クリスマスローズ(Christmas rose) ~二月の脚~
- 2018/02/28(Wed) -
クリスマスローズ182281

クリスマスローズにもようやく花が見える。
だいぶ遅い。
今年は厳しい寒さの日が長く続いた。
そして何度もの雪に覆われた。
きっとそれに因るのだろう。

二月も果つ。
身のまわりを駆けていくその脚はいつもに増して速かった。

〈私の不安を救いたまえ〉 
クリスマスローズの花言葉にはそうある。

  ほどほどに手足を使ひ二月尽   (長谷川双魚)

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フクジュソウ(福寿草) ~うれしいこと~
- 2018/02/27(Tue) -
フクジュソウ2180

フクジュソウが我が家の庭で初めて咲いたのは2008年(平成20年)だった。
それから10年、毎年その黄金色の端麗な顔を見せてくれる。

ところがである。
その春告げ便りの花に今年は異変が。
しかもそれはいいこととして。

今、その福寿草は最初に植え付けた所で家族の如くひとかたまりとなって仲良く咲いている。
10日ほど前にそこから1メートル離れた秋明菊の根元に一輪の蕾を見つけた。
いつの間にか新しい命が生まれたとのだと驚きとともに顔がほころんだ。
しかし、どうやって増えたのかについて何ら深く考えずにいた。
掘り上げて鉢植えにした。

それからさらに3日ほどして、牡丹が並ぶ近くでまた一輪が咲いた。
そこは小径を挟んだ反対側のクリスマスローズやユキノシタの若芽が出ているところだ。
根が地下を伸びてそこまでいったのだろうかと首を傾げる。

そして昨日、今度は二輪を見つける。
しかも場所が4メートルほども距離がある裏の花壇の春蘭や海老根などのそばで。
一体全体、どうして今年は全く別々の場所に福寿草が増えているのだろう。
こんなことは初めてだし、そもそも私が何かしたわけでもないのに。
いろいろ不思議に思いつつも嬉しい。

調べると、フクジュソウは種から採り蒔きの方法によって育てることができるとあった。
しかし発芽率がきわめて低く、採種した直後に蒔かなければならないほど難しいという。
さらには、種蒔きしてから花が咲くまでには4~5年ほどを要するとも。
ということはこうして今の花姿となったそれらは数年前の種が土の中で静かに黙々と成長を続けてきた結果なのだろう。
そう思うと、自ずと笑みが浮かび、ありがとうと言いたくなる。
ところで分からないのは、それぞれの場所までどうやって種が移動したかである。
考えられるのは風しかないのだが。

これらの福寿草がそれぞれの場所で新たな家族を作ってくれることを楽しみにしたい。

  りんの中に春やもてくる福寿草 (伊藤信徳)

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スノードロップ(snowdrop) ~清らかな~
- 2018/02/26(Mon) -
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枯葉色の中に白い小さな花。
ぶら下げられたランプのようなそれはスノードロップ。
花びらの基には緑色のポイント。
花言葉に“希望”と“慰め”。

この花には次のような伝説があるという。

 楽園を追われたアダムとイブ。
 その時、天使がイブを慰めるため降りしきる雪に息を吹きかけた。
 するとその雪の落ちた場所から花が咲き出た。
 それがスノードロップ。    

その清らかさ。

  スノードロップ乳白の露地より湧く (田川節代)

スノードロップ1822

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サイネリア(Cineraria) ~待つ心~
- 2018/02/25(Sun) -
サイネリア181

安曇野の白鳥湖からコハクチョウの北帰行が始まったという。
昨年より2週間ほど遅いらしい。
彼らも脚に触れる水の温むを感じたのだろう。
シベリアまでの長い旅を安全無事であれかしと願う。

そう言えば私がその犀川河畔に彼らを見に行ったのは何時の日のことだったか。

寒さがゆるむきょうの朝、私の部屋にはサイネリアがある。

  サイネリア待つといふこときらきらす (鎌倉佐弓)

サイネリア182

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マンサク(満作) ~ふしぎ……~
- 2018/02/24(Sat) -
マンサク181

