ジョウビタキ(尉鶲)  ~ごあいさつに~
- 2017/12/31(Sun) -
尉鶲849

ツッツッツッ。
庭の桜の木からの尉鶲の声。
そうかそうか。
一年の終わりに、君もご挨拶を。
ありがとう。
そして、また来年もよろしく。

   小禽の声のこぼるる大晦日  (あや)

尉鶲850

尉鶲851

12月の庭から2
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凍る ~自然のなす造型~
- 2017/12/30(Sat) -
凍る川171

家の横は川。

氷点下6℃の朝。
その水飛沫は凍る。
枯れ草を中に閉じ込め。
吹き出る泡のようにかたまり。
上に向かい下に向かって太さを増し。
長く伸びて氷柱になり。
ある場所ごとに呈する妙なる様相。

厳寒ならでは自然のなす造型。

   流れたき形に水の凍りけり  (髙田正子)

凍る川172

凍る川173

凍る川174


凍る川175

凍る川176
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ハス(蓮の花托) ~それぞれの時~
- 2017/12/29(Fri) -
ハスの花托12282

実の抜け落ちた蓮の花托が落葉の上にある。
花が咲いていたのは夏。
そして花が終わり、蓮の実ができたのは秋。

それぞれの時にそれぞれの美しさ。
枯れてもなお。

  極楽へ蓮の実飛んでしまひけり  (星野麥丘人)

ハスの花托12281

ハスの花托915

ハスの花托8111

ハスの花8082

ハスの花8081
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ローズマリー(rosemary) ~「あっ…」~
- 2017/12/28(Thu) -
ローズマリー63

車で数分の所にある町の温泉施設に二人で行った。
南アルプスを眺める高台にある広い天然温泉だ。
露天風呂はもちろんだが、それ以外にも様々な種類のお湯が楽しめる。
およそ出る時刻を決めてそれぞれに別れる。

きまって先に出るのは私。
ロビーで新聞を読んだりして待つ。
15分ほどしたところで現れる。
温和な夫は若い頃から ♪いつも私が待たされた~♪。
立ち上がって帰ろうとすると、売店に入って行く。
ものわかりのいい夫はだまって後を追う。
そして
「ローズマリーの苗を買って」
「料理の彩りと、香り付けにいいのよ」
私は270円の会計を済ませ、緑色の袋に入れられたローズマリーを持って外に出る。
温まった体に冷たく強い風が当たる。

車を走らせて2分ほど経ったとき、前方左手に黄褐色の小動物。
ほぼ同時に「あっ、キツネ」。
スピードを緩めた車の前を小走りに横切っていく。
「スマートでしっぽが長くて太かった…」
「顔が小さくて足が細かった…」
興奮気味に喋っている。
何年か前にもそこより少し下がった林檎畑の中で見たことがある。
その時は一緒に散歩していた時だった。
野生のキツネを見たのはそれ以来2度目である。
「この辺のどこかに親子で住んでいるのかしら」
キツネにとってもここは平和で住み心地のいい町なんだ、きっと。

家に着く。
風で飛ばされた枯葉が玄関付近に溜まっている。
掃くのは明日にする。
「ローズマリーはどこに植える?」
「しばらく台所に置いておいて。使いたいから」
優しい夫は緑の袋をはずしてキッチンの空いたスペースに置く。
「何かきれいな鉢があったら明日植え替えてくれる?」
素直な夫はすぐに明るい声で返事する。
「わかッタ」

  昼ぬくくひとのみちゆく狐かな  (松村蒼石)

ローズマリー64
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イチジク(冬の無花果) ~懐かしい~
- 2017/12/27(Wed) -
冬の無花果171

