ヤマブキ(山吹) ~クレヨンにあった名~
- 2017/04/25(Tue) -
山吹175

風が吹くたびに山吹は大きなまとまりとなって揺れる。
眩しいほどの鮮やかな濃い黄色がゆさゆさと。

子どもの頃はその色を「やまぶきいろ」と言った。
クレヨンにもそう書かれていた。
もし、幼い頃に絵に描いたとしたら、画面いっぱいにその一本でぐしゃぐしゃと塗りつぶしたのではないか。

いつか「面影草とか、かがみ草ともいう」と聞いたこともある。
古くも人を想って歌われる。
「山吹の花のさかりにかくの如君を見まくは千年にもがも」(大伴家持 万葉集巻二十4304)。

子どもの無邪気な絵模様を思い出させ、大人の深い思いの絵模様を思い起こさせる花である。

   山吹の一重の花の重なりぬ (高野素十)

山吹171

山吹172

山吹173

山吹174
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キズイセン(黄水仙・糸葉水仙・匂い水仙・香り水仙) ~鼻を近づけて~
- 2017/04/25(Tue) -
キズイセン170

パタパタパタ…とせわしく風になびく幟。
カラカラカラ…と風車も金属音をたてる。
四世代家族の隣の家に今年も2本の豪勢な鯉幟が立った。
そのひ孫さんの名前を私は知らない。

少し遅れて小さな黄水仙。

葉が細い。
それで糸葉水仙とも。
いい匂い、いい香り。
それで匂い水仙、香り水仙とも。

鼻を近づけてそのジャスミンのような香りに遊ぶ。

   黄水仙人の声にも揺れゐたる  (村沢夏風)

キズイセン171

キズイセン172
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ヒトリシズカ(一人静) ~まゆはき草ともいふ~
- 2017/04/24(Mon) -
一人静175

立ち上がる茎の先に何本もの白い糸が吹き出るようにその花は咲く。
赤みを帯びた若葉に優しく包まれて。
古名にまゆはき草の名もあるという一人静。

義経と静御前の遠い物語に思いを馳せて。
わたしもひとりしずかに。

   逢ひがたく逢ひ得し一人静かな   (後藤夜半)

一人静171

一人静173

一人静174
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レンギョウ(連翹・golden‐bell) ~畑にも少しずつ~
- 2017/04/24(Mon) -
レンギョウ170

苺には白い花。
葉を広げる明日葉。
葱の先には葱坊主。
アスパラもニョキニョキ。
土を持ち上げて芽を出す馬鈴薯。
畑にも伸び伸びとした野菜たちの顔。

目を移せば黄金色の花を咲かせる連翹。
4枚の深い切れ込みを持つ小さな花がびっしり。

ああ、気持ちいい、気持ちいい。

   連翹に挨拶ほどの軽き風  (遠藤梧逸)

レンギョウ171

レンギョウ172

レンギョウ173
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ハナモモ(花桃・照手白と照手桃) ~お揃い~
- 2017/04/23(Sun) -
照手桃171

ハナモモの白と桃色が隣りに並ぶ。
箒状に伸びる八重の照手白と照手桃のセット。
揃って咲くのが嬉しい。

桃だから一応実もなる。
でも小さいし、食べられない。
名に花を冠するように、あくまでも鑑賞木としての桃である。

春の日は日ごとに、目が左右上下に忙しい。

   青空や花は咲くことのみ思ひ  (桂信子)

照手白171

照手桃172

照手白172

照手桃173

照手白173

照手桃174
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ジンチョウゲ(白花沈丁花) ~一人花香浴~
- 2017/04/23(Sun) -
白花ジンチョウゲ171

ツバメの数が一気に増えた。
複数が縦横に飛び交う様についつい目を奪われる。
その速さと切れのい滑空は他の鳥にはない美しさがある。
見ていて爽快な気分になり気持ちがいい。

ところで、これだけ間近に見るツバメだが、これまで我が家に巣を作ったことはない。
建物の構造が彼らの巣作りの環境に適していないのか、敬遠される理由は何なのかよく分からない。
卵の孵化、そして子育ての様子も見たいなどとも思うが、色々のことを考えれば、巣がなくてありがたいのかもしれない。

庭のいい香りはまだ続く。
今は白い沈丁花である。
昔から沈香と丁香にたとえられるという香り。
私はそれを花香浴という言葉にして一人楽しむ。

  沈丁の四五はじけてひらきけり (中村草田男)

白花ジンチョウゲ172

白花ジンチョウゲ173
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ユキヤナギ(桃花雪柳) ~たくさんのしっぽ~
- 2017/04/21(Fri) -
ユキヤナギ171

