雪の日の訪問者 ~鬢付け油~
- 2015/01/31(Sat) -
雪庭11

重い雪で庭はぐちゃぐちゃ。

電話があった。
「伺います」と。
こんな天気なので気の毒だとは思ったが。

ちょんまげに着物姿。
素足に下駄履き。
それで寒くはないかと尋ねると、まだ序の口、羽織は着てはいけないきまりという。
力士姿も板に付いてきた。
帰省するたびに挨拶に来てくれる。

体は一回り大きくなった。
初場所は4勝3敗の勝ち越し。
番付は上がる。
しかし、上には数え切れないほどの四股名が坐る。
でも自分で選んだ道。
けっして弱音を吐かない。
後に入った弟弟子は半年後にやめたという。
筋肉質、親方や先輩からは、たくさん食べろ、太れと云われるらしい。
正直、食べるのが苦しいと吐露する。

成人となった。
しかし場所と重なり、成人式には出ることはできなかった。
ビデオレターで参加したという。

得意は右四つ。
組んでから一気に勝負に出るのを型にしている。
次は大阪春場所。
精進して、さらに位置が上がるのを期待したい。

彼が去った後、しばらく部屋には鬢付け油の強い匂いが残っていた。

   初場所や朝の取組みに拍手あり   (あや)

雪庭12
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雪の朝  ~1月30日~
- 2015/01/30(Fri) -
雪庭1

カーテンを開くと積もっている。
予報通りだ。

ガラガラガラガラ。
道から響く重い音。
きっとグレーダーだろう。
除雪してくれているのだ。
まだ静かな朝、こうして働く人がいる。
通勤、通学、ヒトモノが動く前に。

雪はしばらく葉や枝の上にとどまる。
モミジ、シュウメイギク、クリスマスローズ…。
その姿はまた心を穏やかなところに誘う。

湯飲みを手にする。
もう少ししたら私も防寒具に身を包み、長靴を履こう。

   まだもののかたちに雪の積もりをり  (片山由美子)

雪庭2

雪庭3

雪庭4

雪庭5
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モズ(百舌・鵙・shrike) ~鳥の声が聞こえる~
- 2015/01/29(Thu) -
鵙151

キィッキィッキィッキチキチキチと大きな甲高い声。
窓辺に寄り見渡す。
西日が射す逆光の中に一羽。
柿の枝に雄の百舌。
キィッキィッキチキチキチチ。
きょろきょろしてまた繰り返す。
どこかに刺しておいた早贄でも探しに来たのか。
結局なにも口にはしないまま彼は去った。
近くに黄色く膨らんだ蝋梅の蕾がある。
せっかく来たのだから鵯のように一つ二つ摘まんでいけばいいのに。

    冬の鵙去りてより木は揺れはじむ  (加藤楸邨)

鵙152

鵙153
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夕食後のテレビ  ~『生命は』~
- 2015/01/28(Wed) -
吉野弘夕焼け1

食後、何気なく見ていたテレビで詩人吉野弘を特集していた。
彼の詩で思い浮かぶのは『夕焼け』の電車の中の少女の姿である。

   (略)
 やさしい心の持ち主は
 いつでもどこでも
 われにもあらず受難者となる。
 なぜって
 やさしい心の持ち主は
 他人のつらさを自分のつらさのように
 感じるから。
 やさしい心に責められながら
 娘はどこまでゆけるのだろう。
 下唇をかんで
 つらい気持ちで
 夕焼けも見ないで。

番組で何編かの詩が紹介されていた。
その中の一つに「生命は」があった。 

 生命は
 自分自身だけでは完結できないように/つくられているらしい
 花も/めしべとおしべが揃っているだけでは/不充分で
 虫や風が訪れて/めしべとおしべを仲立ちする

 生命はすべて/そのなかに欠如を抱き/それを他者から満たしてもらうのだ

 世界は多分/他者の総和
 しかし/互いに/欠如を満たすなどとは/知りもせず/知らされもせず
 ばらまかれている者同士/無関心でいられる間柄
 ときに/うとましく思うことさえも許されている間柄
 そのように/世界がゆるやかに構成されているのは
 なぜ?

