カキ(富有柿) ~目にも嬉しい秋の実り~
- 2015/09/30(Wed) -
富有柿151

柿もいい色になってきた。
そろそろ良さそうだ。
生りのままにしてあったので少し小さめである。
摘果するようにと家人にちょこちょこ言われていたのだが。

昨日、試しに三つ取ってみた。
「柿も良い形よね」と言う。
いつものように、「彫ってみたら?」という遠回しのリクエストなのだ。
返事はしなかったが、着色までリアルに表現してみようかと思った。
皮を剥いて、皿に盛った。
甘味もほどよく乗っている。
今度の週末にすべてを収穫することにしよう。

  朝の柿潮のごとく朱が満ち来  (加藤楸邨)

富有柿153

富有柿154

富有柿155
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アメリカフヨウ(アメリカ芙蓉) ~トカイノカゼトゲージツノアキ~
- 2015/09/29(Tue) -
坑夫像

国立新美術館で公募展鑑賞の2時間を過ごした後、新宿に向かう。
目的は中村屋3Fの「中村屋サロン美術館」。
しかし展示入れ換えのため休館との案内。
同じエレベーターで降りたご婦人二人も「えっ、休館?」
やはり遠方からだった様子。
「お宅も?」と、2組は顔を見合わせて苦笑い。

腹が減った。
せっかくだから、ここでお昼にしようと私はインドカリーを注文する。
相馬黒光と荻原碌山の愛の苦悩に思いを馳せつつ。

8月下旬、私は安曇野穂高にある碌山美術館を訪ねた。
「女」「文覚」「デスペア」にあらためて心を深くする。
人妻黒光への苦しみと悲しみで包まれた純粋なる愛の形。
その心情と崇高なる精神性から生まれた「愛の3部作」である。
美術館正面石壁に刻まれる「Love is art, struggle is beauty」(愛は芸術なり、相克は美なり)という彼の言葉。

店は混み合っていた。
その一角には碌山滞仏中の作品「坑夫」があった。
彼がフランスから持ち帰った作品はたった二つ、そのうちの一点である。
帰国した秋の文展に出品するも落選の憂き目に遭う。
理由は未完成ということ。
当時の日本の彫刻界では人物においてはその似姿や細部までの綺麗作りが完成作であった。
それ故、荒々しくタッチを残したままの生命感溢れる碌山の作品(表現)は評価されなかったのだ。
碌山が師と仰ぐロダンの打ち立てた新しい彫刻観に斯界が追いついていなかったと言ってよい。
そんなことを思いながら、「坑夫」に近寄って撫でるようにじっくり見た後、会計を済ませた。

中村屋は黒光と夫愛蔵が作った店…。
その二人の狭間でもがき苦しんだ碌山。
ピュアな心の彫刻家は30歳の若さでこの世を去った。
大量の血を吐き壁と畳を赤く染め、黒光に看取られながら。

大型書店を経てバスセンターのある西口へ向かう。

帰路に就き、中央道が伊那路に入る頃、南アルプスの山なみのシルエットの上にはスーパームーン。
しばらく車窓から眺め、淡きロマンに浸る。

アメリカ芙蓉が二度目の花を見せている。

  秋は美術の石柱を囲む人ごころ  (石原八束)

アメリカフヨウ1521

アメリカフヨウ1522

アメリカフヨウ1523
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ダリア(dahlia) ~名残咲き~
- 2015/09/28(Mon) -
ダリア151

夏の名残り。
ピンクのダリア。
寂しげに2輪。
剪って挿そう。

赤とんぼが留まる。
そうか。
君はまだこのダリアと楽しみたいんだ。
では一輪だけ。

蔦と秋明菊を仲間に。

   一掬の水をダリアに恋人に  (小林貴子)

ダリア152
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コスモス(Cosmos) ~花あそびの虚空~
- 2015/09/27(Sun) -
コスモス2150

青空に映える色とりどりのコスモス。
秋色の秋桜の秋姿。
高く伸びた花茎が秋風にさわさわと揺れる。
穏やかな日の優しい秋情景。
夢中になって秋花に遊ぶ蜂。
そんな秋風情に私も自分を青春にして遊ぶ。

   コスモスの花あそびをる虚空かな   (高浜虚子)

コスモス2151

コスモス2153

コスモス2154
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アジサイ(紫陽花) ~今といふ刻の色の寂しさ~
- 2015/09/26(Sat) -
アジサイ9261

