ミヤマカイドウ(深山海棠)
- 2008/04/30(Wed) -
深山カイドウ


 ミヤマカイドウは秋に真紅の可愛い実を付ける。
ちょうど姫リンゴの小型版を想像すればよい。
白い五弁の花は仲間のリンゴに似るが、やはりそれも小ぶりである。
私は花を楽しむ方なので、実りはチョウ任せ、蜂任せである。
彼女らが近くにある王林、富士、花海棠などから花粉を運んでくれれば有難い。
今、ヒヨドリが庭に来ているが彼らはそんなデリケートな仕事はしないだろう。
何せ、せっかくの白い椿をせっせと食べるばかりなのだから。

海棠や白粉(おしろい)に紅あやまてる (蕪村)

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モクレン(紫木蓮)
- 2008/04/29(Tue) -
紫モクレン


昨日は近くの桜の木からはウグイスの澄んだ伸びやかな鳴き声が響き渡っていた。姿は確かめられない。
「ホーケキョ」のあとの「ケキョケキョケキョ  キョキョキョキョ…」と谷渡りまでうまくなった。
夕暮れ時のしじまの中でそれは四方八方遮るものも無く、はたして何処まで届くやらとしばらく耳を傾けた。 

この紫木蓮、今年は咲き出すのが遅く、この時期まで美しい花姿を見せてくれた。
しかしそれもそろそろ終わりに近づいている。
そこはちょうど風呂場の外に位置し、湯船につかり窓を開ければそれは目の前にある。
手を合わせて包み込むような暗紫色のおおぶりの花は他にない魅力である。

木蓮の風のなげきはただ高く (中村草田男)

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リキュウバイ(利休梅)
- 2008/04/28(Mon) -
リキュウバイ


利休梅はいかにも茶人に好まれるような素朴で味わいのある真っ白な花だ。
五弁の花片はそれぞれに反ったり波打ったりと一定の形にとどまらない。
花央からはたくさんの可愛らしい雄蕊が伸びる。
蕾も布で包んだようなその形がまた優しくていい。
今日は一つ、「利休」に思いを寄せながら小さな器に活けてみよう。

利休梅その下蔭の好もしき (後藤夜半)

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ジューンベリー(June Berry)
- 2008/04/27(Sun) -
ジューンベリー


ジューンベリーは純白の小さな花である。
楚々とした細い五弁の花が枝に沿って溢れんばかりに咲く。
その様を見ると、なぜかサクラと違った感慨に包まれ、心が和み安らぐ。
この白く可愛い花が少し月日を重ねるとブルーベリーに似た小さな実になる。
“6月になる果実(June Berry)”が本来なのだろうが、我が家で実るのは7月に入ってからだ。
赤みがかった色が青紫に変わり、さらに黒に近くなるとそれが食べ頃、かなり甘くておいしい果実だ。
ひとつひとつは小粒なので、生食よりむしろジャムに向いているのかもしれない。
しかし、私が舌鼓を打つのもほんのわずか、大方はヒヨドリ殿の喉を潤し、腹を満たすのがこのところの通例である。
それはそれでかまわない。彼らが小さなその実を口に啄む、そんな姿も見ていて楽しいからである。
最近、どうやら私は鳥たちにきわめて寛大になったような気がする。

鵯や紅玉紫玉食みこぼし (川端茅舎)

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サクラ(八重桜・普賢象 )
- 2008/04/26(Sat) -
八重桜


家に何本かある桜のうちで最後に咲くのがこの八重桜、名を普賢象(フゲンゾウ)という。
花心(雌蕊)が緑に変色葉化し、長く伸びる。
それが普賢菩薩を乗せる象(の鼻)に似ていることからこの名が付けられたとある。
はじめ蕾はピンクで花開くと白く変わる。
八重独特のふんわりとした優しさ柔らかさを持つ花である
4月も下旬、春紅葉の季節の声を聞くと、桜の木々はその色を花色から葉色に移していく。
こうして今年のマイガーデンお花見フェスティバルは幕を静かに閉じる。
場所取り無用、入場料無料。来園者3名。鳥多数。蟻はカウント不能。蝶、ミミズその他の小動物は掌握能わず。