 花が咲いている/すぐ近くまで/虻の姿をした他者が/光をまとって飛んできている
 私も あるとき/誰かのための虻だったろう
 あなたも あるとき/私のための風だったかもしれない

ニュースは辛く悲しい現実を報道している。

 やさしい心の持ち主は/ いつでもどこでも/ われにもあらず受難者となる。
 なぜって/ やさしい心の持ち主は/ 他人のつらさを自分のつらさのように/ 感じるから。

吉野弘が生きていたのなら、この今をどのような言葉で紡ぐのだろう。

  夕焼の中に危ふく人の立つ (波多野爽波)

吉野弘夕焼け2

吉野弘夕焼3
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水田と米と都会育ちと鄙育ち ~『墨汁一滴』の中の漱石~
- 2015/01/27(Tue) -
墨汁一滴1

“夏目漱石は田の苗が米になることを知らなかった”
あの大先生にあってはすこぶる信じがたいことだが、これは事実らしい。

正岡子規の『墨汁一滴』を読んでいた。
死の前年、激しい苦痛にさいなまれた病床で書かれた随筆である。
俳句のこと、短歌のこと、病気のことなどに加え、学生の頃の思い出などが綴られる。
その中に、同級生だった漱石に触れた一文に書かれている。

  余が漱石とともに高等中学校に居た頃漱石の内をおとづれた。
  漱石の内は牛込の喜久井町で田圃からは一丁か二丁しかへだつてゐない処である。
  漱石は子供の時からそこに成長したのだ。
  余は漱石と二人田圃を散歩して早稲田から関口の方へ往たが大方六月頃の事であつたろう。
  そこらの水田に植ゑられたばかりの苗がそよいで居るのは誠に善い心持であつた。
  この時余が驚いたことは、漱石は、我々が平生喰ふ所の米はこの苗の実である事を知らなかったといふ事である。
  都人士の菽麦を弁ぜらる事は往々この類である。
  もし都の人が一匹の人間にならうといふのはどうしても一度は鄙住居をせねばならぬ。

都会育ちの漱石は、鄙育ちの子規に青田の苗がやがて米となることを教えられたらしい。
私は思わずその部分をもう一度読み返していた。
漱石の「苗と米」にまつわる事実が分かり、思わずひとりにんまりした。
言葉を自在に操る文学者の若い頃の一面を知り、なぜか嬉しくなった。
そして 漱石も我々と同じなんだと、身近に感じた。。

今朝は雨、一月にしては珍しい。
少しずつフユオ君とハルコさんが寄り添ってヒソヒソと話を始めたのかもしれない。

  孔孟の道貧ならず稲の花  (夏目漱石)

墨汁一滴2
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K氏の像 ~若い頃の感性~
- 2015/01/26(Mon) -
K氏1

家の中にいくつかの彫刻作品がある。
絵と違って重ねたり積んだりするわけにはいかない。
おのずと場所を取る。
それで、かなりの作品は壊したりして処分した。
今手元にあるのは何か思い入れがあるものだけとなっている。

K氏の像は上司がモデルであった。
仕事の面では厳しい指導だったが、プライベートでは私たち若輩者に対してはよく面倒を見てくれた。
道元を生きる柱としていた。
伴われて寺で座禅に参加したこともあった。

作ったのは休業中の夏の暑い日、K氏も私も汗だくだった。
色々の話をしながら粘土を付けていった。
奥様の名前が一緒のことや、息子さんが私と同じ年のことなど。

最近、その頃の感性が失われていることを感じる。

   一月の汚れやすくてかなしき手   (黒田杏子)