「一緒に行って」と言うので、車で15分ほどの大型スーパーへ出かけた。
お米などの重いものやたくさんの買いものがある時はそんな声が掛かる。

ショッピングカート押しつつ、少し離れて後を付いて歩いていた。
すると、年配の女性が私に近寄ってきて挨拶をした。
「お久しぶりです。わかりますか?」
思い出せない。
人違いではないだろうか。
すると先方は笑みを浮かべている。
「原田です。奥様はお元気ですか?」
「ああ、ああ原田さん。懐かしい」
「向こうから見てすぐにわかりましたよ」
思い出した。
仕事の上で関係があった娘さんのお母様だった。
その後、偶然にも家人も娘さんと深く繋がることになった。

少し先で買いものを続けていた家人を呼んだ。
二人は手を取り合って再会を喜びあう。
そして、語り合う中で当時のいろいろを思いだしてか、少し涙ぐんでいる。

ご夫婦でレストランを営んでおられる。
その食材を仕入れに来たという。
「また店にも来て下さいね」
「声を掛けてくれて嬉しかったです。ご主人にもよろしくお伝え下さい」
そうしてそれぞれの買いものに戻った。

それにしても遠くからすぐに私だとよく分かったものだ。
いろいろと逆算すれば、最後に会ったのはたぶん28年ほど前ではないか。
あの頃は私もまだ…。

朝の庭には取り忘れた無花果に霜がうっすらと乗る。

    ともかくもあなた任せのとしの暮  (小林一茶)

冬の無花果172

冬の無花果173

冬の無花果174
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フユソウビ(冬薔薇) ~いただいたモノ~
- 2017/12/26(Tue) -
白い冬薔薇171

清人さんが訪ねてきてくれた。
三つ年長で遠い遠い親戚ということになる。

手にはビニール袋に入ったたくさんの蒟蒻。
「そろそろ前のがなくなる頃かと思って」と手渡される。
ふた月ほど前にはやはり奥さんの穂波さんが持ってきてくださった。
芋の栽培から加工まですべてご自分の手作り。
折に触れて、こうして自家製のもの、栽培した野菜類、外国からの珍品などをくださる。

あがっていただき、いろいろの話をする。
上手な蒟蒻作りのポイントは…等々の蘊蓄。
話し上手なのは税理士という職業柄か。
話題が豊富で淀みがない。
私はもっぱら頷きながら聞く。
言葉の端に穂波さんに頭が上がらない様子も。
小一時間経った頃、「そろそろ行くかな」と腰を上げる。
もう一軒寄って、やはり差し上げる段取りらしい。
Wマークの白い外車に乗り込み、「じゃあ」と飯田方面へ走って行った。

実は会話の中で私は清人さんに封印していた言葉がある。
穂波さんが持ってきてくださったときもそだった。
「私は小さい頃からこ・・・」、いや、やはり打ち明けないほうがいい。
これからもたぶん“蒟蒻”を頂くことだろうから。
家人は早速夕食に用いて、美味しそうに食べていた。

歳もおしせまる頃の訪問者といただいたモノの話。

セピア色の庭には白い小さな冬薔薇が一輪。

  冬さうび咲くに力の限りあり  (上野章子)

白い冬薔薇172
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セローム(selloum) ~冬の雨~
- 2017/12/25(Mon) -
少児の首とセローム171

雨の音で目が覚めた。
暖かな朝のようだ。

私の部屋にはセロームがある。
5年前の10月に若い3人の知人が訪れてきてくれた。
その時いただいたもの。
そう言えば彼女らとはそれ以来会っていない。
元気にしているだろうか。

雪にならなければいいが。

  面白し雪にやならん冬の雨  (松尾芭蕉)

セローム171

少児の首171
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ゲッケイジュ(月桂樹・ローレル) ~どうしたんだろう~
- 2017/12/24(Sun) -
ロリエ84

原因がよく分からない。

日当たりのいい南側に月桂樹がある。
根元から二つに分かれ、2本の木のようになっている。
その一つが最近枯れ出した。
常緑のはずの葉が茶色に変色し、まさにローリエ状態。
どうしたんだろうと思って近づいて見てわかった。
幹の下の方に割れがいくつも走っている。
他の木も含めて、これまででこんな現象は初めて。
病気なのか、それともこのところの凍みのせいなのか。

思案気に見ている私に部屋から顔を出して家人が言う。
「伐るんだったら、葉っぱは使うから取っておいてね」
料理の香り付けとして使うつもりだ。
「新しく芽吹くかどうか、春まで様子を見る」と返す。
うまく復活してくれるといいのだが、はたしてどうなるのか。

もう片方のは様子に変わりがなく、これまで通り元気。
すでに春に向けての蕾も多く見られる。
これは大丈夫そうで一安心。

それにしても下で繋がっている同じ株なのになぜ?

