カタクリ(片栗・かたかごの花)  ~花にある不思議な力~
- 2017/04/30(Sun) -
カタクリ171

夏野菜をすべて植え終わった。
いつもより1週間ほど早い。
いくつかの畝は、この後のサツマイモとインゲンなどのために空けておく。
これでひとまず息をつける。

庭にはカタクリ。
くるりと上に反り上がる淡紫色の花びらは、はにかむ少女のようでなんとも愛らしい。
その前に腰を下ろすと、すべての負の感情は消えてしまう。

昔の名の“かたかご(堅香子)”の文字や音の響きも趣あって似合っている。

   かたかごの花の辺ことば惜しみけり  (鍵和田秞子)

カタクリ172
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シロイハナ(白い花)  ~いつの日からか~
- 2017/04/30(Sun) -
白い花173

いつの日からか、ゴールデンウイークの頃に同じ場所に咲く白い小さな花がある。
毎年のことで、もう10年以上は経つ。
宿根草だとは思うが、私はその花の名前をいまだに分からない。
丸みを帯びた4弁の可愛い花だ。
自分で植えたのものか、それも定かでない。
今年もまたこうして顔を見せてくれて嬉しい。

この花は見つめる私をどう思っているのだろうか。

この先もずっと知らないままでいるのがいいかもしれない。
誰にも知られない私だけの小さな謎、小さな秘密、小さなロマンとして。

  あまき音のチェロが壁越し四月尽  (秋元不死男)

白い花171

白い花172
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キクザキヤマブキ(菊咲き山吹) ~その花びらの形~
- 2017/04/29(Sat) -
菊咲き山吹171

ちょっと変わった山吹。
花びらは細く切れ込んで少し捩れて。
その花に似ていると、名を菊咲き山吹。

しなやかに上に跳ねゆるやかに下に沈む。

眺めればいろいろを忘れてしまうほどに。

  疲れたる淋しき真顔濃山吹 (後藤夜半)

菊咲き山吹172

菊咲き山吹173

菊咲き山吹174
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コゴミ(屈・草蘇鉄) ~草の香りとぬめりと~
- 2017/04/29(Sat) -
コゴミ170

家の周りにあるコゴミ。
今が採り頃、食べ頃。
ゼンマイのようなクルクル頭を摘む。

採りたてを小鉢に。
草の匂いとほどよいぬめり。
口に運べば一味違う食感。
少ししかないからうれしい野の恵み。
ほんの僅かなこの時期だけの贅沢。

「いただきます」
「ごちそうさまでした」

  ものゝ芽にかゞめばありぬ風すこし  (久保田万太郎)

コゴミ171

コゴミ173

コゴミ172

コゴミ174
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シラネアオイ(白根葵) ~花が教える人の感性~
- 2017/04/28(Fri) -
シラネアオイ171

白根葵が2輪。
その色を「京紫」というのだろうか。
やさしい和の風趣を醸す。

いろいろな山野草も少しずつ。
華やかさはないが、それぞれは奧床しい色あいや姿と形。
それこそ、「みんな違って、みんないい」魅力的な花たちである。

    白根葵咲けりといふよ山彦も (水原秋桜子)

シラネアオイ172

シラネアオイ173
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キバナカタクリ(黄花片栗) ~風に煽られて?~
- 2017/04/27(Thu) -
黄花片栗171

黄花片栗も庭に加わる。
見るものに爽やか感を与えるのはその色のせいか。
下を向いてくるりとそり返る花びら。
昔の映画にあった女優の白いスカートが風に煽られる様をちょっぴり思い起こさせたりも。

植えて10年目になるが、今年はさらに株が増えている。
たいした世話もしていないのに。
デリケートなようでいて、結構丈夫らしい。

ゴールデンウイークの話題が耳に届く。
私も少し都会の文化にでも触れてこよう。

  モンローのスカートごと片栗の花   (あや)

黄花片栗172

黄花片栗173

黄花片栗174
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スイセン(水仙)  ~取り出した本~
- 2017/04/27(Thu) -
うたのある風景

