フクジュソウ(福寿草) ~すがしい気分~
- 2016/02/29(Mon) -
フクジュソウ290

2本の石榴の元に小さな黄色を見つける。
伸びる根に挟まれるようにしてひっそりとある。
そばによって腰を屈める。
福寿草…。
木の根元では窮屈だと思うが。
どうしてここに出て来たのだろう。
ちょっと楽しい謎だ。
風で種が運ばれたのか。

胸の奥にすがしさを送ってくれる一輪。
そこにあるうれしい小さな春。
暖かな二月尽。

  福寿草縁なきやうなあるやうな  (深田やすを)

フクジュソウ291

フクジュソウ292
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中央アルプス(仙涯嶺・南駒ヶ岳・空木岳) ~早いかも知れないが~
- 2016/02/28(Sun) -
中央アルプス217

いつもは3月の第1週と決めている。
でも今年は少し早いが、替えることにした。
もういいではないかと。
多分、この先大丈夫だろうと。
タイヤの履き替えのことだ。
冬用から普通タイヤに。

そのままちょっと走ってみる。
当然ながら、スタッドレスタイヤのより音が静かで軽い。

そこかしこに春の兆し。

「お~い」

  雪山を匐ひまはりゐる谺かな  (飯田蛇笏)

中央アルプス219

中央アルプス218

235.jpg

240.jpg
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モズ(百舌・鵙) ~何思う~
- 2016/02/27(Sat) -
モズ165

川を隔てて見える果樹園の樹がすべて伐採された。
何が出来るのだろうと気になっていた。
そして工事が始まった。
測量の杭が整然と打たれていく。
穴が等間隔に掘られていく。
太陽光発電の設置であった。
この2年ばかりで畑がパネルに変わった所が近くで数カ所見られるようになった。
時代の流れなのだろう。
とはいえ、目の前から見慣れた四季折々の風情が消えていくのは少し淋しい。

寒の戻った曇りの日、雌の百舌が桜の梢に止まった。
工事が進められているのはその後方である。
倒されたのは彼女らの憩いの樹々でもあったかもしれない。
あるいは早贄の場所だったり。

   われありと思ふ鵙啼き過ぐるたび  (山口誓子)

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クリスマスローズ(Christmasrose) ~温気もさざ波のように~
- 2016/02/26(Fri) -
クリスマスローズ261

桜樹の下にクリスマスローズ。

うふふ。
ウフフ。

まったね。
マッタネ。

きもちいいね。
キモチイイネ。

花たちの笑い声が聞こえてきそうな日和。
空の色も穏やかにやわらかに春めく。

  春めきてものの果てなる空の色  (飯田蛇笏)

クリスマスローズ263

クリスマスローズ262
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バキ(椿) ~私は何する~
- 2016/02/25(Thu) -
つばき252

安曇野ではコハクチョウの北帰行が始まったという。
暖かな風と光がまたひとつ季節移りを告げる風物詩を生む。

やわらかに咲く椿。

鳥たちは温む水を感じて行動する。
花たちも時を感知し花びらを開く。

私は樹を伐る。

   うつし世に浄土の椿咲くすがた  (水原秋桜子)

つばき253

つばき254
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マンサク(満作) ~春色にほっこり~
- 2016/02/24(Wed) -
マンサク161

あの花は?
ほうねんまんさくというときのマンサク。
満作?与作のようで面白い名前。
ほかのはなよりさきにマズサクからまんさくになったとか。
先ず咲くまずさくマズサク満作…。
はるしらせのはなだ。
満作さんが春がやって来たよって教えてくれるんだ。
はなびらがおもしろいかたちをしているよ。
ほんと、折り畳まれた細布が巻戻されたようによじれて伸びている。
おりめもついたようにもみえるね。
どうしてそんな形をしているのかしら。
きっとそれなりのいみがあるんだろうけど。
ほっこり和む花ね。
こんなかたち、ほかにはあまりない。
綺麗とか言うんじゃないけど、可愛い。
こせいてきというか、なかなかあじがある。

花っていいね。
はなはいいよ。

   まんさくの花びら縒(より)を解きたる   (仁尾正文)

マンサク162

マンサク163

マンサク164

マンサク165
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キジバト(雉鳩) ~以心伝心~
- 2016/02/23(Tue) -
キジバト233