葉を落とした枝。
その肌から吹き出るような黄色い捩れた紐。
これがマンサクの花。

淡褐色の蕾。
中には4本の花びらがくるくると巻かれて収まる。
そして縮められた力を解き放ち、絡み合うように外に飛び出す。
まき皺をそのままによれよれとなって伸びる。
きわめて個性的。
ゆかしい。

春、他の花に先駆けて咲く。
先ず咲く。
マズサクマズサクマズサク。
マンサク。

  まんさくに滝のねむりのさめにけり  (加藤楸邨)

マンサク182

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マンサク184

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マンサク186

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ツグミとヒヨドリとヒレンジャク(鶫・鵯・緋連雀)  ~みんな仲がいいんだ~
- 2018/02/23(Fri) -
1鵯と鶫と緋連雀

ツグミが居て。
そこへヒヨドリがやって来て。
そしてヒレンジャクが加わって。

みんな目を地面に向けてなにやらを啄んでいる。
互いにすぐそばにいながらまったく気にする様子もない。
縄張り争いでもするのかと思ったが。
種は違っても意外と仲が良いんだ。
知らなかったなあ。

   春めくといふ言の葉をくりかへし  (阿部みどり女)

2鶫と鵯と緋連雀

3鶫と緋連雀

4鵯と緋連雀
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プリムラ・ポリアンサ ~花と遊ぶ~
- 2018/02/22(Thu) -
ポリアンサ182

部屋に一鉢のポリアンサ。
体が和む。
心が翔る

    「花」 八木重吉

  にこにこ
  遊びたくなった
  ひとつ 花をください
  もって あそぶんです

何して遊ぼう。

  それ以来誰にも逢はず春浅し  (鈴木花蓑) 

ポリアンサ181
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キレンジャク(黄連雀)  ~溶け合って~
- 2018/02/21(Wed) -
1キレンジャク182

ヒレンジャクが群れで庭に来てから数日になる。
一日でどこかへ移動するのかと思っていたが。
こうも毎日見られるのは嬉しい。

そして新たな発見。
キレンジャクがその中に混ざっている。
この鳥を見るのは初めて。
尾羽の先の黄色いワンポイント。
風になびく冠羽。
ヒレンジャク同様に引き締まったいい表情。

緋連雀と黄連雀は混群することがあるとは聞いていた。
その場合は半々程度かと思っていたが、この群れではたった一羽だけだ。
枝に並んで立つが、全然違和感なく、馴染んでいる。
なかなかな光景。

居ながらにしてのさながら楽しき探鳥会。

  枝移りゆく寒禽のあからさま  (千原草之)  

2ヒレンジャク1821

3キレンジャクとヒレンジャク183

4キレンジャクとヒレンジャク181

6ヒレンジャク1823

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ヒヨドリ(鵯)  ~やわらかな光~
- 2018/02/20(Tue) -
ヒヨドリ575

最高気温が10℃を越すようになった。
ようやく。
届く光もやわらかい。

黒くなった豆柿の残りに鵯が来る。
見ては選んでは嘴に挟む。
満足するまでいくつもいくつも。
よく食べる鳥だ。

   或日あり或日ありつつ春を待つ  (後藤夜半)
 
ヒヨドリ576

ヒヨドリ577
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フクジュソウ(福寿草) ~春告げ花に言葉こぼれて~
- 2018/02/19(Mon) -
福寿草1821

福寿草が咲いています。
幸せ色です。
春告げの花です。
まさに地の中からから「福」と「寿」を抱えて出てきたかのようにです。

この花のことを私は勝手に「恋人の花」って名付けているんです。

音を一つずつ区切ってゆっくり声に出して言うんです。
「ふ・く・じゅ・そ・う」
「fu・ku・jyu・so・u」
ほら、口が「u」と「o」の形になって、とんがって、つきだして。
目をつぶって言えばなおさらです。
「フ・ク・ジュ・ソ・ウ」

そういえば今日は雨水ですね。

  福寿草むかしはらから睦みけり  (樋笠文)