枝を包み込むたくさんの小花。
まるで動物のやわらかな尾のよう。
それらが空を差して伸びる。
風が吹くたびに、揃ってゆらゆらと。

四月も下旬。
春が辺り一面に谺する。

    雪柳花みちて影やはらかき (沢木欣一)

ユキヤナギ172

ユキヤナギ173

ユキヤナギ174

ユキヤナギ175
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スイセン(八重咲き水仙) ~まちがえないように~
- 2017/04/21(Fri) -
八重咲きスイセン171

山菜の季節である。
私も初々しい野のものを摘んでは籠に入れる。

ところで、テレビの地元局では類似する有毒植物への注意を呼びかける。
新芽の姿形は区別が付きにくく、この時期誤って採集することが多いという。
昨年、県内のある小学校ではスイセンの葉をニラと思って調理に使い、子どもたちが中毒症状を起こした。
その両方を育てている者からすれば、「エッ」と思うが、慣れない人からすれば似ているように見えるのだろう。
夕べもウルイを食したが、これにもバイケイソウの誤食があるという。

いろいろなことに過信は禁物。
知っている、分かっている、大丈夫に気をつける。

スイセンも何種類かが咲く。
八重のスイセンはだんだんに頭が重くなり、茎が持ちこたえられなくなって撓んでいる。
そして最後はいつも頭を地面に付けてしまう。

   清浄な葉のいきほいや水仙花 (岩田涼莵)  

八重咲きスイセン172
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シデコブシ(幣辛夷・姫辛夷) ~それぞれの形~
- 2017/04/20(Thu) -
幣辛夷006

淡紅色の花を咲かせる幣辛夷は家の北隅の人目のつかないところにある。

捩れた花びらが他と違う趣があって、また味わい深い。
その不規則のひらひらに一つの造型の美を感じたりもする。
きっと何らかの意味を持ってまとまらぬ形をつくっているのだろうが。

花もそれぞれ。

私は運転免許の更新を済ませた。

  花辛夷信濃は風の荒き国  (青柳志解樹)

幣辛夷618

幣辛夷610

幣辛夷043
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ヒュウガミズキ (日向水木) ~もしかして~
- 2017/04/20(Thu) -
ヒュウガミズキ170

畑の上を黒い影が、線を引くように速いスピードで通り過ぎる。
もしかしてあのフォルムと飛型は…。
それが遠くで反転し美しい軌跡を作って戻って来る。
今度ははっきりと見えた。
確かめられた。
やはりツバメ、今年初めて見るツバメ。

まずは1羽だけだったが、明日は、明後日はどうだろう。
何につけても、「初」が付くことやものを目の前で体験するのは嬉しいものである。

ヒュウガミズキも咲く頃となった。
小さいな淡黄色の花はみんな下を向く。

  来ることの嬉しき燕きたりけり  (石田郷子)

ヒュウガミズキ171

ヒュウガミズキ172
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セイヨウシャクナゲ(西洋石楠花) ~「五加木持ってきたの」~
- 2017/04/19(Wed) -
西洋石楠花171

義姉の車が入ってきた。
「五加木持ってきたの」と膨らんだレジ袋を手渡す。
五加木は家にもあり、そろそろ採ろうかと思っていた頃である。
でも、わざわざ棘のある枝から手摘みして持ってきてくださったもの、届けてくださるその思い、黙っていただいた。
「あがって」
「そうもしてられないの。来客があるから」
そう言って忙しそうに車に乗り込み、庭を出て行った。

家の入り口には両サイドに対になって西洋石楠花が植わっている。
東側のが咲いた。
面白いことに二つが同時に咲くことはまずない。
それぞれに組み込まれている開花指令の設定条件が微妙に違うようだ。
西側の方のはもう少し高い気温が好みらしい。
時期をずらして楽しませてくれるので、それはそれでいい。

西洋石楠花の花はひとまとまりに丸くなって、まるでのピンクの手毬のようである。

  空の深ささびし石南花さきそめぬ  (角川源義)

西洋石楠花172

西洋石楠花173

西洋石楠花174

西洋石楠花175
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スモモ(李・plum) ~自分の中にいろいろな形で現れていること~
- 2017/04/18(Tue) -
李170

ようやくコルセットを外した。
数日前、畑の草取りで腰を痛めた。
たかだか、2時間ほどの働きだった。
そんな自分が情けないと思った。
寝ている時も痛くて何度も寝返りを打っていた。
自分の思っている体と現実の体に大きなギャップを突きつけられる。
こんなことがこれから益々増えていくのだろう。

