ヒヨドリ(鵯) ~鳥が来るお茶の時間~
- 2011/01/31(Mon) -
ヒヨ1

ついついまたきてしまいました
しゅうまつのおちゃのじかん、ここへくればいつもたのしいひとときがすごせますので。

ヒヨ2

きょうはみかんですね。
うれしいなあ。ぼくのこうぶつなんです。

ヒヨ3

ではおこころづかいにあまえましてちょいとひとくち。
あれれ、うまくはなれませんよ。

ヒヨ4

ああ、ふくろごととれてしまいました。
なんかこれはらっきーというんでしょうか。

ヒヨ5

ふう、おいしかったです。いただきました。
いつもいつもすみませんね。

ヒヨ6

おやおや、ゆきがまってきましたよ。
かぜもつよくなってきました。
へやーもみだれそうですので、そろそろおいとましますね。
ありがとうございました。



  極寒のかたき臘梅に鳥寄りぬ  (文)



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メジロ(眼白・Japanese white‐eye) ~陰徳を積むということ~
- 2011/01/30(Sun) -
めじろ   

青年期のブラームスは貧しく、生活はあまり恵まれていなかったようである。
そのため、時には飲食店でピアノ演奏をしては家計を助けていたという。
経済的には苦しい中にあっても、母は豊かな感受性を育てた。
彼の音楽的才能は徐々に開花し、その後3Bと称される大音楽家となる。
その母、クリスティアーネは次の言葉を残している。
 「自分のためばかりに生きて、人のために生きない人たちは、半分しか生きていないのです」
全国各地にタイガーマスクが出現し、篤志が広がっている。
そんなニュースを見てブラームスの母の言葉を思い出していた。

しかし世には出ないが無償の徳はもっと多いと思われる。
その慈善の心と為した行いを、表に名を出さずにそっと続けている人々もいる。
彼らはきっと声に出すことなく静かにこう言うだろう。
それをする事は人のためでなく、自分自身が生かされていることを確かめている行為なのですと。
あるいはおかげさまをお返ししているだけなのですと。
私にもできること…陰徳を積む。
 「報いを求めない奉仕は、他人を幸福にするのみならず、我々自身をも幸福にする」(ガンジー)

休日の庭には鳥たちがやってきて賑やかだ。
本県の小諸でも鳥インフルエンザにかかった野鳥が発見された。
メジロよ、君たちも気をつけてね。

   冬深し手に乗る禽(とり)の夢を見て  (飯田龍太)

めじろ    

めじろ  
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カランコエ(Kalanchoe) ~一時一所に尽くす~ 
- 2011/01/29(Sat) -
カランコエ

  真に大志ある者は、克く小物(しょうぶつ)を勤め、
  真に遠慮ある者は、細事をを忽(ゆるがせ)にせず。

  性分の本燃を尽くし、職分の当然を務む。此くの如きのみ。

  厳しく此の志を立てて以て之を求むれば、薪を搬び、水を運ぶと雖も、亦是れ学の在る所なり。
                                                       (佐藤一斎『言志録』より)

人の行為、人の言葉。
目に映るすべて、耳に入るすべてが学であり、智となる。
逆を見れば順と為し、正を見れば高くを求む。
その時その場はその今にあるのみ。
一時一所において己の為すことに尽くす。、
甘くあればその地に留まり、厳しくあれば遠くへ到る。
小事を疎かにすまい。
小時を軽んずまい。
己を評すは己のみ。

そんなことを感じた一日であった。

   一月の汚れやすくてかなしき手    (黒田杏子)

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カランコエ(Kalanchoe クイーン・カランコエ) ~太陽の気持ちがほしい~
- 2011/01/28(Fri) -
クイーン・カランコエ  

    冬   八木重吉

   こすって痕をつけたように
   うすく雲が夕日の空に二つならんでいる
   だまって人のいないところで
   張りつめきった気持ちを自分でみているような雲だ


    太陽  八木重吉

   きょうあたりの
   こんな冬の太陽の気持ちがほしい
   すこしも無理な力をいれずに
   それでいて
   人を思うとおりに動かす
   人はそれでまんぞくしている
                 (『定本 八木重吉詩集』より)


「電気ご使用量のお知らせ」が届き、見て驚いた。
これまでで最高の使用量と料金が記されていたからだ。
今冬はたしかに厳しい寒さが続く。
しかし、少し考えさせられた。
易きに流れ、楽を求めていないか。
生活の中で工夫をしているかと。
世の趨勢に対し、自分に甘い。

