯蚓が出てきた。
出てきたというより、土の中から掘り出されたというのが正しい。
突然、湿り気のある静かな闇から陽光浴びる地上に引っ張り出されて彼も仰天していることだろう。

「起こしてごめん。おどろいた?」

鍬を止め、しばらく動きを眺める。
ゆっくりのそのそだ。
急に目覚めさせられ、さすがに鈍い。
ちょっと気の毒。

早くジャガイモの畝を拵えなくては。
マスクしているのに目は痒いし、鼻水は出るし、くしゃみはひっきりなしだし。

5月初旬の気温だったという。
だんだんにクリスマスローズも開いていく。

  ひそめたる命の気配春の土  (稲畑汀子)

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クリスマスローズ3152

クリスマスローズ3151
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ユキワリソウ(八重雪割草)  ~咲いた花見て喜ぶならば~
- 2018/03/14(Wed) -
ユキワリソウ3141

八重の雪割草が咲きました。
地から出てきたばかりと、花や茎が土を付けています。

春になるとこうして毎年咲いてくれます。
廻る季節を越え。
しっかり根を張って…。

思い出した言葉です。
「咲いた花見て喜ぶならば、咲かせた根元の恩を知れ」。
表の美しさの下にある見えない所の働き…。

そして、昨日書写した『菜根譚』は、「花」にたとえて次のように述べていました。

 富貴名誉、道徳より来たる者は、山林の花の如し。自ずから是れ舒徐繁衍す。(中略)
 若(も)し権力を以て得る者は、瓶鉢の中の花の如し。 其の根植えざれば、其の萎むこと立ちて待つべし。

(道徳心に基づく富貴や名誉は、山林の中の花のようだ。自然に枝葉が茂っていく。)
(権力によって得られたものは、花瓶の中の花のようだ。根がないのだから、やがて萎むのは目に見えている。)

根あってこその花ですね。

   飾りなき心のまこと雪割草  (小澤克己)

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マンサク(満作) ~マンサクマンカイ~
- 2018/03/13(Tue) -
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きのう見つけた春の目覚めはテントウムシ君。
艶やかな濃朱に黒紋…、たぶんナナホシテントウでしょう。
数日前にはアブでした。
虫のみなさんも動きが活発になっているようです。
モンシロチョウなどが姿を見せてくれとなおうれしいなあ。

この季節はどの時間、どこを見ても、新しい出会いが楽しみの毎日です。

マンサクもマンカイです。

  まんさくの花びら縒(より)を解きたる  (仁尾正文)

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マンサク1833
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ハコベ(繁縷) ~抜くよ~
- 2018/03/12(Mon) -
ハコベ233

春らしい気持ちのいい陽気が続く。
呼応するかのようにいろいろな草も畑に顔を出す。
それぞれに花をつけている。
どれもがほんの数ミリの小さな花たち。
土もやわらかくなって取りやすい。
楽しい。

アスパラの近くにはハコベも生える。
5弁の花びらは深裂して白いハートに見える。
花言葉には「初恋の思い出」と。
色といい、形といい、大きさといい、会話したくなる。
でもそこはアスパラさん専用の場所。
ごめん。
抜くよ。

もう中旬。
今年は野良仕事が遅れている。
三月は駆け足。
急ごう。

   朝はまだ素直な心はこべ萌え  (船迫たか)

ハコベ238

ハコベ244
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フキノトウ(蕗の薹)  ~ふきみそとみそしるとてんぷら~
- 2018/03/11(Sun) -
フキノトウ3111

庭にフキノトウ。
今年もまた変わらずに。
その香り。
食卓に乗せ、いただく春の旬。
その味。

そんな日常。
あたりまえをあたりまえに過ごす日々。

彼の地でも同じようにフキノトウは顔を出しているのだろう。
淋しくなった海辺の野にも。
住む人のいなくなった町の畑にも。

歳月に「もう」という言葉を投げれば「まだ」という言葉が返ってくる。

  煮て味のふかくかなしき蕗の薹  (片山鶏頭子)

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ヒヨドリ(鵯)  ~春の朝の『菜根譚』~
- 2018/03/10(Sat) -
菜根譚1

私は朝が早い。
通年およそ3時頃には起きる。
長年の習慣として目覚ましの体内時計が働く。
お茶を入れて、本を読んだり、書いたりと静寂の一人時間。

こうした朝、古典の書写を始めて二年目になる。
毎日1頁ないし2頁で、今は『菜根譚』。
人生訓というか、心に響く言葉、留めて置きたい文章が綴られる。
昨日は前集一八三。

