
雑誌のインタビューで君原健二が述べていた。
「充実した人生とは、夢や希望を持ち続けることではないでしょうか」
「生きている間は、ゴールはない。ゴール無限といいますかね」
70越えた今もなお、現役のアスリートとして走り続けている。
君原と言えば、あの首を傾けて走る独特のフォームが思い浮かぶ。
日の丸を胸に、アベベ、円谷、寺沢と競い合った彼の姿がよみがえる。
「駅伝のほうが人生に近いかもしれませんよ」
「親から受け継いだ命という尊い襷を、なるべく良い形で次の世代に渡す使命がある」
「だから、頑張って生きなくちゃいけない」
私は「夢や希望を持ち続け」て「充実した人生」を送っているか。
日々走り続ければ、腹筋も脚力も持続し、余分な脂肪は付かないだろう。
人生には直線だけではない起伏や景観の違うさまざまなコースがある。
今度のロンドンのように何度も細い道のカーブを曲がらなければならいコースもある。
「無理しないことが大事です」
「歩き始めて少しずつ距離を伸ばし、ゆっくり走る」
「仲間とおしゃべりしたり風景を眺めながら、マイペースで走るのがよろしいと思います」
不格好でもいい。自分の歩幅、自分フォームで自分の人生を走ることにする。
疲れたら休み、水分を補給してエネルギーが満ちてきたらまた走る。
スマートのなさを少しずつ無駄のない走りにしていけばいい。
コーナーワーク、躓かない走り、他の人との距離などをうまく身につけながら。
スピードがあるわけでもなく、持久力があるのでもなく、器用でもないのだから。
紫陽花にことばのあやの如きもの (岬雪夫)