書架から取り出して読んでいたのは『うたのある風景』、今から30年ほど前に発刊された古い本だ。
筆者はこの四月初めに亡くなられた大岡信さん。
訃報のニュースを見て、今一度その文章に触れてみたくなった。
『うたのある風景』は随筆集で67編が収められている。
季節感の濃さ、観察と批評の深さは言うまでもないが、その綴られる文章もまた清流のようにまことに心地よい。
「あとがき」で随筆について述べた箇所がある。

 随筆は短い文章である。(略)短い文章はだらだら長い文章よりもずっと難しい。
 それはいかに惜しかろうと捨てねばならぬ材料が多いからだし、一語一語にかかる全体の比重も大きいからである。
 何よりもまず、随筆にする材料を選ぶのは難しい。
 筆に随って思いのままに何でも書けばよろしい、というようなものではない。

評論家、詩人として言葉の重みを大切にしてきた大岡さんの思いの一端を感じ取ることが出来る。

“山のあなたの空遠く、「幸(さいはひ)」住むと人のいふ。”で始まるカールブッセの詩についても取り上げている。
そこには時代の懐かしさと、最近のできごとに連なる叙述もあって興味深いものがあった。

 人には何となくおぼえこんでいる名文句とか愛誦詩の一節とかがあるものだ。
 詩句や文句の意味そのものに対してはもはや感動をおぼえることもないのに、ふと口をついてよみがえると、一瞬心がなごんで
 やさしい気持ちになることがある。
 「山のあなたの空遠く」というこのドイツの一叙情詩人の小曲は、そう言う意味ではずいぶん大勢の日本人にとって、「何となくおぼえている」  愛誦詩だったともいえるものではなかろうか。
 さすがに今では古びてしまったような気がするが、ある落語家がこの小曲をもじった新作落語で「山のあなあな」とやって大受けに受けたのは、決して大昔のことではなかった。

当時、新作落語で「山のあなあな」とやったある落語家とは、先日亡くなった三遊亭円歌さんだった。
(私達には〈歌奴〉の名の方がなじみ深いが)
随筆の中に取り上げて書いた人と取り上げられて書かれた人が、同じ四月に旅立たれたその偶然。

時々、古い本を取り出して読むのもいい。
なぜ自分がその本を残したのか、そんな意味を思い起こさせたり、欲したその頃の自分に遡ることもできる。
あと少し、残っているが今日中には終えそうだ。

庭ではまだいろいろな水仙が咲いている。
  
  一茎の水仙の花相背く  (大橋越央子)

水仙2171

水仙2172

水仙2173

水仙2174
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ナシ(梨の花) ~梨の花が好き~
- 2017/04/26(Wed) -
梨の花171

梨も真っ白な花をほぼ満開に。
その中に赤い蘂がちょんちょん。
可憐と気品が同居する。
そばには赤みを帯びたやわらかな若葉。

『枕草子』 では梨の花について、次のように述べる。     (「木の花は」第三十七段)

梨の花は、じつに無風流なものとして、眼に近く鑑賞することもなく、ちょっとした手紙を結ぶためにさえ用いない。
愛らしさに欠ける女性の顔などを見ては、この花を喩えに引いたりするのも、そう言えば実際、葉の色からして面白みもない。
が、唐土では無類の美花として、漢詩にも詠じている。
やはり、いくらなんでもそれなりの理由があろうと、よく見てみると、花びらの端に、美しいつやがあるかなきについているようだ。
楊貴妃が、玄宗皇帝の使いの道士に会って泣いたという顔に寄せて、「梨花一枝、春、雨を帯びたり」などと詠んでいるのは、
並一通りのことではあるまいと思うと、やはりきわめて素晴らしいこの上ないと思われる。             (藤本宗利監修より)
                                                                                                                                          
私は花付けをした。
受粉作業のことをここらではそう言う。
器に入っている黄色い花粉を梵天に取って、雌花に丁寧に付けていく。
風もなく天気にも恵まれて、作業も捗った。
初秋の実りを思い浮かべながら、2時間ほどで終わる。