やわらかき罪重ねいる八重桜 (松本恭子)

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カタクリ(黄花片栗キバナカタクリ )
- 2008/04/25(Fri) -
きばな


木陰で黄花片栗が咲く
そこに一輪二輪
あちらに三輪一輪
恥ずかしげに顔を下に向け
はにかむように花片を反り返らせて
黄花片栗が咲く
今年もまた
日陰で咲く
ひそかに咲く

    片栗の花の素直に身を反らし (白井風人)

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ヤマブキ(菊咲き山吹Kerria japonica )
- 2008/04/24(Thu) -
キクザキヤマブキ


ヤマブキが揺れる。
少しの風にもさわさわ揺れる。
枝がしなやかにたわむ。
上に跳ね上がっては鞭打つように下に沈む。

このヤマブキ、一般によく見られるものと少し違って、花びらの形が細く切れ込んでいる。
最近になって、この花にキクザキヤマブキという名があることを植物に詳しい方から教えて頂いた。
他に八重と一重のヤマブキが庭に沿って家を取り囲むように咲いている。
昨年はあの猛暑で体内バランスを崩したのか、これらの花が夏にも秋にも狂い咲き返り咲きして驚かせた。

ばっさり何本もの枝を切り、そのまま束ねて玄関に活けてみた。
その花を見て太田道灌の歌を思い出す訪ね人は幾人いるだろうか。

枝かはすところ山吹花かさね (皆吉爽雨)

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サクラ(鬱金桜ウコンザクラ) ~黄桜~
- 2008/04/23(Wed) -
ウコンザクラ

 
嬉しい花のお目見えである。
名は鬱金桜、見ての通りの淡い黄色の桜である。
葉は花と同時に出てきて、その花色を引き立てる。
昨年は枝をばっさり伐り落としたのが災いし、一つも花を咲かせなかった。
この時ばかりは「桜切るバカ」の言葉を身にしみて感じたものだ。
自らの愚かさを忸怩たる思いを持って、今年のこの時を待った。
この木に、堪え忍んだ年季にわびつつ、そして今の花姿に感謝する。
優しげな色合いとふんわりとした八重の花にまた再び会える幸せ。
その喜びにゆったりと浸りつつ、じっくりと味わおう。

天辺に水ある如きさくらかな  (萩原麦草)

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サクラ(カスミザクラ)
- 2008/04/22(Tue) -
カスミザクラ

 
故郷での法要を済ませ空路帰ってくると、庭のカスミザクラが満開となっていた。
ソメイヨシノが散ったその後に、こうして屋根に覆い被さるように10㍍ほどの木をびっしりと埋め尽くす。
花びらは白くて小さい。花が咲き出すのを追いかけるように葉も出始める。
それ故、木全体が真っ白なのはわずか一日か二日で、その後はやや赤茶色した葉芽の色と徐々に混ざっていく。
居間やキッチン、そのほかの部屋から目の前に臨むことができる我が家のシンボルツリーである。
毎年、こうして椅子に腰掛け居ながらにしてお花見ができるのが嬉しい。
丈夫な木でほとんど病気無く、その幹を上へ上へと伸ばしその枝を横へ横へと広げている。
夏の盛りには大きな日陰を作り、西日を遮って部屋を涼しくしてくれるのもまた有難い。
桜七日の花盛り、数日もすれば一枚二枚と、そしてあとは雪の舞う如くに庭を草花を真っ白に染めていく。

咲きいずるや桜さくらと咲きつらなり (荻原井泉水)

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チョウジサクラ (薩摩藤・藤擬き)
- 2008/04/21(Mon) -
丁字桜


