クリスマスローズ(Christmasrose)  ~あとみよそわか~
- 2015/12/31(Thu) -
クリスマスローズ赤紫151

節目節目に思い出す言葉がある。
「あとみよそわか」
幸田露伴が娘に教えたという生き方のオマナジナイだったと本で読む。
「やるべき事が一段落したら、必ず自分のやった後をふり返り、最後の最後まで見届けてから次へ移るのですよ」と。
アトミヨソワカ、アトミヨソワカ、アトミヨソワカ…。
繰り返して声に出せばお経のような不思議な音の響きと共に、重みを感じさせる言葉である。

“だって”と“けれど”。
“弁解”と“言い訳”。

あるのは「やったか、やらなかったか」の事実だけ。

大晦日に今一度。
「あとみよそわか」
「後見よ蘇婆訶」

大晦日に咲く花。
「くりすますろーず」
「足元見て静慮」

   大晦日定めなき世の定めかな  (井原西鶴)

クリスマスローズ赤152
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ボケ(木瓜) ~暮れの来客、暮れのぼけ~
- 2015/12/30(Wed) -
木瓜1521

軽トラで来客。
「リンゴをどうぞ」と。
今年知り合いになった果樹農家の河野さん。
段ボールの箱にいっぱいの大きな“富士”。
「夏にはお世話になりました。傷物ですが」と。
歳は70半ば過ぎの笑顔が素敵な人格者。
議員を数期務め、今は引退して文化協会の会長さん。
夏のイベントでご一緒させていただいた。
忙しいからと上がってもいただけず。
思わぬプレゼントの嬉しい年末。

木瓜の花が一輪。
蕾、蕾、膨らむ蕾。
思わぬ花が咲く暖かな年末。

   口ごたへすまじと思ふ木瓜の花  (星野立子)

木瓜1522
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ジョウビタキ(尉鶲) ~いらっしゃい~
- 2015/12/29(Tue) -
尉鶲15121

あれこれを済ませ、ちょっと一息。

いつになく迎年の仕事が捗った。
暖かく良い天気が続いてのこと。

台所ではグツグツの鍋。
手が離せそうもない。

一人お茶を入れる。

ぼんやり外を見ていると、臘梅の枝に動く小さな影。
ツッツッツッと聞き慣れた声。
灰色の頭、黒い顔、朱茶の腹、そして翼の三角白紋。
その姿はジョウビタキ。

彼の声を今年最初に聞いたのは10月の20日頃だったと思う。
毎年はるばる大陸から遊びにきてくれる。
その愛らしい姿と声に癒やされる。

さて、玄関に紅白の獅子頭を飾るか。

  ひるがへり去りし鶲の紋の白  (坊城としあつ)

尉鶲15122
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宿根イベリス(Iberis )  ~ふう~ん~
- 2015/12/28(Mon) -
イベリス12281

イベリスは春の大型連休の頃の花。 
白い花が円盤状にまとまって清楚でかわいらしい。
花言葉の「初恋の思い出」や「甘い誘惑」なんてのもまたいい。

で、そのイベリス。
暮れも押し迫るこの時期に、しっかり咲いている。
まったくもって、今年の冬はどうなっているんだろう。
いったいぜんたいに。

  ともかくもあなたまかせの年の暮れ   (小林一茶)  

イベリス12282

イベリス12283
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ハナキリン(花麒麟 )  ~耳も目も…傍楽~
- 2015/12/27(Sun) -
ハナキリン261

煮干しを焼いたような臭さが広がる。
「田作りよ」
昨日は椎茸だった。
その前は黒豆。
そうかそうか。
キッチンも暮れの匂い。

窓を拭く。
そばには小さなテラコッタの鉢にハナキリン。
ずっとこの大きさは変わらず。
その場所で何度も年越しをしている。
2輪の花が付いている。
一輪は灯りのように見え、一輪は萎んでいる。

はたらく。
ハタラク。

   耳も目もたしかに年の暮るるなり  (阿部みどり女) 

