ヤブカンゾウ(藪萱草) ~良寛の戒語~
- 2017/07/25(Tue) -
ヤブカンゾウ061

話す人の、その内容がどれだけの真実味や信頼がおけるかはその表情や態度から案外分かるものである。
見ている人や聞く人は、言葉の多さや速さから瞬時にその真偽を見極めたりもできる。
一方少ない言葉の中に、ものことの本質を感じたりもする。

思い出したのが良寛さんが語る『良寛戒語』。
人の話をする姿、その様子について戒める。
90箇条になるその中から幾つか。

 一 ことばの多き
 一 口のはやき
 一 人の言いきらぬ中に物言う
 一 話の長き
 一 たやすく約束する
 一 ことごとしく物言う
 一 人のことわりを聞き取らずしておのがことを言いとおす
 一 あう致しました、こう致しました、ましたましたのあまり重なる
 一 はなであしらう

その言葉の何が本当で何が嘘か。
その心は何処を向いているのか、誰に向けているのか。
その饒舌な語りの中から、惑わされず確かなものを判別する。

耳に順がう言葉より、耳に逆らう言葉を受け止めることの大切さを思うこの頃。

庭の周りのところどころに藪萱草が咲く。

    萱草が咲いてきれいな風が吹く (大峯あきら)

ヤブカンゾウ616

ヤブカンゾウ259

ヤブカンゾウ072
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バラ(薔薇・ピンクノックアウト) ~半年が…~
- 2017/06/30(Fri) -
ピンクノックアウト170

そろそろと今年もまた折り返す。
それとは気づかずないほどにわずかだが昼間の時間も短くなっている。
何をして、何をしなかったのか。
何ができ、何ができなかったのか。
きょうの折に立ち止まり、先を見る。

ピンクノックアウトが咲く。
やさしい色、いい香り。

  バラ咲いて言葉が欲しい日曜日  (田中藤穂)

ピンクノックアウト171

ピンクノックアウト172

ピンクノックアウト173
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バイカウツギ(梅花空木) ~時間を測る単位~
- 2017/06/10(Sat) -
バイカウツギ171

昨日の新聞のコラムが心に残る。
詩人の長田弘さんの詩「グレン・グールドの9分32秒」を紹介しつつ、時間について述べていた。
 時間とは「一人のわたしの時間をどれだけ充実させられるかということでしか測ることができないもの」と詩人は説いた。
 だから、時間を計る単位はを時分秒ではなく、「充実」なのだと。〈『幼年の色、人生の色』〉
そして結ぶ。
 時分秒ではなく、「充実」という単位ではかる時間を持ちたい。

此の頃の私の時間は、一日が早く過ぎていくような気がしてならない。
「充ちた実りある」過ごし方になっていないのだろう。

金子大榮師の言葉を思い出す。
『一日の空過はやがて一生の空過になる』

梅花空木は純白の花。
香りも優しい。

  卯の花に酔はねば花も暮れかかる  (壇一雄)

バイカウツギ172

バイカウツギ173

バイカウツギ174
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オーニソガラム(Ornithogalum・オオアマナ) ~ことのはとかがみ~
- 2017/05/23(Tue) -
オーニソガラム170 - コピー

人を傷つける言葉、詭弁、こじつけ、自己弁護、誹謗、差別…。

かがみの向こうの自分はどうなのか。
「人の振り見て我が振り直せ」のことわざ。
加えて「人の言葉聞いて我が言葉直せ」と。

星形の花はオーニソガラム。
清楚な純白。

  木洩れ日と五月の風とコンサート   (鏡山千恵子)

オーニソガラム171

オーニソガラム172

オーニソガラム173

オーニソガラム174
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シモバシラ(霜柱) ~今そこにある言い換えることのできない事実~
- 2017/02/12(Sun) -
霜柱171

世界気象機関(WMO)から発表された温暖化の記事を読んだ。
2016年の世界の気温は1880年代に観測を初めて以来、最も暑い年だったという。
世界の陸上と海上の気温は産業革命前の平均に比べて1.1度の上昇を記録したのだと。
北極と南極の海氷も史上最少の記録を更新し、世界の気温はこれで3年連続で史上最高を更新したとも。