K氏2
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シジュウカラ(四十雀・great tit) ~1月の晴れの日の小鳥~
- 2015/01/25(Sun) -
四十雀251

四十雀ね。
うん。
どうして四十雀って云うの?
しらない。
四十年生きるのかしら?
そんなことはないだろう。
始終(しじゅう)「ツッピツッピー」と鳴くからかなあ。
メジロなんてもっとうるさくなく。
可愛いわね。
かわいい。

いい天気ね。
いいてんきだ。
ドライブ行きたいね。
ぼくはよていがはいっている。

   山晴るる日は呼び合ひて四十雀   (中島畦雨)

四十雀252

四十雀253
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アブラセミ(油蝉) ~木を彫るのは楽しい~
- 2015/01/24(Sat) -
蝉0

蝉を彫る。
季節にはそぐわないが。

用材は桂。
大きさは実物大。

平刀で面を大きくざっくりと。
刀を替えて細部へ。
翅の流れ。
頭部の膨らみ。

ふう~っ。
紅茶を口に注ぐ。
首を回し、眼鏡を取る。
刀を研ぐ。

ひっくり返す。
前翅を薄くし後翅の形を整える。
胸部と腹部。
脚は省略。

時々何処を彫っているか分からなくなってくる。
いけない。

目の高さに持って、上から下から前から横から見る。

このくらいにしよう。

蝉は感じられるか。

  冬の日に蝉を彫る足は冷える  (あや)

蝉1

蝉2

蝉3

蝉4

蝉5
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メジロ(目白・Japanese white‐eye) ~雪の中で見つけたもの~
- 2015/01/23(Fri) -
目白971

雪かあ。
それでも働かなきゃあなあ。

これは?
熟柿の残りだな。
まだ食べられそうだ。
ど~れ。
んん、いける。
ついでにもう一口。
ああ、おいしかった。

覚えておいて明日も来ようっと。
そうだ、みんなにも教えて一緒に。

  寒禽や熟柿見つける雪の中  (あや)

目白972

目白973

目白975

目白976

目白977
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ドリテノプシス(Doritaenopsis) ~『ある愛の詩』を見た頃~
- 2015/01/22(Thu) -
ドリテノプシス1

夢を見ていました。
はっきりとした顔でした。
20歳の頃の出来事です。
学生時代のことです。

映画を見に行ったのでした。
「ある愛の詩」でした。
雪が積もる公園では子どものようにしゃぎ楽しむ二人の姿があります。
低い声の心に染みいる素敵な歌が流れていました。
♪海よりも美しい愛があるの~
純愛でした。

目覚めたら雪の朝です。
あまり積もらなければいいのですが。

  雪見れば『ある愛の詩』という二人あり  (あや)

ドリテノプシス2
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M女史の像 ~作品の修復~
- 2015/01/21(Wed) -
889.jpg

「M女史の像」は30代中頃の作品である。
モデルは陸上をしていた同僚。

着色が剥落したり、台座に傷みがあったりしたので修復した。
若い頃の作品を見ると、その時、柱としていたことや求める方向性が分かる。

彫刻作品はこうして色を塗り直したり、欠落した部分を補うことができる。

塗り変えたい、加えたい、削りたい…ことばかりの私という作品。

いたらぬ過去を背負いながらも、今を受け入れ、今を生きる。

   道凍てし夜と云ふものゝ中にあり  (高浜虚子)


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柿の剪定 ~寒中での作業~
- 2015/01/20(Tue) -
柿の剪定1

ラジオの音がガラス越しに耳に入る。
隣の柿畑からだ。
中山さんが、三脚に上って剪定をしている。

多くの花を咲かせ、そして大きな実を付けさせる。
そのために、養分を集中させ、丈夫な枝を作る。
鋸で太枝を切り落とす。
鋏で細枝を切り落とす。
この後の陽当たりや伸びる向きを見極めつつ。
どれを取りどれを残すか、決める。
躊躇わず。
培われた経験と知識。