花後を残したままにした紫陽花がいくつかあります。
時間を経て色を失いゆく姿にも妙味があるのだと。
その枯れ色となったのを一枝二枝剪って花瓶に挿し。

そんな中に青い一枝を見つけました。
萼を伴わない真の花だけの紫陽花でした。

秋です。
日ごと侘しさが増して行く秋です。
秋は紫陽花の心も寂しいのでしょうか。

  今といふ刻わがいろに秋生きる  (山崎荻生)

アジサイ9562

アジサイ9263

アジサイ9264
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ジャガイモ(potato・木彫の馬鈴薯)  ~彫ってみるか~
- 2015/09/25(Fri) -
ジャガイモ1

食糧庫には三つの籠にジャガイモ。
7月に収穫したものの、なかなか減らない。
今年も多くがこのまま年を越す…。

先日の連休中のことだった。
手にとって見ていたら彫ってみたくなった。
ジャガイモにはそれほど個性的な形があるわけではない。
でも一つひとつが面白い表情をしている。
丸でも楕円でもないジャガイモ独特のでこぼことした不定形。
芽や根の跡が作る凹みの微妙な配置や深さ。
ただ、表面全体の滑らかさは果たして彫刻として味となるのかどうか。

米栂(ベイツガ)を使うことにする。
それは宮大工の淵沢さんが祠造りで使った余りだとくれた物。
黄白色で香りがある。
初めての材なのでどんな性質を持っているかわからない。

まず実際の形とほぼ同じ大きさの角材にする。
次に糸鋸で木取りし、荒取りをしていく。
そしておよその形を大丸刀で削り出す。
平刀で徐々に面を落とし丸みを出していく。
へこんだ部分は細い切り出しを用いて形作る。
根や芽も丁寧に掘り出す。
平刀で表面の柔らか味を出して完成。

米栂は縦の繊維に多少の強さがあったものの、全体としては軟材で彫るにはさほど問題はなかった。

「触ってみたくなるわね」
「店に出ていたけどね、日本南瓜もいい形していると思うけど、どう?」

まだしばらくは身近な野菜シリーズが続きそうである。

   「ます」を聴き馬鈴薯彫る九月かな  (あや)

ジャガイモ2

ジャガイモ3

ジャガイモ4

ジャガイモ5

ジャガイモ6
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キクイモ(菊芋) ~複雑な思い~
- 2015/09/24(Thu) -
キクイモ151

黄色い花がある。
花茎が枝分かれしてたくさんの花を付ける。
2メ-トル近くになる菊芋である。

園芸店で手に入れて一株を植えたのは十数年前のことだった。
塊茎がイヌリンを多く含んでいて健康に良いのだと。
何年かは味噌漬け、汁もの、煮物にした。
しかし不定型なでこぼこした形を洗い、皮を剥いたりするのにかなり手間がかかり…。
抜けない土臭さ…。
家人からは敬遠され…。
いつの間にか収穫することもやめ…。
すっかり野生化してしまった。
繁殖力が強いため、どんどん広がっていく。
絶やさなければと、毎年若いうちに抜き取るのだが。

蝶たちも遊ぶこの黄色い花を見る度、複雑な思いになる。

   誰彼もあらず一天自尊の秋  (飯田蛇笏)

キクイモ152

キクイモ153
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クジャクアスター(白孔雀) ~秋日和のメロディー~
- 2015/09/23(Wed) -
白孔雀151

真っ青な高い空。
掃かれたような薄い雲。

見上げれば堆朱模様の柿の葉。
赤く色づく山茱萸の実。
目を落とせば転がるギンナン5つ6つ。
さわさわと溢れ咲く白い小さな花。
長閑な秋のそこにある風景と静かに流れるひととき。

耳を澄ます。
目を閉じる。

ジェリー藤尾の唄を口ずさむ。
心の中は山を越えていい日旅立ち。

  川音の空よりひびく秋日和   (村山たか女)

白孔雀152

白孔雀153
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コバルトセージ(Cobalt sage) ~みんなはいいなあ~
- 2015/09/22(Tue) -
コバルトセージ152

たくさんの青い花。
お人形さんみたい。
かわいい。

うん、コバルトセージだね。

あら、蝶。
留まった。
何しているの?

