ヤブラン(薮蘭の実) ~一月行く~
- 2012/01/31(Tue) -
ヤブラン 

熟成。
ふつふつと。
深みを生成する。
ゆっくり時間を掛けて。
一朝一夕には成し得ない味。
静かに静かに行為と思考を反応させる。
目で確かめ、手でかき混ぜて、汚濁を取り除き。

何事も時間を掛けなければ本物は生まれない。
ふつふつふつふつふつふつ。
ふつふつふつふつふつ。
ふつふつふつふつ。
ふつふつふつ。
ふつふつ。
続ける。

   四囲の音聴き澄ますとき冬深く   (加藤楸邨)

ヤブラン
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カランコエ(Kalanchoe) ~作る~
- 2012/01/30(Mon) -
カランコエ 

今回は女性の胸像の制作である。
髪の表現に迷い、半日掛けた箇所をまた取り壊す。
自分の中でしっくり収まらない。
妥協なき感性との闘い。

木内克の次の言葉がある。
「情感というのは、『うまいからでる。下手だからでない』というものではなく自分の持っているもの全部の問題なんだ。」
そして金沢嘉一は述べる。
「生命根源としての、わが内にある感動の因子を、つねに新鮮にみずみずしく保持し、しかもより美なるものを求めようとするとき、そそれがよい芸術を生み出す(創造する)原動力となる」と。

情感と感動の因子を篩いにかけよう。
自分の求めるものが残るように。

   初三十日時の速きよ凍みる朝   (文)

カランコエ
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冬山 ~寒冬だと~
- 2012/01/29(Sun) -
近くの山の雪景色

「寒冬(かんとう)」だという。
見慣れぬ、聞き慣れぬ言葉だが、昨日の新聞のコラムにあった。
確かに今冬は寒さが厳しいと感じる。
平年に比べて寒い冬をそう呼ぶらしい。
ただし、「暖冬」は辞書にはあるが、「寒冬」は載っていないという。
面白いものだ。

今月の電気使用料金が届いた。
前年同月比から見ると59%だった。
驚いた。そして嬉しくなった。
少しの節電の思いが数値に表れている。
これからも身の回りでできることをしていこう。

ゆたんぽが暖かい。
気持ちまで温かい。

   冬山のふかき襞かなこころの翳   (飯田龍太)

冬山
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冬樹々 ~聞こえる~
- 2012/01/28(Sat) -
冬の樹

       
冬樹々のなかでいのちは立っている眠れば死ぬと思うがごとく  (柳澤桂子)



冬が育てている。
冬が逞しくする。
冬が豊かにする。
冬が太くする。
冬が繊細にする。
冬に生かされている。
耳を澄ます。
聞こえる。
冬の声。

  大空に伸び傾ける冬木かな (高浜虚子)

庭の冬の木々
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窓 ~わが骨格~
- 2012/01/27(Fri) -
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   二種類の孤独について 原口統三

窓の内側にある孤独と、窓の外側に立つ孤独と。
むかし、僕の幼い魂は、終日、、窓ガラスに頬を寄せて蒼空を眺め未知の天地に恋い焦がれていた。
                                              (『二十歳のエチュード』より)

一枚の窓に隔てられた外と内。

それは喧噪と静寂であったり。
それは装いと生身であったり。
それはお付き合いと孤独であったり。
それは憧れと現実であったり。
そしてそれは立前と本音であったり。

一枚の窓。
生活の中にステンドグラスのような素敵な窓が欲しくなった。

   冬の空わが骨格はいずこにか   (文)  

72.jpg
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ゼラニウム(スターテル) ~ゆたんぽ~ 
- 2012/01/26(Thu) -
スターテル 

   こころ  坂村眞民

  ゆたんぽをいれても
  かいろをいれても
  あたたまらないひは
  わたしのこころもさむい


さむいね
でもこのさむさがあるからさくらがさくんだよね
ふゆはおしえてくれる
ふだんかんじないこと
ふだんきにしないこと
ふだんかんがえないことをね


  寂寞と湯婆に足をそろへけり   (渡辺水巴)