  青天や白き五弁の梨の花  (原石鼎)

梨の花172

梨の花173

梨の花174

梨の花175

梨の花176

枕草子梨の花1

枕草子梨の花2
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シュンラン(春蘭) ~犬と青大将~
- 2017/04/26(Wed) -
春蘭171

竹林さんがいつものように愛犬を連れて散歩していた。
大型の黒いラブラドール・レトリバーだ。
見るからに力がありそうで、体重は40㎏ほどあるという。
人なつっこく、顔を近づけて愛想を振りまいてくれる。
艶かな美しい毛並みはなかなか魅力的である。
と、動きが止まり、シモツケの辺りを凝視している。
「何かを警戒しているな」と竹林さん。
顔を出したのはアオダイショウ。
「家の周りにもよくおるんな」とも。
もちろん私の家でも年に何度か現れ出る。
3人(2人と犬一匹)で、彼を見る。
全身を現した時、長さは1㍍を有に超えていた。
逞しい竹林さんだが、「オレはヘビはダメよ」という。
それはゆっくりと、私の外の作業小屋へ入っていった。
黒い彼はまた前足を私に掛けるようにして関わりを求めて来る。
「散歩の邪魔したね」と言って、頭を撫でて別れる。

いよいよヘビも季節か…。
実は私も大の苦手なのである。

二株の春蘭にも花が見られるようになった。
そばには桜の花びら。

  春蘭を得し素朴なる日を愛す (吉田草風)

春蘭172

春蘭173

春蘭174
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ヤマブキ(山吹) ~クレヨンにあった名~
- 2017/04/25(Tue) -
山吹175

風が吹くたびに山吹は大きなまとまりとなって揺れる。
眩しいほどの鮮やかな濃い黄色がゆさゆさと。

子どもの頃はその色を「やまぶきいろ」と言った。
クレヨンにもそう書かれていた。
もし、幼い頃に絵に描いたとしたら、画面いっぱいにその一本でぐしゃぐしゃと塗りつぶしたのではないか。

いつか「面影草とか、かがみ草ともいう」と聞いたこともある。
古くも人を想って歌われる。
「山吹の花のさかりにかくの如君を見まくは千年にもがも」(大伴家持 万葉集巻二十4304)。

子どもの無邪気な絵模様を思い出させ、大人の深い思いの絵模様を思い起こさせる花である。

   山吹の一重の花の重なりぬ (高野素十)

山吹171

山吹172

山吹173

山吹174
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キズイセン(黄水仙・糸葉水仙・匂い水仙・香り水仙) ~鼻を近づけて~
- 2017/04/25(Tue) -
キズイセン170

パタパタパタ…とせわしく風になびく幟。
カラカラカラ…と風車も金属音をたてる。
四世代家族の隣の家に今年も2本の豪勢な鯉幟が立った。
そのひ孫さんの名前を私は知らない。

少し遅れて小さな黄水仙。

葉が細い。
それで糸葉水仙とも。
いい匂い、いい香り。
それで匂い水仙、香り水仙とも。

鼻を近づけてそのジャスミンのような香りに遊ぶ。

   黄水仙人の声にも揺れゐたる  (村沢夏風)

キズイセン171

キズイセン172
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ヒトリシズカ(一人静) ~まゆはき草ともいふ~
- 2017/04/24(Mon) -
一人静175

立ち上がる茎の先に何本もの白い糸が吹き出るようにその花は咲く。
赤みを帯びた若葉に優しく包まれて。
古名にまゆはき草の名もあるという一人静。

義経と静御前の遠い物語に思いを馳せて。
わたしもひとりしずかに。

   逢ひがたく逢ひ得し一人静かな   (後藤夜半)

一人静171

一人静173

一人静174
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レンギョウ(連翹・golden‐bell) ~畑にも少しずつ~
- 2017/04/24(Mon) -
レンギョウ170