  居官有二語。曰、惟公則生明、惟廉則生威。
  居家有二語。曰、惟恕則情平、惟倹則用足。

 役所勤めに際し官吏は常に心しておかなければならない訓戒となる二つの言葉がある。
 ひたすら公正であれば仕事は明白となり、ひたすら清廉であれば威厳を生ずる。
 また家庭においては互いに常に心しておくべき訓戒となるべき二つの言葉がある。
 ひたすら寛恕で、深い思いやりがあれば皆の感情も穏やかになり、ひたすら倹約に努めれば生活に不足することもない。

この時期に合わせたかのような文もあり、言動を省みさせる。
 春風の凍れるを解くが如く、和気の氷りを消すが如し。纔(わず)かに是れ家庭の型範なり。(前集九六)
 ちょうど春の風が凍った大地をとかし、のどかな陽気が氷を消し去るように。これが他でもない、家庭の模範である。

そろそろ炊飯の準備にとりかかろう。
それぞれの出来ないことを補いつつ、つつましく営む。

この先、氷点下の朝はなさそうだ。

   鵯の花吸ひに来る夜明かな  (酒井抱一)

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レオパ(ヒョウモントカゲモドキ・豹紋蜥蜴擬) ~春の雨~
- 2018/03/09(Fri) -
レオパ381

春の雨。
ザーザーザー。
長い時間しっかり。

土の下の奥深くまで潤して。
草木の根はみんな喜んでいる。
きっとカエルもミミズも目を覚ます。

レオパが赤い舌を出してペロペロと水を飲んでいる。
いつ見てもその目はかわいい。
もうだいぶの歳なのだが。
「そう言えば君は雨を経験したことないね」
「どう、春がきたことわかる?」

これで山の雪もだいぶとけるのだろうなあ。

  春雨のかくまで暗くなるものか  (高浜虚子)

レオパ382
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オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢) ~虫も感じる春~
- 2018/03/08(Thu) -
大犬の陰嚢381

庭の南に広がるオオイヌノフグリ。
穏やかな陽を浴びてその小さな空色の花も春の到来を喜んで…、と。

アブ?
アブだ。
自分の体の半分もない花に乗って、口吻を伸ばし吸っている。

春の光と風に起こされ。
花の色に誘われ。
花の香りに惹かれ。
花の蜜に呼ばれ。

今年初めて見る昆虫。
啓蟄は二日前、まるで合わせたかのように。

この次の虫はなんだろう。

    静かさや花の昼間に虻の声  (堀 麦水)

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大犬の陰嚢383

大犬の陰嚢384

大犬の陰嚢385
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ロウバイ(臘梅) ~鳥と花と人と慈愛心と思いやり~
- 2018/03/07(Wed) -
臘梅018

このところ家人は毎朝怒っている。
窓を開けて、外に向かって大きな声で。
1回だけではない。
食事の前後にだいたい3~4回。
こうした姿が1週間ほど前から続く。

その相手はヒヨドリ。
「コラッ、アッチイケ!」と。
そして手を強く叩いて威嚇する。

数羽でやって来ては臘梅を食べる。
膨らんだ蕾から花びらを開きかけた一番いいところを。
地面には彼らが啄んだ後のものなどが多数に落ちている。
その様子がどうも我慢ならないらしい。
どうせなら、口を付けたものはきれいに食べて欲しい。
臘梅もそう思っているに違いない。

枝からはもう半分近くはなくなっただろう。
今年はどうやら揃って賑やかに満開を迎えるということはできそうもない。
私だって悲しい。

臘梅はその蕾の段階からまさに臘のような光沢がある。
黄色の花は空の青を背景にするとそのコントラストが一段と映えて美しい。
全開すると花びらは薄い膜のように透き通る。
そばへ寄ると芳しい香りもする。

「ほんとうににくったらしい!」
その怒りは当分収まりそうもない。
分からないでもない。
私はお茶を飲みながら黙って聞く。
鳥と花、それぞれの生態と宿命。
そして楽しみたい人、愛でる人。

臘梅の花言葉は「慈愛心」「思いやり」。
そんなことはもちろん家人には言わない。

   臘梅を無口の花と想ひけり  (山田みづえ)

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臘梅318

臘梅418

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スノードロップ ~啓蟄・二十四節気・仕事暦・タイヤ交換~
- 2018/03/06(Tue) -
スノードロップ3061

今日は啓蟄。
虫たちも土の中でじっと今か今かと待ちわび。

話は飛ぶ。
たとえば二十四節気ではないが、年間において自分の仕事暦というか決めた節目を持っている人もいると思う。
何月何日には必ずすることとか、あるいはいつ頃には何をするとか。
私の場合もやはり大小あわせて幾つかある。

冬用タイヤから普通タイヤに履き替えるのもその一つ。
これは毎年3月の第一日曜日をその日と決めてある。
よほどのことがない限り、ずっとそうしてきた。
それはもう長年続けてきたこだわりというか、染みついた習性とも言える。
そして先日4日にやはり交換した。
3台を一気に。

