メジロ (目白) ~二月も尽きて~
- 2017/02/28(Tue) -
メジロ3753

石垣が崩れていた。
なぜか、その原因はよく分からない。
積み直した。
それぞれの石の形や大きさを見ながら、バランスと角度を考えて置く。
約二時間、なんとか積み終わる。

生活しておれば、思わぬところで意外なことが起きたりする。
モノの劣化、カタチの崩壊、自然の力がもたらす変化。
そしてヒトとの関係なども。
それらに伴う、様々な現象等々。
不器用だが、それなりに対応して過ごす。

にわかの石積み。
さて、いつまで持つか。
地震には耐えられるか。

桜にも目白が遊ぶ。
まだつぼみは固い。

  光りつつ鳥影よぎる二月尽  (小沢明美)

メジロ3754

メジロ375
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ロウバイ(臘梅) ~目の中にまた春が一つ~
- 2017/02/27(Mon) -
臘梅174

臘梅も開く。
花はワックスを塗ったように艶やかである。
近寄ると芳香が鼻の奧に入ってくる。

その枝には鵯が毎日やってくる。
彼はその香り漂う花を貪るように食べる。
目に映る物は食べられるものとそうでないものの二種類としてしか区別していないのだろう。
彼が飛び去ったあと、地面にはいくつもの花が落ちているのが常である。
怒らない。
怒ってはいけない。
私がが観たい愛でたいと思うのと、彼が欲しい食べたいと思うのは同列の価値観なのだ。

やわらかなレモンイエローの花びらは空の青に映える。
また一つ、目の中に春がある。

  臘梅の字読めて書けずうふうふふ  (あや)

臘梅171

臘梅172

臘梅173
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ツグミ(鶫) ~少し早いかもしれない~
- 2017/02/26(Sun) -
ツグミ01

この週末の予定を立ててあった。
少し早い気もするが、スタッドレスタイヤの交換である。
目が受ける光も明るさを強くし、肌に感じる日中の気温も日増しに春を感じさせる。
この先、もし雪が降ったとしても凍結することなくすぐに溶けるだろうと。

青空、絶好の作業日和。

支度して、道具を整え、夏用タイヤを小屋から運び出す。
作業はいつものようにイヤホンでラジオを聞きながら。
無理しないように安全にゆっくりと。
まずは家人の車に取り掛かる。
70分掛かった。
次の軽トラは40分で終了。
ひとまず今回はここまで。

それにしても、タイヤを持ち上げては降ろし、運んでは積み上げることを年々負担に感じる。
こうした作業もいつまで自分で出来るかと先を案じたりもする。

自分の車は次の週末に予定してある。
これは一回り大きくて重いタイヤを履く。
頑張るか、ガソリンスタンドにお願いするか…迷っている。
少し考えよう。

キイッ、キイーッ。
このところ鶫も姿をよく見せる。

  翔てば野の光となりて春の鳥  (長瀬きよ子)

ツグミ02
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マンサク(満作・金縷梅) ~先がけて~
- 2017/02/25(Sat) -
マンサク174

細長い布紐をくるくると強く巻く。
それから手を離すと、巻き皺を残して捩れながら戻る。

マンサクの開花する様子は、たとえればそんな感じ。
それがいくつも絡み合うような咲き方をする。
しかも花は枝から直に吹き出る。
不思議というか、変わっているというか、面白いというか。

「満作さん」は優しくて温かくて力持ち?

その名の由来を尋ねればなるほど。
春真っ先に開花する花、つまり「まず咲く」からマンサク。
花が枝に「満ちて咲く」からマンサク。
黄色い四弁花が稲穂のようで「豊年満作」を思わせるからマンサク。
待ち焦がれた春訪れの喜びや期待感がその名付けに表れている。

「金糸の梅の花」と充てるのも言い得て素敵。

ところで、春告げ花にはなぜ黄色が多いのだろう。

   まんさくの花びら縒(より)を解きたる  (仁尾正文)

マンサク171

マンサク172

マンサク175

マンサク173






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シジュウカラ(四十雀) ~「ア~アツッピー、オイシカッタツッピー」~
- 2017/02/24(Fri) -
四十雀1721