苺には白い花。
葉を広げる明日葉。
葱の先には葱坊主。
アスパラもニョキニョキ。
土を持ち上げて芽を出す馬鈴薯。
畑にも伸び伸びとした野菜たちの顔。

目を移せば黄金色の花を咲かせる連翹。
4枚の深い切れ込みを持つ小さな花がびっしり。

ああ、気持ちいい、気持ちいい。

   連翹に挨拶ほどの軽き風  (遠藤梧逸)

レンギョウ171

レンギョウ172

レンギョウ173
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ハナモモ(花桃・照手白と照手桃) ~お揃い~
- 2017/04/23(Sun) -
照手桃171

ハナモモの白と桃色が隣りに並ぶ。
箒状に伸びる八重の照手白と照手桃のセット。
揃って咲くのが嬉しい。

桃だから一応実もなる。
でも小さいし、食べられない。
名に花を冠するように、あくまでも鑑賞木としての桃である。

春の日は日ごとに、目が左右上下に忙しい。

   青空や花は咲くことのみ思ひ  (桂信子)

照手白171

照手桃172

照手白172

照手桃173

照手白173

照手桃174
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ジンチョウゲ(白花沈丁花) ~一人花香浴~
- 2017/04/23(Sun) -
白花ジンチョウゲ171

ツバメの数が一気に増えた。
複数が縦横に飛び交う様についつい目を奪われる。
その速さと切れのい滑空は他の鳥にはない美しさがある。
見ていて爽快な気分になり気持ちがいい。

ところで、これだけ間近に見るツバメだが、これまで我が家に巣を作ったことはない。
建物の構造が彼らの巣作りの環境に適していないのか、敬遠される理由は何なのかよく分からない。
卵の孵化、そして子育ての様子も見たいなどとも思うが、色々のことを考えれば、巣がなくてありがたいのかもしれない。

庭のいい香りはまだ続く。
今は白い沈丁花である。
昔から沈香と丁香にたとえられるという香り。
私はそれを花香浴という言葉にして一人楽しむ。

  沈丁の四五はじけてひらきけり (中村草田男)

白花ジンチョウゲ172

白花ジンチョウゲ173
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ヒメリュウキンカ(姫立金花) ~電話~
- 2017/04/22(Sat) -
ヒメリュウキンカ171

ラジオでは俵万智の『サラダ記念日』に触れて、“家電話”のことが話題になっていた。
それが発刊されたその頃は携帯電話はなかった。
だから電話というはわざわざ断らなくても当然固定電話のことを指す。
しかし、現在は携帯端末の普及に伴い、その区別の概念として新たに「家電話」という言葉が生まれたのだと。
作家の言葉に頷きつつ、その当時、自分も「〇〇記念日」を付けて、歌遊びをしたことを思い出していた。

「叔父さんから電話」と、呼ばれた。
話すのは去年の秋以来になる。
「いただいて鉢植えにしておいた柏葉紫陽花がしとなっとるが、地面に植え替えた方がいいかな」
「地植えするとかなり大きな株になるので、植える場所をよく考えた方がいいですよ」
「そうかな、じゃあ今年はそのままにしておくか。また見にお出かけて」。
ご自身は車の運転での外出は控えていらっしゃるようだった。
「それから、ルリタマアザミの実生もたくさん出てきているんだが、いるかな」
来週、二人で訪ねることにした。

風呂を出ると電話が鳴った。
義兄からだった。
「緑を守る会」についてだった。
町の生活環境について、樹木の維持と豊かな緑を大事にした景観保持を訴えていた。
その趣旨説明と賛同をということだった。
日を改めて直接話をしたいという。
了解した。

庭には艶やかな黄色い花が咲いている。
姫立金花という。

  野の花に「またありがとう」と春の日   (あや)

ヒメリュウキンカ172

ヒメリュウキンカ173
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ウコギ(五加木) ~革の手袋~
- 2017/04/22(Sat) -
五加木171