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福寿草1823

福寿草1824

福寿草1825

福寿草1826 - コピー
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ヒレンジャク(緋連雀)  ~5年ぶりです~
- 2018/02/18(Sun) -
ヒレンジャク181

たくさんの群れで朝からやってきたのはヒレンジャクでした。
冠羽の特徴からからすぐにわかりました。
そして尾羽の先が緋色で。
庭の染井吉野が気に入ったようで、それと電線を何度も往復します。
3時半頃までいてくれました。

5年ぶり二度目の飛来です。
前回は2013年2月14日でした。
その時同様に、立ち去った後は地面にオレンジの糞が多量に広がっています。
構いません。
また来て下さい。

    緋連雀冠毛立てゝ群れ下りし (原田浜人)

ヒレンジャク185

ヒレンジャク184

ヒレンジャク183

ヒレンジャク182

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ツグミ(鶫) ~静かな鳥~
- 2018/02/17(Sat) -
ツグミ742

目白や鵯たちが朝からやって来て賑やかだ。
声が間断なく響き渡る。
少しは遠慮したらどうかと思うほどである。

桜の木に一羽の鳥。
動き回る周りに我関せずという如く。
口を噤む。
背を伸ばした姿勢で静かに動じず。
つぐみ続ける。
達観するかのように。

  人の顔俄にさむし鶫とぶ  (右城暮石)

ツグミ743
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クリスマスローズ(Christmasrose)  ~春一番~
- 2018/02/16(Fri) -
クリスマスローズの芽181

小さなたくさんの芽はクリスマスローズの子どもたち。
こぼれ種から生まれたものだが、いつのまにかにたくさん。
嬉しくなる。
花を咲かせるにはきっと後1~2年はかかるのだろうが。
楽しくなる。

どこかではもう春一番が吹いたのだという。
「春」という言葉が身の回りにも増えてきた。
“待つ”ということの大切さを今年は特に感じる。

  春一番木々は根を締めおのれを鳴らす   (楠本憲吉)

クリスマスローズの芽182
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冬点描(タアサイ) ~野菜の花~
- 2018/02/15(Thu) -
タアサイの花181

畑に黄色い花が咲いていた。
タアサイの花だった。

いいね。

みんなこの時期をそれぞれの形ですごしている。

  日があれば二月の葦とぬくもれり  (蓬田紀枝子)

タアサイの花182
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メジロ (目白) ~朝にやってきたのは~
- 2018/02/14(Wed) -
雪とメジロ681

数日前から庭にメジロが姿を現すようになりました。

窓の外、柿の木に一羽が留まりました。
雪を被った実に視線が行きます。
嘴を開いて…。
首を伸ばして…。
二口、三口したあと満足げでしばらく佇んでいました。

昨日、雪の舞う寒い朝のことでした。

   雪に来て美事な鳥のだまりゐる  (原石鼎)

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雪とメジロ683

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雪とメジロ685
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スノードロップ(snowdrop)  ~雪の中に~
- 2018/02/13(Tue) -
スノードロップ1821

昨日はまた雪でした。
いつもの時間に目覚めたときはすでに降っていました。
今年になってもう何度目でしょう。
量も回数も多くて。

スノードロップの蕾も埋もれそうになっています。

  まれによき夢みし朝や雪降りつつ   (清水基吉)

スノードロップ1822

スノードロップ1823
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クリスマスローズ(Christmas rose) ~いつもより少し遅いですかね~
- 2018/02/12(Mon) -
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クリスマスローズに蕾が見えるようになりました。
たいがい二月のこの時期にはいくつかの株で花が咲いていたはずです。
続いた低温が開花を遅らせているのかもしれません。
今は風や光の様子を見ながら咲くタイミングを図っているというところでしょうか。

  クリスマスローズ気難しく優しく (後藤比奈夫)

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クリスマスローズ18214

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小さな雛飾り ~少し早いですが~
- 2018/02/11(Sun) -
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少し早いですが、雛飾りを出しました。
ミニミニサイズですが、それぞれのモチーフの特徴がしっかり作り込まれています。
ミリ単位のきめ細かな表現とディテールに拘った独創性が随所に見られます。
手作りならではの素朴な味わいです。
叔父の優しくて穏やかな人柄が滲み出ている感じがします。
これからも長く大切に飾らせていただきます。