さあ、イチモンジセセリだね。

ドライブしたいなあ。
何か見たいなあ。
ねえ。

さて、野菜を植えなきゃ。

  秋彼岸青いセージに蝶留まる  (あや) 

コバルトセージ151

コバルトセージ153
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コムラサキ(小紫) ~秋は何する~
- 2015/09/21(Mon) -
コムラサキ151

銀色の名の秋休み。
青い空の日が続く。

そぞろに歩く庭。
土竜が塚を作る。
剪定した薔薇の枝にアキアカネが留まる。
百舌が来て小刻みに甲高い声で鳴く。
葉を次々に落とし、色づく柿。
伸びた薄の穂はゆらゆらり。
艶やかな小紫の実はたわわ。

小学校では運動会。
私は鍬を持つ。
町では敬老の催し。
私は鑿を持つ。

お~い、お~い。
お~い。

    敬老の日のわが周囲みな老ゆる  (山口青邨)

コムラサキ152

コムラサキ150
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原種シクラメン・ヘデリフォリウム(Cyclamen Hederifolium) ~秋風の中で~
- 2015/09/20(Sun) -
ヘデリフォリウム152

数本の白い花が立つ。
それは原種シクラメン。
名はヘデリフォリウム。
その姿はいつも彼岸の前後に。

葉はまだない。
細く伸びた茎の先に小さな花だけ。
蕾はくるくるゼンマイ。

体を屈める。
目を近づける。

花のあるときも花のないときも、ずっとずっとそこにある。

  シクラメンはシクラメンのみかなしけれ  (中村汀女)  

ヘデリフォリウム151

ヘデリフォリウム153

ヘデリフォリウム154
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クジャクアスター(孔雀アスター) ~新米が届く~
- 2015/09/19(Sat) -
新米150

新米が届く。
義姉の田圃の稔り。
いつのまにか稲穂も刈り入れ時となっているようだ。
袋の中は玄米。
さて精米をいつとしよう。
その義姉、京都まで「ルーブル美術館展」を見に行ってきたとお土産まで。

花水木の下では濃いピンクのクジャクアスターが咲いている。

私もそろそろ芸術の秋を楽しみに都会へでも出掛けようか。

   新米を詰められ袋立ちあがる  (江川千代八)

クジャクアスター151

クジャクアスター152

クジャクアスター153
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ツユクサ(露草・月草・あおばな) ~青いハートの恋心~
- 2015/09/18(Fri) -
ツユクサ151

ツユクサが群がり咲く。
花びらは白と青の3枚。
青の二つは寄り添ってかわいい表情を作る。

昔のこと、その姿に「若者達の愛の言い伝え」がある事を教えてくれた人がいた。
ツユクサは花開くとハートに、つまりは愛の形を作る。
そこに心の中の秘めた思いを託すのだと。
自分の「恋心」をこの花に重ね、言葉や句や歌にし、相手に伝えるのだと。

こんな小さな野の花にも心を通わせる純情。
そんな素敵な言い伝えを持つツユクサ。

  露草も露のちからの花ひらく   (飯田龍太)

ツユクサ152

ツユクサ153
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クリ(栗) ~秋だもの、栗も~
- 2015/09/17(Thu) -
栗の実151

少し前から栗が落ち始めていた。
そんな季節なのだと、木にある実と地にある実を眺めていた。

昨日拾うことにした。
いつものように早朝の一働き。
毬(いが)に対応できるようにゴム手袋に長靴。
左手に籠、右手に長鋏。
20分ほどで籠が重くなったので、ひとまず終える。
続きはまた翌朝に。

毎年その恵みを届けてくれるこの栗は大果種の「丹沢」。
大分大きくなった。

水に浸して皮剥きまでは私。
手間と時間はかかるが、これも楽しい。

   栗拾いねんねんころり云ひながら  (小林一茶)

栗の実153

栗の実152
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リコリス(Lycoris・アルビフローラ) ~今を自覚する~
- 2015/09/16(Wed) -
リコリスアルビフローラ154

この頃ミスが多い。
この頃物忘れが続く。
この頃手足の動きに以前のような確かさがない。

そんなことを自覚する自分。
髪と肉と皺…鏡を見れば納得する顔がそこにある。
ありのままを受け入れる。

白い彼岸花が咲いている。
蕊の曲線が美しい。

   ヒガンバナ咲いたみんな遠い日の人  (西村秀治)

リコリスアルビフローラ150

リコリスアルビフロータ153
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ゲッカビジン(月下美人) ~夜の美女の再訪問~
- 2015/09/15(Tue) -
月下美人2151

月下美人が咲いた。
8月初めの満月の下で咲いたのに続き二度目である。

昨朝、蕾の先端に少しの綻びを見た。
そして開花は今夜かもしれない…そう思って部屋の中に入れたのだった。

辺りが暗くなり始めると、蕾は少しずつ動き出す。
後はスローモーション。
ゆっくりゆっくりと羽を広げるように。
それに伴い香りを外に送り出す。
美女の夜化粧の香り。
中からはイソギンチャクのような蕊が顔を出す。
マジシャンが隠されていたものを見せる手技のように。
9時、満開。