「五加木を切ってくれる?」

畝作りがもう少しで終わろうとしていた時に、家から出てきた家人がそう言った。
鍬を置き、枝切り鋏に持ち替えて五加木を切った。
30本ほど切り、頭を揃えて持って行った。
「この倍くらい切って」と言われた。
戻って同じくらい切った。

「葉を取って」
「畝を終わったら」

キュウリととトマト用の畝である。
連作を避けるように配置を考える。
程なくして終わった。

革の手袋をする。
普通の軍手でやると棘は抜けて指を刺す。
ひたすら枝から出たばかりの葉を外し取る。
4籠になった。

おひたしになって夕食に出たのは言うまでもない。
数日はこれがきっと続くだろう。
好きなので構わない。

「明日も切って。冷凍しておくから」

五加木は桜の樹のそばにある。
早朝に片付けよう。

  羚羊の出るといふ谿五加木摘む  (三村純也)

五加木172

五加木173

五加木174

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ユキヤナギ(桃花雪柳) ~たくさんのしっぽ~
- 2017/04/21(Fri) -
ユキヤナギ171

枝を包み込むたくさんの小花。
まるで動物のやわらかな尾のよう。
それらが空を差して伸びる。
風が吹くたびに、揃ってゆらゆらと。

四月も下旬。
春が辺り一面に谺する。

    雪柳花みちて影やはらかき (沢木欣一)

ユキヤナギ172

ユキヤナギ173

ユキヤナギ174

ユキヤナギ175
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スイセン(八重咲き水仙) ~まちがえないように~
- 2017/04/21(Fri) -
八重咲きスイセン171

山菜の季節である。
私も初々しい野のものを摘んでは籠に入れる。

ところで、テレビの地元局では類似する有毒植物への注意を呼びかける。
新芽の姿形は区別が付きにくく、この時期誤って採集することが多いという。
昨年、県内のある小学校ではスイセンの葉をニラと思って調理に使い、子どもたちが中毒症状を起こした。
その両方を育てている者からすれば、「エッ」と思うが、慣れない人からすれば似ているように見えるのだろう。
夕べもウルイを食したが、これにもバイケイソウの誤食があるという。

いろいろなことに過信は禁物。
知っている、分かっている、大丈夫に気をつける。

スイセンも何種類かが咲く。
八重のスイセンはだんだんに頭が重くなり、茎が持ちこたえられなくなって撓んでいる。
そして最後はいつも頭を地面に付けてしまう。

   清浄な葉のいきほいや水仙花 (岩田涼莵)  

八重咲きスイセン172
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シデコブシ(幣辛夷・姫辛夷) ~それぞれの形~
- 2017/04/20(Thu) -
幣辛夷006

淡紅色の花を咲かせる幣辛夷は家の北隅の人目のつかないところにある。

捩れた花びらが他と違う趣があって、また味わい深い。
その不規則のひらひらに一つの造型の美を感じたりもする。
きっと何らかの意味を持ってまとまらぬ形をつくっているのだろうが。

花もそれぞれ。

私は運転免許の更新を済ませた。

  花辛夷信濃は風の荒き国  (青柳志解樹)

幣辛夷618

幣辛夷610

幣辛夷043
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ヒュウガミズキ (日向水木) ~もしかして~
- 2017/04/20(Thu) -
ヒュウガミズキ170

畑の上を黒い影が、線を引くように速いスピードで通り過ぎる。
もしかしてあのフォルムと飛型は…。
それが遠くで反転し美しい軌跡を作って戻って来る。
今度ははっきりと見えた。
確かめられた。
やはりツバメ、今年初めて見るツバメ。

まずは1羽だけだったが、明日は、明後日はどうだろう。
何につけても、「初」が付くことやものを目の前で体験するのは嬉しいものである。

ヒュウガミズキも咲く頃となった。
小さいな淡黄色の花はみんな下を向く。

  来ることの嬉しき燕きたりけり  (石田郷子)

ヒュウガミズキ171

ヒュウガミズキ172
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セイヨウシャクナゲ(西洋石楠花) ~「五加木持ってきたの」~
- 2017/04/19(Wed) -
西洋石楠花171