スターテル
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プリムラ・ジュリアン(Primula juliana) ~気をつけて~
- 2012/01/25(Wed) -
プリムラ・ジュリアン 

時々、思わぬことが起きます。
そのハプニングにうまく対処しなくてはなりません。
そのためには整理整頓です。
それは、身の回りのことだけではありません。
心も一緒です。
心の図書館とでもいうのでしょうか。
いつも整え、仕分けしておくことです。
書架が様々なジャンルに分類されているように。
いつ何時、何事に対しさっと必要なものを取り出せる。
知識と知恵の備蓄、道具と材料の備蓄、心のエネルギー備蓄、大切ですね。
あとは行動力でしょうか。
「ハイ、心がけます」。
では気をつけて。

  目をつむり己戒める冬の夜  (文)  

プリムラ・ジュリアン
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サイネリア(Cineraria) ~吾こそ先に~
- 2012/01/24(Tue) -
サイネリア

作品の飾り付けが終わった。
真冬の展覧会である。
日本画、洋画、彫刻、工芸の四部門。
出品者は74人。
一週間の会期で今日から始まる。
自分の表現を見つめ直し、余人から学ぶ機会とする。


10㎝ほど雪が積もっている。
夜のうちに降ったようだ。

  『野路に小さき沓の跡 吾こそ先に行かましものを』  (林芋村)

今朝はいつもにもまして早めに出よう。

    雪降れり時間の束の降るごとく (石田波郷)

サイネリア  
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フクジュソウ(福寿草) ~見つける~
- 2012/01/23(Mon) -
福寿草

そぞろに歩く庭。
重なり積もった葉。
銀杏、小楢、桂、桜、柿、梅、李…。
土に返っていく。
「あっ」
「顔を出している」
「福寿草…」
一つ、二つ、三つ…七つ。
まだ葉の下にあるのかもしれない。
僅かに黄色も。
手を合わせたくなる。
ありがとう。
みんな揃うのはもう少し先のようだが。
小さな春の息吹。
旧元旦のうれしいできごと。

   福寿草母なる子なる蕾かな  (山田弘子)

福寿草 

福寿草  
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秋冬山水図(雪舟等楊筆) 《(国宝・室町時代》
- 2012/01/22(Sun) -
雪舟 秋冬山水図(冬景)  雪舟  秋冬山水図(秋景)


雪舟作、対幅の国宝「秋冬山水図」である。
東京国立博物館の階段を上がって左、2室「国宝室」の奥正面に並べて展示されてあった。

日本美術史を語る上では必須の作品として教科書等によく取り上げられる。
資料や画集によって幾度となく目にはしていたが、実物に触れるのは初めてだ。
その前に立ち、まず思ったのは一幅が意外に小さいということ。
47.7㎝×30.2㎝とあるから、新聞紙を二つ折りにしたより少し大きめの作品である。
一般の軸物をイメージしていたので、その大きさは予想外だった。

左が冬景、右が秋景である。
手前を明快にくっきりと描き、奥を淡くぼやかして空気遠近法的手法が巧みにとり込まれている。
墨の濃淡の違いと対象の大きさの変化により、見るものに時間的距離的な空間を感じさせる。
岩山には樹々が立ち、遠くに寺院らしき楼閣が聳え立つ。
一見眺めただけでは、都から遠く離れた山里の静かな景色に見える。
しかし、目を近づけるとそれらは単なる風景描写でないことが分かる。
冬景の下部に目をやると、帽子を被った一人の人物が坂道を上がって行く。
右下の木の横には小舟が泊まる。どうやら、この地は川辺のようだ。
人物が手にしているのは釣り竿か。さすれば、釣帰の場面。
一方秋景の場合、画面中央の右側に向き合う二人の人物が配される。
林和靖(りんなせい)の如き世捨て人と、訪ねてきし友人の語らいか。
こうしてみると、風景に中に点景として人物を置いたことには何らかの意図があろう。
雪舟は禅僧画家である。この絵に禅語的な意味が込められているとしても不思議ではない。
例えば彼の「慧可断臂図」のように。
はたして何を語らんとしているのだろう。
絵ではさまざまな筆致が用いられる。
太くて濃い力強い線や軽く掃いたような線、穂先の割れた線、遠景のぼかしや点描的なタッチなど。
そして特徴的なのは一見、写実的に見えながら、多くはきわめて簡略化された描写であることだ。
細部などほとんど描かれていない。
また、冬景中央に描かれる垂直に伸びた断崖は前後の関係性が不明瞭で、見るものを惑わせる。
さらに、人物全体はクロッキーのような数本の線で描かれ、顔などは一筆書きの輪郭のみである。
まさに、さらりさらりと描いた感がある。
そこが理知的な雪舟の持ち得た技なのだろう。