気温の高い日だった。
やっているうちに汗をかいてきた。
一枚脱いだ。
それでもまだ暑かった。
もう一枚脱いだ。
久々に力仕事をした。
まだまだ自力で大丈夫そうだ。

そのあと、南アルプスの山なみが見える高台にある近くの温泉に行き汗を流した。
展望源泉湯、薬湯、ラジウムイオン鉱泉、絹湯、ジェットバス、そして露天風呂を梯子。
気持ちよかった。
今日まで足腰や腕に痛みは出ていない。
いい。
温泉効果か…。

スノードロップが花びらを持ち上げ始めている。

  湯に入りて春の日余りありにけり  (高浜虚子)

スノードロップ3062

スノードロップ3063

スノードロップ3064
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寝覚の床(ねざめのとこ)  ~浦島太郎の里~
- 2018/03/05(Mon) -
寝覚ノ床181

土曜日は木曽へ出かけた。

中央アルプスを伊那から標高1160メートルほどの権兵衛峠で抜ける。
4本のトンネルを潜り下った民家が見えるそこはもう木曽路。
突き当たる国道を左に折れ、木曽川沿いに南下する。

大きな蕎麦屋が見えたので入る。
珍しい名の“すんきそば”を注文する。
説明書きを読めば“すんき”とはカブ菜を乳酸菌で自然発酵させた無塩の漬物だとある。
それがそばの上に乗っている。
古くから続く冬の木曽の味。

19号には木曽義仲、御嶽山などの案内、そして「寝覚の床」に着く。
駐車場に車を置いてその近くまで遊歩道を降りて行く。
観光はオフシーズン、まったく人は居ない。
さらにすぐそばまでと岩場を下りて上って手を使って…たいへん。
少し汗ばむ。

まるで石切場のような箱型の大きな岩が両岸に並ぶ。
そんな中に丸く抉られたポットホールもある。
淵は緑色してかなり深そう。
場所を移動しながらその自然の為す造型を目に焼き付ける。
そして登り切った所のお堂が「浦島堂」。

腰を下ろして休憩すると、目の前をガタゴトの大きな音を立てて松本行きの特急が通っていく。
「秋の紅葉の頃は見事だろうね」
「新緑の五月も素敵だと思う」
「またくるか?」
対岸からツッツッツッとジョウビタキの声が聞こえた。

帰りは運転を代わってもらい、木曽谷の景色をのんびり眺めつつ、いろいろに思いを馳せて感慨とともに家路に就く。

  木曽川の今こそ光れ渡り鳥  (高浜虚子)

寝覚ノ床182

寝覚ノ床183

寝覚ノ床184
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レンジャク(緋連雀と黄連雀)  ~まだ居る~
- 2018/03/04(Sun) -
キレンジャク344

ヒレンジャクが庭に来たのは5年ぶりのことだった。
大勢群れてやってきた。
それから2週間が過ぎた。
そして彼らはまだ居る。

こうも長く逗留するとは思わなかった。
朝早くから賑やかな声を出してソメイヨシノを占拠する。

よく見れば群れの中にはかの一羽のキレンジャクもそのまま相変わらず。
あの日からずっとヒレンジャクとともに行動しているようだ。
仲間からはぐれたままで淋しくはないのだろうか。

16℃まで一気に気温が上がった。
もうそろそろ北の国へ帰る?

  緋連雀冠毛立てゝ群れ下りし (原田浜人)

キレンジャク343

キレンジャク342

キレンジャク341
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親王飾り  ~いつも新鮮に~
- 2018/03/03(Sat) -
雛人形181

うちには女の子はいない。
でもこうして親王飾りのお雛様。
ずっと毎年のこと。

作りは江戸木目込み人形。
やわらかなお顔に仄かな笑み。
汚れなく愛らしい。
見るたびにいつも新鮮。

押し入れから出して飾って収めるまでのすべては昔から私。
緩衝材として詰められた色褪せた新聞の日付と記事に目を遣ればいろいろを思い出す。

それぞれの季を楽しむ。

  雛飾りつゝふと命惜しきかな  (星野立子)

雛人形182

雛人形お内裏183

雛人形お姫184
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クンシラン(君子蘭の蕾) ~心巡らせそして静かに思いを重ねる日~
- 2018/03/02(Fri) -
クンシラン蕾181

春の嵐?

強い風だった。
木々が大きく揺れた。
激しい雨だった。
窓を激しく流れ落ちた。
久々の雷だった。
遠くで何度も轟いた。

きょうは父の忌日、そして…。

部屋ではクンシランの蕾が膨らんでいる。

  指(ゆび)栞(しをり)して春雷を聞きゐたり  (藤木倶子)

クンシラン蕾182

クンシラン蕾183
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