桜の枝に2羽の鳥が間をおいて止まった。
雉鳩だった。
時々互いに顔を見合わせている。
多くを語らずとも目を見れば自ずと…。
以心伝心、心を通じ合わせているのだろう。
雌雄ははっきりしないが、よく動く右のが雄かもしれない。
陽気も徐々に春らしさを増している。
そろそろ子作りと子育てにも適してくる時期である。

右の鳥が飛び立った。
後を追うように左の鳥も。

   桜枝(さくらえ)に以心伝心二羽の鳩  (あや)

キジバト231

キジバト232
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ツグミ(鶫) ~見ている。見られている。~
- 2016/02/22(Mon) -
ツグミ162

ぐっと気温が上がる。
春の光の中、桜の枝が赤味を帯びている。
長閑な日。

キーッキッキッ。
届く鳥の鳴き声。
あれは多分…。

やはりツグミだった。
チョコチョコと動いて止まる。
周りをキョロキョロ見渡す。
首を伸ばし、首を傾げ。
そしてまたちょこちょこと。
繰り返される動きがなんともユーモラス。

時間に寛ぐ。
かりんとう饅頭を口に運ぶ。

   鶫一羽遠く見ている野面見ている (金子皆子)

ツグミ161
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クンシラン(君子蘭) ~一つひとつ違うんだなあ~
- 2016/02/21(Sun) -
くんしらん211

君子蘭もしっかり咲いてきた。
11月からはずっと私の部屋の中で過ごして貰っている。
鮮やかな朱色。
中に向かってレモンイエローのグラデーションに。
まだいくつかは蕾のままだが、全体形も色も美しい。
また、緑葉とのコントラストも映える。

花びらは6枚。
先の割れた1本の雌しべの周りを雄しべが優しく包む。
1,2,3,…6本。
1,2,3,…7本?
1,2,3,…8本?
あれ?雄しべの数は花によって違う。
おもしろい。
同じように見えても、花もそれぞれ個性があるんだなあ。

全体を見て部分を見て、細部を確かめて。

  横笛を袋にしまふ君子蘭  (伊藤敬子)

くんしらん212

くんしらん216

くんしらん217

くんしらん218
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レオパ(ヒョウモントカゲモドキ・豹紋蜥蜴擬) ~自分で剥いて自分で食べます~
- 2016/02/20(Sat) -
レオパ201-1

紹介します。
レオパ君です。
我が家のアイドルです。
10年近く、一緒に暮らしています。
人間でいえばもう50才半ばくらいになると思うんです。
歌を歌うとか、踊りをするとか、芸ができるというわけではないのですが。
家族に挨拶するとか、話をしてくれるとか、笑うとか泣くこともなく無口で、大人しいのですが。
でも可愛がられています。
一日に何回も声を掛けられ、抱きかかえられ、ポケットに入れられています。
頬擦りされたり、チュッとされたり、本人は迷惑でしょうが。

よく脱皮します。
昨日もその日でした。
冬は一月に1回ほど、夏はその間隔はもっと短くなります。
脱皮の手順は大体決まっていて、頭から始まりしっぽで終わりになります。
指先の細かいところは少し残ったりしますが、それだけは時々手伝ってやります。
面白いのは、その脱皮した皮を全部残らず食べてしまうことです。
自給自足?…、タンパク質があって栄養にもなっていいんでしょうか。
自分の後始末をきれいにしてくれる良い子です。

そうそう、言い忘れました。
レオパ君はヤモリの仲間です。
夜行性で大部分は寝ています。
昼間でも起きている時はやはり暗い場所が好きでそこに入り込みます。
食生活も質素で1週間食べずとも平気です。
トイレもきれいに使って匂うこともなく手が掛かりません。

縦になったつぶらな瞳。
赤ちゃんの手のように無防備に開いた指。
ポヨポヨのしっぽ。
一挙手一投足、見ていて飽きません。
でも一番はおっとりのんびりとしたその穏やかな性格です。

「東京へレオパのお嫁さんを探しに行ってくるね」って言って一人出掛けていったけど。
どうするレオパ。

これからもずっといっしょです。
尽きるまで。

  小動物と吾のいる日の「無」の時間  (あや)

レオパ202


レオパ203

レオパ204

レオパ206
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ロウバイ(臘梅) ~スイートな花~
- 2016/02/19(Fri) -
ロウバイ193