雪舟と言えば、昔読んだその伝記を思い出す。
お寺の柱に縛り付けられた幼い雪舟が、流した涙を用いて親指で鼠を描いたという話である。
事実はともあれ、小さい頃から絵が好きだったこと、そして優れた描写力を持っていたことを示すエピソードである。

国宝としての価値と魅力…そんな確かさを改めて満喫した冬の鑑賞であった。

   大寒と寒中見舞の教えたり (文)

秋冬山水図(冬景分・人と小舟)

秋冬山水図(秋景部分・二人の人物)
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シロハラ(Pale Thrush)
- 2012/01/21(Sat) -
シロハラ

庭に顔を見せる冬の鳥たち。
やってきたのはシロハラ。
キョロキョロキョロキョロとしきりに辺りを見渡す。
気が弱くて臆病者?
そこまで言っては可哀想だが、まわりの動きがとても気になるようだ。
窓越しに遠くて見ている私に気づいて、さっと身を隠したりもする。
ヒヨドリの姿が見えようものなら一目散に退散する。
そんなところがまた可愛い。
で、私は親しみを込めていつも彼をシロハラ君と呼ぶ。
今日は彼らのために小鳥の餌を買ってこよう。

1月も下旬となった。
色々と過去を振り返り考える。
色々と先を見て考える。
過去と今とこれからの自分。

    一月の汚れやすくてかなしき手   (黒田杏子) 

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シクラメン(Cyclamen) ~ね~
- 2012/01/20(Fri) -
シクラメン

ね。
その通りでした。
ね。
思い込みでした。
ね。
先入観をもっていました。
ね。
決めつけていました。
思いあがっていました。
独りよがりでした。
考えさせられました。
知らないことだらけです。
しなくてはいけないことばかりです。
もっと大きくならなくてはいけませんね。
「我以外皆我師也」という言葉を思い出しています。
学ぶことばかりです。
素直になります。
よかった。

   八方に聞耳立ててシクラメン  (菊池麻風)

シクラメン 
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シクラメン(Cyclamen) ~冬はいいと思う~
- 2012/01/19(Thu) -
シクラメン(白) 

  冬  (文)

冬はいいと思う。
みんなはいやだという。
冬は美しいと思う。
みんなはみむきもしない。
冬はきりりとしている。
みんなはちぢこまっている。
冬はがまんする。
みんなはきこむ。
冬はどっしりとしている。
みんなははなをほしがる。

冬はどうじない。
冬はおどろかない。
冬は冷静だ。
冬はほんとうにいいと思う。

  眺むれば恋の歌かなシクラメン (文)

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コゲラ(pigmy woodpecker)
- 2012/01/18(Wed) -
コゲラ

庭にはいろいろな鳥がやって来る。
それぞれに、その特徴ある行動を見ていると楽しい。

コゲラは枝や幹を縦に留まる。
そして下から登りつつ、樹皮をリズムよくつついては採食する。
警戒心はさほど無いようで、私の気配などまるで気にしない。
チョコチョコッ、チョコチョコッと動く姿はまるでゼンマイ仕掛けのおもちゃのようだ。

コゲラの訪れは見なくても、その独特な声でわかる。
ギィーッ、ギィーッと、それはまるで軋むドアの音に似ているからだ。
小さい体の割には鳴き声はおせじにも可愛いとはいえない。
高くて澄んだ声を与えてくれればよかったのになどと思ったりする。
もっともそのギィーッ、ギィーッは彼らにとってはラブソングのような美声なのかも知れないが…。

