ヒメオドリコソウ (姫踊り子草) ~慌ただしく足早に二月尽き~
- 2015/02/28(Sat) -
ヒメオドリコソウ283

陽当たりに小さなピンクがてんてんてん。
見つけた春は姫踊り子草。
名前が素敵。
手拍子打って踊っている。

あちらに萌。
こっちに萌。
まわりは萌。

わたしも。

  踊子草みな爪立てる風の中   (岡部六弥太)

ヒメオドリコソウ282

ヒメオドリコソウ281
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クリスマスローズ(Christmasrose)  ~だんだんに~
- 2015/02/27(Fri) -
クリスマスローズ271

「雨水」を過ぎてから、温かい日が続いています。
それに誘われるように花も咲いていきます。

クリスマスローズです。
3番手です。
隣には次に続くものたちも大きくなって。

楽しいですね。
花が増えていくのは。

このまま天気予報からは雪マークが消えていくかもしれません。

  通るたびクリスマスローズの首起こす  (田口素子)

クリスマスローズ272

クリスマスローズ273

クリスマスローズ274
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ソシンロウバイ(素心臘梅) ~ここにも色が香りが~
- 2015/02/26(Thu) -
ソシンロウバイ261

蕾から花へ。
そんな姿が少しずつ。
ソシンロウバイも。
艶々した丸い蕾。
それらも一つ二つと綻ぶ。
そして固く縛られた包みが解かれるように。
花びらは開き透き通る。
鼻は強く芳しい香りをとらえる。

ああ、これは春の色。
たしかに春の香り。

   臘梅の光沢といふ硬さかな  (山上樹実雄)

ソシンロウバイ262

ソシンロウバイ263

ソシンロウバイ264
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クリスマスローズ(Christmasrose)  ~また一つ~
- 2015/02/25(Wed) -
クリスマスローズ252

天気予報を聞くと、「三月中頃から下旬の温かさです」とかの言葉。
なるほど、外に出ると空気がこれまでとは違うのを感じる。

また一つ、クリスマスローズがさいた。

    「春」   八木重吉
  このこころ
  このこころ
  明日になれば私も知らないこころ
  ほかの人が知ってくれないにきまっているこころ

目の中に花が増えるにつれ、にこにこ、うきうき、そわそわ。
心の中にも明るく弾む彩り。

  時ものを解決するや春を待つ  (高浜虚子)

クリスマスローズ254

クリスマスローズ251

クリスマスローズ253
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雛飾り ~いつもながらの細かい仕事~
- 2015/02/24(Tue) -
雛飾1

時々の行事や季節に合わせて紙細工の飾りを持って尋ねてきて下さるのは一人暮らしの叔父。
「そろそろ近づいてきたので」と電話が。

今回は雛飾り。
80半ばの手から生み出されたものとはとても思えないほど丁寧な仕事である。
高さ10㎝、幅21㎝。
その中にお親王様から左右の大臣、ぼんぼり、橘、桜、膳、菱餅などが収まる。
身につける衣装や道具などにもふさわしい色や柄が拾われる。
そしてそれぞれが所持する扇や弓、矢、刀などにも考証が行き届く。
お膳の中のお椀なぞは数㍉ほど。
どこをどれを見ても繊細そのもの。
いつもながらの細かい作りにただただ敬服するばかり。

次はきっと「お花見」かと想像しながら楽しみに待つ。
気がかりは車の運転、片道40分の道のり。
今度連絡があれば、私の方から伺った方がいいか。

   雛飾りつゝふと命惜しきかな  (星野立子)

雛飾3

雛飾左大臣

雛飾右大臣

雛飾お膳
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キジバト(雉鳩) ~お~い、のんびりとなにしているんだあ~~
- 2015/02/23(Mon) -
雉鳩01

鳥が桜の枝に留まる。
窓を開ける。
デデッポッポーと低い声。
少し丸めの体に綺麗な鱗模様。
くるりとした愛嬌ある目。
雉鳩の雄。
若く見える。

その場を動こうとしない。
のんびり、マイペース。
パートナーでも待っているのか。
胸を膨らませる。
頭を傾げる。
首をぐ~んと伸ばす。
飽きない。
私までまったり。