桜に“丁字桜”という名の種がある。
小さなつつましい花を下向きに咲かせる。
花が筒状になるのが普通の桜と少し違う。

ややこしいかな、この花もまた“丁字桜”という。
全く同じ字を充てて同じ読みをする花なのだが、こちらはジンチョウゲ(丁字)の仲間である。
小さな四弁の淡い藤色の花で、ほのかにいい香りがする。
成木でもあまり高くはならないようで、植えてからも数年経つのに未だ1㍍にも満たない。
葉に先んじて花を咲かせるところは確かに桜と同じではある。

こちら向く丁字の風になやましき (阿波野青畝)

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ツバキ(紅白絞り)
- 2008/04/20(Sun) -
椿

 
毎年のことながらこの時期、ヒヨドリの訪問がすごい。
まだ日が昇る前の周りが明るくなり始めた頃にはもう「ピーヨ、ピーヨ」と賑やかだ。
彼らがやってくるその目当ての一つは椿、もちろんそれを愛でるためではない。腹を満たすためだ。
味、香りそしてその軟らかな風合いがどうやら彼らの口を虜にするようである。
春を迎えせっかく新しい色の衣装を整えた椿にとっては悲しい面持ちだろう。
我が家では特に白椿がその姿を他の草木に披露するまもなく悲惨な状況になっている。
ヒヨドリに身を委ねる白椿、それもまた自然界の宿命として受け入れなければならない。

ところで、これは1本に赤と紅白絞りの花が混じって咲く変わった椿である。
木の上部が赤色の花、半分より下方が絞りの花となってはっきり分かれるのがおもしろい。
花は大輪で、ひとつひとつは見応えがある。

父の四十九日の法要を済ませた。
この椿を持って父に捧げてきた。母は沈丁花と三椏の香りを喜んでいた。
庭には兄の育てた色とりどりの花々が咲き乱れていた。
父もきっと海の彼方の弥勒世で花に囲まれ、盆栽を楽しんでいることだろう。
花は人の心を穏やかにする。花は人を安らかにする。

こゝに咲けばこゝの仏の椿かな  (野田別天楼)

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モモ(白桃)
- 2008/04/19(Sat) -
モモ

 
朝日を背にして桃の花が咲く。
単純に美しいと思う。
こんなきれいな花だが、摘花しなければならない。
まだ2㍍にも満たない木ゆえ、たくさんの実をつけさせるのは負担だろう。
多くを望まないとしよう。それなりの稔りでいい。

次々と花々が訪れめまぐるしくも、嬉しい日々が続く。

父が逝ってから四十九日である。沈丁花と椿と三椏を持って行こう。
母にはタラの芽と私家版の私の著を届けよう。

ふだん着でふだんの心桃の花 (細見綾子)

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コブシ(辛夷 kobus magnolia)
- 2008/04/18(Fri) -
こぶし


純白六弁花の辛夷が咲き出した。
木蓮より花びらが細く、やや小ぶりである。
指を広げた手のように軟らかに開く。
小枝の先端にそれぞれ一つの花を付ける。
その香気に誘われて早速、蜂がきて蜜を吸う。
花が動けばこうしてほかの命も動く。

琴線にふれし辛夷をまぶしみぬ  (林 翔)

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ユキヤナギ(ピンクユキヤナギ)
- 2008/04/17(Thu) -
ユキヤナギ


道々に真っ白なユキヤナギが垂れ下がるように咲いている。
大きな株はそれはそれはまさにその「雪柳」の名にふさわしく見事である
通勤途中、ついつい見とれてしまう。

ところで我が家のは淡い赤みを帯びたユキヤナギである。
色の違い以外は小花を枝垂れるように枝を埋め尽くして咲かせるのは一緒だ。
そのほんの小さな一つ一つの花は何とも言えぬ可愛いものがある。
枝いっぱいのその花、切り取って花瓶に挿し、和室に置くのもいい。
柄の付いた竹の器か、背が高い黒陶などよく似合う。

ゆきやなぎ人をいとひつ人を恋ふ (篠田悌二郎)

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ナシ ~赤梨の白い花~
- 2008/04/16(Wed) -
ナシの花