  吾が罪をよく知ってをりクリスマス  (上野章子)

ロリエ85
 
ロリエ87

ロリエ88

ロリエ89
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キアゲハ(黄揚羽) ~「ねえ、蝶が…」~
- 2017/12/23(Sat) -
キアゲハ17121

機械の整備をしていた。
ドアが開く。
「ねえ、蝶が中にいるけど、どうする?」
手袋を外して一緒に部屋に行く。

キンギアナムの葉にキアゲハが止まっていた。
「不思議よね。だってどこも開いてないし」
たしかに部屋は閉めきっている。
見るととてもきれいな翅をしている。
汚れも傷も破れもまったくない。
左右対称の模様もくっきりだ。
風の強い外にいた感じがまったくしない。
観葉植物のどれかに蛹があって羽化したのだろうか。
わからない、わからない。
でもうれしい。

ガラス戸を開ける。
両手を丸くしてそっと包む。
外に腕を出して合わせた手を開く。
ゆっくり飛んでいった。

冬さなかに蝶がいたほっこりのひととき。

  冬の蝶日溜り一つ増やしけり  (小笠原和男)

キアゲハ17122
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雪嶺 ~中央アルプス遠望~
- 2017/12/22(Fri) -
中央アルプス
                中央アルプス

家を少し下ると、雪を抱いた中央アルプスが見える。
中心となる西駒や宝剣は隠れて視野に入らないが、それから南の嶺々が目に映る。
北から、なだらかな空木、丸い頭の田切、赤椰岳とその下の摺鉢窪カール、そして南駒と仙涯嶺など。
白く連なる悠然とした山並み。

“山の気”とでも言おうか。
立ち止まって眺めると、あくせくする日常をほんの少し忘れさせ、ゆったりとした気持ちになる。
こうした景色が身近にあることの幸せ。

   雪嶺の中まぼろしの一雪嶺  (岡田日郎)

中央アルプス空木岳
                空木岳
中央アルプス田切岳
                田切岳
中央アルプス摺鉢窪カール・赤椰岳
                摺鉢窪カール・赤椰岳
中央アルプス仙崖嶺・南駒ヶ岳
                仙崖嶺・南駒ヶ岳
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朝の霜 ~白くなった~
- 2017/12/21(Thu) -
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霜が地にあるものを覆う。
重なる落ち葉を。
鬼灯を。

冬の朝のほんの短な白い時。
なぜか嬉しくなる。

  葛の葉のおもて見せけり今朝の霜 (松尾芭蕉)

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ブルーベリー(blueberry) ~もの静かなる冬紅葉~
- 2017/12/20(Wed) -
ブルーベリー紅葉172

落葉樹の多くは裸木となった。
毎朝の落ち葉掃きもほとんど用なしになっている。

そんな周りにあって、まだ葉を付けたままでいるのはブルーベリー。
もの静かなるその冬紅葉。
時の進みの感じ方はそれぞれ。

   冬紅葉冬のひかりをあつめけり  (久保田万太郎)

ブルーベリー紅葉173

ブルーベリー紅葉174

ブルーベリー紅葉171

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懐かしい歌と古い本 ~「♪人は誰も…」、振りかえるということ~
- 2017/12/19(Tue) -
「風」 - コピー