そんな鳥たちに癒される真冬のひとときである。

   啄木鳥よ汝も垂直登攀者 (福田蓼汀)

コゲラ 

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メダカ ~しずかな雪の朝~
- 2012/01/17(Tue) -
メダカ

厳しい冷え込みが続く。
外には雪が積もっている。
しずかな朝だ。

あの日もいつもと同じように3時に起きて新聞を読み、テレビを付けていた。
そして、出勤直前の5時46分。
暗闇に昇るいくつもの炎。
何が起きているのか。
その後の緊急ニュースで流れる映像…。
明けるにつれて甚大な震災の様子が分かる。

鎮魂と追悼、祈り。
1月17日、朝。

部屋にはメダカ。

   冬といふもの流れつぐ深山川 (飯田蛇笏)


メダカ  
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愛染明王(木造彩色・鎌倉時代・東京国立博物館蔵)
- 2012/01/16(Mon) -
愛染明王

東京国立博物館で見る。

蓮華上に結跏趺坐。
赤い日輪円光に火焔後背。
一面三眼六臂の忿怒形相。
焔髪頭上に獅子冠。
燃えるような真紅の全身。
鋭くつり上がった玉眼。
口の両端には牙上。
力を誇示するかのような腕釧と臂釧。
手には悪を打ち砕く弓矢と五鈷鉤五鈷杵。
煩悩即菩提を象徴する愛染明王。

有無を言わず力を持って導こうとするその迫力に圧倒される。
愛染明王は人の心にある貪欲をそのまま浄菩提心に変えるという。
様々な誘惑と困難を打ち砕く怒りの仏である。

昨日はどんど焼きの炎が高く上がっていた。

つまらん欲望は焼き捨てよう。

   小正月寂然として目をつむる (飯田蛇笏)

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ヤマザクラ(冬の山桜) ~じっと立つ~
- 2012/01/15(Sun) -
さくら(冬) 

 じっと立つ  (文)

どうだ
この堂々とした姿は
ちっともこせこせなどしていない
すべてをさらけだして
どこから見られても
立派じゃないか
この太い幹を見ろよ。
何に対峙しても決して動じない力強さがあるではないか
四方に広がる枝はまるで観音様だ
お前よ、山桜になれるか

私がこの山桜を植えたのは27年前のことです。

  冬と云ふ口笛を吹くやうにフユ (川崎展宏)

さくら(冬)  

さくら(冬)
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プリムラ(Primula) ~冬に遊ぶ~
- 2012/01/14(Sat) -
プリムラ

  ふゆ

 ふふふっ
 夢にでてきた青い海と島

 ふしぎな雲
 夕焼けのやまなみ

 ふと
 優柔不断になるなって

 普通できないことを
 ゆっくりやろう

 膨らむ思い
 勇気、勇気

 普段の努力
 有名無実にならない

 歩
 結の力

 冬
 有富

 Who?
 you

 ふきのとうを見つけた
 ゆっくりと育っているね

「はるよこい」の童謡が流れる。
「ふゆ」よ、君は素敵だ!

     天龍も行きとどこほる峡の冬 (松本たかし)

プリムラ 

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パンジー(pansy) ~考える葦に~
- 2012/01/13(Fri) -
パンジー  

部屋ではパンジーが咲く。
パンジーの名の由来は仏語の思想、思考を指す言葉、パンセにあるという。
『パンセ』というと、「人間は考える葦である」というパスカルの言葉を思い出す。
私の子どもの頃は三色菫(さんしきすみれ)で名が通っていたような気がするが。

年が明けてもうすぐ二週間が過ぎようとしている。
あれよあれよという間だ。
時計の針は、変わらずに正確に同じように進んでいるのだが。
流されないように、もう少し、周りの様々なことやもの、人に敏感にならなくてはならない。

今年はいつもに増して、寒さが厳しい。

     菫程な小さき人に生れたし (夏目漱石)

ぱんじー
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イソギクとヒメヒマワリピラミッド ~そうおもいませんか~
- 2012/01/12(Thu) -
ヒメヒマワリピラミッド

耳を澄ませば
聞こえてくる
聞こえてくる
目を澄ませば
見えてくる
見えてくる
見えてくる
心澄ませば
心澄ませば


聴く耳を持ちましょう
聴こうと努めましょう
アンテナを高く伸ばして
観る目を持ちましょう
観ようと心がけましょう
レーダーをいつも回して
心を玉を磨きましょう
曇らせないように
汚れないように

あせってはいけません
あわててはいけません
らくしてはいけません

そうおもいませんか?