陽が射し込み、八重のカランコエにあたる。
暖かい気持ちになる。

   冬と云ふ口笛を吹くやうにフユ  (川崎展宏)

クイーンカランコエ

クイーン・カランコエ
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デンドロビウム(蘭) ~念ずれば花開く~
- 2011/01/27(Thu) -
デンドロビウム 

受験シーズンである。
一番、苦しく辛い時期なのだろう。
それぞれが自分の力で重い扉を押して開かなければならない。
これまで積み重ねてきた学びに自信を持って突破してほしいと願う。
「努力は決して裏切らない」。

パソコンを打つテーブルの上にはいくつかの花がある。
それらがだんだんに葉を広げ、蕾になり、その袋を開いていく。
そのようにして、デンドロビウムもちょうど今を盛りと目の前にある。
花は芸術家。
花は詩人。
花は精神科医。
花を見ていると…。
花には不思議な力がある。
「念ずれば花開く」。

   冬の風人生誤算なからんや  (田蛇笏) 

デンドロビウム  

でんどろびうむ   

デンドロビウム     
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ウンナンサクラソウ(雲南桜草) ~志をもってする事~
- 2011/01/26(Wed) -
雲南サクラソウ  

    声    八木重吉

   お前が癒してもらえるとさえ思えば
   すぐにお前をなおしてやる
   こういう声がかすかにきこえます
                   (『定本 八木重吉詩集』より)

一仕事済んだ。
そしてまた一仕事が待っている。
一つ終われば一つ始まる。
今は今、この時からまた次が動く。
一息ついて、お茶を飲み考える。
済ますことは新しいことへの準備。
予定の期日とそれに向かう段取り。
仕事、仕事、志事。
志を持ってよりよく事をなす。

   天龍も行きとどこほる峡の冬 (松本たかし)

ウンナンサクラソウ

ウンナンサクラソウ   
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ダリア(dahlia・黒蝶) ~倚りかからず~ 
- 2011/01/25(Tue) -
高瀬省三 

   倚りかからず    茨木のり子

   もはや
   できあいの思想には倚りかかりたくない
   もはや
   できあいの宗教には倚りかかりたくない
   もはや
   できあいの学問には倚りかかりたくない
   もはや
   いかなる権威にも倚りかかりたくはない
   ながく生きて
   心底学んだのはそれぐらい
   じぶんの耳目
   じぶんの二本の足のみで立っていて
   なに不都合のことやある
   倚りかかるとすれば
   それは
   倚子の背もたれだけ

『倚りかからず』は茨木のり子の八番目の詩集。
手に入れたのは今から11年前。
その購入のきっかけは定かでない。
題名に惹かれたのかもしれない。
白い表紙は右隅に高瀬省三の絵。
窓から射し込む夕暮れの部屋の中にチェロと一つの倚子。
倚子の上には弓と白いハンカチ。
口を持たないものが静かに語る。

まだまだ「じぶん」が見えない。
「じぶん」の耳目と「じぶん」の足だけで立つ「じぶん」はいつのことか。
こんな凍てつく冬の夜は本が心に沁み入る。

   千万年後の恋人へダリア剪る  (三橋鷹女)

黒蝶 

黒蝶

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デンドロビウム(蘭) ~不屈の力を与へたまえ~
- 2011/01/24(Mon) -
D.jpg

   ゴッホの声が天啓のようにひびくとき    坂村眞民

   ゴッホの声が
   天啓のようにひびくとき
   わたしは起ちあがる
   絶望から希望へ
   死から生へ
   現在から未来へ
   ゴッホよ
   われにも倒れぬ魂を与へたまえ
   貧に耐え
   芸に生きる
   不屈の力を与えたまえ
               (『自選 坂村眞民詩集』より)


産みの苦しみ。
想が頭の中を駆け巡る。
あれもこれもと浮かんでは消え、また新たに浮かぶ。
思い通りに具体の形にならない。
展覧会前のいつものもがき。
頭に手を反応させる。
練り直す。
鑿を打つ。
鋸を引く。
手を休める。
もう一度離れて考える。
「われにも倒れぬ魂と不屈の力を与えたまえ」。

 紫の淡しと言はず蘭の花  (後藤夜半)

D  

D 
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空木岳 ~ただ後ろの足を前へ~
- 2011/01/23(Sun) -
中央アルプス空木岳

