花花花鳥花花草花私 ~今日までそして明日から~
- 2012/02/14(Tue) -
花   

 黒板   高見 順

 病室の窓の
 白いカーテンに
 午後の陽がさして
 教室のようだ
 中学生の時分
 私の好きだった若い英語教師が
 黒板消しでチョークの字を
 きれいに消して
 リーダーを小脇に
 午後の陽を肩さきに受けて
 じゃ諸君と教室を出て行った
 ちょうどあのように
 私も人生を去りたい
 すべてをさっと消して
 じゃ諸君と言って


やはりあなたらしいですね。
つぎはどうするんですか。
きっともうかんがえているのだとはおもいますけど。
いつもいってましたもの。
きめたことはやりぬきたいって。
じぶんとのまにふぇすとはたいせつにしたいって。
ここまでとここからと、はくせんでらいんをひくようにすぱっと。
そしてさっといさぎよく。
そうですか。
わかりました。
すこしのこころのこりもありますが。
それがあなたのせかいです。
おや、ゆきです。
ほわいとばれんたいんでーになりましたね。
そうそう、わすれていました。
はい、これどうぞ。

  バレンタインデー心に鍵の穴ひとつ (上田日差子)

花  

花 

花
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デンドロビウム(蘭) ~プレイバックする若駒~
- 2012/02/13(Mon) -
デンドロビウム

表情は少年少女の昔そのまま。
しかし語り口調がみなやわらかで丸い。
歳月が彼や彼女の目もと、口元を穏やかにしている。
刻まれた皺や頭髪はそれぞれの生活の証し。
シングルライフを過ごしているのも片手以上の数だ。
ゴタの暴露も今となってはすべてが思い出に。
「あれだけは覚えているよ」と披露される私のエピソード。
そういうこともきっとあったのだろう。
大阪、愛知、岐阜、富山…。
33年ぶりに見る顔がいくつもある同級会。
南信州の温泉宿はあの頃の様々な時がプレイバックされ、遅くまで賑やかだった。
次回の幹事3人も決定し紹介される。
「次の会場は沖縄だぞう!」と外野から声が飛ぶ。
実現するかどうかは別にして、何年後がまた楽しみである。

    紫の淡しと言はず蘭の花  (後藤夜半)

デンドロビウム 
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ロウバイ(蝋梅) ~ヒヨドリと私と蝋梅と~
- 2012/02/12(Sun) -
蝋梅と鵯

蝋梅はまだ固い蕾だ。
その優しい芳香を楽しめるのはしばらく先のようだ。
そんな事を思いながら白い湯呑みを手に外を眺めている。
と、急に賑やかな声。
臘梅の木が揺れる。
鵯が二羽。
そして彼らがその長い嘴で啄むのは黄色い丸蕾。
丁度飲み込みやすい形と大きさというわけか。
そしてきっと美味しいのだろう。
いくつも口に運ぶその表情を見れば。

私は臘梅の花開くのを見たい。
鵯は蝋梅の味を楽しみたい。
蝋梅は黙って自分を生きている。
あるがままになすがままに。

    鵯の嘴の先に春蕾 (文)

鵯と蝋梅

蝋梅と鵯 
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フクジュソウ(福寿草) ~いっぽ いっぽ近づく~
- 2012/02/12(Sun) -
福寿草

ひょっこりと福寿草が顔を出していた。
枯れ色の中に寄り添う黄色。
そうそう、それは春の色。
「君の季節だね」
「今年の土の中の様子はどうだい?」
「蛙君はまだ眠っていたかい?」
「雪割草は元気のようかな?」
見る私も自ずと温かい気分になる。

いっぽ いっぽ 近づく。
何がって?

   ひだまりの 落ち葉の庭や 福寿草  (文) 

福寿草 
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シクラメン(Cyclamen) ~自分の輪郭~
- 2012/02/11(Sat) -
シクラメン 

溜まる埃
はたき、はらい、ふきとり、ぬぐう
そして自分の輪郭をたしかめる
濡れた布を掌いっぱいに
人差し指に巻き付けてこする
意外と綺麗な部分が出てくるものである
くすみが取れ輝く色が見えてくる
ああ、こんなところが残っていたんだと
いまさらながらに自分に驚く
さらに磨く
から拭きする
脳髄の中の垢までさっぱり取れていくようだ
身命の大掃除が続く

   シクラメンはシクラメンのみかなしけれ   (中村汀女)