今年も二週間を切った。
「あなたにとって今年はどんな年でしたか?」
ラジオのパーソナリティーが呼びかける。
応じてリスナーから様々な“今年”が届く。

そして、「♪人は誰も~♪」と懐かしい歌が流れた。
その選曲は先般亡くなったばかりの彼の追悼の意も込めたのだろう。

たしかそれを収めてある歌の本があったはず。
取り出してページを捲る。
載るどれもおよそ歌える。
系図、通りゃんせ、カレーライス、ぼくの好きな先生、一本道、クソクラエ節、別れのサンバ、私達の望むものは…。
フォークソングと言われたそれらの詞にはどれにも熱い魂やメッセージ性、しみじみとした生活感などがあった。
その歌い手の何人もがすでに鬼籍に。

奥付けに“昭和47年、300円”とある。
色褪せて、汚れて。
表紙の絵の長い髪の恰好。
私にもたしかにあった青春というあの頃。

あんなこと、そんなこと、こんなこと…。
すべては過去。

  はらわたの紆余曲折を年の暮  (中原道夫)

歌の目次2

歌の目次1

表紙11

奥付10
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エンドウ(豌豆) ~寒さ、厳しさに育つ~
- 2017/12/18(Mon) -
エンドウ17121

朝は氷点下が続く。
日中もなかなか気温が上がらない。
天気キャスターは「1年で最も寒い時期を下回る予報です」などと伝えたりする。

畑の野菜の姿はだいぶ少なくなった。
それでもブロッコリー、春菊、ホウレンソウ、タアサイなどはまだ収穫できる。
レタスはキャップを被せてなんとか持ちこたえている。

そんな中で芽を出して成長を始めるのもある。
二畝ある豌豆だ。
絹莢とスナップの2種類の種を11月初旬に蒔いた。
葉は軟らかくて薄く、霜や寒さには弱そうに見えるが、豈図らんやこれがたいそう強い。
まだほんの小さい苗なのに、すでに蔓さえも伸び出している。
すこしの足しになればと株元には籾殻をかけてある。
こうした厳しさ寒さあればこその野菜もある。

  歳末の一も二もなく荷がとどく   (真夏出来男)


エンドウ17122

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レオパ(レオパードゲッコウ・豹紋蜥蜴擬) ~こんな姿で失礼します~
- 2017/12/17(Sun) -
脱皮159

レオパが脱皮を始めた。
少しずつ、壁に体を寄せて擦ったり、口に咥えて引っ張ったりして剥いていく。
脱いだ皮肌は自分で食べてそこらに散らかさない。
もう歳なので、以前よりだいぶ時間がかかるようになってきている。
体力も衰えてきているようで、時折疲れた表情も見せる。

かれこれ10年近くの付き合いになる。
彼は物静かで大人しい。
そしてその目はいつも優しい。

彼も私も互いに歳を取った。

   極月やかたむけすつる桝のちり (飯田蛇笏)  

脱皮160

脱皮161

脱皮162

脱皮163

脱皮164
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シジュウカラ(四十雀) ~冬を楽しむ~
- 2017/12/16(Sat) -
四十雀17121

桜に四十雀がやってきた。
細かな声を出しながら何かを啄んでいる。
枝から枝へちょこちょこ渡る。
楽しそうだ。
少しふっくらとしているように見える。
彼らも寒いこの時期の対策で羽毛を膨らませて丸くなっているのだろう。

四十雀は複数の「単語」を組み合わせた「文」を作り、情報を伝達する能力を持っているという。
聞こえるツッピーツッピーやジジジジ、ジジジなどの中味が分かったらさぞかし楽しいに違いない。

冬の陽だまりの心地よい静かなひととき。

  寒禽の嘴(はし)をひらきて声のなき  (長谷川櫂)

四十雀17122

四十雀17123
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冬山 ~南アルプス遠望~
- 2017/12/15(Fri) -
南アルプス1712
                                        南アルプス