週末はきまって早朝の散歩をする。
家を出る時はまだ真っ暗。
コースはそのときどきの気分で毎回変わる。

イヤーラックス、 ネックウオーマー、ウォームキャップ。
赤いダウンジャケットにフリースのグローブと、防寒具に身を包む。
特に足回りには念を入れる。

林檎や梨畑が広がるこの地特有の冬景色。
目的をもっての散歩ではない。
ただ歩く。5感で歩く。
求めない。歩くだけ。

南アルプスの背後から朝陽が昇る。
朱色の光は中央アルプスを照らす。
東には塩見と仙丈。
西には空木と南駒。
向かいあうアルプスの山なみ。
氷河期の遺物カールも見える。
そういえばここらはその昔、海だった。

氷点下の中の一時間余、足はすっかり冷えきっている。

   山なみの茜に染まる寒日和  (文)

中央アルプス

中央アルプスのやまなみ
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ダリア( dahlia・天竺牡丹) ~ひとりひそかに~
- 2011/01/22(Sat) -
ダリア

   ひとりひそかに    坂村眞民

   深海の真珠のように
   ひとりひそかに
   じぶんをつくってゆこう
               (『自選 坂村眞民詩集』より)


ふゆのよるのひとり
ひとりのへや
わたしとはな
しずかなじかん
ふゆのよるは
じぶんをつくる

はなはおしゃかさま
はなはいえすさま
はなはそくらてす
はなはこうし

はなはおしえる
はなはみちびく
はなはこころをおさめる

   一掬の水をダリアに恋人に  (小林貴子)

ダリア  

ダリア 
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デンドロビウム(蘭) ~冬の夜~
- 2011/01/21(Fri) -
デンドロビウム 

   冬   八木重吉

   冬は
   ことに夜になると凄い
   けれど その気持ちのまんなかに
   きっと明るいものが小さくともっている
                   (『定本 八木重吉詩集』より)

2、3日前からデンドロビウムが咲きだした。

蕾は萌黄色。
開いた花びらは真っ白。
その中は淡いレモン色。
先端はほんのり紅を差す。
清純な乙女のよう。

今年も顔を見せてくれてありがとう。
また逢えてうれしい僕です。

  くちびるに湯呑みの厚み冬の夜  (大井雅人)
 
デンドロビウム  

デンドロビウム
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ゼラニウム ~「VW」~ 
- 2011/01/20(Thu) -
ゼラニウム

『未来を模索する君たちへ~IPS細胞、山中伸弥教授のメッセージ~』を観た。
NHKの成人の日特集番組として、高校生を対象にした特別授業の一コマを中心に編集されたものだった。

知られるように教授は、ノーベル賞の最有力候補にもあげられる今最も注目を浴びている医学者である。
教授の発見したIPS細胞は人間のすべての組織や臓器に変わることのできる万能細胞である。
この発見により心臓病やこれまで治療が困難といわれた多くの難病などを治せる可能性へ道を開いたと。
若くしてのこの発見をした教授は頭脳明晰にして凄い才能の持ち主であろうと誰もが思う。
すべてが順調な歩みで、その階段を着実に登ってきたのだろうと。

しかしここまで到るにはむしろ挫折の繰り返しだったという。
教授は語る。
自分は二度挫折している。
一度は臨床医を逃げ出し、もう一度は研究者を逃げ出したと。
研究者をやめることも考えた。もう限界だと感じた。
一時期はノイローゼ・うつ病状態にさえなる。
そんなとき思い出したのが「VW]の言葉だという。
VはvisionのV、WはworkのW、つまりVision & Hard workを意味する。
これは大学の恩師ロバート教授が若い頃教えてくれた言葉だという。
つまり夢と未来像を描くこと、あるいは洞察力を持ち、勤勉、すなわち一生懸命努力することが大切だという教え。
教授のIPS細胞はこうして逆境から掴んだものだったのだ。

教授は高校生に向かって次のように語りかける。
「山あり、谷にあり、失敗することは恥ずかしいことではない」。
「失敗をおそれていたら前には進めない。失敗し、工夫し、立ち上がる」。
「工夫しながら、チャレンジを繰り返す。やる気があって一生懸命にやればなんとかなる。」
そして最後に「ビジョンとワーク、いい時も悪い時も頑張る」と。