九州や四国、それに北陸では春一番が吹いたという。
2月もいよいよ最後の週。
季節の駅伝でも冬男君が、大きく見えてきた春子さんへと襷を外し始めている。
ラジオでは「もうすぐは~るですね~」と。
私は「そうですねえ~」と。

  春一番山を過ぎゆく山の音  (藤原滋章)

雉鳩02

雉鳩03
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トウガラシ(木彫の唐辛子) ~農産物直売所から~
- 2015/02/22(Sun) -
唐辛子制作過程着色2

「農産物直売所に唐辛子が売っていたわよ」
「柄もついて良さそう。見てきたら?」
そういうので、車で数分のところにある隣町のショッピングセンターに出かけた。
農産物直売所はその一角にある。
手にとってモノをみると、なるほど私をくすぐる顔をしている。
裏を見ると、一袋130円、生産者には女性の名前が書いてある。
とそこへ、沢山の唐辛子の袋を籠に入れた高齢のご婦人。
「これ、40個入っているんだに。安いら。買っておくんなんしょ」と。
どうやらあのお名前のお方のようだ。
20袋ほどが追加して横に並べられる。
毛糸の帽子に長靴と、いかにも長年農業に携わってきたという年季の入った出で立ちである。
中年男(?)が唐辛子を手に取っているのが気になるのか。
「すごく辛いでな」と忠告とも取れるお言葉。
料理で使うのでなく、彫る材料にするのだとも言えず、「はい、わかりました」と一言。
一袋を手にしてレジに向かう私に、「ありがとな」の声。

帰ってからすぐに取り掛かる。
干してできた表面の凹凸が味のある形を生む。
材は朴を用いる。
柔らかいので仕事が早い。
柄と実の先端は細いので折れないように、慎重に刀を動かす。
できた。
ん~ん。
質感が伝わらない。
朴の地色がやや白っぽいため、刀痕の味や立体感が表に出てきていないためだ。
着色してみよう。
水彩絵の具で重ね塗り。
ひとまず完成。

「あっ、そうそう、サンマ買ってきたよ。干しておこうか」
しばらくは食材が木彫の題材となりそうである。

  とり入るる夕の色や唐辛子 (高浜虚子)


唐辛子1

唐辛子2

唐辛子3

唐辛子4

唐辛子制作5

唐辛子制作過程着色1

唐辛子制作過程着色3
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ツバキ(椿の蕾) ~北帰行~
- 2015/02/21(Sat) -
椿の蕾1

安曇野のコハクチョウたちが北帰行を始めているとニュースは伝えていた。
去年10月に飛来して以来約4ヶ月を過ごした犀川河畔を飛び立ち、約4000㌔離れた本拠地のシベリアへ向かう。
冬の終わりを告げる風物詩がここにもまた一つ。

陽気に誘われて庭をそぞろ歩く。
椿の蕾に色が差し始めている。
まだ花の形になるには時間がかかりそうであるが、目に映る景色にも春色が少しずつである。

頭に描かれる、春になると……。
新しい始まりへの喜びと少しの不安。

   鳥帰るいづこの空もさびしからむに  (安住 敦)

椿の蕾2
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ハクモクレン(白木蓮の蕾) ~雪にさよならするのだという~
- 2015/02/20(Fri) -
白木蓮の蕾204

昨日は温かな一日だった。
太陽が隈無く光を届けていた。
木蓮に沢山の蕾だ。
毛を纏ったそれは光を受けてビロードのように柔らかい。

「雨水」だったと。
耳にする言葉も冬を置いていく。
また一段季節が進む。

   声あげむばかりに揺れて白木蓮  (西嶋あさ子)

白木蓮の蕾203

白木蓮の蕾202
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一年後の手紙 ~報告することができて~
- 2015/02/19(Thu) -
一年後の手紙