昨日は燃えるゴミの日。
集積所は家から歩いて1~2分。
出すのは昔から私。

一週間ほど前からその周りの見晴らしが良くなった。
前に広がっていた梨畑が更地になったからだ。
跡を継ぐ人のいないご高齢の堀池さんに何か期すものがあったのだろう。
そこに立つと、そのままで正面に南アルプスの一部が望める。
塩見、烏帽子、小河内岳などが連なる。
少し離れて北に仙丈、南に荒川岳。
所々黒い岩肌も見えているので雪はまだ多くはないようだ。
この時期の朝陽は、シルエットになったその山なみを越えて光芒を送る。

ところで更地にした後はどうするのだろう。

   雪嶺よ日をもて測るわが生よ (相馬遷子)

塩見岳1712
                                         塩見岳
小河内岳1712
                                         小河内岳
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クロホオズキ(黒鬼灯) ~折節の姿~
- 2017/12/14(Thu) -
夏の黒鬼灯702
                                       8月27日

夏、黒鬼灯は爽やかなブルーだった。
花は黒い蕾の中から飛び出るように咲いていった。
秋になると花は落ちて、薄茶色の袋を残した。
そして冬、それは枯れを深めて薄墨色になった。

折節の花の色、花の姿。
それぞれにある美しさ。

   枯といふこのあたたかき色に坐す (木内彰志)

冬の黒鬼灯71

冬の黒鬼灯72

冬の黒鬼灯718

秋の黒鬼灯01
                                        10月6日
秋の黒鬼灯02
                                        10月6日
夏の黒鬼灯703
                                        8月27日
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イチイ(一位) ~「あやまちすな。心して降りよ」~
- 2017/12/13(Wed) -
イチイ251

朝陽は南アルプスを超えて庭に入る。
ちょうど塩見岳の右あたりから。
その陽当たりを良くするために、一位の木に登って横に広がる枝を剪る。
すっきりした。
しかし剪りすぎた感もあり、少し心配。

しばらく前から読み書きを進めている『徒然草』は偶然にも「高名の木登り」の段。
「あやまちすな。心して降りよ」と。

木から脚立へ確実に足を置き、最後の一段まで慎重に降りる。

  大空の片隅にある冬日かな  (高浜虚子)

イチイ252

高名の木登り
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シャコバサボテン(蝦蛄葉仙人掌) ~このあと何年~
- 2017/12/12(Tue) -
赤い蝦蛄葉仙人掌171

冬陽が入る。
窓辺には赤い蝦蛄葉仙人掌。
透き通るような艶やか花びら。
蕾も花もフォルムが美しい。
迎え入れて3回目の冬。
前の白いのは10数年も咲き続けてくれた。
これはあと何年…。

大掃除もほとんど済む。

  しゃこばさぼてん繚乱と垂れ年暮るる   (富安風生)

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赤い蝦蛄葉仙人掌173

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干し柿 ~「作ったの」と~
- 2017/12/11(Mon) -
清人さんの干し柿171

「清人君が作ったの」
そう言って遠い親戚の穂波さんが持ってきてくれたのは干し柿。
「今年もうまくできたみたい」と。
穂波さんは歳上のご主人のことを清人君と呼ぶ。

税理士の清人さんは、畑もやるし花も育てるし豆腐も作るし蒟蒻も作るしと、多彩というか器用な人だ。
そしてそれらを折々に届けて下さる。
やり出したらとことん追究する性格のようで、どれもが商品としても立派に通用するほどのものばかりだ。
今回の干し柿も店に並び高価で販売されているブランドに比してもまったく遜色ない出来映え。

昨年までは私も毎年干し柿を作っていた。
今年は作らなかった。

去年の4月の初め、自分で作った干し柿を朴の木で彫った。
器に空けた清人さんの干し柿を見ていたらまた木彫にしたくなった。
早速、材料を用意して取り掛かることにする。

穂波さんが帰った後で二人で一つずついただいた。
「自然が作る和菓子よね」と家人は言った。
言い得て妙だ。

  昼過ぎのやや頼もしき冬日かな  (岩田由美)