農家は暦とともに農事を行う。
寒中のこうした作業があればこそ、よりよいモノづくり(作物)ができる。
手間暇掛けてこそ、地域ブランドとしての品質の高い干し柿ができる。

大寒だという。
その節気通りの冷えた空気に包まれる。

一番寒いこの時期にしなくてはならぬ事。
余分なものと必要なものの選別。
そぎ落とす。
絞り込む。

「まだまだだな」

  大寒と敵(かたき)のごとく対(むか)ひたり (富安風生)

柿の剪定2

柿の剪定3
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サンゴアブラギリ(珊瑚油桐) ~ふるさとは遠きにありて思ふもの~
- 2015/01/19(Mon) -
サンゴアブラキリ193

センター試験が終了したとニュースは伝えていた。
毎年この厳寒期での受験生への試練である。
目差す路への扉が開かれんことを祈りたい。

古い友人から葉書が届く。
相変わらず整った文字と細やかな文。
受験生であった遙か昔、ともに励まし合った4人の仲間がいた。
そのうちの一人である。
その頃の国立大学の入試制度は一期校二期校制だった。
それぞれが現役で志望する大学へ進むことができた。
彼女は高校の国語教師となった。
時が流れても、青春の絆は今も続く。
古里へ思いを馳す。

朱色の珊瑚油桐が咲く。

    厳冬を越す物のたね無尽蔵  (三橋敏雄)

サンゴアブラキリ192

サンゴアブラキリ191

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ヤマガラ(山雀・varied tit) ~目には小鳥てのひらには冬日~
- 2015/01/18(Sun) -
ヤマガラ181

ヤマガラが遊びに来た。
このところしばしば顔を見せてくれる。
まん丸い目がなんとも可愛い。
体が膨らんでいる。
後ろ姿を見ると、その体に比べ足がとても細い。
嘴を伸ばしたのは桜の花芽。
彼らにとってはこの時期の貴重な栄養源らしい。

1月も半ばを過ぎた。
この先のスケジュールに沿って、きちんと仕事を進めることとしよう。
一つひとつを丁寧に。

   寒禽に励まさられる冬日かな  (あや)

ヤマガラ182

ヤマガラ183

ヤマガラ184
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ケヤキ(欅の葉)  ~庭の落ち葉たち~
- 2015/01/17(Sat) -
ケヤキの葉裏1

落ち葉にも魅力がある。
それが造形的に美しいと感じたりする。

今回手に取ったのは欅の葉っぱ。
いつものように木で彫る。
用いるのは桂の端材。

スマートである。
葉脈が際立ち、鋸歯に縁取られる。
反りやねじれの形を作る。

大丸刀で徐々に薄くしていく。
表と裏では表情が異なる。
その特徴を表す。

漆塗りの台の上に置く。
表を見る。
裏を見る。
およそよさそうだ。
終わりにする。

  冴ゆる夜のこゝろの底にふるゝもの   (久保田万太郎)


ケヤキの葉表

ケヤキの葉裏2

ケヤキ木取り
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デンドロビウム(Dendrobium・マドンナ)  ~冬の夜長にあなたこなた思う~
- 2015/01/16(Fri) -
マドンナ151

紫のデンドロビウムが咲いた。
マドンナという名がついている。
もう何年めの冬になるのだろう。
彼女はいつも艶があって美しい。
そういえば去年は夏にも咲いたのだった。
今年も二度咲きがあるのだろうか。

夜のしじま、蘭を見る穏やかな一人の時。

  蘭の花あなたこなたを問いかける  (あや)

マドンナ152

マドンナ153
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ヒヨドリ(鵯・bulbul)  ~リンゴを食べます~
- 2015/01/15(Thu) -
ヒヨドリ11