………………………………。
『沈黙の春』と『不都合な真実』
………………………………。

雪が降った。
その下から霜柱が立ち上がっていた。
  
   霜柱伸び霜柱押し倒す  (右城暮石)

霜柱2

霜柱3
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ヤツデ(八つ手の花) ~限界を作らない~
- 2016/12/07(Wed) -
ヤツデの花161

「自分に限界を作らない」
最近聞いた言葉だが誰が言っていたのか思い出せない。
あの若いアスリートだったか…。

毎日は新しく経験する今日。
歳に言い訳せず、ただ「する」だけ。
どこかからも耳に届く声。
「出来なかったのではなくやらなかったのだ」。

ヤツデの花も終わりつつある。
すでに実に変わっていたりもする。
あんなに賑やかに遊んでいた虫たちも消えた。

しみじみと一人会話する寒い季(とき)。

   花八手暗きところを好みけり   (角川照子)

ヤツデの花162

ヤツデの花163

ヤツデの花164
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マユミ(檀の紅葉) ~うまい生き方~
- 2016/12/06(Tue) -
マユミ紅葉161

一人の静かな時間。
書き留めた言葉などを読み返す。

ひろさちやさんは説く。
 おいしいものを食べることと、おいしくものを食べることとは違う。
 たった一字だがその違いは大きい。
 おいしいものを食べようとすると金がかかり、場所も選ばなければならない。
 だが、おいしくものを食べようとするにはそんな心配はない。
 高級レストランへ行かなくても、家族みんながその気になればすぐにおいしく食事ができる。
 同様に生き方にも発想の転換をすればいい。
 楽しい人生を生きたいと思うのでなく、楽しく人生を生きたいと思うことだ。
 これもたった一字の違いだが、この逆転の発想をすれば、きっと肩の荷が下りたような気になり、気持ちが楽になる。
 そう考えると毎日の生活が楽しくなる。
 どんな人でも工夫次第で人生を楽しく生きることはできる。
 貧しい人は貧しいままで、失業中の人は失業のままで、人生を楽しく生きることができる。
 今ある自分は今ある状態でしかない。
 自分の不幸を嘆き悲しむより、その状態で楽しく生きるようにしよう。
 それがうまい生き方だ。                              ―(ひろさちや 『ほどほど人生論』 より)―

心で分かっていてもなかなかうまくいかないが。
そうつとめる。
冬は心の根を張るとき。

紅葉の檀に夕日が差す。

  木枯らしに夕日浮かべる信濃口  (飯田龍太)

マユミ紅葉162

マユミ紅葉163

マユミ紅葉164
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サザンカ(白山茶花) ~創るということ~
- 2016/11/23(Wed) -
白サザンカ160

2日前の新聞にあった。

「創(つく)るという字は『きず』とも読む。何かを得るためには傷を伴う」

長野市で開催のスピードスケートW杯女子500で開幕3連勝した小平奈緒選手の言葉。
彼女が低い姿勢で滑走する写真の下の解説囲みに見つけた。

さらなる飛躍を求め、オランダに移り過ごした2年目の昨季、彼女はW杯総合11位に沈んだのだった。
しかしそこで、肩を上げ首を低く保つ理想のフォーム(猫フォーム)を身につけて臨んだ今季のレースは見事に結果を出した。

なるほどとその解釈を咀嚼する。
小さな傷、大きな傷、深い傷、表に見えないところにある傷…。
過去にあった、あるいは現在なおものそれらよって人生は創られているのかもしれないと。

よい天気、白い八重の山茶花が咲いている。

   山茶花の明るき日和たまはりぬ  (稲畑汀子)

白サザンカ161

白サザンカ162

白サザンカ163
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サザンカ(山茶花) ~白寿の言葉~
- 2016/11/15(Tue) -
サザンカに蜂1