木彫干し柿163
                                  16年木彫「干し柿」

木彫干し柿161
                                  16年木彫「干し柿(着色1)」

木彫干し柿162
                                  16年木彫「干し柿(着色2)」
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シモ(霜の花) ~厳しい朝に咲く花~
- 2017/12/10(Sun) -
霜の花171

氷点下となる朝が続く。
庭掃きする手もかじかむ。
冬用の温かな手袋をしているのだがそれをも抜けてくる。

落葉を片付けて少し歩く。
そぞろに草木のさまざまな冬姿に目を遣りながら。

アキチョウジの枯れ茎の元に見つけのは白く咲く霜の花。
今年の初めて。
いつ見ても不思議。

陽が当たり始めた。
しばらくすると花は消えてなくなった。

中に入り、器にお湯を張って手を入れ、感覚を戻した。

  霜柱草霜の花咲く今朝の庭 (長沢眷顧)
 
霜の花172

霜の花173
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ナンテン(南天の実) ~届いたのは~
- 2017/12/09(Sat) -
南天の実171

一枚の喪中葉書が届いた。
30年以上も年賀のやりとりが続いている女性からだった。

 本年五月に夫 〇〇が五十七歳で永眠いたしました

彼女はいつも周りに気遣いのできる心優しい人柄で努力家だった。
最後に会ったのは20代の半ば頃だったかと思う。
その後は新年の挨拶を交わすのみで話すこともなかった。
大学を出て保健室の先生となり、同僚と結婚したこと。
そして息子さんが生まれ、ご主人の地元に居を構えたことも知らせてくれた。
まだ現役で勤めているはずだが、私にはその誠実な若い頃の顔だけが残る。
新しい年を前に、喪の文をしたためつつさみしく心静かに過ごしている彼女の姿が思い浮かぶ。
その心痛を察すると辛い。
手紙を書いた。

庭の南では房状の南天の実がその赤をいっそう鮮やかにする。
近くの村では正月用の出荷が最盛期だと聞く。

  実南天二段に垂れて真赤かな  (富安風生)

南天の実172

南天の実173
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ビワ(枇杷の花) ~その香り~
- 2017/12/08(Fri) -
枇杷の花171

いつだったか、誰かが言っていた。
「私は金木犀の香りで秋が来たことを知る」
「そして枇杷の花の香りで冬が来たことを知る」と。

金木犀は向こうから香りがやってくる。
枇杷の場合はこちらから嗅ぐ仄かな香り。
きっとその人は枝に手を添えて吸い込んだのだろう。
私も枇杷の花が咲く度に鼻を近づけて必ずそうするのだから。

それぞれに人は花に寄せる想いがあったりするのだと思う。
枇杷の花にもそうした自分だけの歌や物語を持つ人もいるのではないか。

  蜂のみの知る香放てり枇杷の花  (右城暮石)

枇杷の花172

枇杷の花173

枇杷の花174
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ブロッコリー(broccoli・芽花野菜) ~霜の朝~
- 2017/12/08(Fri) -
ブロッコリー171

寒い朝だった。
霜が降りた。
ブロッコリーの葉にも棒状になったのが。
そろそろ寒さ対策を講じる必要がありそうだ。

一つを収穫する。
ブロッコリーは好きだ。
毎年作る。

  十二月八日の霜の屋根幾万 (加藤楸邨)

ブロッコリー172

ブロッコリー174

ブロッコリー175

ブロッコリー176
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シャコバサボテン(蝦蛄葉仙人掌) ~命を引き継いで~
- 2017/12/07(Thu) -
シャコバサボテン510

数日前から観葉植物のポニーテールの根元に白い蝦蛄葉仙人掌が咲いている。

今から2年前の春だった。
10年以上も咲き続けてくれた蝦蛄葉仙人掌が元気をなくしていた。
毎年、晩秋から師走の生活の中に気持ちを穏やかにさせてくれた花だった。
しかしもう限界だったのだろう。
長年同じ鉢で成長し続けたその足元はまるで老木のような弱々しい姿になっていた。
葉茎の先端をちぎり取って、ポニーテールの根元に一本挿し、あとは土に返した。