カリンの木に雄の四十雀がやって来ました。

彼が見つけたのは枝に残る一枚の少し膨らんだ枯葉です。
それはどうやら虫の冬籠もりの拵えのようです。
それに両脚を添えて下から嘴を突っ込みます。
その先で虫を捉え、首を捻りながら引っぱり出します。
そして飲み込みました。
満足したのでしょうか。
彼は一鳴き二鳴きして立ち去りました。

二月下旬、穏やか日和の庭のひとこまです。

  春めきてものの果てなる空の色   (飯田蛇笏)

四十雀1722

四十雀1724

四十雀1723

四十雀1725
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ヒマワリ (枯れ向日葵) ~観る~
- 2017/02/23(Thu) -
枯れ向日葵171

知人から展覧会の招待状をいただき観てきた。
7部門からなる総合展である。
充実した大作が並ぶ。
堂々とした円熟味と若々しい斬新さが響き合って、会場全体を格調高い静謐な文化空間にする。
それぞれの作家の豊かな感性と個性的な表現性に学びを多にする。
個々の作品が放出する限りない創造の可能性にあらためて刺激受け、意欲を駆り立てられる。

知人が出品したのは洋画100号の「せせらぎ」というタイトルの作品。
普段誰も気に掛けないような身近な風景をテーマに写実で追求し続けるその制作態度は何年もぶれていない。
その誠実な仕事ぶりに敬服する。

向日葵が1本、枯れ姿で残る。
いや、残しておいた。

  風の耳拾ひあつめし二月かな  (木村敏男)

枯れ向日葵172

枯れ向日葵173
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エナガ(柄長・long‐tailed tit) ~かわいい仕草と表情~
- 2017/02/22(Wed) -
エナガ171

柿の枝を小さな鳥が動く。
チュリュチュルリュ。
エナガだ。

すーっと伸びた長い尾。
綿のようなふわふわとした丸い体。
首をすくめたような短い首。
頭の後ろまで回る黒い眉斑。
それに囲まれる白い頭頂部。
短い嘴と小さな目。

仕草と表情が動くオモチャのように愛らしい。
掌に乗せたくなる。

鳥たちの動きも陽気と共に活発となっている。

  青年に春の鳥きて名告りけり   (鳴戸奈菜)  

エナガ172

エナガ173
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二月の山 (雪山) ~だんだんと、だんだんに~
- 2017/02/21(Tue) -
雪山172

ある証明書類を発行して貰うために公的事務所に行った。
「早くても30分から1時間の待ちになりますがよろしいですか?」
案内係の女性は時間が掛かることを申し訳なさそうに伝える。
毎日がそうなのか、それとも時期的なことなのか。

待合室の椅子はたしかに大勢の人である。
窓口は6箇所、見ていると一人ひとりの時間は15分前後だろうか。
秘島を特集した婦人雑誌を捲りつつ、番号を呼ばれるのを待つ。
番が回ったきたのは40分ほど経ってからだった。
私の用件はものの数分で済んだ。

外へ出るとけっこう吹いていた。
帽子が飛ばされそうな強さだ。
こうした風の様子もまた一つ、春到来を示している。
だんだんと、だんだんに「春」を示す現象が目にも増える。

  雪嶺よ日をもて測るわが生よ  (相馬遷子)

雪山171
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メジロ (目白) ~やってきたのはきれいな目をした~
- 2017/02/20(Mon) -
メジロ728

ピチュピチュピチュ…。
外に賑やかな声がする。
目を遣ると臘梅にメジロたち。
その黄色い花がお目当てらしい。
嘴を挿しては吸っている。

だいぶ暖かくなった。
鳥たちも春を感じているのだろう。

それにしてもメジロはいつ見てもかわいい。

  見えかくれ居て花こぼす目白かな (富安風生)

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メジロ731

メジロ732
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子どもの木彫(着色) ~空の色~
- 2017/02/19(Sun) -
男子木彫23

ティーポットを落とした。
壊れた。
私専用のものだったので少し残念。
形あるものは必ず壊れるものだが…。
ただこのところこうしたことがよくある。
先日も小皿を割ったばかりだ。
手から落としたり、うまく持ち上げられなかったり。
滑りやすくなっている指先を見れば、指紋の溝が浅くなり、その渦の形も不明瞭になっている。
このごろ、手の機能や感覚の衰えをも実感する。