きょうは雨水だよ。
うすい?
そう、雨水。
なにがうすいの。
濃い、薄いでなく、雨と水って書いて雨水。
あめとみず?
うん、雪は雨に変わり、氷は溶けて水になる…暖かくなったことを言い表しているんだよ。
へえ~、そうなんだ。
見てごらん。春の花がちらちらと咲いているだろう。
はるのはなって?
梅もそうだし、福寿草も、満作も。
ふ~ん。
あの黄色い臘梅のそばに行ってごらん。
わあ~、いいかおり。
そして、ほら、空の色も変わったと思わないかい。
いわれればあかるくなったかんじ。
いろいろと冬から春への襷渡しもスムーズにいっているようだね。
ふゆさん、さよならってことね。
タイヤ、替えようかな。
はやくない?

   雨水より啓蟄までのあたたかさ  (後藤夜半)

ロウバイ191

ロウバイ195

ロウバイ194

ロウバイ192
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カゴシマコウバイ(鹿児島紅梅)  ~梅の花見て怒らず~
- 2016/02/18(Thu) -
鹿児島紅梅163

今日が寒さの底だという。
陽の強さ、明るさも感じる。
ようやく…。

目を広げれば、花の色、花の数も増えつつに。

鹿児島紅梅も。
深紅の花を。

   紅梅やゆつくりともの言ふはよき   (山本洋子)

鹿児島紅梅162

鹿児島紅梅164

鹿児島紅梅165
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コウバイ (紅梅) ~梅は一輪一輪を~
- 2016/02/17(Wed) -
コウバイ172

太宰府には6000本の梅林を維持管理する梅守(うめもり)さんが3人いらっしゃるという。
その中のお一人が梅の花の見方について話されていた。
「桜のように満開の木全体を眺めるのではなく、梅は花一輪一輪を見て楽しんで貰いたい」と。
蕾の一つ、咲きかけの一つ、開いた一つ、その育ちの姿をと。

庭に出て一つ、一つをそのようにして見た。
温もりの陽に応える個々の豊かな表情。
それぞれが違った愛らしく優しく、凜として。
子どもの、若い女性の、しとやかな、妖艶な…。
微笑み返しにも。

ものを見るにはそれに一番適した見方がある。
ものを見せるにはそれを一番生かす見せ方がある。
人やことも同じ、良さを引き出し、良さを見つける。

   近づけば向きあちこちや梅の花  (三橋敏雄)

コウバイ174

コウバイ171

コウバイ176

コウバイ175

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スノードロップ (snowdrop) ~可愛いなあ~
- 2016/02/16(Tue) -
スノードロップ41

冬葉色が広がる中にスノードロップ。
雪の雫?
うん、うん。
開いた姿はランプのようにも。
土の下で温もりを感じながら、ちゃんと出てくるんだなあ。
花の中の小っちゃな薄緑模様。
ん?「人」の字。
可愛いなあ。
花言葉は〈希望と慰め〉だって。

   それ以来誰にも逢はず春浅し (鈴木花蓑)


スノードロップ42

スノードロップ43

スノードロップ44

スノードロップ45
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フクジュソウ(福寿草) ~この時期の歌~
- 2016/02/15(Mon) -
フクジュソウ2151

ラジオ党の私は風呂でもいつもつけている。
湯に浸かりつつ、全国各地の話題や世界各国の情報を情景を思い浮かべながら楽しんで聞く。
政治経済、科学、文化など、生活から離れた場のこともわかりやすく教えてくれるのはありがたい。
間に挟まれる音楽も楽しみの一つだ。
季節やその日の過去の出来事に合わせた選曲。
たとえば懐かしい唱歌だったり、青春のフォークソングだったり。
昭和の歌謡曲や最近のヒットポップス、世界の民族音楽やクラシック名曲など多様に。
そして昨日はまさにそれしかないだろう、キャンディーズの「春一番」。
3人の顔とコスチュームと振り…、曲と共に映像となって一気に時間が遡る。

さて、今日はどんな風物詩や事柄、食べ物を、そして何処の誰の音楽を届けてくれるのだろうか。

フクジュソウも咲き揃う。
いっぽ、いっぽとすすむ。

  ひだまりの落ち葉の中に福寿草  (あや) 

フクジュソウ2152

フクジュソウ2153

フクジュソウ2154
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クンシラン ~木の芽起こしの雨降る2月14日~
- 2016/02/14(Sun) -
クンシラン161