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チロリアンデージー(Tyrolleaan Daisy) ~いちずな心~
- 2012/02/10(Fri) -
チロリアンデージー(ロベラ)  

   冬の言葉   高村光太郎

 冬が又来て天と地とを清楚にする。
 冬が洗い出すのは万物の木地。
 天はやつぱり高く遠く
 樹木は思ひきつて潔らかだ。
 虫は生殖を終へて平気で死に、
 霜がおりてれば草が枯れる。
 この世の少しばかりの擬勢とおめかしとを
 冬はいきなり蹂躙する。
 冬は木枯らしの喇叭を吹いて宣言する、
 人間手製の価値をすてよと。
 君等のいぢらしい誇をすてよ、
 君等が唯君等たる仕事に猛進せよと。
 冬が又来て天と地とを清楚にする。
 冬が求めるのは万物の木地。
 冬は鉄碪(かなしき)を打つて又叫ぶ、
 一生を棒にふつて人生に関与せよと。

デージーの花言葉に〈優しさと無心〉〈いちずな心と誠実な愛〉とありました。
光太郎の心のような花言葉です。
光太郎は自分の心に忠実に生きました。
光太郎は自分の言葉通りの人生を送りました。
憧れるのです。
そんないちずな心に少しでも近付きたいと思うのですが…。
小さなことに怒りを感じたり、ため息をついたりする冬の私です。

     踏みて直ぐデージーの花起き上る (高浜虚子)

チロリアンデージー(ロベラ) 
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カランコエ(Kalanchoe) ~心もよう~
- 2012/02/09(Thu) -
カランコエ 

さみしさのつれづれに
てがみをしたためています あなたに
黒いインクがきれいでしょう
青い便せんがかなしいでしょう
                  (井上陽水『心もよう』より)

昔、青い便箋を使ったことがあった。
感情が迸るように万年筆を走らせた。
その勢いのある文字で書かれた送らなかった手紙が残っている。
どうして取ってあったのだろう。
丁度「心もよう」が流れていた頃のことである。
若かったあの頃のことである。
今でもその頃のように「心もようを綴る手紙」が書けるだろうか。

   歌に寄せ昔を呟く二月かな   (文)
 
カランコエ
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シクラメン(Cyclamen) ~真っ白な陶磁器を眺めては飽きもせず~
- 2012/02/08(Wed) -
シクラメン

……
うす紫のシクラメンほど
淋しいものはない
……

懐かしい歌が聞こえてきた。
しんみりとした伸びやかな高い声で彼は歌う。
その当時の時代的背景を思い浮かべつつ聴く。
あるいは青春と重ねながら。

一つひとつの言葉に思いを込めた歌。
言葉の意味を大切に繋ぎ綴った詞。
ゆったりとしたリズムと、言葉の抑揚をいかしたメロディー。

時を経ても心に残っているのはそんなところにもあるのだろう。

最近過去を振り返ることが多くなった。

     恋文は短きがよしシクラメン (成瀬櫻桃子)

シクラメン 
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ゼラニウム(geranium) ~人の世に冬の雨~
- 2012/02/07(Tue) -
ゼラニウム 

雨ですね。
雨です。
もう雪は降らないのでしょうか。
どうなんでしょう。
雨水はもう少し先だったかしら。
そうですね、しばらくはまだ寒さは続くと思います。
「早春賦」の名のみの春ですね。
雪だったり雨だったりは、自然にとってはあたりまえのサイクルなんでしょうが。
自然の営みにあわせて生きることができれば一番いいですね。
寒ければ寒さへの工夫をして。
生活の知恵ですね。
もう一度さびた五感を取り戻しましょうよ。
そうですね。自分の中にある人間を見直しますか。

    人の世の窓打ちにけり冬の雨  (西嶋あさ子)

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ビオラ(Viola) ~二月にいい言葉は?~
- 2012/02/06(Mon) -
ビオラ 

二月は少し中途半端

一月は新しい
一月は始まり
一月は希望
一月は決意
三月は温かい
三月は蠢く
三月は躍動
三月は旅立ち

二月は
しっかりとした冬がいて
ときどき春がノックして
二月は備え
二月は蓄え
二月は待つ?
二月にいい言葉はなんだろう

   或日あり或日ありつつ春を待つ   (後藤夜半)

ビオラ  
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チロリアンデージー(Tyrolleaan Daisy) ~春はいつ来る~
- 2012/02/05(Sun) -
チロリアンデージー 