10日ほど前に彫った子どもの木彫に着色をした。
最後まで迷った靴の色は空色にした。
「すずさん」の見上げる空が思い浮かんだ。

   雨水より啓蟄までのあたたかさ   (後藤夜半)

男子木彫20

男子木彫21

男子木彫22

男子木彫24
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スノードロップ(snowdrop) ~♪悲しくて悲しくてとてもやりきれない…♪~
- 2017/02/18(Sat) -
スノードロップ1721

山茱萸の木の下にいくつかの白い花。
下を向いて咲くのはスノードロップ。
それはその名そのままの、雪の雫のよう。
花言葉は“希望”と“慰め”。

「世界の片隅に」の映画を観た。

関東では春一番が吹いたらしい。

  春一番武蔵野の池波あげて  (水原秋櫻子)

スノードロップ1722

スノードロップ1723

スノードロップ1724
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フクジュソウ (福寿草) ~睦み合うこがね色~
- 2017/02/17(Fri) -
福寿草171

陽気は春隣に来ていることを教えてくれています。

庭にも少しずつ色が増えます。

枯葉の中には黄金色が仲良くかたまっています。

春告げの花、福寿草です。

ついつい童謡を口ずさんでしまいます。

   福寿草愛の言葉がかたまれり  (あや)

福寿草172

福寿草173

福寿草174
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戸嶋靖昌 ~小さな美術館は情熱の迸る場だった~
- 2017/02/16(Thu) -
左アルパイシンの男―ミゲールの像ー50号 1990年  右「立つペドロ」40号 1991年アルパイシンの男―ミゲールの像ー50号 1990年               立つペドロ 40号 1991年

「新橋駅から…」
「銀座線で赤坂見附で半蔵門線に乗り換えて……」
「半蔵門線駅の4番出口を出て…」

便利な都市交通も、なれない田舎者にとっては、複雑で戸惑う。
道道、何度か尋ねつつ、その美術館にようやく辿り着いたときには11時30分を過ぎていた。
それは英国大使館、麹町警察署などに近いビルの中にあった。

「観覧を予約しておいた長野の…ですが」
「お待ちしておりました。ではご案内させて頂きます。」
学芸員と一緒にエレベーターで上がる。
開けて下さった白いドアの中が展示室となっている。
「順路は特にありませんので、ご自由に好きな方からご覧下さい」

戸嶋靖昌が目の前にある。
これが見たかった。

左回りで見ていく。
メインの壁にはあの『ミゲールの像』(1990年作)
テレビで紹介されていたあれもこれもそこにある。
これらを描いた日本人がいた。
たとえばゴヤやレンブラントからその表現の精緻さを省いたような荒々しい情念で描かれた人物像。
モデルと画家の激しくぶつかりあう感情が飛び出す『クリスティーナの像』。

一通り見て最初の位置に還り、今度は右回りで作品を戻る。
そしてやはり『ミゲールの像』の前で立ち止まる。

中央に置かれてある唯一の彫刻。
モデルは、無名だった彼の芸術性を高く評価し、今に送り出した館長執行草舟氏。
ブールデルを思わせる構築性を持った勢いのある大胆な肉付け。
それもそのはず。
戸嶋はもともと武蔵美の彫刻科を卒業し、助手まで務めていたのだから。
粘土ベラや彼の指や掌のタッチが残る勢いのある表現である。
しかし、あくまでも対象の根幹は力強く坐っている。
モデルの内面の奥深い人間性にも迫るまでの生命感。
360度、何処から見ても執行氏はこのような確固たる強い信念をもった人物なのだろうと想像させる。
最後に今一度確かめたい作品だけを見る。

やはり学芸員の方の案内で玄関ロビーに出る。
その礼儀正しさにも感銘受ける。
「長野からわざわざ来て下さったということですので…」
そう言って、美術館や戸嶋靖昌の資料、執行氏著作の案内などを下さる。
篤いおもてなしに恐縮。