ヒヨドリが庭にやってきました。
番いなんでしょうか。
耳を欹てて会話を聞いてみましょう。

美味そうな林檎があるわ。
ふじだねえ。
丁度腹が減ってきた頃だし、食べていきましょう。
ぼくはいい。しょうがつにだいぶたべてすこしふとりぎみだから。
ちゃんと二人分有るわよ。
そろそろだいえっとでもしなければとおもっている。
そんなこと言ったら私だって…。
このところずっと、べすとたいじゅうをかなりおーばーしているんだ。
私は食い気に勝てません。では遠慮無く頂くことにするわ。
いいよ。ぼくはここでしばらくやすんでいるよ。

私、林檎が大好きなのよね。
蜜がたっぷり入って美味しそう。
どこから食べようかしら。
この辺りが良さそうね。
ぐいっと首を伸ばして。
嘴を入れて。
一口挟んでと。
ああ、美味しい!
たまんない!
ねえ、貴方、一緒に食べましょうよ。
ほんとに要らないの?
意思が固いわね。
ん?誰なのさ。さっきからこっちをじっと見ているのは。
食事中の様子をじろじろ見るなんて失礼よ。
ねえ、なんか文句でもあるの?

雄は最後まで同じところに留まったまま、雌の食べ終わるのを待っていました。

   鵯の大きな口に鳴きにけり  (星野立子)

ヒヨドリ12

ヒヨドリ13

ヒヨドリ14

ヒヨドリ15

ヒヨドリ16
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塩見岳 ~甘酒をいただく~
- 2015/01/14(Wed) -
塩見岳467

義姉からの電話があった。
「甘酒を作ったから来ない?」

玄米で作ったという。
炬燵に温まりながら頂く。
品のある心地いい甘さだ。
おかわりでもう一杯。

義姉は歌人である。
歌作りのこと、絵、彫刻のことなど。
政治のこと、戦争と平和のことなど。
ものを観る視点が繊細で豊かで深い。
一時間ほどでお暇する。
甘酒とらっきょう漬けを瓶に詰めて持たせてくださる。

二階の窓から雪の塩見が見える。
当たり前のことだが、変わらない形をしている。

   冬の日のものぬくめゐる静けさよ  (小島政二郎)

塩見岳466
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スノードロップ(snowdrop) ~見ようと思えば見える~
- 2015/01/13(Tue) -
スノードロップ54

作業の手を休め、外に出る。

西日が庭を照らす。

なにかないか。
なにかあるか。
なにかなにか。

すると小さな白が目に入る。
スノードロップだ。
一つ開きかけている。
落ち葉の間からはいくつか芽も覗く。

意思を持って見る。
何かが見える。

部屋に戻り、小さな台に赤漆を塗った。

   或日あり在日ありつつ春を待つ  (後藤夜半)

スノードロップ55
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仙丈ヶ岳 ~寝ながらの「白い路」から~
- 2015/01/12(Mon) -
仙丈20151

このところベッドサイドに置いてあるのは種田山頭火の『白い路』。
でも、5~6頁ほど捲るとすぐに眠くなって灯りを消す。
年のせいか。

  夜は長いであらう。しかし夜はいかに長くても遂には明けるであらう。明けざるを得ないであらう。
  闇の寂しさ恐ろしさに堪へて自己を育てつゝある人の前には、きっと曙が現はれて来る。

  張り切った心、しかし落ちついた心でありたい。
  何物をも拒まない、何物にも動かされない心でありたい。

  燃ゆる心である。音も香もなくしんしんとして燃ゆる心である。

  忍ぶものは勝つ。光は闇の奥から来る。
                                   (大正五年「層雲」)

遠くに仙丈が見える。
最後に登ったのは2011年の7月だった。

   雪嶺よ日をもて測るわが生よ  (相馬遷子)

仙丈20152
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ツバキ(椿の新芽) ~寒くても冬萌~
- 2015/01/11(Sun) -
椿の冬萌1

厳しい寒さが続くが、そんな中にも庭のところどころに命の息吹を見ることができる。
たとえば枯葉が敷かれた中に椿の緑の葉が顔を出している。
太陽の光をその艶葉が跳ね返している。