道は真っ直ぐで歩きやすいだけとは限らない。しかし、自分の足を使う以外に前には進まない。
道は見通しよく開かれているとは限らない。自分の手でかき分け押し退けて道を切り拓く。
先の予測はできない。しかし、今そこに踏みとどまっていては今以上の進歩はない。
失敗するということは次に同じ失敗をしないことを学ぶということである。
自分の中に失敗する「思考」や「行動」を淘汰するということだ。
若者向けのメッセージではあったが、私自身励まされた番組だった。

   大寒のよき眠りより覚めにけり (八木林之助)
 
ゼラニウム 
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ギョリュウバイ(樫柳梅) ~じっと我慢して~
- 2011/01/19(Wed) -
ギョリュウバイ  

    ○    八木重吉

   ナニ あとで分かるさ―
   ホホウ! 外はひどく寒む相だ

    冬    八木重吉

   木枯らしが吹く
   じっと物事を我慢していると
   自分が磨かれてゆくような気がする
                    (『定本 八木重吉詩集』より)


ホントニサムイデスネ。
カラダモユックリデスネ。
アマリウゴキマセンネ。
カサネギシテモコモコデスネ。
ソンナトキハココロミガキヲシマショウ。
フトコロチョゾウコニタクサンノエイヨウヲタクワエマショウ。
アタマノスミズミマデセイビテンケンデス。
「キッパリトシタフユ」ニ「キッパリ」トムキアイマショウ。
フユハソノタメニヨウサレテイルノカモシレマセン。

ギョリュウバイはまるで紅梅を思わせるような花だ。
庭の紅梅の丸い蕾も少しずつ膨らみを大きくしている。
花たちもじっと我慢して、そのときを待っている。

   くれなゐの色を見ている寒さかな  (細見綾子)
 
ギョリュウバイ 
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ノギク(冬野菊) ~イヤなしごともひとつずつ 貝原益軒~
- 2011/01/18(Tue) -
雪の野菊

童門冬二の新聞連載に『先人たちの名語録』というのがある。
今回とり上げていたのは江戸の儒学者、貝原益軒の言葉である。
仕事勤めについて述べたもので、彼の著「大和俗訓」にある一節だという。
次のような意訳で紹介している。 
 ・心が忙しくて気が短いと、どうしても短時間で目的に近づこうとする。
 ・それも自分のやりたいことを、あれもこれもと一度に同時進行させようとする。
 ・しかしそんなことができるはずがない。
 ・そうなると仕事が面白くなくなり、職場に通うのが嫌になってくる。
 ・こういうときは、心静かにして、仕事をリストアップし、プライオリティ(優先順位)を立てる。
 ・それもいやな仕事から順に一つずつ仕上げていけば勤めも楽しくなり、長続きするようになる。
 ・このためには、怠りない、継続性、連続性が大切だ。
 ・そうすれば疲れることもなく、通勤アレルギーもおこらない。


「心静かにして、仕事をリストアップし、プライオリティ(優先順位)を立てる」。
「怠りない、継続性、連続性が大切だ」。
これらは現代の勤め人においても仕事の進め方として通じることではないか。
いや老若男女問わず、一人の人間が生活する上でも大切な事だろう。
特に「いやな仕事から順に一つずつ仕上げる」というところが大事なポイントである。
「いやな仕事」はできるだけ先送りしたいのが凡人の常のこと。
そうなればつまるところ、慌てて間に合わせ的に事を為し、中味の薄い穴だらけの仕事になるのは目に見える。

この先、たくさんの仕事が待ち構えている。
公的にも私的にも次々である。
一つずつ、期日と重要性の度合いを重ね合わせながらプライオリティを立てて進めよう。
そして「短時間で目的に近づこうとする」ことなく、ゆとりと見通しをもって丁寧な仕上げを心がけよう。
やりました、できましたと単にアリバイ的な仕事に終わらせることなく、自分自身の中にある評価に応えられるように。

日本中が冷凍庫の中にすっぽり入り込んだような天気が続く。
雪にある野菊はそんな中でも素敵な表情をしている。

   しんしんと寒さがたのしみ歩みゆく  (星野立子)

雪と野菊

冬の野菊


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シジュウカラ(四十雀) ~冬日の庭の昼下がり~
- 2011/01/17(Mon) -
シジュウカラ   

そのにわにはいつものようにりんごがありました。
きょうやってきたのはしじゅうからくんです。

シジュウカラ

くろいねくたいをぶらさげてちょっとすましがおです。
だれかせんきゃくがいたようで、りんにごはすこしたべられたあとがありました。

シジュウカラ  

「ぼくもたべていいのかなあ」。
しじゅうからくんはあたりをみわたしました。
どうやらちかくにはだれもいないようです。

シジュウカラ 

「いただきま~す」。
しじゅうからくんはこころゆくまでりんごをたべました。


ふゆび、ひだまりさんのおひるのことでした。


   昼過ぎのやや頼もしき冬日かな   (岩田由美)