帰路に就く中央道高速バスの中で執行館長と武蔵美学長による対談「戸嶋靖昌とその時代」に目を通す。
戸嶋の真髄に触れた言葉を拾う。
・日本の芸術家として歴史に残る人物だと信じている
・戸嶋の絵は非常に彫刻的で音楽的
・美しさより、崇高さを持っている
・戸嶋にとって大切なのは「生命」の探求
・魂の画家であり、芸術の求道者
・すべての飾りを取り除いた上での生命を描こうとしている
・血みどろのリアリズム
・打算のない、自分の造形に一直線という生き方から出て来る哲学を持っている
・エネルギーのおもむくままに描いている

しばらくは戸嶋靖昌から受けた衝撃を懐に抱きつつ。

  晴れわたる浅黄の空の二月かな  (物種鴻両)

リーフレット 執行草舟著「孤高のリアリズム」ー戸嶋靖昌の芸術ーリーフレット 執行草舟著「孤高のリアリズム」ー戸嶋靖昌の芸術ーより部分

戸嶋靖昌記念館資料
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都会の静かな早い朝 ~日常と違う窓から眺める風景~
- 2017/02/15(Wed) -
東京の朝1

起床はどの場所であれどの布団であれいつも同じ。
一年中ほぼ変わらず3時過ぎに体は目覚める。
この時期は起きてから明るくなるまでの時間が長い。
家ならすることもあるが、旅の部屋なら静かにしているほかない。
ベッドライトを向けて持参した文庫本の『晩年』を開く。
読み進めて「道化の華」でようやく3分の1。
分からないでもない人生観と危うい生き方と…そんな世界もある。

最近昔の本を読むことが多くなった。
内容をすっかり忘れていたりして、どれもが初めて読むような感覚がある。
進歩も成長もないと思うが、今の自分に合っている気がする。

髭を剃る。
バスに浸かる。
着替える。

音を立てないようにそおっとカーテンを引く。
目に映るのはオレンジの光が届き始めた静かな海のある風景。
動くものはほとんどなく、まだ都会は働く外の顔を見せていない。
それぞれ今日という日のための準備を整え過ごしている時。

自由の女神が見下ろせる。
その向こうにはスカイツリー。
左に目を向ければレインボーブリッジ。
奧に東京タワー。

いつもなら臘梅にヒヨドリがいて。
椿の枝葉の中をメジロが遊んでいて。
庭をのんびり雉鳩が歩いていて。
ジョウビタキのかわいい挨拶が聞こえて。
そんな日常と違う風景が広がる朝。

6時35分。
そろそろ起こす。
予定をたててあるのだから。

  詩に瘦せて二月渚をゆくはわたし  (三橋鷹女)

東京の朝2
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ナノハナ(菜の花) ~大都会の中に佇む昔~
- 2017/02/14(Tue) -
浜離宮1

麹町にある小さな美術館。
その開館は11時。

それまでの時間を過ごす。
選んだのは浜離宮。

この時期のそれもこの早い時間だからなのだろう。
人の姿はほとんど見られない。
わずかに家族連れや外国人がちらちらりと。

菜の花が満開。
白梅も匂う。
三百年の松の威風堂々。

馬場、鴨場、船遊び。
脳裡に映る将軍、奥方、公家のいる光景。

のんびりと気ままに橋を渡り、茶屋に寄り、小山に登り。

見上げれば空に伸びる高層ビル群。
足元には江戸の高貴な文化。

時刻は10時過ぎ。

「新橋駅まで歩いて15分ほどです」。
どっぷり浸かった昔の時間から都会のあふれる喧噪へ。

  菜の花といふ平凡を愛しけり  (富安風生)

浜離宮2

浜離宮5

浜離宮6

浜離宮3

浜離宮4
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クロアゲハ(黒揚羽) ~冬の蝶に早すぎた春~
- 2017/02/13(Mon) -
黒揚羽111

尽きました。

体を仰向けにして。
だんだんと動かなくなり。
さいごは少し翅を震わせて。
標本のように広げて整え。

シクラメンの中に入ったり。
コチョウランの上で休んだり。
エアコンの横や蛍光灯の周りを飛んだり。
でも一番好きな場所はレースのカーテンでした。
外へ出たかったのかもしれません。

7日に羽化し、11日ですから、たった4日でした。
用意した砂糖水には口を付けませんでした。

赤い板の上に乗せました。
綺麗なままです。

私のエゴでした。

  凍蝶のいのちの翳(かげ)の漂へる (鈴木榮子)