強い香りが部屋中に広がる。
それは鼻の奥の奥まで届く。

まだ3つの蕾が残る。
これらも明日か明後日にはきっと咲くのだろう。

  ふくらめる月下美人の馥郁よ  (あや)

月下美人2152

月下美人2153

月下美人2154

月下美人の蕾151

月下美人の蕾152

月下美人の蕾153

月下美人の蕾154

月下美人の蕾155
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ツリフネソウ(釣船草) ~浮かぶ船~
- 2015/09/14(Mon) -
釣船草151

深い筒状の花は釣船草。
柄の先にぶら下げられたように咲く
距はカタツムリのようにくるりと巻く。
昔の手回し蓄音機にも見える。
変わった形。

花も色々、人もいろいろ。

  つり舟草揺れてやすらぐとうげかな (久保田月鈴子)

釣船草152

釣船草153

釣船草154
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サンショウ(山椒の実) ~そして秋~
- 2015/09/13(Sun) -
山椒の実151

目に映る光景も少しずつ変わる。

いろいろも実となってその姿を見せる。
赤くなったのは山椒。
いくつかはすでに果皮が割れる。
中から光沢のある黒い種が顔を出す。

色や形もだんだんに秋。

   裏畑に朱を打つて熟れ実山椒  (飴山 實)

山椒の実152

山椒の実153
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マツバギク(松葉菊) ~九月の祈り~
- 2015/09/12(Sat) -
松葉菊150

この頃のことを思うと心が痛む。
襲いかかる理不尽。
追い詰められた苦しみ。
目の前に迫る深刻な危機。

深い悲しみ。.
諦めず。
強い憤り。
失わず。

後ろの脚を前へ、後ろの脚をまた前へと、確かにそして地道に。

久しぶりの青空。
気温も夏に戻ったように。

残りのマツバギクも強い陽射しの下。
周りの草木が装い始めたのを感じ、虫の音色を聞きながらも、まだ身の限りを尽くしている。

   去るものは去りまた充ちて秋の空  (飯田龍太)

松葉菊152

松葉菊153

松葉菊154
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ウド(独活の花) ~役立つモノ~
- 2015/09/11(Fri) -
独活の花151

うどのはなははなびのよう。

そして丸い小さな実に。

ウドのハナにアブ。
独活の大木だなんて…。

   独活の花雨とりとめもなかりけり  (古舘曹人)

独活の花155

独活の花152

独活の花154
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バラ(薔薇・アンネのバラ・Souvenir d'Anne Frank) ~台風のあとで~
- 2015/09/10(Thu) -
アンネのバラ1521

台風は去った。
心配していたが、予報ほどの雨風はなかった。

花たちはどうか。
とくに傷んだ様子もない。
大丈夫だ。

アンネのバラも少しの雨粒を乗せて咲いている。
その色は平和を希求する彼女の思い。

  傘となりアンネのバラは静に咲く  (あや)

アンネのバラ1522

アンネのバラ1523
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マリーゴールド(marigold・万寿菊) ~台風の季節…~
- 2015/09/09(Wed) -
マリーゴールド151

台風が接近している。
この後上陸するようだ。
すでに土砂崩れが起きている地域もあるという。
交通機関にも大きな影響が出ている。
こちらでは、収穫期を迎えている梨や林檎などの果樹の落下も心配だ。
大きな被害をもたらせなければいいが。

「不要不急の外出は控えるようにしましょう」とアナウンスが入る。
鉢物をすべて中に取り込んだ。

マリーゴールドの花言葉には「信頼、変わらぬ愛、濃厚な愛情」などとある。
その名の「マリア様の黄金の花」の意からの派生に因るのかもしれない。
この後の激しい雨と強風に持ちこたえられるだろうか。

   颱風の心支ふべき灯を点ず  (加藤楸邨)

マリーゴールド152

マリーゴールド153
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アサガオ(朝顔) ~今頃…~
- 2015/09/08(Tue) -
朝顔151

今頃になって朝顔。
咲く時を皆に誘われなかったのか。

今日は白露。
季節が進む中に遅れてひっそり空色の花。
その静かな佇まい。
哀感すら漂う。
蟻が遊んでくれている。

見つけた小さな喜び。

   朝がほに蟻の遊ぶ白露かな   (あや)

朝顔152
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ヤブラン(藪蘭) ~ぴったり生きて立つ~
- 2015/09/07(Mon) -
ヤブラン151

庭の片隅に紫の丸いつぶつぶ。
藪蘭の蕾が穂状になって立つ。
このままで十分鑑賞の姿になっている。
葉には斑。

すっきりしない天気が続く。
週間予報もあまり良くない。
心をかびさせないようにうまく付き合う。

   九月の地蹠ぴつたり生きて立つ  (橋本多佳子)