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「沁」 ~原点に返る~
- 2011/01/16(Sun) -
沁    

本郷新が『彫刻の美』を著したのは昭和17年の春である。
彼、36歳の時だった。
そのなかの「肖像彫刻」の章に次のような一節がある。

 肖像彫刻では、その人に似ているということが大切なことはいうまでもない。
 ただここに問題がある。
 似ているという意味の中にも、いろいろな似かたがあるということである。
 人の心の状態や、感情までも、深くあらわそうとしたのは、近世の大家ロダンであった。
 ロダンはひじょうに微妙な肉付けで、顔にあらわれたり消え失せたりする心の影までもつかみとり、
 実物よりも生き生きとした肖像彫刻をたくさん残している。
 その人のしじゅう持ち続けている、根本的な顔の形や性格を表したり、人間全体を表す場合もある。
   (略)
 見た目だけは似ているといううわべだけの似かたをした彫刻は、彫刻としていつまでも値打ちがあるとはいえない。
  (略)
 その人の奥にひそむ永遠の姿、表情の源に深くくいこんだものが、すぐれた肖像彫刻である。
 その人を知らない人にも迫ってくる彫刻の美しさがあるならば、それは肖像彫刻として最高のものである。

外見的な形態的特徴だけでなく、内面性までもを表現するのは難しい。
しかし、人物を立体として形に表す以上、本郷の述べるように単に外形模刻に陥ってはならない。
「その人」のすべてを伝え、その人の心が見える、わかるそんな表現。
内から湧き出でてくるような生気あふれる表情。
原点に立ち返り、今あらためて自分の作品「沁」を見る。

   いつも師のうしろにゐたり冬の旅  (田中灯京) 

沁 
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シロハラ(白腹) ~冬のひだまりで~
- 2011/01/15(Sat) -
シロハラ    

ここはひだまりさんのふゆのにわです。
そこへしろはらさんがやってきました。

シロハラ   

にわのくりすますろーずのそばにはりんごがひとつあります。
みつけたしろはらさんはくちばしをのばします。

シロハラ 

じゃまがはいらないかと、ときどきかおをあげてあたりをみまわします
どうやらだいじょうぶのようです。
しろはらさんはあんしんしました。

シロハラ  

そしてまたりんごをつつきはじめます。
くびをひねったり、こしをかがめたりしながら。

シロハラ

どうやら、おなかもいっぱいになったみたいですね。
しろはらさんはすこしのこったりんごをおいてきんもくせいのほうへあるいていきました。

そのうしろすがたに「またりんごをよういしておきますね」、とひだまりさんはこえをかけていました。


    誰も来よ今日小正月よく晴れし  (星野立子)

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ゼラニウム(アップルブロッサム) ~うれしい事~
- 2011/01/14(Fri) -
ゼラニウム  アップルブロッサム

   此の室    八木重吉

   たれか此の室に入ってきて
   うれしい事を言ってくれるような気がする
                        (『定本 八木重吉詩集』より)

なにもいいことがなかったら重吉さんのような思いで居よう。
そしたら、実際にうれしいことが訪れるかもしれない。

グループ展の搬入と展示が済んだ。
出品数は数十点と、そう多くはないが充実した展覧会となった。
これが終われば、2月にはもう一つ大きな展覧会が待っている。
仕事と並行して制作を進める。
忙しいとは言わない。
言い訳しない。
目標があるからがんばれる。

     冬の日のものぬくめる静けさよ  (小島政二郎)  

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シクラメン(篝火花) ~本気~
- 2011/01/13(Thu) -
しくらめん

   本気  坂村眞民

   本気になると
   世界が変わってくる
   自分が変わってくる

   変わってこなかったら
   まだ本気になっていない証拠だ

   本気な恋
   本気な仕事

   あゝ
   人間一度
   こいつを
   つかまんことには
            (自選 坂村眞民詩集』より)

「本気」は眞民さんの詩の中でも好きな詩の一つである。
いつまでたってもちっとも変わらない私はまだまだ本気に遠いのだろう。
いつまでたっても子どものような大人げない自分を見たりする。
ときどき筆を持って書いては自分に発破を掛ける。
その場その時を「一所懸命」、「一時懸命」に。
今日よりは明日と、一年後には少しは成長し、変わった自分を感じられるように。