黒揚羽113

黒揚羽112

黒揚羽115

黒揚羽114
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シモバシラ(霜柱) ~今そこにある言い換えることのできない事実~
- 2017/02/12(Sun) -
霜柱171

世界気象機関(WMO)から発表された温暖化の記事を読んだ。
2016年の世界の気温は1880年代に観測を初めて以来、最も暑い年だったという。
世界の陸上と海上の気温は産業革命前の平均に比べて1.1度の上昇を記録したのだと。
北極と南極の海氷も史上最少の記録を更新し、世界の気温はこれで3年連続で史上最高を更新したとも。

………………………………。
『沈黙の春』と『不都合な真実』
………………………………。

雪が降った。
その下から霜柱が立ち上がっていた。
  
   霜柱伸び霜柱押し倒す  (右城暮石)

霜柱2

霜柱3
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ツグミ(鶫) ~寒い日のこと~
- 2017/02/11(Sat) -
ツグミ170

寒い日だった。

鳥の鳴き声がした。
桜の枝にいた。
鶫だった。

寒い日だった

宅配便が届いた。
家人の注文の品だった。

寒い日だった。

鵯の声がした。
鶫はいなくなっていた。

   鶫一羽遠く見ている野面見ている (金子皆子)

ツグミ171
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子ども(木彫) ~久しぶりに彫る~
- 2017/02/10(Fri) -
男子木彫6

寒いですね~。
いつまでも寒いですね。
インフルエンザがかなり流行っているようですが、大丈夫ですか?
ええ、あまり外へ出ないですから。
家では何をしているんですか?
本を読んだり、音楽を聴いたり、それから…。
退屈しませんか?
そんなことないです。やりたいことはいっぱいあって。
どこかに出掛けるということはないんですか?
がんらい出不精で。
へえ~、もてあましそう。
そうそう、久しぶりに木を彫ったんです。見ます?
ぜひ。
これなんですがね。
あら、こどもさん?
はい、ずっと前からこどもを彫ってみようかと思っていたんです。
小さい。よくまあ。
なんとか彫り上げることができました。
堅そうな木ですね。
いえ、朴の木ですのでそれほど堅くはありません。
何を使って彫るんですか?
今回は主に小刀と反り小刀を使いました。所によって彫刻刀も使ってあります。
細かくて大変でだったでしょう。
そうですね。刀が入らなくて難儀したりしました。でも楽しみながらぼちぼちと。
どのくらいかかりましたか?
どうでしょう。一週間くらいですかね。
これで仕上がりですか?
ええ、一応およその彫りは終わりですが、この後細かなところに手を入れてから着色しようと思っています。
じゃあ、また色が付いたのを見せてください。
そうですね。ではまたしばらくしたら、時間を見てお出かけください。

  きびしさと春の寒さとあるばかり  (上村占魚)

男子木彫1

男子木彫2

男子木彫3

男子木彫0

男子木彫5

男子木彫4

小刀と反り小刀

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クリスマスローズ(Christmas rose) ~「三寒四温と言うんでしょうか」~
- 2017/02/09(Thu) -
赤いクリスマスローズ172

ラジオをかけながら作業を進める。
男性のパーソナリティーと女性アナウンサーとの軽妙な掛け合いで番組は進行する。
遠くのリスナーからの生業や暮らしぶりが届けられる。
そしてそれぞれの土地の行事や地元料理なども紹介。
手に集中しながら、耳の向こう側の光景などに想像を膨らませる。

話題は季節暦に。
梅が咲いたとか。
河津桜のこととか。

「この頃のことを三寒四温って言うんですかね~」
「そうだと思いますよー」

手を休めて、休憩。
目のために、時々外へ出て周りの景色を見るように心がける。

梅はまだ小さな赤い膨らみ。
臘梅は幾つか開いている。
福寿草も杯のような黄色い花を。
クリスマスローズで2番目に咲いたのは赤紫。
キッキッキッキッ…、見上げれば桜の枝に百舌。

さてさて、続きの仕事。
サンカンシオンサンカンシオ~ンサンカンカンカンシオンオンオンオ~ン…。

    水は三寒地は四温なる夕景色  (能村登四郎)