ハナキリン262

ハナキリン263
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ブロッコリー(芽花椰菜 Broccoli) ~暮れの朝に~
- 2015/12/26(Sat) -
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ガラス玉のように透き通る丸い粒。
大きいのや小さいの。
あるのは小山のようなこんもりとした花蕾の上。
そしてたっぷりの葉の上に。

水飾りのある暮れの畑の朝。

ブロッコリーが好き。

   あれやこれまだまだ済まぬ年の暮  (あや)

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フクジュソウ(福寿草) ~そっと落ち葉を取り除くと~
- 2015/12/25(Fri) -
12月の福寿草1

クリスマスローズの小径。
積もった落ち葉。
おやっ?
少しだけ盛り上がっているような気がするが…。
そこはたしか。
まさかね。
でももしかしたら。
屈んでそっとていねいに重なる落ち葉を取り除いてみる。
ああ、やはり。
そう、この場所は福寿草の定位置。
その蕾が葉を持ち上げて伸びている。
いつもなら2月に入ってからの花なのだが。
これから先が本格的な冬の寒さ。
雪もたくさん降るだろうし。
やられないかと心配だ。
除いた葉を戻す。
その上にさらに幾重にも被せる。
落ち葉を布団にしてもう少し休んでいてね。

そこを居場所として何年にもなるこの福寿草。
毎年幸せの黄色い色を届けてくれる。
見る度に色々なことを思い出す。

  ありがとうと福寿草見つけ一人言  (あや)
 
12月の福寿草2

12月の福寿草3

12月の福寿草4

12月の福寿草5
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ビワ(枇杷) ~12月24日の庭は~
- 2015/12/24(Thu) -
枇杷の花151224

枇杷には白い花が咲く。
枇杷は冬の花。

枇杷には黄色い実がなる。
枇杷は夏の実り。

今、白い花の横に大きく膨らみ始めた青い実。
枇杷に冬と初夏が同居している。

今、木と草と花にふしぎがいろいろ。
季節が混ざり合う暖かな12月24日。

  枇杷咲けり街音ここも止む間なし (中村汀女)

枇杷の実151224

枇杷の実12242

枇杷の花と実

ビワ2015 6 15
2015 年6月15日
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タンポポ(蒲公英) ~冬の黄一輪~
- 2015/12/23(Wed) -
タンポポ341

なんであれ、およそ漬け物は好きだ。
この時期は特にいい。

桶に重石を乗せる。
私ができるのは力仕事だけ。

日当たりのよいところでタンポポが咲いている。
なんとなく嬉しくなる。

“人見るもよし、見ずもよし、吾は咲くなり”…。

「見つけたよ」
「黄色をありがとう」
「た・ん・ぽっ・ぽっ…」

  たんぽゝと小声で言ひてみて一人 (星野立子)

タンポポ342
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クチナシ(山梔子の実) ~高みを求めて~
- 2015/12/22(Tue) -
クチナシ実151

艶葉の中に黄橙色は梔子。
六つの稜を持つ楕円の実。
上向きに反る緑色の萼。

熟すも開かず。
成して奢らず。
高みを求めて。
只管励むのみ。

沈思黙考。
不言実行。
口無にて。

男は黙って…。
不器用ですから…。

   艶やか梔子の稜に意思のある   (あや)

クチナシ実152
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サンシュユ(山茱萸) ~戸惑う木々~
- 2015/12/21(Mon) -
サンシュユ21

サンシュユには春黄金の別名がある。
葉が出る前の浅い春に木全体を黄色く染めることを見立ててのこと。
毎年3月半ばにはそんな状況を見せてくれる。

そのサンシュユに数輪の花を見つけた。
冬に見るのは初めてのこと。
枝には赤い実がまだいくつも残る。
見れば今にも割れそうないっぱいの蕾。
まさか全て咲くはずはないだろうが。
木に季節を違えさせるこのところの陽気である。

木々を戸惑わせるのもの…。
地球に負荷を与えているもの…。

  山茱萸に黄花三つ四つ冬ぬくし  (あや)