太い音が屋根を叩いている。
ずっと先の季節のような雨だ。
暖かな朝だ。

どこかで春一番が吹いたとか。

木々も衣替えを促される。
花も色化粧を促される。

部屋のクンシランも装い始めている。

   もつれつゝとけつゝ春の雨の糸  (鈴木花蓑)

クンシラン162
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ハス(蓮) ~絵と冬枯れの蓮池と果托~
- 2016/02/13(Sat) -
蓮田1

知人から作品展の案内を頂き、初日に出掛けた。
彼は有島生馬、小山敬三、安井曾太郎らによって創立された伝統ある一水会に所属する。

描くのは布や果物、器、瓶、機械、登山靴、ピッケルなどの静物画。
対象をどのように配置するか、構図の決定に腐心するという。
そしてモチーフの形態と質感を徹底的に追求し、緻密に描写する。
たとえば、掛けられた布の微細な柄まで丁寧に表す。
一枚に長い時間を費やし、キャンバスの隅々まで写実表現に徹する。
その制作態度には学ぶことが多い。

作品を前にしばし絵画談義に弾む。
制作活動を通して長年になる付き合いだが、いまだ互いに敬語で会話する。
どうやらそれぞれが携わっていた職業がしみついて離れないのだ。
参観者が増えてきたので、挨拶をしてお暇する。

家までは交通量も少ない県道で一時間弱。
のんびり景色に目をやりつつハンドルを握る。
途中、蓮池が目に留まる。
冬枯れの蓮が広がる風情もなかなかいい。

そういえば、家に蓮の果托を取っておいたはず…と。
いつか彫刻にしようと思っていたのだ。
箱の中から取りだし手にする。
いい形をしている。

もしかすると、彼の絵のモチーフにもなるのではないか。
今回の出品作の中にも枯れた黄色いカラスウリの実が描かれていたのだから。
今度会ったら話題にしてみよう。
その前に自分でも彫って作品に仕上げなくてはだ。

  蓮の実のこぼれ尽くして何もなし (正岡子規)

蓮田2

蓮の実
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『夜桜美人図』 ~応為(お~い)、お栄(おえ~い)~
- 2016/02/12(Fri) -
夜桜美人図

葛飾応為の肉筆画『夜桜美人図』がどうしても観たいというのだ。
メナード美術館は遠い。

中央道を南下し、小牧ジャンクションで名神に入る。
小牧ICで降りて国道41号を進み、左折。
左手に小牧城を過ぎればすぐそば。
休日とあってか行路は順調、ほぼナビの設定時刻に到着。

開催されていたのは絵画・書・工芸からなる企画展『和のかたち』。
求めた応為の作は第三室、―うたを楽しむ―の章の中にある。
描かれるモチーフや主題へ想像を膨らませつつ、近寄って観て、離れて観る。

春の夜、妙齢なる女性が左手に短冊、右手に筆を持って、二つの石灯籠の間に立つ。
想が練り上がり、いよいよ筆を走らせんとするその時だろうか。
灯りが映す表情から量ればそれは想いを届ける恋の歌なのかもしれない。
灯籠の中の揺らぐ炎が作る光と影が女性の内面あるいは物語性をいっそう深める。
少し離れて、ほのかに浮かび上がる桜の花。
木々のシルエットを越して見える無数の星。
画面下に目をやれば雪見灯籠が振り袖と着物の裾を照らす。
足元には幾ばくかの散った花びら。
そのどれもにもそれぞれ付加された意味と、なくてはならない必然性を感じさせる。

バランスの取れたプロポーションとそのしなやかな姿態。
繊細に描かれる人物のディテールや背景に置かれた木々。
その江戸美人の居る場と同じ時間にいざなわれるよう。

応為は葛飾北斎の三女お栄。
父から受け継いだ画家としての才能がこの一枚だけを観ても十分伝わる。
一説によれば北斎よりも描写力に優れていたとか、北斎同様かなりの変人だったとかも伝聞される。
研ぎ澄まされた構想力と緻密な技巧と豊かな感性を隙なく感じさせる「夜桜美人図」だった。

せっかくだからと、足を伸ばして国宝犬山城の天守に登っ後、帰路に就く。
二月のいい日、満たされた鑑賞の旅。

   年々に春待つこゝろこまやかに (下田美花)