ヤブラン152

ヤブラン153
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シラヤマギク(白山菊) ~秋風に揺れる~
- 2015/09/06(Sun) -
白山菊151

白山菊が風に揺れている。
小さな白い花弁のその枚数はばらばら。
6枚であったり、7枚だったり、8枚、9枚のも見られる。
きれいに並んだ整った形のもあれば、1、2枚がこぼれ落ちたような不揃いのも。
それがこの菊の特徴。
また、背が高く、広い葉を持つ点でも普通の菊とかなり違う。
白山菊は野趣あふれる素朴な味わいのある菊だ。
虫たちも好きなようで、いろいろが来て留まる。

   花びらの欠けし野菊に涼風吹く (あや)

白山菊152

白山菊153

白山菊154

白山菊155
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リコリス(Lycoris・スプレンゲリー) ~ほっと、息をつく~
- 2015/09/05(Sat) -
スプレンゲリー151

進めていた仕事が一段落する。
コンセプトを持ってものを産み出し、具体的な形にすることの難しさ。
無から有へと、毎年繰り返される苦悩。
納得できるほどの完成度ではないが、期限内に終えてほっとする。

小ぶりのリコリスが咲く。
全体は淡紫色だが、部分に青を乗せる。
そのグラデーションの妙と趣。

花はいい。

   空澄めば飛んで来て咲くよ曼珠沙華  (及川貞)

スプレンゲリー152

スプレンゲリー154
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キク(菊) ~たったいま、返せ~
- 2015/09/04(Fri) -
菊セザンヌ151

    「夜は暗いほうがいい」

  夜は暗いほうがいい
  暗いから、怖いから、
  太陽がうれしかった。
  冬もやっぱり寒い方がいい。
  寒いから、凍(しば)れるから、
  春の陽ざしに恋いこがれた。

  明るい朝を、暖かい陽ざしを、
  風を、青空を、
  海を、湖水を、
  山々を、木々の緑を、
  昼と夜の区別を、
  四季のいろどりを
  人の情けを、
  少年の頬のういういしさを、

  たったいま、返せ。

本棚から滝平二郎の画集を取り出して眺めていた。
それは8冊組からなる『切り絵の四季』。
その外函は大分傷んでいて、奥付には昭和51年とある。
懐かしさと温かさ、子どもの純情と大人の優しさ、互いを支え合う情緒、折々の風物詩…。
そう、少し前にはそんな時代があったのだ。
「暗いほうがいい」は秋の部の中に載せる滝平の詩である。
豊かさとは…。


椿の下に菊が淋しそうに咲いている。
赤紫を白が縁どるこの菊、たしか後期印象派の画家の名を持っていた。

   たましひのしづかにうつる菊見かな   (飯田蛇笏)

菊セザンヌ152

菊セザンヌ153
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タカノハススキとトチノミ(鷹の羽薄・栃の実) ~見つける小さな秋~
- 2015/09/03(Thu) -
タカノハススキ152

小さな秋が庭にも一つ二つ。

薄が穂を出す。
まだ花の並びは先のようだ。
栃の実も落ちている。
艶やかな濃褐色の実が果皮からこぼれ出る。

他には…。
目を上に下に、遠くに。

野菊もちらほらだ。
秋だなあ。
秋だねえ。

   栃の実がふたつそれぞれ賢く見ゆ  (宮津昭彦)

タカノハススキ151

栃の実151

栃の実152
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シラハギ(白萩) ~人の言葉と矜持~
- 2015/09/02(Wed) -
シラハギ151

ざまざまな声が飛び交う。
それぞれの思いが交錯して複雑に絡み合う。
ころころ変わるコト。
何が真実か。
信じられる、信じられない。

言葉は重い。
言葉は生きている。
言葉は人。

庭も涼しくなった。
白萩が咲いている。

感じる秋。
考える秋。

  風立つや風にうなずく萩その他  (楠本憲吉)

シラハギ152

シラハギ153
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ヒルガオ(昼顔) ~咲く花、萎む花~
- 2015/09/01(Tue) -
ヒルガオ151

昼顔が咲いています。
萎んで落ちた昼顔もあります。

9月です。
一つの蝉の声です。
もの悲しさを感じさせる淋しい鳴き方です。
そんなところにも去りゆく夏を覚えます。

時は一棒のように切れ目なく月日を繋げます。
心は1棒のように月日への思いを区切ります。

  心引締めてはじまる九月かな  (安原 葉)  

ヒルガオ152

ヒルガオ153
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