
折鶴蘭を、私が育てるようになったのはもう10年以上も前からになる。
植物としての魅力はもちろんだが、その音の響きと文字の組み合わせの美しさにもまた惹きつけられた。
多数のやわらかな細長い葉が鉢から四方に垂れ下がるように伸びて広がる。
時々知らないうちに、枝の先端に新たに生まれた子株が気根を出して地に付けていることがある。
それを切りとって土に埋めてやるとすぐに成長を続けるので、簡単に増やせる。
南アフリカ原産だけに、寒さにはきわめて弱く、冬は部屋に入れて管理する。
花は長く伸びた茎の先端に並ぶように咲くが、しかしそれは小さくてしかも葉に紛れているために目立たない。
いや、むしろ人はその葉に観葉植物としての価値を求めているために、花そのものに気づく人は少ないのかもしれない。
六弁の小さな愛らしい白い花は広めの花びらと細い花びらがそれぞれ交互に並ぶ。
折鶴蘭の名はその花の姿を鶴に見立てているのだと思っていたが、それは違うのだということを最近知った。
本には「新たに生まれる子株の葉の姿が,折鶴に似るところから名づけられた。」(坂梨 一郎)とある。
とんだ勘違いだったが、この白い花も私にはまるで白鶴が揃って空を飛んでいるように見えたりする。
猛暑が続く中、このあどけなさを感じさせる花が一服の涼を与えてくれる。
折しも昨日、千葉紘子の「折鶴」(1972)がラジオから流れていた。
~誰が教えてくれたのか 忘れたけれど折鶴を 無邪気だったあの頃 今は願いごと‥
いろんなことが あるけれど それは誰でも そうだけど 悔いのない青春を うたって歩きたい~