赤いクリスマスローズ171
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クロアゲハ(黒揚羽) ~無事に羽化しました~
- 2017/02/08(Wed) -
クロアゲハ055

それは昨日でした。

冬蛹が羽化しました。
庭のカラタチに見つけたのは1月11日でした。
そして私の部屋に入れて置いて約一月、蛹は無事に蝶となりました。
クロアゲハでした。

翅をたたんだまま枝にとりつきます。
それを広げる力はまだ備わっていないようです。
体の先から何やらの体液を一滴二滴と落とします。
少しずつ翅も固まってきました。
前翅と後翅が離れ動きます。
そして、気と力が満ち足りて、翅を広げ飛ぶことが出来ました。
レースのカーテンや天井に留まったり。
飛べる自由を楽しむかのように、フワリフワリと。

寿命は三週間前後と言われます。
しばらくは砂糖水などを用意して育ててみることにします。
暖かくなれば外に出してやろうと思いますが…、その日は来るのかどうか。

  初蝶やいのちあふれて落ちつかず (瀧春一)

クロアゲハ106

クロアゲハ100

クロアゲハ073

クロアゲハ139

クロアゲハ155

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                                 17年1月11日
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                                 17年1月11日
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ムクゲ(冬の木槿) ~その後どうですか?~
- 2017/02/07(Tue) -
冬木槿003

大きな黒い鞄を持った若い女性の来訪があった。
「役場の保健師です。検診のその後の様子をお伺いに来ました」
昨年の夏に受け、コレステロール値が高いことや血圧がやや高いことを指導をしてもらっていた。
どこか悪いところはないか、体調の変化や気になるところはないかということである。
体調はいいことを伝え、「昔から頭だけがずっと悪い」と言ったら、笑われた。
データをもとに、生活改善などについて話をしてくれる。
特にコレステロール値をを上げないために食生活で気をつけることや運動量を増やすことを促された。
毎日ほぼ1個は食べている卵の摂取は少し控えた方がいいとも言われた。

「また今年もきちんと検診を受けて下さいね」

この後も何軒か回るらしい。
こうして個々の状況に応じて説明してくれるのはありがたい。
それにしても、保健師さんの仕事も大変だ。

今のところ、心配なのは昔からの悪い頭と、衰えつつある視覚や聴覚と、減退している体力や筋力。

去年と同じ7月頃に検診を受ける。

木槿もそろそろ剪定をする。

  冬景色はなやかならず親しめり  (柴田白葉女)

冬木槿001

冬木槿002

ムクゲ7月161
                                     16年7月
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クリスマスローズ(Christmas rose) ~視力のこと~
- 2017/02/06(Mon) -
クリスマスローズ975

年が明けてから、目の調子が良くない。
テレビやパソコン画面を見るに違和感がある。
特に左眼がかなり悪くなっている。
眼鏡屋さんに行って視力測定をして貰い、結果レンズを替えることにした。
ただ、年齢に起因することが主と考えられるので、十分な視力の快復は難しいという。
様子を見ながら、眼科への検診を勧められた。

だんだんに衰えている。
いろいろに変化が現れている。
受け止めるしかない。

クリスマスローズが咲き出した。

  春来れば路傍の石も光 あり  (高浜虚子)

クリスマスローズ976
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モクレン(白木蓮) ~光浴びてやわらかに~
- 2017/02/05(Sun) -
モクレン174

ゴミを出しに行った。

ゴミステーションの横ではご夫婦で梨の枝の誘引作業をしていた。
秋の収穫を見据えたこの時期にする大事な仕事。
園には少し大きめの音量でラジオが流れていた。

そぞろに庭の木々を眺めてみた。
白木蓮の蕾もやわらかく膨らんでいた。
ビロードのような光沢をもつそれは猫の毛のようにも見えた。

「芽ぐむ」「芽ざす」「芽ばる」「芽だつ」「芽吹く」「芽生える」。
それぞれが少しずつ春の幕を開きつつある。

結婚以来、ゴミ出しのすべては私の仕事である。

  美しく木の芽の如くつつましく (京極杞陽)
 
モクレン173

モクレン172

モクレン171
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シジュウカラ(四十雀) ~暦の上では引き継ぎが~
- 2017/02/04(Sat) -
シジュウカラ1711