定期購読している月刊誌がある。
その12月号の表紙のサブコピーには『白寿語録 堀文子99歳 驚くこと。感動すること。ただそれだけあればいい』

5頁の特集は人の生き方、あり方として考えさせられる深い言葉に溢れている。
その中の1頁は白寿記念インタビュー。
堀さんは答えて次のように語る。
一部を抜粋する。

― 私は自分に対して冷たい人間ですから、自分の経歴やしてきたことなんていちいち覚えていないのです。
  私にとっては常に「現在(いま)」しかないのです。
― 私が確かに生きているという今日。全身、全霊を傾けて考え、嘆き、感動することのできるのが今という時間なのです。
― 九十九といっても、齢がたまっただけのこと。歳を取ったから偉い、なんて冗談じゃない。
― 人間は生きている限り、未熟なのです。この齢になっても、私は自分に対する不満が山のように溜まっています。
― 99歳になるというのは初体験です。
  人の一生は毎日が初体験で、喜びも嘆きも時の流れに消え、同じ日は戻らず、同じ自分もいないのです。
― この世に同じ人はふたりといないんですね。“私”という人間はこの世にたったひとりしかいない。何と不思議なことでしょう。
― あるのは“私”という人間だけです。「孤独」なんていって甘ったれていられない。ひとはそもそも孤独なのです。 

99年生きてきたという裏付けから発せられる女性の言葉、直截的で真っ直ぐで強い。
白寿の今なお、筋を通し芯のある生き方をされておられる。
冒頭には白髪を湛えた堀さんのお顔、本当に美しい。
歳はこう取りたいものと、憧れる。

 “私にとっては常に「現在(いま)」しかないのです。”
 “全身、全霊を傾けて考え、嘆き、感動することのできる今という時間なのです。”

今一度胸の奧に墨書する。

蜜を求めて雨粒を乗せる山茶花にフタモンアシナガバチ。
奧へ奧へ。

   今といふ刻わがいろに秋生きる  (山崎荻生)


サザンカに蜂2

サザンカに蜂3
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マルバルコウ(丸葉縷紅) ~風邪をもらわぬように上手く着こなす~
- 2016/10/20(Thu) -
マルバルコウ161

この時期、朝夕と日中の寒暖の差で着るものに迷う。
油断していると、「ハアックション」となる。
一枚羽織ったり脱いだり、袖をまくったり。
戸惑う体をうまくコントロールする。

考えてみれば対人関係も同様なことが言えるかもしれない。

熱くなったりするのを、優しく仰いで冷ましたり。
冷えそうになるのを、思いを廻らせて温かくしてやったり。
疑心暗鬼の心や突き刺すような言葉を、感情を抑え丁寧に解きほぐしてやったり。

発する言葉も、うまく薄着にしたり重ね着したりする。
自分の心を制御しつつ、様々な考えを持つ人々に合わせるにはそれなりのエネルギーはいるが。

土手にはマルバルコウも咲く。
朝顔を小さくしたような濃朱色の花である。

  秋の日のつかれは老に狎(な)るるとき  (橋本夜叉)

マルバルコウ162

マルバルコウ163
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アマリリス(レッドライオン) ~人生ってやつは~
- 2016/06/04(Sat) -
アマリリス164

東京へ行く時はだいたい本を二冊持って行く。
バスの中の往復7時間の道のりを退屈しないために。
もちろんずっと読んでいるわけではない。
ぼんやり車窓を眺めたり、眠っていることも多い。

昨日の本には、昔の歌舞伎役者尾上多賀之丞が語ったという言葉が載っていた。

 この仕事に、もういいってことはないんですよ。
 若い時の失敗(しくじり)は、いくらでも取り返せるんだ。
 けど、年とってからのやりそこないは、むし返しがきかない。
 だから人生ってやつは、前半より後半を大切にしないとね。

その言葉に私は素直に「はい」と心に受け止める。
生きるということに、もういいってことはないんですよ。
人生に完成品ってないんですから。
だから、今日をよりよくするように大切にしなくてはね。
そして明日が昨日より成長しているようにね。
そんな風に多賀之丞の言葉を言い換えつつ。

  首曲げて人を待つなりアマリリス  (石井保)

アマリリス161

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オーニソガラム(大甘菜・Ornithogalum) ~今日までそして明日から~
- 2016/05/17(Tue) -
オーニソガラム162