受験シーズン真っ只中である。
各大学では合格発表も順次行われているのだろう。

Hさんから手紙が届いた。
九州大学に合格したという、嬉しい報告が綴られていた。
すぐに電話した。
声の弾みから、その喜びがひしひしと伝わってくる。

一年前にやはり彼女から手紙が届いたのだった。
残念ながら、九大に合格できなかったと。
でも他大学へ進学せず、志望校目指して浪人するとあった。
  どうしても行きたい大学なので、もう一年頑張って再挑戦したいと思います。(略)
  こうやって支えて下さる方々に、一番感謝の気持ちを伝えられるのが合格だと思っているので、
  来年こそは必ず合格をして今年とは違う報告をします。(略)
  これもいつかは人生の糧になると思うし、無駄な経験は一つもないと思うので、また一年頑張ろうと思います。

そして、彼女は彼女自身の強い意志と高い目標へのたゆまぬ努力によって見事重い扉を拓き、願いを実現した。
自らを律し、志を高く持って一意専心励んだ彼女に頭が下がる。
  この一年間、現役合格していたら経験できなかった出会いが沢山ありました。沢山のことを学びました。(略)
  今度は九州の地で夢に向かって頑張ります。

四月からは信州の小さな山あいの地から、遠く離れた大都会での生活が始まる。
心に抱く大きな思いをこれからも強く清く追い求めて大成してほしい。
いや、学ぶ目的と強い意識を持って進学する彼女ならきっと夢を成し遂げることができる。

手紙を読み返しつつ、山頂でご来光を見るようなすがすがしい思いが胸の奧に広がっていた。
そして私自身の中に新たな励みと勇気…、彼女に感謝したい。

   一年後の合格の手紙二月の空  (あや)

一年後の手紙3

一年前の手紙2
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ラッカセイ(木彫の落花生) ~面白いと思わない?~
- 2015/02/18(Wed) -
落花生1

落花生の袋から10個ほどを取り出し、皿にあけて言う。
「落花生も面白いと思わない?」
最近身近なものを木彫にしている私に、つまりは「彫ったら?」というリクエストなのだ。
「そのままでもいいし、少し割って中の豆が見えている形もいいと思うよ」

皿に転がっている中から、特徴ある形のものを一つ選ぶ。
材は朴にした。
地の色が比較的似ており、そしてやわらかく彫りやすいからだ。
いつものように大きさはほぼ実物大とする。
まずは板を四角に切る。
平刀を使い、面で大まかに特徴を捉える。
そして少しずつ角を落とし丸みを出していく。
くびれたところが少し彫りにくい。
所々逆目が出るので彫りの方向を変えてささくれを直す。
全体の形ができたところで、最後に小丸刀で模様を彫り出す。
細部の網目は、刀がうまく入らないので省略。
完成。

最近はスーパーへ出かける際、食材が木彫の材料にならないかという視点でも見ているようである。
「サンマの干したものはどうかしら」
「アジの開きも味があるわよ」
「スルメも表情ある」
「ショウガのでこぼこ感もいいよ」

仕上がったものを手にとって見ていると「♪モスラーや モスラー~」の歌を思い出した。
歌うザ・ピーナッツを映画で見たのは小学校の時だったか。

  落花生彫れば聞こえるモスラの歌 (あや)  

落花生2

落花生3

落花生4

落花生9

落花生6

落花生8

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クリスマスローズ(Christmasrose)  ~まず一つ咲きました~
- 2015/02/17(Tue) -
クリスマスローズ171

クリスマスローズです。
魁は赤紫でした。
まだ一輪だけです。
ほかのも膨らみを大きくしています。
この時期、少しだけでも花を見つけると嬉しいものです。
小さな春の歌が土の中から聞こえてくるような、そんな気分にさせてくれます。

急がず休まず、そして怠らず。
春はいっぽ一歩。

それにしてもクリスマスローズは下を向くのが好き。
恥ずかしがり屋なんですね。

   クリスマスローズ気難しく優しく  (後藤比奈夫)
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バンペイユ(晩白柚) ~えええ、おっきい~
- 2015/02/16(Mon) -
バンペイユ1

