
部屋に風を通し、音楽を聴きながら、自分の時間を過ごしていた。
長い髪の若者がジーパン姿で歌っていた頃の昔の曲のオムニバスだ。
懐かしい声が個性豊かに歌い上げる。すでに鬼籍に入った人も。
歌詞もメロディーもリズムも、その時代背景を象徴するかのように、シンプルでいて深い。
岡林信康の「友よ」から始まる。
そして齋藤哲夫が振り絞るように歌う「悩み多き者よ」。
続く高田渡の飄々とした「自転車に乗って」は生活感がある。
ぼそぼそとした遠藤賢司の「カレーライス」は中津川フォークジャンボリーのライブ録音。
はっぴいえんどの「12月の雨の日」、西岡恭蔵の「プカプカ」、泉谷しげるの「春夏秋冬」…。
そんな曲がリピートされて、私の作業のバックミュージックとなる。
赤いダリアが咲いている。
そういえば、子どもの頃の記憶にあるダリアというと、ほとんどがポンポンダリだったような気がする。
万重咲きになった玉房状の花、いつも目にするのはそんなダリアだった。
最近は巨大輪だったり、菊の花のようであったりと色も花容も様々である。
今こうして真ん丸なポンポンダリアを見ると、遠い夏の日が甦ったりする。
三角缶と捕虫網を持って、足場の悪い林の中でコノハチョウを追いかけた日々など。
曇る日は曇る隈もつダリヤかな (林原耒井)