自分の思いと人の思いが噛み合わないもどかしさ。

たとえば。
引っ張り合う「優しさ」というベクトルの違い。
静かな空間にお構いなしに賑やかに飛び交う自己本位の言葉たち。
体を投げ出して疲れを取りた状況で振り回される思い出作り。
評価の目でなく、批判のメガネだけを掛けて、人、コト、ものを見る貧しさ。
オレが、自分は、私の、といつでも主人公でいたい人。

私は押し付けない。
私は押し付けられない。

こうして私は今日まで生きてきた。
そして明日からも。

オーニソガラム163

オーニソガラム161
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ツルニチニチソウ(蔓日々草)~突然の雨さえも教えてくれる~
- 2016/05/15(Sun) -
ツルニチニチソウ162

何かを見つけるために。
自分がなんであるかを知るために。
あるいは何かと決別するために。
あるいはそれさえもわからない故の自分探し。

それぞれが抱える悩みや苦しみ。
それぞれにいろいろな形で包むそれぞれの現実。

たとえば座禅のように。
たとえばお遍路のように。
今私は日々そんな思いの中で過ごしている。
そしてもう少し。

ツルニチニチソウ161
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シャガ(著莪) ~あたためていた想いと決心とそして自己確認と~
- 2016/05/06(Fri) -
シャガ161

著莪の花が咲く。

縁に細かい切れ込みのある白い花びら。
中に青紫と淡橙色の斑点。
花柱は薄らとした色の階調。
それらが見事に調和し引き立て合う。

別に胡蝶花の名もあるという。
まさしく。
この優しい花に「決心」という強い花言葉。

ずっと抱いてきた「想い」をようやく実現させる私の五月。
遠く離れた場での10日間を自己確認の時とする。

   一隅を照らすに余り著莪明り  (後藤比奈夫)


シャガ162

シャガ163
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ヘデラ(Hedera) ~心の修行~
- 2016/01/18(Mon) -
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石井鶴三はこう言い遺している。
「美を本当に美としてとらえられる感性、豊かな感性を持った人でありたいと思うのです」
「心が明るく正直でなければ、美を美としてとらえることはできません。だから心の修行が大事です。人間が問題です」
彼は彫刻家であるから、これらは当然表現の世界について述べている言葉である。
しかしそれは身のまわりにある多くのコトについても言えることかもしれない。
たとえば「美」を「正義」に置き換えてみる。
「美」を「本物」に、「真実」に置き換えてみる。

一生、心の修行。

   桟やいのちをからむつたかづら  (松尾芭蕉)

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蔦1183
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マサキ(柾の実) ~愛の手紙~
- 2016/01/17(Sun) -
マサキの実0

中原悌二郎集を読んでいた。
71頁からは『妻 信への書簡』が載る。

―大正6年1月16日の手紙― (長文につき部分を抜粋)
二人は前年に婚約し、東京と新潟に離れて暮らす。

(六行略)
 東京は毎日好天氣、然し寒さは可成り強い。だがそれも朝晩だけ
なので日中はもう春のように暖い。毎日、新聞であなたの方の大雪
だといふ記事を見て、さぞおつらい事だろうと心配して居った。
毎日何と言ふ事なしにあなたの事のみを思つて暮らして居る
(五行略)
 あなたの言ふ通り愛程強い力を持つて居るものはない。そして
愛から出る力は最も眞實な力である。それは萬物を生かす力であ
るからである。
エマーソンが言つて居る。「戀とは一人の人間を通じて全宇宙
を愛し全人生を愛する事」だと。
 愛は生活を創造する。凡てのものを生み出す力である。私達は
我々の愛の形の上に現實の上に表現していかなくてはならぬ。又
表現をせずに居られないのが愛の力である。
(二行略)
 愛は實現を欲し、表現を欲する。愛情を實現して行くのが卽ち生
活である。かゝる生活は不斷の喜びであり、不斷の感謝である。
かくてこそ、人生は賛嘆す可きもの、生活は賛美す可きものであ
る。私達は二人の愛情によつて最も幸福な生活を送り度いものと
思って居る。よし多少の障害があつたにした處、また物質的の苦労
があつたにした處、そんなものは二人の愛情を弱めるよりは却つて
力をそゝぐ肥料になるだらう。
我々は我々の愛情を空想や想像の上ではなく現實の上に表現し
て行かなくてはならぬ。そして表現して行くのは喜びであるから
だ。兎に角、全力を盡くすと言ふ事は、それが愛が動期になつて
居る時は何時でも身軆の上にも精神の上にも健康をもたらすもの
だ。