サンシュユ22

サンシュユ23

サンシュユ24
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ダイコン(大根) ~道を教へけり~
- 2015/12/20(Sun) -
12月のダイコン1

「大根、一本取ってきてえ~」
「どっちの?」
「埋(い)けてある方」
「わかった」

日に間隔を置いて3畝の大根を作った。
そのうちの早めに蒔いた一畝だけは11月のうちに収穫でき、掘った穴に保存してある。
そこから必要な時、必要な分だけ掘り出す。
後の2畝は暖冬ということもあってか、まだ葉が青々としている。
霜も降りたことだし、これらも今日全て抜き取り、新しい穴に埋ける。

籾殻と土を混ぜた穴を手で掘る。
太いのが顔出す。
井水で洗って持って行く。
煮物はもちろんとして、大根ならどんなでも好きである。
この時期ならおでんは言うまでもない。
さてきょうは…。

大根を抜く時、必ず思い出す俳句がある。
40年ほど前に出会った一茶の作。
夏、秋、冬、春の代表として取り上げられた中の冬の句。
今でもさっと諳んじることができるのだから、よほど印象に残ったのだろう。

老女が笑顔で大根を持って指し示す目的地への道、そんな長閑な農村の冬情景。
それはまた、故郷信濃に帰り苦渋する一茶にとって、「今後の生き方を教えられた道」と重ねる思いがあったのではないか…。

  大根(だいこ)引き大根(だいこ)で道を教へけり  (小林一茶) 

12月のダイコン2

12月のダイコン3
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イチゴ(苺) ~葉に霜、霜~
- 2015/12/19(Sat) -
イチゴに霜1

ようやくこの時期らしい冬の風情。
そう、朝出て見れば一面の霜。
赤い苺の葉はレースの如く白く縁取られる。
目を凝らせば並ぶ霜の筋。
うん、うん、これ、これ、こうでなくてはと。
久しぶりの霜が嬉しくて、そして撫でる。
待ち焦がれていた人に会ったかのように。
手の温もりですぐに消えていくけれど。

  霜の起伏一呼吸二呼吸三呼吸 (藤村多加夫)

イチゴに霜2

イチゴに霜3

イチゴに霜4
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ヒメジョオン(姫女苑)  ~メモの上の消去線~
- 2015/12/18(Fri) -
野花1

昨夜は防犯パトロールだった。
蛍光反射布のウエア―や帽子などを身につけて地区全体を分担して巡回する。
小グループに分かれ1時間程歩いたが、特に問題は見当たらない。
二箇所の防犯灯が消えて暗い箇所があったのが気になるくらいである。
パトロールで気づいたことを報告書にまとめる。

野菊に似た白い花がいくつも咲いている。
ヒメジョオンのようだが、丈が低いのでどうなのか、よくわからない。
いずれにしても、この時期の花ならどれでも嬉しい。
そぞろに目を下に向ければ、まだこうして咲く花に出会うことができる。

年の暮、年の末、年の瀬、年の際、年の果、年の尾…と、目にするいろいろの形の言い方。
私にもメモに書き出されたいくつものやるべきこと。
暦の残りの日が減るように、一つひとつを消していくのだが。
「頑張ってね」
「やらなきゃね」

  くらがりに歳月を負ふ冬帽子  (石原八束)

野花2

野花3
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クルミ(胡桃・walnut) ~「くるみ割り人形」の季節~
- 2015/12/17(Thu) -
クルミ030

胡桃を籠に拾う。
外皮は茶色くなり、皺を纏っていい味を出している。
表現をそそられるような色と形だ。

花が咲くのは5月。
緑の花穂を長く尾状に垂れる雄花。
赤い花穂を上に向かって咲かせるのは実になる雌花。
時を経て実となり、そして時が来て落ちる。

このあと果皮を落とし、洗って干す。
しばらく置いてから、来週あたり夕食後にでも「くるみ割り人形」を見ながら割ることにする。

この2本の木もいよいよ手に負えなくなりつつある。
春前には伐る。

    胡桃二つあれば片手に一つづつ  (金澤明子)