「冬萌」という言葉は本来、草の芽ぐみをいうのらしい。
今こうして見るこの枯葉をかき分けるように、あるいは持ち上げるように伸びる椿の新芽にも「冬萌」を思う。

目に映らない土の下では、それぞれの草木が静かにそれでいて着実に根を深く掘り下げている。
季節にあわせ、その時々にふさわしい姿で生きている。

   冬萌や童謡歌ふ無精髭 (あや)

椿の冬萌2
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シジュウカラ(四十雀・great tit) ~コーディネートをどうしよう~
- 2015/01/10(Sat) -
四十雀1101

鳥の声が部屋に届く。
ツツピーツツピー、ツツピーツツピーと歯切れの良いリズム。
窓の外を見上げると桜の枝に雄の四十雀。
白いシャツに黒の太いネクタイ。
ジャケットは抹茶色。
スラックスは白と灰色と黒のシャープな模様。
見事なコーディネート。
桜の花芽を摘まんで一服している。
お茶でもあれば申し分ないか。

今日は私も長野市まで会議に出かける。
スーツは?シャツは?ネクタイは?

    暫くは四十雀来てなつかしき  (高浜虚子)

四十雀1104

四十雀1102

四十雀1103


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レオパ(ヒョウモントカゲモドキ・豹紋蜥蜴擬) ~脱皮する~
- 2015/01/09(Fri) -
レオパ151

レオパ君が脱皮する時は前兆があるのでだいたい分かる。
前日から体全体が徐々に白くなっていくのだ。
そしてその時が来ると、顔や体を壁や中のコルク、石にこすりつける。
一部分が剥がれ始めると、そこを口にくわえたりしながら段々に広げていく。
剥けた皮の多くは、自分で食べてしまう。
途中の姿は本人には気の毒だが、哀れでもあり、滑稽でもある。
がんばれ!
一番難儀するのは脚の指先で、小さくて密着度が高いためか、時には一日要することもある。
場合によっては、うまくいかず残ったりすることもあるので、手助けしたりする。
通常は穏やかで優しい目の彼だが、脱皮の時だけはむずがゆそうな辛そうな顔を見せる。
体力を消耗するのだろう、少し疲れた様子も見える。
それはおよそ数時間ほどで終わる。
そして終わった後のほっとした表情がまた可愛い。

おそよそ3週間に1度ほどの周期で、我が家のレオパ君にはそんな生態が見られる。

個展の日程が決まった。
私も時々脱皮が必要。

  膨らんだ自分を削いで冬の日 (あや)

レオパ152

レオパ153

レオパ154

レオパ155

レオパ156
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アセビ(冬の馬酔木) ~冬は根のように~
- 2015/01/08(Thu) -
冬のアセビ1

赤い蕾が並んで垂れ下がります。
馬酔木です。
菩薩様が身につけている瓔珞のようにも見えます。

去年の実も付いたままです。
これを牛馬が食べると中毒して痺れるのだとか。

冬の植物の姿も好きです。
じっとして静かで控え目で、それでいて意思を感じます。
見えないところでしっかり働いているのです。

   松過ぎの日あたる草を見てゐたり  (辻 蕗村)

冬のアセビ2

冬のアセビ3

冬のアセビ4
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メジロ(目白・Japanese white‐eye) ~正月七日の小鳥の声~
- 2015/01/07(Wed) -
メジロ151

チルチュルリチルチュルリー。

おやおや、ようこそメジロ君。
新年早々、よく訪ねてくれたね。
君の明るい声を聞くと、私も元気が出て嬉しいよ。
そうかそうか、初詣でならぬ初食に来たんだ。
それは冬桜の花芽だ。
まだ固くないのかい?
どうだい、味の方は?
まっ、食べ過ぎないように。
今日は二人きりのようだが。
今度は「目白押し」になるくらい、仲間も連れてくるといい。
じゃあ、好きなだけごゆっくりと。