昨日、姉が電話で言っていた。
「そろそろ終活を考えていたりしてね、お墓なども調べたりしているの」
「樹木葬もいいかと思って…」

心身の中に、誤魔化しや逃げることのできないじわじわと押し寄せてくるものがある。
それは見える形感じる形であったり、見えず気づかずにいつの間にか居座っていたりする。

李の木が白く染まる。
今年はどれだけの実がなるか。

   放縦に背戸の李の花盛り   (相馬遷子)

李171

李172

李173

李174
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ヒイラギナンテン (柊南天) ~なぜ棘を持つ~
- 2017/04/18(Tue) -
柊南天171

桑の木を伐った。
登れるほどの大きい木だった。
毎年、子どもの頃を思い出させる黒い実をたくさん付けた。
鳥たちもよく来た。

省く。
減らす。
軽くする。
小さくする。

最近とみにそんなことを思う。
で、伐った。

隅に咲く黄色い小さな花は柊南天。
葉には鋭い棘を持つ。
これは残す。
鳥は寄ってこないが。

  春といふ大いなる掌の上   (内藤悦子) 

柊南天173

柊南天172
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サクラ(ソメイヨシノ・染井吉野) ~桜の命~
- 2017/04/17(Mon) -
染井吉野171

まだ四月半ばというのに夏の陽気だったという。
遠望の塩見も山肌には黒い部分が多く占めるようになった。

気温の上昇に伴い、草木の芽吹きや開花も一斉にという感がある。
庭の花模様も、日々、昨日と違う今日の様子が見られる。

染井吉野も見頃となった。

   さくら満ち一片をだに放下せず (山口誓子)

染井吉野172

染井吉野173

染井吉野174

染井吉野175

染井吉野176
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コブシ(辛夷) ~ひらひらと~
- 2017/04/16(Sun) -
辛夷171

1㎝ほどの厚めの双葉がかたまってたくさん出ていた。
去年のこぼれ種からの向日葵の芽だった。
間隔を取り、一列に揃えて植え替えることにした。
小さな芽が「そうして」と促しているように思えた。
整然と並んだ30個ほどの顔は嬉しそうに見えた。
腰を少し痛めていたが、やってよかった。

樹の上では辛夷の白い花が咲いている。
渡る春風にひらりひらひらと。

    辛夷満開こぞりて天に祈るかな   (成瀬桜桃子)

辛夷172

辛夷173

辛夷174
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ツバキ(椿) ~頭の片隅に~
- 2017/04/16(Sun) -
椿2170

椿の木がある。
上には赤い花。
下にはピンクの斑入りの花。
中程はそれが混在して咲いている。
ずっと前からそういう咲き方。
面白いというかちょっと不思議。

新美南吉の「牛をつないだ椿の木」という物語が好きだった。
40数年前に読んだ本だった。
今でも大事に取ってある。
開けば中はだいぶ色褪せてはいるが。

椿を植えたのはどこか頭の隅に、そんなこともあったのかもしれない。

  かほどまで咲くこともなき椿かな (飯島晴子)

椿2171

椿2172

椿2173

椿2174

椿2175

牛をつないだ椿の木171

牛をつないだ椿の木172
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ヒガンザクラ(彼岸桜) ~桜には~
- 2017/04/15(Sat) -
彼岸桜170

彼岸桜も満開を迎えている。
下に立つと、その中に吸い込まれそうになる。
やはりこれも例年にだいぶ遅れての開花となった。

実は、今年の花の様子については少し心配をしていた。

枝が伸びて広がり、それがお隣さんの屋根にも差し掛かろうとしていた。
これはいけないと、昨秋にそれを何本も伐り落としたのだ。
その鋸のダメージが春に影響するのではないかと思っていた。
見上げれば樹を埋め尽くす花。
それは杞憂に過ぎた。

一つの花も。
どのかたまりも。
全体のまとまりも、どれもが桜。
桜には人に送る“さまざまな気”があるように思う。

“桜の樹の下には屍体が埋まっている”と書いた小説家もいたが…。

  さくら満ちうすくれなゐに家族ゐし  (中山純子)
 
彼岸桜171

彼岸桜176

彼岸桜173

彼岸桜174

彼岸桜175
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ミツマタ(三椏・三叉・ paper‐bush) ~仲良く入り交じって~
- 2017/04/14(Fri) -
ミツマタ170

手毬状になって黄色い花。
同じように朱色の花。
一つの木から二つの色の花。
仲良く入り交じって咲く三椏の花。

4枚の小さな花びら(萼)の中には4つの小さな蕊。
その外を覆うビロードのような艶やかな毛。

枝が次々と3本に分かれるから三椏(三叉)。
確かめると本当にそうだからおもしろい。

    三椏の花に光陰流れだす (森澄雄)