昨日のこと。
久しぶりに義兄の家を訪ねる。
さてお暇する段、東京下町生まれの嫁さん。

「ねえ、バンペイユ、持って行かない?」
「ばんぺいゆ?」
「あら、知らない?」
奧から持ってきたのはハンドボールほどの大きさの柑橘類。
「晩ご飯の晩に白いという字にユズの柚って書くの」
初めて見る。(たぶん)
「どうやって食べればいいんですか?」
「普通に皮をむいて食べりゃいいのよ。グレープフルーツとハッサクの間みたいなものよ」
見るからに皮が厚そうだ。
「送ってくれたの。家にこんなのがたくさんなっているみたい」
そういえば末娘の嫁ぎ先からは太平洋に面したミカンの産地だ。

両手で持って差し出して。
「もらってきたよ。これしってる?」
「わああ大きい。何なの」
「ばんぺいゆだって」
「バンペイユ?」
「ざぼんのなかまらしい」
「食べる?」
「たべよう」

まず皮を剥くのに一苦労。
中は綿のように真っ白。
果汁は少ない。
果肉はサクサク。
香りはやわらかくさっぱり感。
酸味も甘味も控え目。
大きさの割には強い主張はなく、ほどよい食感。

きっと外にもまだ口にしたことのない柑橘類がいくつもあるのだろう。
知らないことがたくさんだ。

   晩白柚のテーブルにある二月かな  (あや)

バンペイユ2
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ナガカズラガイ ~貝を彫る~
- 2015/02/15(Sun) -
ナガカズラガイ7

飾り棚の中に幾種類かの貝がある。
ナガカズラガイもその一つ。
いつ手に入れたものだったのか記憶が定かでない。
その昔、沖縄で拾ったか…。

木彫にはどうだろう。
どのくらい迫れるか。
材は欅(けやき)を撰ぶ。

実物大に木取りをする。
次にぎりぎりの線で荒取り。
この段階で細鋸が折れる。
硬すぎる材に刃が負けたようだ。
鋸はあきらめ平鑿を用いる。
面で捉えて突く。
あらためて欅の硬さを実感する。
およその輪郭が見えてきたので彫刻刀に持ち替える。
背の丸みを平刀で表していく。
中のへこみの彫り込みに時間がかかる。
なかなかうまく掬えない。
渦を出していく。
最後に内側の襞を仕上げる。
細部は省略。

難しい。
しかし形になっていくその楽しさ。

ところでこの貝のこと、じっと眺めているのだが、やはり思い出せないでいる。

風の耳拾い集めし二月かな (木村敏男)  

ナガカズラガイ0欅

ナガカズラガイ1

ナガカズラガイ2

ナガカズラガイ3

ナガカズラガイ4

ナガカズラガイ5

ナガカズラガイ6

ナガカズラガイ8
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デンドロビウム ~届いたものは~
- 2015/02/14(Sat) -
デンドロビウム2141

小さな小包が届く。
姉から。
開いて出てきたのは手縫いの巾着。

母の手になる。
「おかあさんは若いころの大島紬の着物をほどいて小物をよく作っていました」と。
これは買い物の時に愛用したもののよう。
その中に古里の味が入っている。

「老眼をかけながら一針一針、丁寧にきっちりと仕上げています」
「嬉しそうに微笑んだ顔を思い出します」
「最後まで、創造と実行のお母さんでした」
「画材入れにでも使ったら、良いかと思います」

姉の心。
母のぬくもりと匂い。

花が好きだった。
私はデンドロビウムを剪って挿した。

  小包で届く母の巾着バレンタインの日 (あや)

巾着

デンドロビウム2142
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春待ち草 ~陽射しが明るくなった気がする~
- 2015/02/13(Fri) -
チューリップの芽