夏になりその葉は少しずつ伸び出した。
期待はしていなかったがどうやら根付いたらしい。

秋が過ぎ、冬が来た。
私は新しく濃い赤い色のを買った。
私にとっての蝦蛄葉仙人掌はやさしい白だったのでそれは少し違った趣であった。
どうも長年共に過ごした老いつつも咲き誇る姿が脳裡に焼き付いて離れられない。

そして挿してから2年半後のこの冬、あの懐かしい白鳥を思わせる色と形が部屋に戻ってきた。
うれしいやら感動するやら、一人で喜ぶ。
茎はどことなくまだ弱々しさもあるが、とにかくよく咲いてくれた。
前のから合わせて数えればかなりの年数が経つが、その命をしっかり引き継ぐ。
この先何年咲いてくれるのだろうと楽しみになる。
春には見合ったいい鉢を用意して大事に育てよう。

  冬の日よものぬくめゐる静けさよ   (小島政二郎) 

シャコバサボテン512 - コピー

シャコバサボテン522

シャコバサボテン523

シャコバサボテン141125
                        (14年11月25日 老木のような蝦蛄葉仙人掌の根元)   
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カマキリ(蟷螂・いぼむしり) ~紫陽花の葉の上に~
- 2017/12/07(Thu) -
カマキリ21

紫陽花の葉もだいぶ散った。
その残った僅かな葉に何かの気配。
周りに同化するようにしていたのは蟷螂だった。
首を傾けてこちらをじっと見ている。
夏に見るのと違い、穏やかな表情だ。
氷点下の朝もあったりでそろそろ寒さには耐えられなくなるはず。
いよいよの時を感じているのかもしれない。
それで紫陽花の葉の上をその場所に…。 

  枯色が眼よりはじまるいぼむしり (後藤夜半)

カマキリ23

カマキリ22

落ち葉掃き24
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驚異の超絶技巧展 ~三井記念美術館~
- 2017/12/06(Wed) -
驚異の超絶技巧展2 - コピー

『驚異の超絶技巧展』を観に三井記念美術館へ行く。
いくつかのアクセス案内がある中で、“JR「東京」駅(日本橋口)徒歩7分”を選ぶ。
新宿から中央快速で東京に出て、日本橋を渡り、三越本店のライオン像を横に見ながら歩くと、その看板が見えた。
三井本館ビルの中に入るとすでに数十人の列。
その日3日は展覧会の最終日、私のような遠くから来たとおぼしき人も結構見られた。
しばらく待ち、10時の開館時間となって、エレベーターへの案内が始まる。

入ってすぐの前室に展示されている2点のみが撮影を許されているので収める。
宮川香山の〈猫ニ花細工花瓶〉は薔薇の下に遊ぶ猫が高浮き彫りで施されている。
繊細な花や葉の表現と猫の眼や鼻などの細部にわたるリアルな表現は実に見事である。
もう一つの高橋賢悟の〈origin as a human〉はアルミニウムを素材とした金工作品。
頭部に菊とダリアのような花をあしらわせた髑髏はまるで生命を持っているかのような奇妙さが漂う。

展示は~明治工芸から現代アートへ~のテーマで構成される。
展示室1から展示室7まで、様々なジャンルの工芸と現代作家の作品がおよそ140点。
素材を超え、表現の常識を覆すまさに驚異と超絶技巧のオンパレード。
その緻密さと精巧さにどれだけのエネルギーと時間を費やしたことかと感嘆する。
あとはもう見る度にうなる。

ずっと以前この特別展の紹介記事を目にしてから、必ず見ようと決めていた。
そしてやはり期待に違わぬ作品の数々。
それを生み出した計り知れない技と発想を持った人々のその才能の凄さ。
特に見たかった安藤緑山の牙彫りと前原冬樹の木彫…、しっかり目に焼き付ける。

図録を求める。
息詰まるような不思議な時空から、また都会の喧噪の中へ。

   目つむりて己れあたたむ冬の旅  (岡本眸)