さて、今朝の私の食事はなんだろう…。

   小鳥が歌ふのは小鳥自身のためであって私のためではない。
   その歌に耳傾けるのは私自身のためであって小鳥のためではない。
                                           (種田山頭火「層雲」大正三年)

  七草や桜花芽を目白食む   (あや)

メジロ152

メジロ153
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ミツマタ(冬の三椏) ~ここにこうしてまっている~
- 2015/01/06(Tue) -
冬のミツマタ52

三椏の冬枝にいくつもの蕾。
小さな蜂の巣がいくつもぶら下がっているようにも。
ビロードのような毛に包まれている冬蕾。

このままじっと時を待つ。
耐える日があって花の日が来る。

  枝をさしのべている冬木  (種田山頭火)

冬のミツマタ51

冬のミツマタ50
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ヤマガラ(山雀・varied tit) ~小鳥から年始の挨拶~
- 2015/01/05(Mon) -
ヤマガラ1041

桜に小鳥が留まった。
雀ほどの大きさだ。
ツツピー、ツツピーとゆっくり啼く。
胸は淡赤褐色。
頭頂と喉が黒く、顔から頬に抜けて白い。
その特徴から山雀であることが分かる。
枝を嘴で突く。
咥えたのは樹皮の下にいる何かしらの幼虫だろうか。
彼も仕事始?

私も促される。

  寒禽の初啼き届く仕事始め  (あや)

ヤマガラ1042

ヤマガラ1043
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正月四日 ~自然を師とせよ~
- 2015/01/04(Sun) -
中央アルプス151

新年ようやくの晴れ。
遠くに見える中央アルプスもくっきりだ。
大きな窪みは南駒のカール。
風が雪を掃いて作るやわらかな美しい形。

山はいつもどっしり。

「苦しかったら山を見ろ!」
「自然を師と思え!」

そんな若い頃聞いた言葉を思い出す。

  初晴れや白き雪嶺を仰ぎ見る  (あや)

中央アルプス155

中央アルプス152

中央アルプス153

中央アルプス154
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正月三日 ~雪の詩情~
- 2015/01/03(Sat) -
タカノツメ1

元日から断続的に雪。
風も強く。
こんな年の始めは珍しい。
今朝もまた数㎝積もっている。
早めの雪かきを。

白い畑に取り忘れられたタカノツメが二株。
雪が創る景色の小さな詩情。

金子みすゞなら、タカノツメと雪の気持ちになって会話するのだろう。

    虚しさに似て倖や三ケ日   (柴田白葉女)

タカノツメ2
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正月二日 ~昔の遊び~
- 2015/01/02(Fri) -
正月飾り152

童謡「お正月」の歌の光景は昭和の子どもたちのそのものだった。
おしょうがつには たこあげて こまをまわして あそびましょうと、近所に集まって遊んだ。
凧も独楽もだいたいの男の子が手作りをした。(もっとも大人に手伝ってもらったりだが)
その作業に欠かせない肥後ナイフはほとんどの家にあった気がする。
それ一本があればおよその子どもの遊び道具は自分たちで作ることができた。
そういえば、男の子は筆箱(当時はセルロイドか金属の箱だった)にそれを一本入れてあることが多かった。
鉛筆もそれで削っていたのだ。(その削り方にも、それぞれのこだわりがあったり、几帳面さだったりと、個性が出るのだ。)
別の場所では女の子たちも童歌を歌いながらの毬突きやカーンコーンと羽根突きなども見られる。

年末に叔父が届けてくださった「正月飾り」に、そんな子ども時分を懐かしむ。

私の小道具箱には二本の肥後ナイフがあり、現役として今でも時々引っ張り出される。

   ころげ出て毬が田に入る二日かな  (飴山 実)

正月飾り153

肥後ナイフ
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