     赤花を見てある思ひ寒の内  (文)

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ヒヨドリ(鵯) ~あのとき~
- 2011/01/12(Wed) -
ヒヨドリ 

   点火    坂村眞民

  あのとき
  あのひとが
  かのとき
  かのひとが
  わたしに
  点火してくれた
  とおくとも
  うつくしい
  ひとすじのひかり
             (『自選 坂村眞民詩集』より)

臘梅に鵯がやってきた。
彼も体を膨らめている。
あのいつものスマートな体つきとはちょっと違う。
まるでコートなどで着ぶくれした人のようだ。
顔まで震えているように見える。
臘梅の黄色い蕾はまだ固く小さい。
そんな蕾を彼は一つ二つ食べる。
もう少し待ってくれるといいのだが。
「冬来たりなば春遠からじ」の言葉が思い浮かぶ。
外気温に負けることなく、体の内燃機関は働かせていこう。

   鵯の蕾啄む12日   (文)

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ウンナンサクラソウ(雲南桜草)
- 2011/01/11(Tue) -
雲南サクラソウ

年度初めの総会があった。
100名を超す会員の構成なのだが、出席は約半数。
年々参加者の減少が続き、この先の運営が気になる。
課題ははっきりしている。
年代構成バランスがきわめていびつになっている。
若い世代をどう取り込み、どう育てていくかである。
少子高齢化といえども、いかに裾野を広げ人材を掘り起こすかだろう。
若者の興味関心は情報端末を中心としたものに軸足がある。
しかしこのIT時代の中だからこそ、手作り手作業というアナログ芸術にはむしろ意味と価値がある。
芸術をやってみたい、表現活動に参加したいという志を持たせる魅力ある会にしていかなくてはならない。
広報活動に力を入れるとともに、この現状についての検証や内部改革が求められる。

ハート形した五弁のウンナンサクラソウが部屋にある。
その名の通り優しい桜色した清楚な感じ花だ。
鼻を近づけると爽やかな香りがする。
羽状に切り込みのあるシルバーリーフも変わって味がある。
連日の厳しい氷点下、部屋の花が温かくする。

   乾坤に寒といふ語のひびき満つ   (富安風生)  

ウンナンサクラソウ


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スイセン(水仙) ~冬を愛して~
- 2011/01/10(Mon) -
水仙の芽吹き

   冬の子   坂村眞民

   冬の子は
   冬の子らしく
   冬を愛してゆこう
   冬の雲
   冬の花
   冬の木
   冬の鳥
   すばるも冴えて
   わたしのこころもしまる
                (『自選 坂村眞民詩集』より)


凍える朝。
椿は葉を窄(すぼ)める。
スイセンは芽を出す。
フジバカマはセピア色。
雀は膨らむ。

寒いのは嫌いではない。
最初の勤務地は-23℃を越える厳寒の地だった。
酒もコーラも凍った。
風呂上がりの手ぬぐいは板のようになり、蒲団の衿も凍った。
風呂に入った後の髪の毛も鼻も凍った。
そんなこともおかしくてそのとてつもない寒さが好きだった。

冬と付き合っていこう。
冬を愛していこう。
寒さを味わえるありがたさ。

   凍(い)て土をすこし歩るきてもどりけり (五十崎古郷)



冬のフジバカマ
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ツグミ(鶫) ~呼吸を合わせる~
- 2011/01/09(Sun) -
鶫  

   ねがい  坂村眞民

   わたしのねがいは
   呼吸を合わせることである
   石とでも
   草とでも
   呼吸を合わせて
   生きていくことである
              (『自選 坂村眞民詩集』より)


うめのきにつぐみさんがやってきました。
うめのきのりんごをたべました。
うめのきにはあかいちいいさなつぼみがありました。
つぐみさんははわたしとめをあわせました。
つぐみさんはなにかいいたげでした。
つぐみさんはまんぞくげにとびたちました。
まるいりんごははんぶんになりました。
つぐみさん、きょうはありがとうございました。
また、おでかけください。

   梅の木に鶫啄む昼下がり (文)  

鶫

鶫 
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山 ~掘って掘ってまた掘って~ 
- 2011/01/08(Sat) -
雪山