ミツマタ171

ミツマタ172

ミツマタ173

ミツマタ174

ミツマタ175
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サクラ(大阪冬桜) ~四月の空の下で~
- 2017/04/13(Thu) -
大阪冬桜170

大阪冬桜です。
白い八重桜です。
小振りの桜です。
可憐な桜です。
咲き進むと紅く染まっていく桜です。
二度咲きの桜です。
晩秋から冬にかけて咲き、また春にもこうして咲いてくれます。
健気な桜です。

四月も半ばです。
いろいろな形で様々な春便りが届いてきます。
読む度に聞く度に、私自身に背中を押す何かがふつふつとわいてくる思いになります。
「心機一転」ということでしょうか。

  身の奥の鈴鳴りいづるさくらかな  (黒田杏子)

大阪冬桜171

大阪冬桜172

大阪冬桜173

大阪冬桜174

大阪冬桜175
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ジンチョウゲ(沈丁花) ~香りと思い出~
- 2017/04/12(Wed) -
沈丁花171

庭に沈丁花の香りが広がる。
ついついその花手毬に顔を近づけて、もっと深く吸い込んでみたくなる。

花好きな母だったが、沈丁花は見たことがなかった。
当然のことながらその香りも知らなかった。
いつぞの年か、久しぶりに実家に帰った折に一枝持って行った。
母に見せたいと思った。
着くまでの時間と距離の中で萎れないように水を含ませて大事にくるんだ。
お土産だよと言って私がそっと包みを解いて手渡すと、指先で枝を持ってクルクル回しながらまじまじと見た。
「これが沈丁花…」
「わあ、いい香り」と大げさなくらいに喜んだ。
そしてすぐに一輪挿しに入れて玄関に置いた。

そんな忘れられない思い出がこの花にはある。
今は咲く度に小さな額の写真の母に見せる。
きっと「いい香り」と言って喜んでいるに違いない。

   沈丁の香をのせて風素直なる  (嶋田一歩)

沈丁花172

沈丁花173
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モクレン(ハクモクレン・白木蓮)  ~優しさに包まれて~
- 2017/04/11(Tue) -
ハクモクレン170

木まるごとに白い花。
それぞれが触れあうほどにぎっしり。

いろいろな白がいっぱい。
柔らかで気品ある白。
生まれたての黄味の白。
優しく包み込む白。
清らかで純な白
まとまって一つの白。

いろいろな形がいっぱい。
小さなこぶしのようであったり。
ひらりふわりだらりとしたり。
両手を合わせたようであったり。
仏様の蓮華座のようであったり。
まとまって一つの形。

白木蓮は愛と慈しみという温さが宿る花。

   白木蓮のひらく清浄五智如来   (田村一翠)


ハクモクレン171

ハクモクレン172

ハクモクレン173


ハクモクレン175

ハクモクレン176

ハクモクレン177
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カワヅザクラ(河津桜)  ~日々さまざまな春が目に飛び込み心に広がる~
- 2017/04/10(Mon) -
河津桜176

モンキチョウがヒラヒラと舞っていました。
モンシロチョウも軽やかに飛んでいました。
遠くでコジュケイが大きな声で呼んでいます。
ツバメの初飛来があったと、気象予報士は伝えています。

濃い色した河津桜も咲きました。
やはりいつもより少しばかり遅いでしょうか。
みんな下を向いて、控え目にです。
溢れ咲く華やかさはありませんが、素朴な味わいと趣があります。

景色が一段と春の粧いを進めています。
ついつい外に誘われてしまいます。
新しい色や形や音の発見が楽しい日々です。

   さまざまな事思ひ出す桜かな  (松尾芭蕉)

河津桜175

河津桜173

河津桜172

河津桜171
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シロツバキ(白椿) ~美味しいんですね~
- 2017/04/09(Sun) -
白椿171

私の部屋の椅子に座って見えるところに白い椿があります。
その椿が好きで、毎日朝早くから何度も何度もやって来るものがいます。
鵯です。
いえ、愛でるために来ているのではありません。
花より団子というか、旬を味わうためです。
嘴を蕊の中に突き刺したり、花びらを噛んだりもしています。
この時期の椿の花は、やわらかく香りもよくて、食べ心地もたまらないのでしょう。
我々が野に出たばかりの瑞々しい山菜を食するのと同じようにです。
きっと、今が一番美味しんですね。