二人の間では、こんな熱くて真っ直ぐな内容の手紙のやりとりがかなりの数に上る。
その一年後挙式をあげる。
しかしその間、悌二郎は病に冒され、麗しきはずの新婚生活もままならず、その三年後この世を去る。享年34歳。
彼の手紙に綴られた賛美すべき幸福な家庭は形とならずじまいのまま。

およそ100年前の若き彫刻家の愛の手紙。
いつの世にも往々にして、純粋で繊細な人程、訪れる悲しみが早い。

   木に眼が生つて人をみてゐる   (八木重吉)

マサキの実8

マサキの実5
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ピンクの花 ~野に咲く花の名前は知らない~
- 2016/01/07(Thu) -
ピンクの花650

“自分に厳しくと思っていますがだめですねえ”と今年の彼の年賀状。
一歩も二歩も前を進んでいると思っていたそんな彼の言葉に少しの安心。
同じ職に就いた同期の彼は職場で指導力を発揮していた。
何があったかは知らないが、鬱屈を伴う弱い思いが伝わる。
誰にも、表には出さないけれど、見せたくない心がある。

三月には会う予定。
積もる話が出来るはず。

自分に厳しく今を生きる…。
昨日のテレビでプリンシパルが言っていた言葉が印象に残る。
「時間を無駄にしたらもったいないでしょう」
突然今日が最後の今日になることもある。
毎日の明日は毎日の昨日と同じではないのだから。
今時が一生と。

毎年この時期に咲くピンクの花がある。
名前は知らない。

   一月の汚れやすくてかなしき手   (黒田杏子)

ピンクの花652
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デンマークカクタス(DENMARK CACTUS・ビューティシャイ) ~一流と二流と三流~
- 2015/12/06(Sun) -
デンマークカクタス151

  一流には誰もがなれるわけではないが、二流になれば一流のよさがわかる。
  努力しても一流になれるとは限らない。けれども謙虚に努力すれば二流にはなれる。
  一流の意味が分かる人を二流というんだよ。一流も二流もわからない人を三流という。
  二流と三流の間はもう無限大の距離だ。
こう語っていたのは詩人の田村隆一だった。(『黄金の時代』より)

そうなのか。
いや、そういうものなのだ。

こころの持ち方がその人を育てる。
清貧でも一流の道を歩んだ多くの人がいる。

ところで田村は五度結婚している。
彼は結婚ということに関しても一流だった…。
名の隆一ををひっくり返すと一隆(いちりゅう)となる。

努力すれが二流になれるということを励みとしよう。

ほとんど蕾だったデンマークカクタスが開きつつある。

  とかくして風に聴き入る十二月  (堀葦男)

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デンマークカクタス153

デンマークカクタス154
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ハナノキ(花の木) ~心の修行~
- 2015/11/08(Sun) -
花の木151

花の木も色づいてきた。
塩見を越えた朝陽が背からあたる。
箒を止めてその時間を見る。
刻々変化する光と葉の影。

「美を本当に美としてとらえられる感性、豊かな感性を持った人でありたいと思うのです。」
「心が明るく正直でなければ、美を美としてとらえることはできません。だから心の修行が大事です。人間が問題です。」
                                               ―石井鶴三の言葉―                          
押し葉にしたくなった。

素敵な色と形の葉を選ぶように、心も修行を。

   手に拾ふまでの紅葉の美しき  (和田順子)

花の木152

花の木153
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バラ(ピンクノックアウト) ~タモリの言葉 「無理をしない」~
- 2015/11/07(Sat) -
ピンクノックアウト2151