   松過ぎの一日二日水の如(ごと)  (川崎展宏)

イソギク
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ホシザキゼラニウム・スターテル(星咲きゼラニウム) ~湯たんぽの暖かさ~
- 2012/01/11(Wed) -
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     冬 八木重吉

  冬の
  うっすらとした気持ちに触れば
  一途な安らかなちからがわかるだろう


ガソリンと灯油の値段が高止まりだとニュースが伝えていた。
その上、ホルムズ海峡封鎖の可能性を指摘する不安定なアラブ情勢。
「あの時、私たちは長い時間並んで、10リットルを制限に購入したんですよ」と東北の人の声。
「ハウスの温度管理にかなりの重油を使うので、燃料費の高騰が経営を圧迫します」と園芸農家。
「仮設住宅は壁が薄く、なかなか温まりにくい」と一人暮らしの高齢者。

楽に流されてきた私たちの生活。
楽が生まれればその上の楽をさらに求める生活。
『我慢』と『工夫』で生き抜いてきた先人たちの知恵。
20数年前の子ども用『湯たんぽ』を取り出して使う。
そして、まだ残っていた金属製のベンジン懐炉。
今一度、自分の中の『むだ』や『欲』を洗い出す。

  野の雲のまばゆき鏡開きかな (友岡子郷)

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ハナキリン(花麒麟) ~冬の私へ~
- 2012/01/10(Tue) -
ハナキリン

   冬   八木重吉

 夜おそく起きていると
 雨戸のとこへたれかきて
 赤い花をあげましょう
 あかいはなをあげましょうと歌っているとおもう


朝起きると空に丸い月。
優しい光。
ありがたさに包まれる。
胸の前で合掌する月光(がっこう)菩薩。
私にも届くわけへだてのない慈愛。

月が観ている。
月に観られている。
仕事に忠実であれ。
心を研ぎ澄ませ。
冬の月の冷静さで。

   戸口まで道が来ており冬の月 (鳴戸奈菜)

花麒麟
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コチョウラン(胡蝶蘭) ~時をつかむ~
- 2012/01/09(Mon) -
コチョウラン

「時というものはあるんじゃない つかむものなんだ」 安田理深

成人式の映像が流れていた。
今年は多くの新成人が特別な感慨を胸に参加していたのではないか。
これからの我が国を託されている彼らの前途にエールを送りたい。

安田師のいうように、時は与えられるものではない。
時は創るものであり、掴むものだ。
どのように積極的に自分の時を刻んでいくかだ。

いや、これは若者だけのことではない。
誰においても言えること。
私自身のことだ。

    成人の日みな美しきたくましき (文)

コチョウラン  

コチョウラン 
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『冬の旅人』 
- 2012/01/08(Sun) -
冬の旅人

冬の旅人 


事情により、変則的な会期となった今年の公募展。
年末に搬入と飾り付け、そして審査を行い、年明け早々にオープニングとなった。
極寒の時期での展覧会だけに、入場者数が気がかりである。

今回出品したのは石膏直付けによる『冬の旅人』。
冬の制作ということもあり、木彫はやめてアトリエ内でできる表現方法を選んだ。
気温が低いと石膏の硬化時間もかかる。
ストーブを焚くも、部屋はあまり気温が上がらない。
スラリーを扱う手も冷たい。

まず、頭部をていねいに造形していく。
顔の表情はテーマに沿って異邦人をイメージして作る。
次にギプスやスタッフで盛り上げ、その上にやや固めのスラリーで帽子や服を表現する。
頭部と、帽子とのバランスや体の量を確認しながら肉付けを進める。
そして最後にマフラーのやわらかな質感を出して仕上げる。
着色もほぼねらい通り。