絵手紙の創始者小池邦夫氏がある雑誌に寄せていた文が目に留まった。

   掘って
   掘って
   また
   掘って。
   出なくても
   またまた
   掘って。

   書くということは自分の内面を掘り下げることであり、
   どんどん掘っていくと何ものにも染まりきらない“核”に当たるんです。
   自分は何が好きでどう生きていきたいのか―

私も書く。

書くことは自分への戒め。
書くことは心の鎮め。
書くことは自分を見つめること。
書くことは深く学ぶこと。
書くことは自然と語ること。
書くことは美しさを味わうこと。
書くことは自分を広げること。
書くことは生きる道の確かめ。
書くことは人から教わること。
書くことは自分を知ること。
書くことは伝えること。
書くことは自分へのメッセージ。
書くことは感情の表出。
書くことは…………………。
………………………………。
書くことは自己確認の作業。

今日も考える。
今日も省みる。
今日も掘る。

    身にしみて人には告げぬ恩一つ  (富安風生)  

小池邦夫「掘って」

小池邦夫「会いたくなって」
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ノギク(冬の野菊) ~ジブンノ道ヲマッスグニ~ 
- 2011/01/07(Fri) -
冬の野菊 

   「自戒ノウタ」 坂村眞民

   小サナ家ニイテモ
   ココロ貧シクナルナ
   マズイモノヲ食ッテイテモ
   物欲シクナルナ
   耐エガタイコトガアッタラ
   一本ノ木ヲ見ツメテ勇気ヲ出セ
   生命ヲツカムタメニハ
   素直ニナラナケレバナラヌ
   アセラズ
   クニセズ
   シズカニ
   ジブンノ道ヲ
   マッスグニ行ケ
            (『自選 坂村眞民詩集』より)


ああ、さむい。
さむいさむい。
ふゆにはふゆのうつくしいさま。
ああさむい。
たれかがいった。
ふゆにはねをふかくのばせと。
ああさむい。
たれかがいった。
ふゆがきたからはるはちかいのだと。
ああさむい。
たれかがいった。
ふゆはつめたいあさにおもむきがあると。

ひとはふるえる。
わたしはあしがひえる。
はなはいろをかえてしずかにある。
はなはかたちをかえてしずかにある。
さからわずなげかず、ふゆをうけいれる。
ふゆがあるからさくらははなをさかせる。

野菊の冬姿もまた…。

   七草のまだ人中にある思ひ (田中裕明)

冬野菊
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サイネリア(cineraria・富貴菊) ~手考 足思~
- 2011/01/06(Thu) -
サイネリア

河合次郎に「手考 足思」の言葉がある。
目にした時、私は思わず手を打ち、肯いた。
それは陶芸家としてのあり方や心構えのことなのか、それとも人の生き方を示しているのか。
本人の言わんとしたその随については知るよしもない。
しかし本来の意味はともかく、私には次のように聞こえる。

「あれこれ考え思い煩うことなかれ」。
「まずはやってみることだ」。
「握って開いて力を入れて手で理解し、考えろ」。
「歩いて走って踏ん張って、地面が伝えるのものを足で捉えて、感じろ」。

要は実際に自ら動いて得られる体験こそ大事。
理屈だけでは分からない世界もある。
行動することでいろいろがわかる。
具体で示し、形に表せ、と。

これらは勝手で外れた解釈かもしれない。
しかしたった四文字ではあるが私はそこに禅語のような深さを感じる。
彼の一つひとつの豊かな作品にも心を奪われるが、同じところに留まらない表現の世界を追究した生き方にも惹かれる。

正月も六日。
口先の仕事にならないように自戒して「手考 足思」と、ときどき唱えよう。

このサイネリアは白から赤紫へのグラデーションが美しい。

   新暦の睦月はすでに六日なり  (文)

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ゼラニウム ~人生とは~
- 2011/01/05(Wed) -
ゼラニウム 1/5

    今こそ出発点    尾関宗園 (大仙院住職)

  人生とは毎日が訓練である
  わたくし自身の訓練の場である
  失敗もできる訓練の場である
  生きているを喜ぶ訓練の場である

  今この幸せを喜ぶこともなく
    いつどこで幸せになれるか
  この喜びをもとに全力で進めよう

  わたくし自身の将来は
    今この瞬間 ここにある
  今ここで頑張らずにいつ頑張る


そうだよな。

あとで…。
まあいいや…。
まだひがあるし…。

そうおもってさきおくり。
そうおもってわすれ。
そうおもってやるきをなくし。
そうおもっていいかげんなかたちにし。
そうおもってどこかにまぎれる。

おもったときがひろげるときなんだ。
きがついたときがうごくときなんだ。
かんじたときがやるときなんだ。
…………ときががんばるときなんだ。

そうだよな。
まいにちがしゅっぱつ。

数日間留守したがゼラニウムは咲いていてくれた。
人の生活に関わりなく花は花として咲く。
「決意」と「 堅実」の花言葉。

  一年は正月に一生は今に在り  (正岡子規)