 ………
 ………
 ―春は何処から来る
 ―春は春の方から来る 
 ―春はいつ来る
 ―春は春になると来る
 ………
 ………
 ―今日は寒い
 ―さうね
 ―お仕事は
 ―なかなかあぶない
       (高村光太郎『非ヨオロッパ的なる』より)


扉をたたく
開けたが誰もいない
また音がする
そっと開ける
外にいたのは時だった
私が何をしているのか心配のようだ
どうぞお入りなさい
大丈夫です
ちゃんとやってますから
時はしばらくして出て行った
わかっているんだ
尋ねてきたた理由は
風の音にさえ心もとけていく

   窓開けて春春春とクレッシェンド   (文)

チロリアンデージ

チロリアンデージー  
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パンジー(pansy) ~綱引き~
- 2012/02/04(Sat) -
パンジー 

節分の昨日。
まれに見る寒さだった。
出勤の際の車の動きが重かった。
潤滑機能がスムーズでない。
職場の水道管が数ヶ所凍結した。
止水栓の処置をしてあってもだ。
まるで冷凍庫の中にいるようだった。
そんな中で豆を口に運んだ。
そして今日は立春。
冬と春の綱の引き合い。
陽が風が水が春に加勢をしていく。
少しずつ、少しずつ。
春の陣地が広がる。
花たちのご挨拶の声も小さく聞こえる。

   立春や草に木に土に道を尋ね    (文)

パンジー
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ゼラニウム(geranium) ~冬の奴~
- 2012/02/03(Fri) -
ゼラニウム 

   冬の奴   高村光太郎

   (六行略)

  冬の奴はしろじろとした算術の究理で、
  魂の弱さを追求し、追究し、
  どうにもかうにもならなくさせる。
  何気なく朝の新聞を読んでも、
  凍る爪先に感ずるものは
  冬の奴の決心だ。
  ゆうべまでの心の風景なんか、
  てんで、皺くちやな蜃気楼。
  ああ、冬の奴がおれを打つ、おれを打つ。
  おれの面皮をはぐ。
  おれの身を棄てさせる。
  おれを粉粉にして雪でうづめる。
  冬の奴は、それから立てといふ。
  
  おれは、ようしと思ふ。


私は今、静かに冬の中にいる。
時を感じながら、静かにいる。
長いことさらけ出してきたこの手、この顔、この頭とともに。
まあ、よくと思いつつ。
私は今、静かに時を数える。
3、5、3、5、3、3、2、5…。
他の人と決して重ならない数。
これでいいのだと言おう。
冬が去ればまた私に加わる新しい数。
きっぱりと。
きっぱりと。
静かな凍る朝。

   光太郎に思いを告げし凍てる朝    (文)

ゼラニウム
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プリムラ・ポリアンサ(Primula polyantha ) ~雪降る~ 
- 2012/02/02(Thu) -
ポリアンサ

  つもった雪   金子みすゞ

  上の雪
  さむかろな。
  つめたい月がさしてゐて。

  下の雪
  重かろな。
  何百人ものせてゐて。

  中の雪
  さみしかろな。
  空も地面(じべた)もみえないで。


雪の日だった。

雪に遊ぶ人
雪を喜ぶ人
雪に戸惑う人
雪を嘆く人
雪に苦しむ人

ものはすべて多面を持つ。
見る位置、見る角度によって見える姿が異なる。
すべて同じに見えることはない。
時には自分と真逆に立ってみるのも大切だ。

   音なく白く重く冷たく雪降る闇 (中村苑子)

ポリアンサ 
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パンジー(pansy) ~二月来る~ 
- 2012/02/01(Wed) -
パンジー

なるほどね。
もう1がつもすぎたんだぜ。
けっきょく、やったかやらなかっただけなんだ。
くちでいうよりかたちにしたらどうなんだって。
うまいことばよりこうどうでしめせって。
どこかのだれかもいっていたぜ。
はじめるのにおそいはやいはないって。
やろうとおもったときがすたーとだってさ。
ありもりさんがいってたじゃないか。
じぶんでじぶんをほめるって。
そんなしごとをしろよ。
きのうよりせいちょうしたじぶんのしごとをさ。
じぶんでじぶんにおつかれさまっていえるようにね。
ほら、かぞえてみろよ。
あたらえられたじかんなんてあっというまだ。

   ひだまりの思慮の花にも二月来る   (文)

パンジー 
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