義姉の車が入ってきた。
「五加木持ってきたの」と膨らんだレジ袋を手渡す。
五加木は家にもあり、そろそろ採ろうかと思っていた頃である。
でも、わざわざ棘のある枝から手摘みして持ってきてくださったもの、届けてくださるその思い、黙っていただいた。
「あがって」
「そうもしてられないの。来客があるから」
そう言って忙しそうに車に乗り込み、庭を出て行った。

家の入り口には両サイドに対になって西洋石楠花が植わっている。
東側のが咲いた。
面白いことに二つが同時に咲くことはまずない。
それぞれに組み込まれている開花指令の設定条件が微妙に違うようだ。
西側の方のはもう少し高い気温が好みらしい。
時期をずらして楽しませてくれるので、それはそれでいい。

西洋石楠花の花はひとまとまりに丸くなって、まるでのピンクの手毬のようである。

  空の深ささびし石南花さきそめぬ  (角川源義)

西洋石楠花172

西洋石楠花173

西洋石楠花174

西洋石楠花175
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ハナニラ(花韮・Ipheion) ~挨拶状と思い出~
- 2017/04/19(Wed) -
ハナニラ171

昔の同僚から退職の挨拶状が届いた。
38年間を勤め上げたと。
一緒の時の懐かしい思い出が手書きで添えられていた。
事務的に通り一辺倒でなく、そんな心遣いを常に持っていた。
誠実、勤勉、適確、信頼、そんな言葉を着ているような仕事の出来る人だった。
これから先のことは書かれていない。
完全にリタイヤして趣味に没頭するのだろうか。

それぞれに新しい生活を始めている四月。

ハナニラがあちこちに顔を出している。
知らないうちに増えている。

    縁とは絆とは春の愁かな (富安風生)
 
ハナニラ172
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スモモ(李・plum) ~自分の中にいろいろな形で現れていること~
- 2017/04/18(Tue) -
李170

ようやくコルセットを外した。
数日前、畑の草取りで腰を痛めた。
たかだか、2時間ほどの働きだった。
そんな自分が情けないと思った。
寝ている時も痛くて何度も寝返りを打っていた。
自分の思っている体と現実の体に大きなギャップを突きつけられる。
こんなことがこれから益々増えていくのだろう。

昨日、姉が電話で言っていた。
「そろそろ終活を考えていたりしてね、お墓なども調べたりしているの」
「樹木葬もいいかと思って…」

心身の中に、誤魔化しや逃げることのできないじわじわと押し寄せてくるものがある。
それは見える形感じる形であったり、見えず気づかずにいつの間にか居座っていたりする。

李の木が白く染まる。
今年はどれだけの実がなるか。

   放縦に背戸の李の花盛り   (相馬遷子)

李171

李172

李173

李174
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ヒイラギナンテン (柊南天) ~なぜ棘を持つ~
- 2017/04/18(Tue) -
柊南天171

桑の木を伐った。
登れるほどの大きい木だった。
毎年、子どもの頃を思い出させる黒い実をたくさん付けた。
鳥たちもよく来た。

省く。
減らす。
軽くする。
小さくする。

最近とみにそんなことを思う。
で、伐った。

隅に咲く黄色い小さな花は柊南天。
葉には鋭い棘を持つ。
これは残す。
鳥は寄ってこないが。

  春といふ大いなる掌の上   (内藤悦子) 

柊南天173

柊南天172
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サクラ(ソメイヨシノ・染井吉野) ~桜の命~
- 2017/04/17(Mon) -
染井吉野171

まだ四月半ばというのに夏の陽気だったという。
遠望の塩見も山肌には黒い部分が多く占めるようになった。

気温の上昇に伴い、草木の芽吹きや開花も一斉にという感がある。
庭の花模様も、日々、昨日と違う今日の様子が見られる。

染井吉野も見頃となった。

   さくら満ち一片をだに放下せず (山口誓子)