ゼラニウム1/5
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フユシラズ(冬知らず) ~両手に抱け~ 
- 2011/01/04(Tue) -
フユシラズ 

 「両手の世界」  坂村眞民

  両手を合せる
  両手でにぎる  
  両手で支える
  両手で受ける
  両手の愛
  両手の情
  両手合したら 喧嘩もできまい
  両手に持つたら 壊れもしまい
  一切衆生を
  両手に抱け
                (『自選 坂村眞民詩集』より)


四日。
始まる。
仕事。
始める。
大事に。
今年を。
丁寧に。

終着点への行程表。
その時へのイメージ。
行為に意味を持たせ。
発想豊かに創造的に。
自己評価に納得できる中味。
誇りを持った働き。

こなすだけでは仕事ではない。
できることを尽くす。
気持ちを引き締めて号砲を打つ。

「一切衆生を両手に抱け」
人のために生きなければ生きていることではない。

富士はどっしりだ。

   靄ふかく明けて四日の静かな  (坂田昌子)

富士
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バラ(薔薇) ~また、こつこつと~
- 2011/01/03(Mon) -
正月飾り 薔薇の花

  「こつこつ」  坂村眞民

   こつこつ
   こつこつ
   書いてゆこう

   こつこつ
   こつこつ
   歩いてゆこう

   こつこつ
   こつこつ
   掘ってゆこう


  「七字のうた」  坂村眞民

   よわねをはくな
   くよくよするな
   なきごというな
   うしろをむくな

   ひとつをねがい
   ひとつをしとげ
   はなをさかせよ
   よいみをむすべ

   すずめはすずめ
   まつにまつかぜ
   ばらにばらのか
             (『自選 坂村眞民詩集』より)

エンジンを切ってただただ休ませた三が日。
バッテリーに充電は済んだ。
部品の不具合も新しいのに取り替えた。
洗車してフロントガラスも塗装面も磨いた。
あとは正しいハンドル操作だ。
タイヤの状態に気を配りつつ標識を確かめながら走ろう。
心のアクセルとブレーキを的確に踏み換えて。
そして時々の点検を忘れずに。

   一人居や思ふ事なき三ヶ日(夏目漱石)

漆屏風鶴と松

漆屏風 鶴と松 
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ダリア ~耽読の正月二日~
- 2011/01/02(Sun) -
ダリア  


   「純粋時間」  坂村眞民

  いつも三時、四時に起きるって?
  何をしているの?
  人はいぶかしげに問う

  わたしはははと笑っているだけだが
  何もしていない日もある
  ぼんやり夜明けを待つ日もある
  リルケのことを思ったり
  セザンヌのことを考えたりして
  ただ坐っている日が多い

  しかしわたしには
  この空白な時間が一番大事だ
  夜明け前のしづかなひととき
  自分の世界を築きながら
  しづかに坐っている
  純粋なひとときが一番たのしい
                 (『自選 坂村眞民詩集』より)

眞民さんは早起きだった。
私も三時に起きる。
眞民さんはリルケを読んでいた。
私は眞民さんを読む。
眞民さんはセザンヌを開いていた。
私は碌山を開き光太郎を開く。
眞民さんは「自分の世界を築きながらしづかに坐っている純粋なひとときが一番たのしい」という。
私もまた、自分の世界に入りしづかに坐っていろいろ考えるひとときが好きだ。
眞民さんは「『八木重吉氏に』あなたが生きていたら手を取り合って話がしたい気がする」という。
私も眞民さんが生きていたらあなたの話が聞きたいと思う。
眞民さんは「『八木重吉氏に』一輪の花の心を二人で語り合いたい気がする」という。
私も眞民さんの詩の心について尋ねてみたいと思う。
眞民さんは「『八木重吉氏に』あなたの詩集を今日もまたまくらべにおいて寝る」という。
私もまた眞民さんの詩集をまくらべにおいて読む。
そして心を濾過する。

   耽読の一夜なりける二日かな (石塚友二)

黒蝶 

ダリア 
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