すっきりと晴れ、日中は暖かかった。

「では私はそろそろに」
「お疲れさまでした」
「あとは頼みましたよ」
「お任せ下さい。秋恵さんから声が掛かるまでゆっくり休んでいて下さい」

暦の上で冬男くんと春子さんが話していた。

庭に遊びに来る鳥たちの姿も増えた。
まだ名のみの感はあるが、それでも季(とき)は着実に前へ歩を進めている。

  立春の竹一幹の目覚めかな  (野澤節子)

シジュウカラ1712

シジュウカラ1713
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レオコ(ヒョウモントカゲモドキ・豹紋蜥蜴擬) ~お披露目~
- 2017/02/03(Fri) -
レオコ3

紹介する。
ヤモリのレオパに妹ができた。
名前をレオコという。
昨秋、東京からやってきた。
動きや表情や纏う肌の張りに少女らしい若々しさが溢れている。
加齢に伴うレオパの穏やかな顔つきや、のそりとした動きを見慣れているだけにそれはいっそう際立つ。

新しい田舎の環境に馴染むかどうか心配だった。
そして、レオパとの相性も。
だいたいにおいて二人(?)は祖父と孫ほどの年の差なのだ。
それは取り越し苦労だった。
すぐに打ち解けたようだった。
どうやってコミュニケーションを取っているのかはよく分からない。
しかし、足を重ねたり、互いの顔を乗せ合ったりと、ほのぼのとした光景が見られたりする。
今では狭いケージの中で身を寄せて仲睦まじく生活している。
そして、レオパにとっても新しい家族を迎え、日々新たな刺激を得て楽しく過ごしているのではないかとも思ったりする。
なにせ、10年近くも一人(?)だったのだから。
レオパはレオコを温かく見守り、レオコはレオパに敬意を持って、これからもずっと仲良く暮らしてくれるように…。

レオコが大きなあくびをした。

  日脚伸ぶどこかゆるみし心あり (稲畑汀子)

レオコ2

レオコとレオパ1

レオコのあくび1
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ジョウビタキ(尉鶲) ~♪ふりむかないで♪~
- 2017/02/02(Thu) -
ジョウビタキ2011

尉鶲がやってきた。
椅子の先端にこちらを背にして立つ。
その姿を見て昔流行った歌を思い出した。
シャンプーのCMだった。
甘いコーラスとともに町中を歩く後ろ姿の長い髪の女性の映像が流れていた。

 ♪うしろすがたの すてきなあなた~

 ♪ふりむかないで~

歌える。

尉鶲は少し振り向き、そしてテーブルに移った。
すらっとしたプロポーションと細い脚。

よく考えてみれば雄だった。

   たつぷりと寝て寒禽をまのあたり  (細川加賀)

ジョウビタキ2012

ジョウビタキ2013
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歩く ~城山から見える南アルプス~
- 2017/02/01(Wed) -
城山から01

「行ける?」
「いいよ」

シューズを履き替える。
庭先の道の手前で立ち止まり、右か左か決める。
左、山の方へ。
歩く。
その度にコースや距離は適当。

目指すは城山。
その一直線に伸びた200数十段の階段を登るのは結構きつい。
スタスタと軽やかに先を行く家人。
休みつつ歩を進める私。
脚力は逆転している。
息が切れる。
登りきると赤い鳥居が待ち構える。
潜って見晴らしに立つ。
南アルプスが眼前に広がる。
とんがり帽子の塩見を挟んで、南に荒川、北に仙丈など。
いつ来ても眺めがいい。

佇んで5分。
「帰るか」
「うん」
古い石垣のある遊歩道に沿って歩く。
その傍の林檎畑にはいつぞやはタヌキがいたことを話しながら。

「この道、行ったことがないから通ってみよう」
「いいね」
まずい。
人の家の裏庭に通じる道だった。
引き返す。

家も近くになり、梨畑に人影。
岩崎さんが剪定している。
「お疲れ様です」
「散歩かな。いいな、仲良くて」
笑って繕う。

小一時間。
良い運動だ。

「カリンまた切ってくれる?」

互いに、互いの衰えを見て分かるほどに感じつつある。
できることをできるだけし合う。

  木のひかり二月の畦は壊えやすし  (加藤楸邨)

城山から02

城山から03

城山から04
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