あれってチューリップでしょ。
よくみつけたね。
水仙も出ている。
ほんとだ。
あの艶々した葉は?
ひめりゅうきんかだとおもう。
ほら、あそこでは落ち葉を持ち上げている。
たぶんスノーフレークだな。
みんな出番を伺っているのね。
それぞれすこしずつじゅんびをはじめている。
自分だけのその時をじっと待っているんだ。
そうだなあ。

そういえば最近、陽射しが明るくなってきたって感じるわ。
はるがちかくなったということだろうね。
春かあ。
そのきざしがちいさなかたちとなってあちこちに。

  春萌の落ち葉かき分け一つ二つ   (あや)

水仙の芽

姫立金花の芽

スノーフレークの芽
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ツグミ(鶫・噤) ~李の枝で思案する~
- 2015/02/12(Thu) -
ツグミ122

鳥の影がすっと横切った。
なんだろう。
音を立てないようにそっとガラス戸を開ける。
いた。
李の枝に一羽。
ツグミだ。
じっとしている。
何か考えることがあるのだろうか。
「口を禁じる」とも書くツグミ。
静かな鳥だ。

5分ほど。
ほとんど動かない。
さすがに部屋に冷たい空気が入ってくる。
もっとその姿を見ていたかったが。

そうだ、近々「鳥」も彫ってみよう。

  人の顔俄にさむし鶫とぶ  (右城暮石)

ツグミ121
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メジロ(目白・Japanese white‐eye) ~自分という道具~
- 2015/02/11(Wed) -
メジロ111

    冬    八木重吉

   木枯らしが吹く
   じっと物事を我慢していると
   自分が磨かれてゆくような気がする

我慢が足りなくて失敗したこといくつか。
我慢できず欲をかいてしまったこといくたび。
我慢を放り投げ感情を飛び散らしてしまった事々。
我慢のない自分がちっぽけに見えたしまった時々。

昔より少しは成長しているか。

鍬の柄が光り、鑿の柄が光る。
艶のある道具は存在感がある。
そうなるにはまだまだ時間がかかりそうだが。

チュルチュルチュルチュル。
寒かろうが目白は元気。

  たつぷりと寝て寒禽をまのあたり (細川加賀)

メジロ112

メジロ113

メジロ114
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雪催い(寒牡丹) ~雪がちらつく日に~
- 2015/02/10(Tue) -
寒牡丹1

風呂敷の結びを解くと、模様和紙が貼り付けられた手作りの箱。
箱書きには「雪催い(寒牡丹)」。
出てきたのは雪よけの菰を被った二輪の牡丹。
そして木製の雪かき。
集められた雪の小山のそばには赤い目の兎が座る。
牡丹の花びらは2㍉から4㍉ほど。
鋏で器用に。

「冬の飾りができたで、持って行くけど居るかい」と叔父からの電話。
いつものように季節飾りを届けてくださるという。
喜んで承の返事をするが、舞う雪と強い風と路面の凍結が少し心配。
なにせご高齢である、運転は大丈夫だろうか。
案ずることなく、ほぼ予定の時刻に車が庭に入る。
磨き上げられたブラウンの靴に折り目の通ったズボン。
右手にトレードマークの杖、左手に風呂敷包み。

ああした、こうだった、そこが難しかったなどと、作った状況を話してくださる。
 「そういえば前は雪かきはみんな自分の家で手作りしていましたよね」
 「そうなあ、今みたいにいい物なんか売っていなかったもの」。
 「板を打ち付けて、先を少し削って角度を付け、後ろには止め板があって」
 「それだけでけっこう重くてなあ」
粉を吹いた市田柿を喜ばれつつ。
 「牡丹はなあ…」、奥様と一緒の思い出を。
 「兎は…もうちょっと手を入れたかった」
 「菰はこよりにして…、上と下で太さを変えてあるんだに」
お茶をもう一杯。
 「材料がなくなってきて、この先どのくらい作れるかしらん」
 「今度はおひな様をな」

栗鹿の子を包む。
 「お気を付けて」。
道に出て見送る。

叔父との時間はセピア色の懐かしさとゼンマイ仕掛けの柱時計。
ひだまりの座布団の上に座す心持ち。

  藁の先いつも吹かれて寒牡丹  (桂 信子)