クルミ022

クルミ011

胡桃の雄花0959
2009.5.9

くるみの雌花0959
2009.5.9
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ホトケノザ(仏の座・三階草)  ~道草するふゆ~
- 2015/12/16(Wed) -
12月のホトケノザ2

生ゴミは畑に大きな穴を掘ってそこに埋めている。
そのキャパシティはおよそ二月程。
これまで使っていた穴がそろそろ能力の限界。
隣に新しい穴を掘り、出た土を古い穴に被せて覆う。
こうして調理屑などは時間を掛けて微生物によって分解され、再び養分豊富な土になっていく。

今、畑ではブロッコリーなど、まだ幾種類かの野菜は収穫できる状態で待っている。
エンドウやタマネギなどの越冬隊も元気である。

穴掘りに使ったスコップなどを洗い片付ける。
首筋にうっすらと汗。
一枚脱ぐ。
フユはいったいどの辺りで道草食っているのか。
大分出遅れの感がするが、本領発揮はいつになるのだろう。

ほんの小さな薄紫の花を見つけた。
着物姿で踊る女の人に似る。
これはホトケノザ。
これは春の花。

都会の百貨店ではもうパステルカラーの春物が並んでいるという。
この時期にこんな花などを見れば切り替えたくなるのも分かる気がする。

お~い、ふ~ゆ~く~ん。
どこでなにしているんだあ~。
のんびりしてないで、はやくこいよ~。

  かくれんぼ三つかぞえて冬となる   (寺山修司)

12月のホトケノザ3

12月のホトケノザ1
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ツバキ(椿)  ~花たちも迷う~
- 2015/12/15(Tue) -
12月の白椿

白椿が一輪咲いた。
そばにある斑入りの赤い椿も咲きかけている。

これらはいつもなら3月から4月下旬頃まで咲く花たち。
やはり秋からずっと続いている季節にそぐわぬ高い気温がもたらす影響なのだろう。

暖かい冬はありがたい。
しかし暖かい冬は物足りない。

  年の瀬やなまあたたかきに椿咲き   (あや)

12月の赤椿
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クリスマスローズ(Christmas rose)  ~冬色の中の緑葉~
- 2015/12/14(Mon) -
クリスマスローズの小径1

花の姿はほとんど無くなり、庭は淋しくなってきた。
冬、12月。

そんな中で一角だけ青々とした葉が並ぶ。
多くが枯れ色に染まる中、眠りから覚めたのはクリスマスローズ。
目を近づけると蕾が立ち上がり色を付け始めているのも。
クリスマスまでには一つ、二つは咲くか…。

色を落とした冬の景色はいい。
そしてまた、落葉の中に少しだけある緑の景色もいい。

  クリスマスローズ気難しく優しく  (後藤比奈夫)


クリスマスローズの小径2

クリスマスローズの小径3

クリスマスローズの小径4
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ギンナン(銀杏)  ~く・さ・い…けど~
- 2015/12/13(Sun) -
12月の銀杏1

くさい。
ふう~。
拾い集めてあった銀杏の後処理。

厄介な果肉取り。
しっかりと支度を整える。
マスクをして長いゴム手袋。
強烈な匂いと油分。
ごしごし、ごしごし。
何度も水を替えて。
よいしょ、よいしょ。
いいだろう。

籠に移す。
残った細かな果肉を取り除く。
笊に広げて干す。
きれいな白い肌。

ここまでは私の仕事。

正月には間に合った。
銀杏ご飯、炒り銀杏、茶碗蒸し…どれもいいな。

作業を終えて見上げる銀杏の樹は光太郎の詩のようにいいフォルムをしている。
春までには伐ろう。

その下に転がる三つ。
これはそのままにしてしばらく部屋で眺めて遊ぶ。

   銀杏を洗う男の師走かな  (あや)

12月の銀杏2

12月の銀杏3

12月の銀杏5

12月の銀杏4
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ナンテン(白実南天)  ~冬の夏日~
- 2015/12/12(Sat) -
白実南天151