「無理をすると疲れるし、過去もあまり見ない。前だけ向いて気の向くままに生きている」
私のノートに少し前に知った1行の言葉が残っている。
出所はラジオだったか、テレビだったか、あるいは本だったのかははっきりしない。
「タモリの言葉」とのメモがついている。
何か共感するものがあったのだろう。

私もだいぶ無理をしなくなった。
ストレスをためずにじょうずに生きることができるようになった気がする。

とらわれない。
しばられない。
今を思い、感じ、考えたままに。
目の前にある事をあるがままに受け入れながら。
自分の能力、体力、精神力に添いつつ、自分にできる精いっぱいで。

疲れないように、振り返らないように、気の向くままに…この先も。

ピンクノックアウトが咲いている。
澄んだ秋の薔薇日和。

  秋深し言葉も遊ぶ薔薇曜日  (あや) 

ピンクノックアウト2152

ピンクノックアウト2153
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テンニンギク(天人菊・ガイラルディア) ~文化の日に~
- 2015/11/03(Tue) -
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考えてみれば、昔の物語や漫画、映画など、あり得ないと思っていたモノやコトが今現実化している。

漫画家の空想、小説家の空想、芸術家の科学者のアスリートの庶民の空想。
空想から生み出される様々な可能性。
空想が展開する突拍子もないアイディア。
空想こそが成功と行動のエネルギー。
新しい文化を生む力は空想にあったり。
あるいは妄想に。

日常と非日常。
常識と非常識。
現実と超現実。

今日11月3日は1946(昭和21)年、平和と文化を重視した日本国憲法が公布された日。
意識してちょっぴり文化的に過ごしてみるか。

初夏からのテンニンギクがよく咲き続けている。
近いうちに透明の花が生まれるかもしれない。

  秋深し天人菊の寄り添いぬ  (あや)

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サンゴアブラギリ(珊瑚油桐・Jatropha) ~老い~
- 2015/08/12(Wed) -
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しばらく前、篠田桃紅さんの特集が放映されていた。
103歳、現役の芸術家。
話す言葉に一本の芯が通っている。
私は2度ほど、その作品を鑑賞したことがある。
世界の誰とも違う世界観が表現されていたことを思い出す。
確固たる信念から生み出された作品だからこそ、観る人を惹きつける。
そして残る。

永六輔の『大往生』を取り出して読んでいた。
20年前の本だ。
そんなことも、そろそろ考える歳かとも思う。

  二十歳の頃から、自分が三十歳になったら、四十歳になったら、六十歳になったら、八十歳になったら、
  ということを考えている人は上手に歳がとれるという。

  「歳をとったら、あァいう老人になりたいと」憧れてこそ、本当の老人である。
  くれぐれも、「あァいう老人になりたくない」と言われないように。

はい、気をつけます。

そんな文章を読みながら、篠田桃紅さんの顔を思い浮かべていた。

自分はどんな顔で歳をとっていけるのだろう。

オレンジ色の珊瑚油桐が咲き出した。
新しい葉も生まれている。
もう何年にもなる鉢である。
明るく元気な顔をありがとう。

   日時計に狂ひなし夏旺んなり  (山口波津女)

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ムクゲ(木槿) ~はたらく~
- 2015/07/29(Wed) -
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働くとはね、端(はた)を楽にさせることなんだよ。
字を見てごらん、にんべんに動くと書くだろう。
そばの人、周りの人が気持ちよく動きやすいようにすることなんだよ。

職に就いたばかりの若い頃、同僚の先輩がそう話してくれた。
自分が何事もなく、円滑に働けるのは周りの「はたらく」があるのだと。
ちょっとのこと、小さな事でも思ったら、考えたら、気づいたら動きなさいと。
それ以来、その言葉を大事にしてきた。

広げて考えれば、これはなにも職場だけのことではない。
家庭にあってもそう、家族間でも互いが「はたらく」ことなのである。
それぞれがやって当たり前と思うことなく。

真夏の空に白い木槿が映える。
この暑い空の下でも働く人、はたらくひと。
なぜか、昔のそんなことが思い出された日。

  白木槿まいにち咲いてまいにち淋し  (山口青邨)  