夜桜美人図2
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カリン(花梨) ~桜餅を食べる~
- 2016/02/11(Thu) -
籠のカリン

「カリン捨てておいて」と言って車で出掛けていく。

シロップ漬けなど、いろいろ作ってくれたのである。
それがまだ何本かの瓶に詰まって並んでいる。
食事と共に出され、少しずつ食べる。
いよいよえらくなったのだろう。
今期はもうそれで十分。
籠の中にはまだたくさんが出番を待っていたのだが。
来る秋の実りを楽しみに待つとする。

小柿の根元にまとめて捨てた。

一時間程経ってから、「桜餅、買ってきたよ」と。
いつもの隣の市の和菓子屋へ行ってきたらしい。
その店の桜餅は美味い。
季節を先取りし、早速食べる。
色、香り、味と目に鼻に舌に春を感じさせてくれる。
「まだあるからね」
何種類かを箱詰めにしてもらったらしい。
和菓子党である私には嬉しい。

この先大きな事が待ち受ける。
懈怠の心を生じさせてはならない。
見通しを持って一つ一つを着実に進める。

  わが妻に永き青春桜餅  (沢木欣一)

かりんシロップ漬け

桜餅
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リンゴと黒い帽子 ~彩色木彫~
- 2016/02/10(Wed) -
木彫リンゴ53

ボレロを聴きながら。

リンゴに着色する。
帽子は薄黒に。
服は濃朱。
顔は地色を生かす。

胸に穴を開ける。
リンゴに棒を付けて挿し込む。
うまく嵌まる。

ひとまず終了。

冷える足、暖かい膝掛け。

紅茶を啜りながら。

   我恋は林檎の如く美しき  (中川富女)

帽子403

木彫リンゴ399
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クリスマスローズ(Christmasrose) ~だんだん~
- 2016/02/09(Tue) -
クリスマスローズ281

疲れている?
そうでもない。
なんか元気ないわ。
そうかなあ。
何かうまく行ってないの?
そんなことはない。
心配事があるの?
いや。

最近ちょっと春を感じない?
こよみではもうはるだもの。
寒さはピークを超したようね。
うん、たしかに。
クリスマスローズも咲いているし。
はなにはきせつセンサーがあるんだよ。
なぜクリスマスローズって言うのかしら。
さあ、どうしてだろうね。
だって、クリスマスって12月でしょ。
げんさんちではそのころにさくのかもしれない。

春かあ。
だんだんだ。

   クリスマスローズ気難しく優しく  (後藤比奈夫) 

クリスマスローズ282

クリスマスローズ283

クリスマスローズ284
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ロウバイ(臘梅) ~また字を確かめ、うふふふふ~
- 2016/02/08(Mon) -
ロウバイ281

臘梅のその艶やかな花びら。
透き通るやさしい黄色。
今は蕾、蕾、蕾、花と、蕾の中に少しの花。
にっこりを誘う。

いい香り。
何かに似ている。
鼻を近づける。
紅茶?
ヒヤシンス?
いずれにしても、鼻の奥まで届くキューンとした深い香り。

二枝折る。

   臘梅の臘の字書けずうふふふふ  (あや)

ロウバイ282

ロウバイ283

ロウバイ284
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塩見岳と南アルプス ~生活の中で~
- 2016/02/07(Sun) -
塩見岳271

窓を開けて遠くに眠る山を見る。
そこにある変わらない冬の姿。

若い頃に、「辛くなったら、悲しくなったら山を見ろ」と。
山は応え、教え、導く。

ふと思い出した石井鶴三の言葉。
「美を本当に美としてとらえられる感性、豊かな感性を持った人でありたいと思うのです。」
「心が明るく正直でなければ、美を美としてとらえることはできません。だから心の修行が大事です。人間が問題です。」

そうだ、今日は薔薇の剪定しよう。

  雪嶺よ日をもて測るわが生よ  (相馬遷子)

南アルプス271
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干し柿 ~ささやかな楽しみ~
- 2016/02/06(Sat) -
干し柿261

お茶に干し柿。

吊したのは11月の中旬。
正月には間に合わせようと。

取って剥いて干して、揉んで転がして。
手を加え形が変わり出来ていく喜び。
心も遊ぶ。

少し色黒で見栄えは悪い。
白い粉はそれなりで甘さは十分。

自分の手で作る小さな生活の中のささやかな楽しみ。

  干し柿の暖簾が黒く甘くなる (山口誓子)

干し柿262

干し柿263

干し柿264
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キジバト(雉鳩)  ~スローな時間~
- 2016/02/05(Fri) -
キジバト2051

キジバトが柿の枝に降りて止まる。
後ろ姿のまま、静かにしている。
いつもは2羽で来ることが多い。
パートナーでも待っているのだろうか。

蝋梅の蕾に目を向けた。
首を伸ばす。
嘴の先に水滴が一つ。
味は?