    菱餅の上の一枚そりかへり  (川本臥風)

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フクジュソウ(福寿草) ~うれしくなります~
- 2018/02/10(Sat) -
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枯葉の中に福寿草です。
土のすぐ上に顔があります。
咲いているのはまだ一輪だけです。

「え~っと次は…」と、蕾たちの楽しそうな会話が聞こえてきそうです。

黄色は春告げ色。
うれしくなります。

   福寿草母なる子なる蕾かな  (山田弘子)

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アジサイ(紫陽花の芽) ~ちゃんと動いているんだなあ~
- 2018/02/09(Fri) -
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日陰には先日の雪が溶けずにいたるところに残る。
今年ほどの寒さはこれまであまり経験したことがない。

茎だけになった紫陽花がある。
目を近づけて見れば、枝の節々に膨らむ芽が。
いくつかからは覆いが取れ薄緑色が覗く。

ちゃんと動いているんだなあ。
静かに。
あるところで。

   乾坤に寒といふ語のひびき満つ   (富安風生)
 
冬紫陽花182

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オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢) ~見つけたのは~
- 2018/02/08(Thu) -
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見つけました。
大犬の陰嚢です。
数輪咲いています。
野では草花たちが僅かな季節の移ろいを感じ取っているようです。
春の小さな兆しです。

  命あるものの呟く二月かな   (滝川名末)

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大犬の陰嚢182

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宿根イベリス(lberis) ~気をつけなくては~
- 2018/02/07(Wed) -
宿根イベリス18262

雪が降った上、かなりの冷え込み。
道路は凍結し、アイスバーン状態。

「行ってきます」
「ゆっくり気をつけて」

2分後電話が鳴る。
「事故を起こした」
「場所は?」
聞けば、出て300Mほどの所。

家の前の道は緩やかな坂道になっている。
左は高台へ向かって上り、右は天竜川に向かって下り。
その下りでスリップしたと言う。
相手は、車は、怪我は…いろいろなことが駆け巡るが、とりあえず現場へ。

カーブミラーにぶつかる自損事故だった。
スケートのように滑って行き、ハンドルとブレーキが制動できず、衝突したらしい。
スピードは出ていなかったので本人に怪我はない。
カーブミラーが支柱ご倒れている。
車もバンパーとドア前方の一部に損傷があるが、運転には差し支えなさそうだ。

対向車や人身事故でなくてほっとする。
役場に連絡し、事故によりカーブミラーを破損したことを伝える。
10分ほどで係の人が2人来てくれ、状況を確認し、現場写真をカメラに収める。
まず「怪我はありませんでしたか?」
ミラーは町と安協の管理なので、新たに設置が必要になると。
警察へ事故報告をするように言われる。

すぐに交番へ二人で向かう。
若いお巡りさんが丁寧に対応してくださる。
そして「怪我はありませんでしたか?」と。
事故の説明をし、報告書類に必要事項を記入。
「この後保険屋さんに連絡してださい。警察での処理は以上で終わりです」
意外とあっさり短時間で済む。

家に戻り、加入している保険会社に連絡。
状況説明と場所の詳細を尋ねられる。
ここでも「怪我はありませんでしたか?」
「警察や関係先への報告はすべて済んでいるようですので、この後は私の方で処理します」

昼食後、「すべて保険手続きが終わりしました」と連絡が入る。
「対物保険でカーブミラーの設置が終了した段階であらためて完了の連絡を致します」
スムーズにすべての事故処理と保険手続きが済み、ほっとした。

それぞれの所で「怪我はありませんでしたか?」と言葉をかけられ、温かさを感じた。

本人にとっては初めての事故。
ある意味で良い経験になったはず。
人ごとではない。
私も気をつけなくては。
特に冬季は焦らず慌てず、慎重な運転をと。

  凍て土をすこし歩きて戻りけり (五十崎吉郷)