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ギボウシ(擬宝珠・Hosta) ~見える、見える、よく見えてくる~
- 2015/07/25(Sat) -
ギボウシ151

  目ではなく、体で感じるようになったんだ。
  若い頃は見落としていたものに気づく。
  カメムシ君やワラジムシ君たちの気持ちまでわかるようになってね。

  何だって奥が深い。
  だから、明日は明日で、面白いことを発見するかもしれない。
  そう考えるとワクワクして、毎日が楽しいんだ。
  好奇心あるかぎり、年をとることも悪いもんでないんだよ。

そう語っていたのは、どろ亀さんと慕われていた学者の高橋延清氏。

たとえば、身のまわりのありふれたことや日常の些細なことの中で。
五感を働かせ、意識を持って見る。
不思議や、疑問を感じ取って考える。
温かさや優しさ、喜びやありがたさの思いを持って関わる。

そうすれば気づくこと、わかること、見えてくることがいくつもいくつもあるのだ。
楽しいこと、驚くことが。
美しいと思えることが。
若い目や心が見逃していたものを、歳を重ねることによって、顕微鏡や望遠鏡的な見方ができたりする。

ギボウシの中にクマバチが入っている。

   睡き子のかたむきかゝる花擬宝珠  (石田いづみ)

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ギボウシ153

ギボウシ154

ギボウシ155
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野に咲く花  ~彼の日のこと今日の思い~
- 2015/03/11(Wed) -
野に咲く花1

今日の言葉を探すのだけれど。

文字に表そうと、綴ろうとするのだけれど。

あの事実、今の現実、続くこれから。

過ぎる時間は誰に早いのか、誰に遅いのか。

今日の思いを束ねようとするのだけれど。  

いくつもの言葉が顔を出すのだけれど。

静かに胸の内で繋ぐ。

   三月十一日は昨日のこと明日のこと  (あや)

野に咲く花2

野に咲く花3
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デンドロビウム(蘭) ~風鈴が鳴る顔~
- 2015/02/09(Mon) -
デンドロビウム291

司馬遼太郎に「窓を閉めた顔」(平成4年4月6日)という一文がある。

 私は仏教学者の碩学中村元博士にお会いしたのは一度きりだが、素晴らしいお顔だった。
 「―どなたも、どうぞご自由にお入りください」
 というふうに、お顔の窓が快くあいていた。
 本田宗一郎氏と会ったときの印象もそうだった。
 風が吹き通っているような人柄で、今も思い出すたび心の風鈴が鳴るような思いがする。
  (略)
 以上は、私どもが、以前の日本人でなくなっていることを考えたいために書いた。
 (略)
 みなで、まず顔をリラックスさせることからはじめるべきではないか。

たしかに人は顔の印象だけでその人柄をキャッチしたり、全体像を瞬時に評価したりする。
特に子ども(赤ちゃんを含めて)は、大人の顔に敏感かもしれない。
昔、リンカーンは”40歳過ぎたら自分の顔に責任を持て”と言ったとか。

さて、自分は初対面の人にどうのように見られるのだろう。
外出する前に鏡を見て出かけるのがいい。
「窓を閉めた顔をしていないか」
「リラックスしているか」
風がふき通るような窓の開いた顔とまではいかないだろうが。

  月落ちてひとすぢ蘭の匂ひかな   (大江丸)

デンドロビウム292

デンドロビウム293
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サザンカ(山茶花) ~さむいね~
- 2014/12/13(Sat) -
冬のサザンカ1

さむいね
でもこのさむさがあるからはるにはながさくんだよね
さむさがいろいろをおしえてくれるね
ふだんかんじないことや
ふだんきにしないことや
ふだんかんがえないことをね

さむいね
せわしいときだから
ひえびえするときだから
まわりのモノがよくみえ
ヒトのこえがよくきこえ
よのなかのコトがよくわかるね

さむいね
まっしろなとうじきをながめつつ
こころのまどにともしびを
くちびるにあいのうたを
てのひらにたいようを
あしにはゆたんぽをだね

   朝寒(あさざむ)や生きたる骨を動かさず  (夏目漱石)  