一羽のまま、去って行った。

キジバトのいる時間はのんびりゆったりでいい。

  風の耳拾いあつめし二月かな (木村敏男)

キジバト2052

キジバト2053

キジバト2054
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コブシ(辛夷) ~「きょうからはるだって」~
- 2016/02/04(Thu) -
コブシ241

昨日の夕食前のことだった。
「歳の数だけ食べてね」
「………」
小皿に盛られた豆が出された。
小さな子どもなら喜ぶだろうが。
歳の数だけなんて、そんな…。

一つ一つ頭の中で数えながら口に入れる。
間にお茶を入れながら豆を噛み砕く。
そして、最後の一つ。
やれやれだ。
あごも頑張った。
口の中に小さな粒がいくつも残る。
リンゴで口直し。

果たして奥に潜む邪鬼(よこしまなこころ)は出て行ったか。

季節を分けて今日の暦は立春。
窓を開けて両手の拳を上に突き出し背伸びする。
目に入るコブシの蕾はまだ固い。

  春立つや愚の上に又愚にかへる  (小林一茶)

コブシ242

コブシ243
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カゴシマコウバイ(鹿児島紅梅)  ~心も衣更着に~
- 2016/02/03(Wed) -
鹿児島紅梅2031

ぽつりぽつりと。
見上げる枝に深い紅色の梅の花。
鹿児島紅梅は小振りの八重の花。
いつもは三月の半ば過ぎに見る。

春が足を速めているらしい。

心の装いも衣更着に。

   青天へ梅のつぼみがかけのぼる   (新田祐久)


鹿児島紅梅2032

鹿児島紅梅2033
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フクジュソウ(福寿草) ~咲いたね~
- 2016/02/02(Tue) -
福寿草221

福寿草の黄色が三つ。

「咲いたよ」といえば「咲いたね」と空から聞こえる温もり。

♪春よ来い 早く来い あるきはじめた みいちゃんが赤い鼻緒の じょじょはいて おんもへ出たいと 待っている♪

二月二日、そんな歌の思いの時。
枯葉の上にも小さな春。

  福寿草むかしはらから睦みけり  (樋笠文)

福寿草222
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クリスマスローズ(Christmasrose) ~浅葱の空~
- 2016/02/01(Mon) -
クリスマスローズ213

ラジオは「冬の思い出」について、リスナーからのエピソードを取り上げていた。
私も、湯船に浸かりながら記憶に残っている強烈な冬を思い浮かべていた。
それは厳寒地で過ごした「冬」のことである。

若い頃、-20℃を超す日が連続となる土地で勤務していたことがある。
それはそれは体験した者でなければわからない世界がそこにはあった。
この時期、炊いたご飯の残りは必ず冷蔵庫に入れなければならない。
なぜなら部屋の中にそのまま置いておくとカチカチに凍ってしまうからである。
そこでは冷蔵庫が温蔵庫(保温庫)となる。
酒が凍る、コーラが凍る。
万年筆は破裂する。
もらい風呂の後のタオルが棒のように固くなる。
借家に戻る髪の毛は怒髪のようになる。
朝、職場に向かう眉毛まつ毛は白くなり、鼻毛も凍って息を吸うとむずむずする。
上げたら切りが無い程いろいろの冬マジックだった。
暖房設備や器具も十分整っていなかった一人暮らしの事である。
今では笑みが出てくる楽しい思い出である。

そういえば、その職場で私は職業人としてあるべき姿の多くのことを先輩から学んだ。
その一つひとつがこれまでの仕事の礎になっている。
感謝の土地でもある。

クリスマスローズも少しずつ開きつつある。

   きさらぎが眉のあたりに来る如し  (細見綾子)

クリスマスローズ212

クリスマスローズ211
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