宿根イベリス18261
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タカサゴユリ(高砂百合) ~夏花の冬枯色~
- 2018/02/06(Tue) -
冬の高砂百合181

陽はあるが気温の上がらない日、庭をそぞろに。
片隅に枯れ色の高砂百合。
夏は純白ですくっと咲いていたが、置き去りにされたままのこうした侘びた姿も趣がある。

江戸の文学や当時の文献などには「茶色」の種類について約80ものが記されているという。
身のまわりや自然に見られる茶系の微妙な色調変化を、繊細な感性で捉え、それぞれに名前を付けていたらしい。
雀茶、鶯茶、蝉の羽色、白茶、金茶、檜皮色、煤竹色、木枯茶、土器茶などは何となく想像できる。
団十郎茶、芝翫茶、梅幸茶、利休茶、宗伝茶、光悦茶、観世茶など人名を冠したのもある。
媚茶、苦色、沈香茶、宝茶、威光茶 江戸茶などははたしてどんなか。
ためしに媚茶を調べると、黒みがかった濃い茶色とある。
これらの名を抽斗に入れておき、何かの折にちょっと出せると粋だが。

高砂百合のこの冬色の場合はどうか。
あたってみると「柴染」の名がどうやら一番それに近いようだ。

ところで日本で飲むお茶の多くは緑色をしているのだが、茶色とはいったい…。

   木も草もためらはずして枯れゆけり  (相生垣瓜人)

冬の高砂百合182
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シジュウカラ(四十雀) ~強いなあ~
- 2018/02/05(Mon) -
シジュウカラ1821

いつにない厳しい寒さが続く。
暦はすでに春だと教えるのに。
届いた電気使用料と料金も過去最高だった。
しかも驚くほどこれまでとかなりの差がある。
普段以上に暖房を働かせていたことがわかる。
もっと工夫した生活をと反省。

桜に四十雀がやってきた。
ツッピー、ッツピー…と元気な声。
彼らは電気に頼ることはない。
小さいけど強いなあ。

  寒禽の嘴(はし)をひらきて声のなき  (長谷川櫂)

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シジュウカラ1823
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クチナシ(梔子の実) ~“老い遅れ”~
- 2018/02/04(Sun) -
クチナシの実181

“老い遅れ”とは作家黒井千次さんの言葉。
昨年の今頃読んだ雑誌の中にあった。

 年齢が進めば、だんだん老人になる、衰えてゆくのは自然なことで、逆らってはいけない。
 というか、逆らうことは本質的にはできない。
 あっちが壊れ、こっちが壊れたりするのは辛いことではあるけれども、それが自然だとしたら、受け入れてゆくより仕様がない。  
 そのほうが人間らしいんじゃないでしょうか。 
 その逆の格好で、老いるべきときに老いていかないと、それは何か欠けていることになりはしないだろうか。
 静かに、間違いなく老いてゆく。
 それを課題に老年を生きるのなら、“老い遅れ“に気をつけたほうがいい。
 負け惜しみではなく、そう自分に忠告したいわけです。
 理想をいえば、健やかに老いてゆくというのが一番だと思います。

寒さ極む中に梔子の実がある。
実りを成して熟すもなお黙考するかのように。

年齢は常に初体験、健やかに老いてゆく…と自分へ。

  冬深き志野の湯飲みの肌ざはり (大場美夜子)

クチナシの実182
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節分飾り  ~小さな“鬼やらひ”~
- 2018/02/03(Sat) -
節分181

保育園に突如鬼が現れ、子どもたちに襲いかかる。
怖がって逃げまどう、先生の影に隠れて大きな声で泣く、果敢に鬼に立ち向かって豆を投げつける。
テレビで流れるそれぞれの子らの様子がほほえましい。

我が家にも小さな赤鬼と青鬼がやってきた。

叔父から電話があったのは先週の金曜日。
「節分の飾りができたので持ちに来ないかな」
「なんとか間に合せることができてよかったよ」
昨年までは我が家に約40分かかる道のりを車で来られた。
「やはり歳を考えて遠くまでの運転はやめることにした」と。
ご自身で客観的かつ冷静に考えての判断。
私達も実は心配にはなっていた。