いけない。
いけない。
楽に流されている。

他人の目には分からないかもしれないけど。
そんな姿をちゃんと見ている確かな目が一つある。
そんな己の一挙手一投足を一番間近で見ている自分の目。
この目の審判だけはどうやってもごまかせない。

いけない。
いけない。

十二月には白実南天。

十二月には心も断捨離。
こんな心を断つ。
そんな心は捨てる。
あんな心から離れる。

  たましひの抜けしにあらず白南天  (片山由美子)

白実南天152
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オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢) ~違和感ある暖かさ~
- 2015/12/11(Fri) -
オオイヌノフグリ121

ねえ、この頃の天気、変だと思わない?
ん?
だってもう十二月も中旬よ。
そうだなあ。
冬に入ってもこんなに暖かいだなんて。
たしかに。
初霜があちこちで一月以上も遅れているんだって。
そうらしい。
温暖化の影響よ。
そうかもね。
COP21ではなかなか合意に達しないっていうし。
それぞれのいいぶんがあるんだろうね。
みんな運命共同体なのに。
めさきのりがいをすてて、まとまるといいけど。
この青い地球のためにね。
みらいのこどもたちのためにも。

あら、ほらあの青い小さな花、え~っとなんだったけ。
オオイヌノフグリだよ。
あれって春の花じゃなかったかしら。
このあたたかさだからね。
小さなクモまでいる…。

   冬うららオオイイヌフグリの青と青   (あや)

オオイヌノフグリ125

オオイヌノフグリ123
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クリ(栗黄葉) ~心も色づく~
- 2015/12/10(Thu) -
栗黄葉1

広葉樹の多くは葉を落とした。

しかし、栗は今黄葉が見頃。
カエデの紅葉とも銀杏の黄葉ともまったく違う趣がある。

木の下に入ると、葉は陽を背に受けて黄金色に輝く。
葉脈の一つひとつがくっきりと浮かび上がる。
少し離れて山なみをバックに眺めるとそれは枯れ色にも見える。
その葉が地に敷き詰められるのは年を越えてずっと先のことである。

さまざまな冬色。
木々にもそれぞれの1年の締めくくりの仕方がある。

「お母さん」と胸で小さくつぶやく。

   黄葉の一樹に山の影及ぶ  (嶋田麻紀)

栗黄葉2

栗黄葉3

栗黄葉4
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シュウメイギク(秋明菊) ~明るい冬の菊~
- 2015/12/09(Wed) -
秋明菊2151

小さな丸い玉が五つ、六つ、七つ、八つ…。
細いひょろりの上で揺れている。
まとめて器に飾るとモダンかも。
澄んだ名を持つ花のあと姿。

隣で白くまた一輪。
落ち葉の上でぽつりと。
どうしても霜を待って咲きたくなった思い。
僕から君に新しい名をあげる。
冬に咲いたので冬明菊。

僕も明るくなった。

  冬と云ふ口笛を吹くやうにフユ  (川崎展宏)

秋明菊2152

秋明菊2153

秋明菊2154
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イロハカエデ(楓) ~今年の紅葉とその色づき~
- 2015/12/08(Tue) -
イロハカエデ2151

今年のモミジの紅葉にはいつもの鮮やかさが見えないとテレビは伝えていた。
一般公開されていた皇居の「乾通り」の並木も同様らしい。
全国的に暖かだった秋が通常の木々の紅葉のメカニズムに影響を与えている。

家のイロハカエデもそれぞれに違う様相となっている。
綺麗な紅葉を見せていた一番大きな木は、すでにすべての葉を落とし裸木だ。
アトリエの横のにはまだかなりの緑の葉が見える。
他の木を見てもその主調色は黄色で、オレンジや赤は乏しい。