梨の花 白い花 五弁の花
こんな真っ白で こんな可愛い花が
秋には大きく甘い甘い赤梨に

花言葉は「愛情」そして「博愛」

新水、幸水、二十世紀の梨の木に花が咲く。
今年はどれだけの収穫ができるのだろう。

  青天や白き五弁の梨の花 ( 原石鼎 )

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ミツマタ(赤花三椏)
- 2008/04/15(Tue) -
赤花三椏


これは高さ1㍍ほどの赤花三椏、普通の三椏と違い少し朱紅色をしている。
花はジンチョウゲ同様に外側から内に向かってだんだんに咲いていく。
それらは朝日がいち早く差す庭の東に二つ並んで咲いている。
三椏は小さな花がたくさん集まって丸くまとまり、まるで手鞠のようにも見える。
花はその顔をうつむくように下向きに咲く。
ミツマタ(三又)の名の通り、枝は一年に一度分岐する。
それゆえ、その枝分かれの部分を数えるとその樹齢が推定できる。

三椏の一つ二つが花紅く ( 山本悠水)

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スモモ(李・Japanese plum)
- 2008/04/14(Mon) -
すもも

 
午前中、ジャガイモの植え付けなどひたすら畑仕事に勤しみ汗をかく。今年は、男爵のみに絞り数も昨年より半減させた。
多くできても食する口数が追いつかないからである。畝の真ん中に鍬を入れ、種芋を置いて、土をかぶせていく。
気がついたらティータイムを過ぎていた。額の汗をぬぐい、仰ぎ見る空は澄んで青い。

高さ4~5㍍ほどのスモモの木が白一色に染まっている。遠くから眺めると尚一層、その白さが際だつ。
長い花柄に5弁の小花は桜にも似て、毎年時を同じくして満開となる。ただ、散るのは桜より早い。
ソルダムなど3種類あるこれらのスモモ、7月頃にはやや黒みを帯びた甘い実を付ける。
しかし、私が口にするのは少ない。手の届くところしか収穫しないからである。
多くは落下して行列するアリのレストランか、ヒヨドリなどの食事処に変わる。
まさに“桃李ものいわず、下おのずから蹊(みち)を成す”《史記》の感となる。

放縦に背戸の李の花盛り (相馬遷子)


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さくら ~わがやの花見~
- 2008/04/13(Sun) -
さくら

 
我が家のソメイヨシノが満開である。

帰省した息子とともに5月の公募展に向けて準備をした。
近くの温泉で汗を流したあと、家に戻って桜を見る。
アルコールはない。ただただ、木を埋め尽くす桜花を眺め味わう
ヒヨドリとツグミと家族だけの静かなプライベート花見だ。
やわらかな桜色を眺めながら「作品と春草論」に花を咲かせる。
一羽のツバメが青空に線を引く。その姿を見るのは昨年より少し早い気がする。
幸せな気分だ。今年は何羽の子育てをするのだろう。

ソメイヨシノは息子が小学校の頃に植えた木である。
それから時を得てこうして花を仰ぎ見るまでに成長した。
この木を見ると息子の成長と重なり、感慨深いものがある。

さまざまの事思ひ出す桜かな (松尾芭蕉)

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ペラルゴニウム(バイカラー)
- 2008/04/12(Sat) -
ペラルゴニウムバイカラー


愛知県弥富町では早くも「あきたこまち」の田植えが始まったとラジオが伝えていた。
下を向いた可憐なカタクリの花の話題もテレビの画面から届けられる。
近くの林からは“焼酎一杯ぐいーっ”とセンダイムシクイの声が響き渡る。
呼応するかのように、ウグイスの鳴き声も聞こえてくる。
窓の外に注ぐ日射しにも一段と眩しさが感じられ、春が様々な表情を見せている。