冬のサザンカ2
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カネノナルキ(花月) ~有ることと無いこと、持つ人と持たない人~ 
- 2014/12/10(Wed) -
カネノナルキ12101

カネノナルキが咲く。

「二度とない人生だから」で眞民さんは言う。   (『自選 坂村眞民詩集』より 部分)

………(略)
二度とない人生だから
まず一番身近な者たちに
できるだけのことをしよう
貧しいけれど
こころ豊かに接してゆこう

二度とない人生だから
つゆくさのつゆにも
めぐりあいのふしぎを思い
足をとどめてみつめてゆこう

二度とない人生だから
のぼる日しずむ日に
まるい月かけてゆく月
四季それぞれの
星々の光にふれて
わがこころを
あらいきよめてゆこう
………(略)          
                  

カネがあるということとカネがないということと、心の貧しさと心の豊かさということ。
持つことと持たないということと、求め続ける華やかな幸せと持続する喜びに充ちた小さな幸せと。

きょうだい4人を育ててくれた小さな母の教え。

12月10日、カネノナルキが咲く。
素敵な花月という名も持つ。

    日向ぼこ仏掌の上にある思ひ (大野林火) 

カネノナルキ12102

カネノナルキ12103
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裸になった木々 ~それは『用意』~
- 2014/11/26(Wed) -
裸になった木々

石垣りんに『用意』という詩がある。

 それは 凋落であろうか
 百千の樹木がいっせいに満身の葉を振り落すあのさかんな行為
 太陽は澄んだ瞳を
 身も焦がさんばかりにそそぎ
 風は枝にすがってその衣をはげと哭く
 そのとき、りんごは枝もたわわにみのり
 ぶどうの汁は、つぶらな実もしたたるばかりの甘さに重くなるのだ
 秋
 ゆたかなるこの秋
 誰が何を惜しみ、何を悲しむのか
 私は私の持つ一切をなげうって
 大空に手をのべる
 これが私の意志、これが私の願いのすべて!
 空は日毎に深く、澄み、光り
 私はその底ふかくつきささる一本の樹木となる
 それは凋落であろうか、
 いっせいに満身の葉を振り落とす
 あのさかんな行為は―
 私はいまこそ自分のいのちを確信する
 私は身内ふかく、遠い春を抱く
 そして私の表情は静かに、冬に向かってひき緊る。

庭の木々の姿を見ていて、その詩を思い出していた。

葉が落ち、色をすっかり失い、容姿を変えた樹。
然しそれはけっして凋落ではないと。
衰え、落ちぶれ、沈む形ではないと。
それはリスタートの「用意」なのだ。
それは新たな気力の「粋」なのだ。
自己の生を振り返り、また新たな出発のための一年に一度のセレモニー。

人にもそんな「いのちの秋」が必要かもしれない。
人にも時々の四季が必要かもしれない。

  逝く秋の風をききおり風の中 (阿部洋子)

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キク(菊) ~感動させる以上に感動することを大切に~
- 2014/11/20(Thu) -
キク11204

昨日の新聞のコラムに紹介されていた。
高倉健さんが、絵本『南極のペンギン』で書いた言葉だという。
 僕の仕事は俳優だから、よくひとから拍手される。
 でも、拍手されるより、拍手するほうがずっと心がゆたかになる。
 そう思いながら、ぼくは手をたたきつづけていた。
健さんは石垣島の小さな学校の地区総出の運動会を見た時、震えるほど心を動かされたと。

コラムは結ぶ。
「感動させること」以上に「感動すること」を大切にした俳優、それが健さん。

周りの人に、小さな出来事に、身近なものに感動する。
感じる…。
考える…。
喜ぶ…。
愛する…。
好きになる…。
そうすれば心がゆたかになる。

健さんの顔を思い浮かべながら、また言葉の貯金ができた気分になった。

茎を自由に菊が咲いている。

   不器用な言葉残して菊に逝く   (あや)

キク11203

キク11202

キク11201
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