私が寛ぐ部屋のすぐそばにもある。
それは頭頂部を抑え、全体を山のように丸く切り揃えてある。
唯一毎年剪定を施す木である。
高くならないようしてあるのは部屋から見える視線を遮らないため。
これにも黄色が目立つ。
赤味を帯びたものも散見できるが、その色もくすんだ感じがする。
カエデらしい趣ある紅葉を纏わずにこのまま散るのかもしれない。
思えば12月のこの時期までこうして葉が残っていること自体が珍しい。

木々の肌は気象の変化にきわめて敏感である。

  障子しめて四方の紅葉を感じをり   (星野立子)

イロハカエデ2154

イロハカエデ2153
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プリンセチア(PRINCETTIA) ~思いやり~
- 2015/12/07(Mon) -
プリンセチア151

巷間ではクリスマスの話題。
テレビやラジオでも特集が組まれたり。

恋人との、家族との楽しいイベントに思いを馳せる人。
遠くで嘆き苦しむ人と近くで静かに祈る人。
戦争と平和、宗教と貧富について考える人。
身に訪れている辛く厳しい現実のその今を大切に生きている人。
畑を耕し、野沢菜を漬け、大根を干し、冬支度をする人。

プリンセチアのピンクと緑のコントラストが素敵。
  花言葉は、「思いやり」
  売り上げの一部は 「J.POSHピンクリボン基金」に寄付されます。
タグにはそう書かれてあった。

   言はでものこと言ひポインセチア赤  (七田谷まりうす)


プリンセチア152

プリンセチア153

プリンセチアタグ1

プリンセチアタグ2
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デンマークカクタス(DENMARK CACTUS・ビューティシャイ) ~一流と二流と三流~
- 2015/12/06(Sun) -
デンマークカクタス151

  一流には誰もがなれるわけではないが、二流になれば一流のよさがわかる。
  努力しても一流になれるとは限らない。けれども謙虚に努力すれば二流にはなれる。
  一流の意味が分かる人を二流というんだよ。一流も二流もわからない人を三流という。
  二流と三流の間はもう無限大の距離だ。
こう語っていたのは詩人の田村隆一だった。(『黄金の時代』より)

そうなのか。
いや、そういうものなのだ。

こころの持ち方がその人を育てる。
清貧でも一流の道を歩んだ多くの人がいる。

ところで田村は五度結婚している。
彼は結婚ということに関しても一流だった…。
名の隆一ををひっくり返すと一隆(いちりゅう)となる。

努力すれが二流になれるということを励みとしよう。

ほとんど蕾だったデンマークカクタスが開きつつある。

  とかくして風に聴き入る十二月  (堀葦男)

デンマークカクタス152

デンマークカクタス153

デンマークカクタス154
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サザンカ(山茶花) ~冬が好きなの~
- 2015/12/05(Sat) -
赤い山茶花2151

冬は好き。
寒いし、何かと不自由になるし、備えもたくさんになるし。
水の凍結も心配だし、道も凍るし、雪かきも大変。
私は冷え性。
でも好き。

萌える春はとても好き。
燦々の夏はすごく好き。
静かな秋はうんと好き。

省みる。
希望を抱く。
過去と未来を繋ぐ。
冬が好き。

山茶花も冬が好き。

  冬が好きと山茶花も咲いてゐる   (あや)

赤い山茶花2152

赤い山茶花2153

赤い山茶花2154
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シクラメン(Cyclamen・篝火草) ~生活の一コマ~
- 2015/12/04(Fri) -
シクラメン151

シクラメンとシャコバサボテンを買った。
併せてプリンセチアも部屋に加わる。

畑のリーフレタスを二基のコンテナに植え替えた。
冬場は家の中で育てるのが恒例となっている。
台所のそばに置き、必要なとき必要な分だけを取る。
「もう一台植えてくれる?」と言う。
「明日ね」と答える。

食糧庫へ新たに棚を設置し、カリン漬けなどを並べる。
両隣の棚も整理し、古いものは処分。
賞味期限切れのもいくつか…、「捨てるよ」。
2時間ほど掛かって野菜専用の棚も組み立てた。
収穫したまま居場所に困っていたカボチャ、ジャガイモなどがすっきり収まる。