翌土曜日、天竜川にほど近い一人暮らしのお宅を二人で訪ねた。
迎える玄関には水仙が活けられ、その横には俳句の短冊。
あがるといくつもの短歌を並べた二尺屏風。
壁には夢二の額装作品も。
いつもお洒落と格調が同居する佇まい。
ソファーに腰を下ろせば遥かに南アルプスの雪嶺が見える。
玉露を淹れてくださる。
桜餅にバウムクーヘンも。

そして“鬼やらひ”と書かれた千代紙を貼った手作りの箱をテーブルに置く。
中から節分飾り一式を取り出して、その飾り方を説明してくださる。
それぞれにどんな素材を使ったのか、どこを工夫し、どこに苦労したかなども。
鬼の髪と髭は紙を重ね合わせて立体感を。
金棒などは棘もつけて細部までリアルに。
桝の中の豆は実際の大豆。
柊の葉に鰯の頭も忘れることなく。
破顔のお多福さんは手書きで。
背景には市松模様を選び。

「今年11月でいよいよ満で90になるんだに」
「え~っ、今年卒寿ですか?」
漠然と80歳半ばだとばかり思っていたので少し驚いた。
「あんまし、変わらんけどな」と元気に笑う。
あれやこれやも含めて1時間ほどの話でお暇にする。

そのお歳でその技巧とそのセンス。
お陰で私達にも潤いある季節感。
叔父に感謝しつつ飾る“鬼やらひ”。

  年の豆わが半生のひと握り  (長田蘇木)

節分182

節分183

節分183-2

節分184

節分184-2

節分185

節分186
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カエデ(楓) ~雪の夜はしんしんと、そして朝~
- 2018/02/02(Fri) -
雪265
                                     〈雪が降る夜〉


夜のニュースでは「都心も大雪になりそうです」と、キャスターが注意を呼びかけていた。

食事を済ませて自分の部屋に入る。

静かである。
カーテンを寄せ、ガラス戸を開ける。
降っている。
楓は枝に乗せる。
どのくらい積もるのだろう。

夜に雪模様は…。
夜の雪景色は…。

たとえば太郎と次郎を眠らせしんしんと…。

いつもの様に目覚めてお茶。
今4時過ぎ。

静かである。
カーテンを寄せ、ガラス戸を開ける。
止んでいる。
楓は綿飴になった。
だいぶ積もった。

都心も大雪なのだろう。
交通や物流に影響がなければいいのだが。

もう少ししたら雪かきしよう。
見るからに重そうだ。

   音なく白く重く冷たく雪降る闇  (中村苑子)

雪234
                                      〈楓を見れば〉
雪293
                                      〈起きて見れば〉
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皆既月食(スーパーブルーブラッドムーン) ~見たい、見よう~
- 2018/02/01(Thu) -
皆既月食181

私は夜が弱い。
でも昨夜は頑張った。
皆既月食を見たいと。

天気予報は曇りだったので、ほぼ見えないだろうと諦めていた。
それでもと夕食後外に出てみると、東の空に満月が浮かんでいた。
くっきりだ。
このままではきっと見ることが出来るはず。

しっかり防寒対策をしてから再び見上げるとすでに左下の方から欠け始めていた。

少し時間をおいて何枚もシャッターを切る。
時々家の中に入っては暖まってから外に出る。
残念ながら、ブラッドムーンのクライマックスはその影を枠の中にうまく収められなかった。
私の腕とカメラでは限界のようだ。
その妖しい赤い月は肉眼では見えるのだが。

スーパーとブルーとブラッドの3つが重なる特異な現象を体験できた真冬の夜。

眠さが肩を叩く。
あくびも続いて出る。
カメラの片付けもそこそこにぐに寝た。

そして今朝、いつもの様に早く目が覚める。
整理するとぶれた多くの画像。
それももまた一つの味、私の時間記録。

お茶が美味しい。

   竹林の月の奥より二月来る  (飯田龍太)

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