部屋の中ではゼラニウムの仲間達も、一斉に閉じた蕾の紐を解き始めた。
“バイカラー”というこのペラルゴニウム、その名の通り薄ピンクと赤紫の色がツートンになっている。
同系色で塗り分けられたその花びらの顔はどこかビオラにも似て愛らしい。

この時をじっと待っていたかのように、一日一日と花の彩りが増えていく様は嬉しく、心が躍る。

窓あけた窓いつぱいの春 (種田山頭火)

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デンドロビウム・キンギアナム
- 2008/04/11(Fri) -
エピデンドラム1


今年はその顔をもう見ることはできないと思っていた蘭たちが次々に咲き出した。
デンドロビウム、シンビジウムについでこのキンギアナムも今盛りである。

2㎝ほどの白い小花が茎の先端から出た花茎に数十個も付いている。
蘭特有のリップにはスパッタリングしたような薄紫のドットが見える。
一つ一つは華やかというより清楚というのが相応しく、とても可愛いい。
しかしなんといってもこの花の特徴はその香りだろう。
鼻を突き刺すといった方がいいほどの強い香りを放つ。
特に昼間はその香りの分泌が活発になるようで、隣の部屋にまで広がる。
外出後、部屋のドアを開けるとたちどころにその香りが鼻を抜けていく。

寒い信州の冬を乗り越えて花を咲かせてくれた キンギアナムに乾杯!
そして有り難う!

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ヒイラギナンテン(柊南天)
- 2008/04/10(Thu) -
ヒイラギナンテン


柊にも似たその葉の周りには鋭い棘が突き出す。
それが木全体を覆い、触れると痛い。
樹の中心部から総状の花序が垂れ下がるようにるように伸びる。
花はロウバイを小さくしたような黄色い6弁花、蕾は萌葱色をして丸い。
葉には光沢があり硬く、その独特の形と相まって美しい。
元々は薬用木として日本に渡ってきたものだというが、今は公園などに密植されているのをよく目にする。
それは花を愛でるというより、なによりその棘により人が入り込まないことを目的としているのではないかと思われる。
我が家では、カスミザクラの下で目立たぬようにひっそりと咲くヒイラギナンテンである。

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ムスカリ(grape hyacinth)
- 2008/04/09(Wed) -
ムスカリ


庭の至る所でムスカリが咲き出した。
黄色い色が多いこの時期にあって、瑠璃色したこの花はよく目立つ。
ムスカリはまっすぐ伸びた花茎の先端に可愛い小花が密集して咲く。
一つ一つの花は約3mmほどで、下向きに開くその形はスズランにも似る、ユリ科ヒヤシンスの仲間だ。。
英名で grape hyacinthとその青い総状の小花は確かに「ブドウのようなヒヤシンス」である。
それらが一斉に咲く様は青のカーペットのようでもある。
繁殖力は強く、どんどんとその勢いを広げ、いつの頃からか我が家の春を彩る花の一つとなった。

   折節の移りかはるこそ、ものごとにあはれなれ。 (徒然草 十九段)

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レンギョウ(連翹・ golden‐bell)
- 2008/04/08(Tue) -
れんぎょう


大きく伸びて垂れ下がるように弧を描く枝は2㍍にもならんとする。
あるものは地につき、そこから新たな根を出している。
この時期の他の花々同様、葉が展開する前に、黄色の花を枝いっぱいにつける。
4枚の深く切れ込んだ花びらは色鮮やかで美しく、それが枝に沿うように付く様は遠くからも人目を惹きつける。
奔放な枝の行方はまるで絹素に絵筆を自由に動かした軌跡のようでもある。
「翹」とは高く弧を描いて立つ雉(キジ)の尾羽のことという。
なるほど、鳥が尾羽を高く「連」をなして掲げている様子に喩えた中国の人々の感性もうなずける。
英名でgolden‐bellもまた、その短い筒状の花を「黄金の釣り鐘」と見立てていて、これもまた理解できる。
一方はその枝に、他方は花そのものにと、東西のものを見る視点の違いもおもしろい。

連翹の一枝づつの花ざかり (星野立子)