直付けは、モデリングとカービングを同時に併せ持つ直接的な表現ができる。
粘土による塑造や木彫にはない面白さがあり、独特のディテ-ルも生まれる。
一方、芯部の段階から全体像をしっかり描きながら作るという計画性も求められる。
それだけに厳しさもあるが、作業がダイレクトに作品になっていくという楽しさもある。
そして、何よりいいのは石膏取りの手間が省けることだ。
費やす労力と時間を考えれば、それはそれは本当にいい。
とまれ、『冬の旅人』は仕上がった。

このあとすぐ、2月にまた一つ、展覧会が控えている。
そして5月にもう一つ。
作ることは肉体的にも精神的にも苦しみを伴うが、またこの上ない喜びでもある。

     木枯らしにこころもたのしペーブメント (文)

冬の旅人   

冬の旅人  
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ツワブキ(冬の石蕗) ~ありのままこそ~
- 2012/01/07(Sat) -
ツワブキ 

冬は花の色をみんなセピアに変えていく。
しかし、それはただのセピアへの変化ではない。
次の世代へ繋ぐための別れ支度なのだ。
自らのすべてを新しい命に託す色なのである。
セピアは生を全うした究極の色なのだ。

考えてみたまえ。
生きているものは一つとして昨日と同じものはない。
見たまえ。
鏡の中の自分の顔を。
思い起こすがいい。
昨日できなかったことが、きょうはできるようになったと喜んだことを。
昨日までできていたことが、きょうはできなくなってきているという事実を。
時はわれわれに「ありのまま」の存在を受け入れることを教えてくれる。

   七草や空澄み渡る伊那の谷  (文) 

ツワブキ
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バラ(冬の薔薇) ~色淋しき小寒の果つる花~
- 2012/01/06(Fri) -
雪薔薇

雪が降った。
薔薇にも雪が降った。
薔薇はその色を失いつつあった。
薔薇に雪が乗る。
束の間の薄化粧。
薔薇も少しの時間、まぎれるだろう。
そして薔薇は散る。

今日は小寒、「寒の入りの日。いよいよ厳しい寒さに向かう。」と暦は記す。

耐え忍び、土の中で根を深く深く伸ばせ…。

   わが十指われにかしづく寒の入 (岡本眸)

雪薔薇  

雪薔薇   
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「着衣のマハ」 (ゴヤ・ Goya)
- 2012/01/05(Thu) -
着衣のマハ 
    
ゴヤと言えば「自画像」、「巨人」など頭にさっと思い浮かぶ作品は幾つもある。
しかしやはり彼の代名詞はなんと言っても二つの「マハ」だろう。
今回、そのうちの一つ、「着衣のマハ」を『プラド美術館 ゴヤ 光と影』展で鑑賞することがができた。
その長倚子に横たわる女の悩ましい姿を私は何度も見て来た。
といっても、それは画集の中であり、テレビの中のことである。

顔はそのままに目線だけを動かして前に立つ彼を見つめる。
口元には笑みを浮かべ、そして体は無防備に投げ出され、その関係がいかにも親密であることを伺わせる。
やや赤らんだ頬と紅の唇、そして誘うかのような艶めかしい目つき。
あわせて、胴を絞る赤味の帯が大きな胸をいっそうきわだたさせ、頭の後ろで組んだ手が情感をそそる。
体に密着した着衣はその豊満なボディーラインを惜しげもなく露わにする。
見る人は好む好まざるにかかわらず、そこに醸し出される妖艶かつ官能の雰囲気にいざなわれていく。
左上方に窓があるのだろう。
白いスカートは光沢を増し、黒い影の強いコントラストによってマハにスポットライトが当たるかのように演出される。
それにより、質感と立体感が強調され、まさに光と影の芸術家、ゴヤの真骨頂がそこにあるといえよう。