寒牡丹2

寒牡丹3

寒牡丹4

寒牡丹5
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デンドロビウム(蘭) ~風鈴が鳴る顔~
- 2015/02/09(Mon) -
デンドロビウム291

司馬遼太郎に「窓を閉めた顔」(平成4年4月6日)という一文がある。

 私は仏教学者の碩学中村元博士にお会いしたのは一度きりだが、素晴らしいお顔だった。
 「―どなたも、どうぞご自由にお入りください」
 というふうに、お顔の窓が快くあいていた。
 本田宗一郎氏と会ったときの印象もそうだった。
 風が吹き通っているような人柄で、今も思い出すたび心の風鈴が鳴るような思いがする。
  (略)
 以上は、私どもが、以前の日本人でなくなっていることを考えたいために書いた。
 (略)
 みなで、まず顔をリラックスさせることからはじめるべきではないか。

たしかに人は顔の印象だけでその人柄をキャッチしたり、全体像を瞬時に評価したりする。
特に子ども(赤ちゃんを含めて)は、大人の顔に敏感かもしれない。
昔、リンカーンは”40歳過ぎたら自分の顔に責任を持て”と言ったとか。

さて、自分は初対面の人にどうのように見られるのだろう。
外出する前に鏡を見て出かけるのがいい。
「窓を閉めた顔をしていないか」
「リラックスしているか」
風がふき通るような窓の開いた顔とまではいかないだろうが。

  月落ちてひとすぢ蘭の匂ひかな   (大江丸)

デンドロビウム292

デンドロビウム293
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スノードロップ(snowdrop) ~雪の雫~
- 2015/02/08(Sun) -
スノードロップ271

あら?ほら白い花。
すのーどろっぷだよ。
スノードロップ?
うん、にほんごにするとゆきのしずくというのかな。
下の方が膨らんでいてたしかに雫のよう。
ちいさなちょうちんのようにもみえる。
ちょこんと緑色が入って可愛いわね。
かわいいなあ。
葉っぱを見ると水仙に似ている感じ。
おなじひがんばなかだからね。
へえ、仲間って訳ね。
ひろいいみではそういうことになる。

ねえ、そろそろフキノトウも出る頃じゃない?
そうだなあ。
私好きなの。
そうか、じゃさがしにいくか。

   命あるものの呟く二月かな   (滝川名末)

スノードロップ272

スノードロップ273
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いりこ(炒り子・煮干し) ~形に魅せられて~
- 2015/02/07(Sat) -
3いりこ仕上げ

いりこがあった。
彫りたくなる形だ。

あさだ(浅田)を使うことにした。
北海道産のこの材は初めて用いる。
どんな質感が出るのか。
しかし…浅はかだった。
きわめて硬いのである。
超がつくほどだ。
朴や桂や楠をイメージしていたのだが。

ちょっとずつしか彫り進めない。
力が要る。
時間もかかる。
やり始めたからには途中で投げ出すわけにはいかない。

もっともその硬さによる利点もある。
刀痕がしっかり現れる。
彫りの形がそのまま残って光る。
木彫の味。

干したことによる形の特徴。
皺がよる。
骨が浮き出る。
薄くなった肉。
壊れて少しだけ残ったひれ。
口、目、顔の表情

「できたよ、ほら」
「あら、いいじゃない」

子どもの頃、煮干しをよく食べていたような思いがある。

   うつくしや鰯の肌の濃さ淡さ  (小島政二郎)

いりこと彫刻刀

2いりこ荒取り

1あさだ元材

あさだ
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オオイヌノフグリ (大犬の陰嚢) ~少しずつ少しずつ~
- 2015/02/06(Fri) -
オオイヌノフグリ254

朝は早くなっている。
夕は遅くなっている。
日は長くなっている。

点々々の小さな瑠璃色。
オオイヌフグリも顔を出す。
花の色も少しずつだ。

マネキンの服も明るい装いになった。

   日があればおおいぬふぐりとたわむれり  (あや)