案内を頂いた「女流画家二人展」を観る。
若い頃から私と同じ会に所属していた作家お二人である。
洋画と日本画とジャンルは違うが、女性らしい優しい感性に包まれた充実の作品。

電話の相手は古い知人。
最後に話したのは30年ほど前。
その間音信不通だった。
不思議な感覚の中で互いを懐かしむ。

動くことで新たに分かることがある。
働くことで次に働かなければならないことが見えてくる。

   シクラメン花のうれひを葉にわかち   (久保田万太郎)
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サクラ(桜の剪定) ~桜切る馬鹿…か~
- 2015/12/03(Thu) -
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染井吉野の枝を切る。
以前から枝の張り出しで、近くにある薔薇たちが日陰になるのが気になっていた。
日当たりを良くしようと。
切るには葉も落ちて樹形がはっきりした今がいい。

全体を見渡して切り落とす枝を決める。
両手で長い柄の鋸を支えて上下に動かす。
花に影響を与えていたと思われる枝はおよそ落とした。

片付けた後、「桜の剪定」について調べた。

 桜は細いうちに切る。太い枝は腐りやすいので切るのは避ける。
 できるだけ元から切る。枝の中途で切るとそこから腐りを生じさせ樹を弱らせる。
 切った後は切り口に必ず保護剤を塗っておく。

どうやら私の場合、やってはいけないと言われる剪定をしていたようだ。
いずれも合致していない。
これまでも適当にやってきてあまり気にならならかったのだが。
桜切る馬鹿と聞こえてきそう。
来春の開花に一抹の不安。

一人暮らしの義姉が訪ねてきた。
ポテトサラダを作ったのでと。
すぐに皿に移していただく。
リンゴも入っていて美味しい。
今年の夏、兄と弟のお二人を続けて亡くされ、淋しい正月になる…などと。
観てこられたという『菱田春草展』について話が弾む。
今度一緒に絵画展を観に行くことに。
こうして互いに訪問し合う関係がずっと続いていることはありがたい。
お返しに海の香りの「アオサ」を。

   亡き母を知る人来たり十二月  (長谷川かな女)

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フユシラズ(冬知らず・Calendula) ~冬が来た~
- 2015/12/02(Wed) -
フユシラズ1521

南側にはまるで春や夏を思わせるようなたくさんの黄色い花。
咲いているのは金盞花の仲間のフユシラズ。
その名の通り寒さにも強く、霜が降りようが雪が降ろうがものともしない。
葉も花もやわらかなのに、かなりの氷点下になっても平気である。
このあと春までずっとこの元気色を見せてくれる。

この花、起床するのは遅く、お昼頃。
それも晴れている日だけ。
曇りの日は一日中眠っている。
日が沈む頃には早い就寝となる。

蝶がいる。
蜂もいる。
12月になんてめずらしい。
やはり今秋は暖かかったんだ。

ようやく昨日で3台すべてのタイヤを冬用に履き替えた。
これで空から白いお客さんがいつ訪れても対応できる。
冬が来た。
冬が来た。

  年とつて冷たき土堤に遊びけり  (水田耕衣)

フユシラズ1522

フユシラズ1523

フユシラズ1524
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ナンテン(nandin・南天の実) ~「もう」と「まだ」と~
- 2015/12/01(Tue) -
ナンテンの実151

南天の赤い実が艶を増し、いっそう鮮やかになってきました。
ところどころなくなっているのは鳥が食べたあとかもしれません。
葉はまだ色づきが始まったばかりですが、しばらくすればそれらも真っ赤に染まるのでしょう。

房状に実った丸い南天の実を見ると、年の暮を自覚します。

カレンダーは1年最後の月です。
予定を書き込んだ11枚の過去。
どれだけのことを進められたのか…。
そして来年の新しいカレンダーも掛けました。

「もう」と感じ、「まだ」と言い聞かせ、「また」と思う12月の始まりです。

  実南天二段に垂れて真赤かな  (富安風生)

ナンテンの実152

ナンテンの実153

ナンテンの実154
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