
時折テレビに出てくる高齢の方に感動することがある。
とても画面に出でてくる数字のそのお年には見えないのだ。
背筋の伸びた若々しいお姿。
ユーモアを交え、茶目っ気たっぷりなお話。
自分をさらに高めようとするチャレンジし続ける生き方。
指、腕を器用に動かし、モノを生み出していく見事な技。
あるいはご自身の歴史に裏付けられた深い言葉。
それぞれが掛け値なしに素敵だと思う。
最近物忘れの多い自分にあきれている。
出かける前にこれとあれが必要だと準備しておいたものを持っていくことを忘れてしまうなど。
用意した書類を渡さずに帰ってくることも。
自分で育てている花の名前などを思い出せないことなども度々。
買い物に行っても1品買い忘れたりする。
戸川幸夫は次のように言っている。
大事なのは、自分のアンテナを磨くことなんですね。
人と会う時でも、相手の発している電波を逃さない。
そういう精神的な緊張さえあれば、ボケるなんてことはないですよ。
人と話している時も漫然としない。
“見る、見られる”ことに敏感であること。
ことに、人に“見られている”ことを常に意識することです。
そういう動物的な緊張を忘れなければ、人間はボケないし、輝きを失わないものなんです。
最近の私はどこかに緊張感を失っているのかもしれない。
戸川の言うように、モノやコト、ヒトを幅広くシャープに受け止めるができるよう、心のアンテナをいつも磨いておく。
肉体と精神の錆びを戒める。
ゴムは伸びすぎると元には戻らない。
「楽」という心持ちの弛緩を戒める。
そして「見られている」自分を意識する…か。
薔薇育て来し人美しく老いにけり (稲畑廣太郎)