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染井吉野173

染井吉野174

染井吉野175

染井吉野176
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タラノメ(楤の芽) ~「食べられそう」~
- 2017/04/17(Mon) -
タラノメ171

鍬を置いて、休んだ。
温かいお茶を飲んだ。
畑にはいつもマグボトルを持って行く。
季節や気温に合わせてに合わせて温度や中味も変えて。

ボーッと辺りを見渡していた。

北隅の楤の木が目に入った。
ボトルを置いて、近寄った。
タラノメがいつのまにか大きくなっている。
採り頃ではないかと思った。

家の中に声を掛けた。
「タラノメが食べられそうになっているけど…」
「見に行くわ」

籠を持って出てきた。
「いいじゃない。食べられそう」
「これとあれとそれと、それからあれとそれも」と指示する。
私は手に力を入れて捻り採る。
とりあえず5個。
「夕食は天麩羅ね」

あと2、3回は収穫できそうだ。
棘が刺さったことは黙っていた。

  みつめゐてまぶしき楤の芽を摘みぬ  (加藤知世子)  

タラノメ172

タラノメ173

タラノメ174

タラノメ175

タラノメ176
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コブシ(辛夷) ~ひらひらと~
- 2017/04/16(Sun) -
辛夷171

1㎝ほどの厚めの双葉がかたまってたくさん出ていた。
去年のこぼれ種からの向日葵の芽だった。
間隔を取り、一列に揃えて植え替えることにした。
小さな芽が「そうして」と促しているように思えた。
整然と並んだ30個ほどの顔は嬉しそうに見えた。
腰を少し痛めていたが、やってよかった。

樹の上では辛夷の白い花が咲いている。
渡る春風にひらりひらひらと。

    辛夷満開こぞりて天に祈るかな   (成瀬桜桃子)

辛夷172

辛夷173

辛夷174
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ツバキ(椿) ~頭の片隅に~
- 2017/04/16(Sun) -
椿2170

椿の木がある。
上には赤い花。
下にはピンクの斑入りの花。
中程はそれが混在して咲いている。
ずっと前からそういう咲き方。
面白いというかちょっと不思議。

新美南吉の「牛をつないだ椿の木」という物語が好きだった。
40数年前に読んだ本だった。
今でも大事に取ってある。
開けば中はだいぶ色褪せてはいるが。

椿を植えたのはどこか頭の隅に、そんなこともあったのかもしれない。

  かほどまで咲くこともなき椿かな (飯島晴子)

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牛をつないだ椿の木171

牛をつないだ椿の木172
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ヒガンザクラ(彼岸桜) ~桜には~
- 2017/04/15(Sat) -
彼岸桜170

彼岸桜も満開を迎えている。
下に立つと、その中に吸い込まれそうになる。
やはりこれも例年にだいぶ遅れての開花となった。

実は、今年の花の様子については少し心配をしていた。

枝が伸びて広がり、それがお隣さんの屋根にも差し掛かろうとしていた。
これはいけないと、昨秋にそれを何本も伐り落としたのだ。
その鋸のダメージが春に影響するのではないかと思っていた。
見上げれば樹を埋め尽くす花。
それは杞憂に過ぎた。

一つの花も。
どのかたまりも。
全体のまとまりも、どれもが桜。
桜には人に送る“さまざまな気”があるように思う。

“桜の樹の下には屍体が埋まっている”と書いた小説家もいたが…。

  さくら満ちうすくれなゐに家族ゐし  (中山純子)
 
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ミツマタ(三椏・三叉・ paper‐bush) ~仲良く入り交じって~
- 2017/04/14(Fri) -
ミツマタ170

手毬状になって黄色い花。
同じように朱色の花。
一つの木から二つの色の花。
仲良く入り交じって咲く三椏の花。

4枚の小さな花びら(萼)の中には4つの小さな蕊。
その外を覆うビロードのような艶やかな毛。

枝が次々と3本に分かれるから三椏(三叉)。
確かめると本当にそうだからおもしろい。

    三椏の花に光陰流れだす (森澄雄)

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