猫ニ花細工花瓶 宮川香山

超絶技巧展安藤緑山(胡瓜) - コピー

超絶技巧展前原冬樹(一刻 皿に秋刀魚) - コピー
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静かな紅葉 ~皇居乾通り一般公開~
- 2017/12/05(Tue) -
171通り抜け(坂下紋門)

上野のホテルを9時過ぎに出て、東京駅へ向かう。
目的は皇居乾通り一般公開。
丸の内中央口から皇居外苑に入り、左に折れて内堀通りを進む。
二重橋を遠くに見ながら誘導路を右に行くと荷物検査所があり、バッグの中味をすべて検められる。
さらに次の検問所でボディーチェックを受けて坂下門前に辿り着いたのは10時頃。
門を抜けると、左手の緩やかな坂道の奥に宮殿が見える。
そこから先の並木道が乾通り。
続いて現れた重厚な建物は先日天皇陛下のご退位に関わる皇室会議が行われた宮内庁庁舎。
道灌濠など、苑内の静かな光景に目を向けながら、大勢の人の流れに合わせてゆっくり歩く。
その一番の鮮やかな錦の時は過ぎていた感はあるが、それでも残る桜や様々な楓の紅葉はまだ美しい。
乾門を出て見学コースは終わりとなる。
北桔橋門から東御苑に入り、三の丸尚蔵館を経て大手門に出る。
並んでいた時は晴れて青空が広がっていたが、もうその頃にはどんよりとした雲に覆われていた。
その下の桔梗濠にはかわいい水鳥たちがのんびりと遊ぶ。

出ると大手町のビル街。
大都会の点景となって新宿に向かう。
バスタから高速バスに乗り帰途に着く。

  静かなり紅葉の中の松の色  (越智越人)

172乾通り通り抜け(宮殿)

173乾通り通り抜け(宮内庁)

179皇居とビル群

174乾通り通り抜け(道灌濠)

175乾通り抜け(松とモミジ)

177北桔門

176通り抜け

178通り抜け(水鳥)
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個展 ~里山の木々の呼吸は海の音~
- 2017/12/04(Mon) -
記憶をめぐる旅1

友人の個展を観た。
石彫と金属で構成されている。

“里山の木々の呼吸は海の音”
“木と石に刻まれた記憶をめぐる旅”
タイトルや解説に哲学的で詩情あふれる言葉が並ぶ。
照明を落とした屋内には20点ほど。
そして野外展示も。

初日だった。
話ができた。
海外でも個展を開くなど彫刻家として活躍している。
そんな髭の似合う彼とは学生時代からの長い付きい。
この関係は、足腰が弱り、お互いを訪ねることのままならぬ時が来るまできっと続く。
作品のコンセプト、表現過程を語る作家としての迸る熱い情熱に、叱咤される思い。
師走、かけがえのない友の芸術にしみじみ浸り、吾を見つめる。

   青空を海に拡げて十二月 (伊藤通明)

漂流の民1

「森の呼吸シリーズ」から

zaroff528.jpg
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インコアナナス ~めったにないこと~
- 2017/12/03(Sun) -
インコアナナス171

遡る11月22日のこと。
家人が珍しく袋に鉢花をぶら下げて帰ってきた。
普段はほとんど買うことはない。
珍しいこともあると思った。
「安かったから」
近くに生産者直売所があり、折々出かけている。
そこでは花卉もよく並べられている。

中から出てきたのは鳥の羽根を思わせる鮮やかな黄色とオレンジのインコアナナスだった。
「寒さに弱いから5℃以上の所に置くようにだって」
大きさの合う鉢カバーを探して入れた。

その日は長野県では〈信州リンゴの日〉(イイフジ)だった。
そしてもう一つ全国的には…。
めったにないことと、そっと私の部屋に移して夕陽に照らされたその花を写真に収めてから戻しておいた。

  あたゝかき十一月もすみにけり  (中村草田男)

インコアナナス172

インコアナナス173
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