オオイヌノフグリ253

オオイヌノフグリ251

オオイヌノフグリ252
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ヒヨドリ (鵯・ browneared bulbul) ~「もの」に対しての見方、感じ方、考えた方~
- 2015/02/05(Thu) -
鵯と臘梅152

臘梅の蕾もだいぶ膨らむ。
香りを広げるのももう少し。
楽しみ。

しかし先んじて、臘梅に別の楽しみを見出すものがいる。
彼には愛でる、嘆じるなど、風流の素養などない。
ひたすらそれを食するのみ。
そしてグルメのように味わい批評するというわけでもない。
ただ食欲の対象とする。

また一つ口に挟む。
臘梅は黙って彼の行為を受け入れる。

彼と私では「もの」に対しての見方、感じ方、考えた方が違うのだ。

満たされた彼が去った後、地には数個の蕾が転がっていた。

   臘梅を無口の花と想ひけり (山田みづえ)

鵯と臘梅151

鵯と臘梅153
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フクジュソウ(福寿草) ~春立つ~
- 2015/02/04(Wed) -
福寿草151

朝夕の強い寒気はまだ衰えてはいないが。
しかしそんな中にも、そこここで肌や目には春の兆しが感じられる。

福寿草が咲いている。
落ち葉の間をかき分けるように。

草花は季節の動きを教える。
時が来ると、隅々のセンサーでそれを感じる。
合わせて根の先から花の先までを反応させる。

暦には春が立つ。
しばらくは福寿草の色と形を楽しむ。

   福寿草見つけて一人言葉こぼれ  (あや)

 
福寿草152

福寿草153

福寿草154
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タンポポ (蒲公英・Dandelion) ~たんぽぽんぽんぽたんたん~
- 2015/02/03(Tue) -
タンポポ152

蒲公英を見つけた。
二つが寄り添うようにあった。
寒いからなのか、茎は伸びていない。
地面からすぐ花だ。
  背中を伸ばして。
  両手を突き出し。
  頭と手に汗かこう。
  さあさあ、元気に123。
お日さま色からの声がけ。

部屋の中では。
  よわいこころはそとお~
  なまけこころはそとお~
  らくもそとお~

   たんぽぽんぽんぽたんたん一人歌う  (あや)

タンポポ151
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デンドロビウム(マドンナ) ~仁の人~
- 2015/02/02(Mon) -
マドンナ1

「に」を漢字に変換しようとしたら「仁」がでた。
横に「大辞泉」の辞書機能がついてその説明があった。

1 思いやり。いつくしみ。なさけ。
特に、儒教における最高徳目で、他人と親しみ、思いやりの心をもって共生を実現しようとする実践倫理。
「智・―・勇」

二月二日、3時20分、いつものように新聞が届いている。

  木曾馬の黒瞳(め)みひらく二月かな  (大峯あきら)

マドンナ2

マドンナ3
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モズ(百舌・鵙・shrike) ~彼女のつぶやき~
- 2015/02/01(Sun) -
モズ131

来たのはモズのお嬢さん。
なんとなく淋しげ。
何かつぶやいてる。
聞いてみよう。

 彼、どこへ行ったのかしら。
 一人にして、もう。
 つまんない。
 ひとこと言ってくれればいいのにね。
 いつも気まぐれなんだから。
 嵐のように現れて、さっと去って行く。
 まるで月光仮面。
 勝手よね。
 ほんとにいい迷惑。
 今頃何処で何しているのかしら。
 ちゃんと居場所くらい連絡ぐらいして欲しいわ。
 調子いいんだから。
 はああ、あくびが出る。
 このあとどうしよう。
 巣に戻って気楽に昼寝でもするか。
 でも先に腹ごしらえしないとね。
 あら、誰?
 何見ているのよ。
 プライバシーの侵害よ。
 怒るわよ。
 ねえ。

庭にいろいろな鳥がやってきて私を和ませる。

   独り居のうれしき日なり鵙をきく   (及川 貞)

モズ132

モズ133

モズ134

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