その色香漂うマハとは一体誰なのか。
そこで、私の大きな勘違いがあった。
解説に因れば、「マハ」というのは人の名でなく、スペインでは市井の「小粋な女」を指す言葉なのだという。
長く見ていたのにもかかわらず、ずっとマハという名の女性を描いたものだと思い込んでいた私の浅い認識が露呈した。
モデルの女性については、研究者たちによって、ゴヤの手紙などからおよそ特定されているという。
地位のある名の通った社交界の花形だとのことだが、いずれにしてもきわめて魅力的な女性であったことには間違いない。

対として取り上げられることの多い「裸のマハ」より数年後に描かれたということも、今回わかったことの一つである。
同時期に並行して制作されたとものと思っていたが、これも新たに得られたことである。
それにしても時の流れをおいてなお、同じポーズでゴヤに筆を持たせた彼女…。
まだ、いくつもの疑問を残しながら、美術館を後にする。

正月2日、上野の銀杏はまだ黄色い葉を多く付けていた。

   美術館に銀杏舞散る晴れ二日 (文)


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2012..1.4
- 2012/01/04(Wed) -
正月飾り

また始まりますね。
そうですね。
今年はどんなとしにしますか?
しんちょうにですかね。
あなたがまだ慎重にと?
ええ、ねんにはねんをというきもちです。
そう言われるお気持ちというか、立場は分かりますが…。
このさきのじぶんにはずかしくないようにといったほうがいいかもしれません。
意志が強いですものね。
いやいや、むしろよわいからゆるしてしまうのがこわいんです。
私は知っていますよ。あなたがこれまで欠かさずに続けてきたことをいくつも。
こえにだし、おおやけにすることで、やらなければいけないというぎむとせきにんにおいこむんです。
でもいつもそうやってきちんとやり通してきたんですものね。
じかんがまってくれるわけでもありませんし、わたしもそろそろですよ。
なんか、淋しいことを言われますね。
「きょうはただいまなり、このいちにちがさいごとおもえ」といったかんじですかね。
頭では思ってもなかなか行動に移すことは難しいです。
こうしたいとかしようとおもうこともたいせつですが、こうするとじぶんにせんげんするんです。
ご自身を厳しく律するためになんですね。
とにかく、ことしはしんちょうにをきーわーどにことをていねいにはこびます。
分かりました。それに加えてあなたのモットーの「続ける」ですね。
しめくくりのかたちをしっかりかんがえてうごくことにします。
お話はいろいろと伺っています。無理なさらずにお励みください。
ありがとうございます。

  靄(もや)ふかく明けて四日の静かな (坂田昌子)

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2012..1.3
- 2012/01/03(Tue) -
波濤龍

今年の初仕事はこれから松本へ。
3ヶ日というのに、正月気分に浸っているわけにもいかない。
新しい役回りを受けての変則的なスタートだ。
全県の人を束ねる課題を多く抱えた重い任務。
丁寧に事を運ぶよう心がけなければならない。
ロードマップを詳細に組み立てチェックしながら。

もちろん本来の仕事は総仕上げとして別の思考回路で着実に行っていく。

しばらくはダブルワークが続く。

   信濃路や三日に思ふ先のこと (文)

自在龍

雨龍
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2012.1.2
- 2012/01/02(Mon) -
胡蝶蘭

耕し続ける鍬はさびず、いつしか柄は光る。
使い続ける鑿は磨かれ、手となっていく。
思いは行い続けることで、具現化されていく。
強い意志と継続的な実践により目標は現実となる。

 「念ずれば花ひらく」と。
 「努力すれば目標から近付いてきてくれる」と。
 「時間をかけて、小さないっぽを重ねれば大きな山も必ず登頂できる」と。
 「愚直を守らふ」と言ったのは・・・誰だったか。

『続けられる』自分に。

『続ける』を胸に刻み込む年初め (文)

シンビジウム・ラブメッセンジャー
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2012.1.1
- 2012/01/01(Sun) -
ミニ黄薔薇1


不器用でもいい。
信念を持って、愚直に、あきらめずに。
心の中にあるツールをいつも磨き上げながら。

   鏡餅志向清遠と座りけり  (文)

皆様にとって良いお年でありますように
  


鏡餅

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