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京菜の花 ~蜂のお散歩~
- 2008/04/07(Mon) -
蜂と菜の花


風のないうらうらとした穏やかな日、午前はずっと畑仕事に費やした。
今年は、いろいろがあって自分の農作業が少し遅れ気味である。
ポケットのラジオを聞きながら牛糞を撒いて、畝作りをする。
各地から花便りやお花見の様子などが、耳に届けられる。
遠からは花祭り、沖縄からは海開きと百花繚乱、春爛漫と言う言葉が伝えられる。
ジャガイモ植え付け用の畝が一列できた。続いてレタス用も完成だ。
風がなく、すっきりとした青空のもとでの仕事に汗ばみ、長袖をたくし上げる。
予定した仕事を終えて鍬を置き、道具を片付けて畑の周りをそぞろに歩く。
食べきれず取り残した京菜は黄色い花をいっぱいに付け、それに誘われるように蜂も散歩にやってきた。
気温が上がるにつれ、5~6輪咲いていた我が家のソメイヨシノも昼前にはその数をだいぶ増した。

母から電話があった。「父の四十九日に『大島紬の着物』を形見分けしたい」と、気丈な母である。
来週には満開になるだろう桜のその姿を花好きな母に届けよう。

菜の花がしあはせさうに黄色して (細見綾子)

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モクレン(白木蓮・magnolia)~ウグイスの初音~
- 2008/04/06(Sun) -
白木蓮


今年初めて「ウグイス」の声を聞いた。年度スタートの大事なセレモニーの最中のことだ。
高く澄んだ声で、「ホー ホケキョッ、ホケキョ」とまるで新しい仲間達を祝福するかのように。
しかし最後の「ケキョ ケキョケキョ…」がなく、まだ声には伸びを欠き少しぎこちなさが感じられる。
どうやら彼もこの地にやってきたばかりの新入りらしい。
後2週間ほどもすれば、発声もうまくなりその美声を遠くまで響き渡らせることだろう。
いよいよ鳥たちにも囀る季節の到来だ。そろそろツバメの軽やかな滑空する姿も見られるのかもしれない。

乳白色のハクモクレンが満開である。
葉がない小枝の先に次々と花が咲いていく。
やや厚みのある花びらがゆるやかな曲線を描くように外に開く。
花弁は6~9枚の不定数、2~3日の開花後、力を失い着物を脱ぐようにだらりと落ちる。
そのとき、白い花びらは茶色に変わっていく。

白木蓮の散るべく風にさからへる (中村汀女)

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デンドロビウム ~嬉しい花姿~
- 2008/04/05(Sat) -
デンドロビウム


部屋の中ではデンドロビウムがたくさんの花を咲かせている。
白い花びらの先に薄い紫色がインクを落としたように控えめに付いた優しい花姿である。

今年は蘭に一つも花を見ることはできないのではないかと、自分の育て方の未熟さを恨んだ時期があった。
暮れから新しい年にかけて園芸店に華やかな蘭が多く並ぶ時、私の育てたものはただただ、青々とした葉しかなかったからだ。
その時はああ、我が家は「葉蘭(波乱)」だと自嘲気味に嘆いたものだった。
園芸店に行くたび、何が違うのだろうかと考えたり、新しいのを購入しようかと迷ったりもした。
しかし、店からそれらが姿を消し始めた3月に入る頃、我が家のに花芽らしいものがいくつも現れてきた。
しかもデンドロビウムだけでなく同時に、いく鉢もの蘭にそれが見られたのである。
そして今こうして見事な花姿を私に届けてくれている。嬉しい。本当にうれしいと単純に喜んでいる。

そこからは、いくつか学んだような気がする。
例えば、店で並ぶのは専門家が人の心が躍るその時期に合わせて咲くように、ハウスの中で育てたものだろうと。
例えば、他と比較してなんになろう、自然の摂理の中でそれぞれに適した頃合いというのがあるのではないかと。
例えば、結果を最後まで見届けなければ軽々に結論を導くものではないと。
例えば、焦らず、急がず、多くのものの可能性を信じ、じっと待つことの大切さを。
もっと広く、もっとゆったりと構えることで時が教えてくれることもあるのだということを。
遅れてやってきた「蘭」の花々にしばらくは、せわしい4月の心を慰めてもらえそうである。
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姫コブシ(シデコブシ)
- 2008/04/04(Fri) -
ヒメコブシ


朝のラジオは飛騨高山からシデコブシの話題を届けていた。
シデコブシは、岐阜県など東海地方のごく限られた地域に分布している日本の固有種だという。
しかし、乱開発などによりレッドデータブックで”絶滅危惧種”に指定されていると伝える。
この「姫コブシ」は数年前に近くの園芸店から小さな苗木を購入したもので、今では2㍍ほどに成長している。
やや捩れたような特徴を持つ薄紫の花びらがそれぞれ方向を定めずに咲く。
書を紐解くと、コブシを「田打ち桜」「種蒔き桜」の名を付けて呼ぶ地方もあるという。
この花が咲くのを目安に農作業を始めるためだという。
古くから生活に密着した花なのだろうと、その名付けに親しみを感じる。

姫辛夷うす紅ふふむ六時かな (山内美津男)

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フクジュソウ(福寿草・Amur adonis)
- 2008/04/03(Thu) -
フクジュソウ


黄金色を輝かせてイボタの木陰で咲いているのは福寿草。
やや遅れて私の庭にやってきた優しさを感じさせる春告花である。
「福」と「寿」と、まさにその名の吉事を運んできてくれそうな端麗な顔した花だ。
土の上にひょっこり顔出している姿がニュースや写真なのでよく見られるが、実際にはぐんぐん背丈を伸ばす。
今我が家のは15㎝ほどだが、地方によっては1㍍にもなるというのだから驚きだ。
英名はAmur adonis(アムールのアドニス)、あの女神 Aphrodite(ヴィーナス)に愛された美少年の名である。
アムールとあることからシベリヤから中国東北部が原産地なのだろうか。
夕方見るとそれは身を丸く包み、つつましい形に姿を変えていた。

まどろめるわれを見守り福寿草 (阿部みどり女)

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アンズ(杏・apricot)
- 2008/04/02(Wed) -
あんず


美し花だ。色も形もその姿ももいい。桜や梅と比し何の劣ることがあろうか。
アンズという音の響きもいい。ここ数年は我が子に「杏」と名付けている親も増えているという。
私の知るところにもその名を見つけることができる。

学生の頃、下宿の庭にそう大きくない杏の木はあった。
全く知らない土地、善光寺の裏で始めた学生生活だった。
時折、大家のおばさんがシロップ漬にして出してくれたのがこの杏だった。
初めてその名を知り、その木を知り、その橙黄色の実を知った。
秋に稔るこの実を私はいろいろ加工するより生食するのが好きだ。
今、自分の庭でその花を愛でる幸せをなんと言おう。

昨日は母の誕生日、電話した。母は私の命の源、元気でいることが嬉しい。
 
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サクランボ(sweetcherry桜坊) 
- 2008/04/01(Tue) -
桜桃の花


東京から帰ってくると、家のサクランボ(桜桃)が満開となっていた。
他の桜の木同様に、葉が出る前に小さく白い五弁花が木全体を覆い尽くす。
昨年は秋にたくさんの実を付け、産直市場へ出荷してもいいほどの稔りを味わった。
素人作農のサクランボでもかなり甘く、結構なデザートとなる。
しかし、自分の口に入れるよりヒヨドリの三食になることのほうが多かったのが実際である。
この満開の花々を見ると今年もどうやら多くのサクランボを期待できそうで楽しみだ。
今日もヒヨドリがやってきた。どうやらまた彼との凌ぎ合いが続きそうである。
4月、また新しい仕事の始まりだ。

   繭ごもるらし桜桃の咲く盆地 (市村究一郎)

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