彼が触れた後の花は形を崩し、色も茶色くなってしまいます。
そして満足して去った後にはいつもいくつかの花が落ちています。
家人は「なんて憎たらしい鳥!」と怒ります。
でも私はいいと思っています。
ヒヨドリの側に立ちます。
少し我慢することで、何かのために役立ち、誰かが喜んでもらえるなら。
時や状況に合わせてそれぞれ自然への関わり方があるのです。
ヒヨドリには鵯の流儀です。

白椿も、その痛さ、傷みもさだめだと感じているのかも知れません。

それにしても、樹に残る花がだいぶ少なくなりました。
一輪挿し用の分だけは取っておきましょう。

   椿咲くたびに逢いたくなっちゃだめ (池田澄子)

白椿に鵯171

白椿に鵯172

白椿に鵯174

白椿に鵯175
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アンズ(杏・apricot)  ~「花になりたい」と言った詩人がいた~
- 2017/04/08(Sat) -
杏171

昨日の朝からの雨は午後にはすっかりあがって青空が広がった。
気温もぐんぐん上昇し、初夏を思わせる陽気となった。
気がつけば私は袖を捲くっていた。

その雨と暖かい風が誘ったのだろう、前日まで数輪だった杏の花も一気に枝いっぱいになった。
それぞれの花はところどころに、まだ雨の跡を残している。

杏の花には和みと優しさを感じる。
「花になりたい」と言った詩人がいたが、この花を見ていると私もそんな思いになったりする。

花の彼方をジェット機が白い雲の尾を長く引きながら飛んでいった。

    花寄せて杏の花の深情(ふかなさけ) (大野林火)  

杏172

杏173

杏174

杏175

杏176
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サクラ(実桜・桜桃・サクランボの花) ~いつもより少し遅れて~
- 2017/04/07(Fri) -
サクランボ171

各地で桜の開花が遅れているという。
いつもの日程でイベントを組んでいた名所などでは困惑していることだろう。

そんな中、家では白みがかったサクラが咲く。
といってもこちらはサクランボ(実桜)の花。
例年だと三月の下旬に満開となるので、これもやはり一週間から10日ほど遅れていることになる。

じつはこの花を見ると、先のことが思い浮かんで、必ずしも明るくはなれず、少しの憂鬱感ももたげてくる。
それは実るサクランボの多くが鵯に食べられることに関わって派生することによる。
自然の営みのこと故、食べられるのは仕方ないと思っている。
それより、それに伴い家人から毎年皮肉とも取れる声がテープレコーダーのように再生されるからだ。

「いつも口に入るのは1%にもならないわ」
「去年なんか、幾つ食べたかしら」
「ねえ、木全体にネットを掛けたらどう?」

…大体において、あの貪欲な鵯になんかに敵うはずがない。
…彼らの方が生存競争においては賢く逞しいのだから。
…それにこんな高い木にネットをどうやって掛けるというんだ。

またこの花を見て、同じような口調で、「はたして今年はどれだけ食卓に並ぶかしらね」と言う。
私は黙って聞き流しながら、「わかったよ。いつもよりたくさん収穫して出してやるよ」と胸の中でぼそぼそと答える。

   桜桃の花純白を通しけり  (福田甲子雄)

サクランボ172

サクランボ173

サクランボ174
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スイセン(水仙) ~おお、初音~
- 2017/04/06(Thu) -
ミニ水仙174

昨日の朝、誰もが立ち止まって聞き惚れるであろうその美しい鳴き声が庭にあった。
鶯の初音である。
こうしてリアルに耳にすると、その瞬間小さな幸せに包まれた感になる。

その澄んださえずりは幾度も辺りに響き渡る。
すぐそばに居る事は分かるのだが、姿が確認できない。
鳴いている顔を見たいと、見当を付けて目を凝らすもやはり見つけられない。
そうこうするうちに、高い金木犀から、雀と同じくらいの鳥が飛んでいった。
色も形もはっきりは見えなかったが、その後は声がしなくなったのできっとそれだったのだろう。

また来てくれることを楽しみとしよう。

小さな水仙が可愛い黄色を揃える。
植え替えることのないまま、そこを何年も居場所として咲き続けてくれる。

  水仙や齢重ねてゆくも幸 (志摩知子)

ミニ水仙173

ミニ水仙172

ミニ水仙171
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ウメ(豊後) ~こきもうすきも紅梅~
- 2017/04/04(Tue) -
豊後梅171

しばらく前から『枕草子』を手にしている。
一段ずつを毎日。
今更ながらではないが、そこに綴られる草花や様々な事象に関しての見方考え方とらえ方が非常に興味深い。
その視点や角度になるほどという頷きがあったり、新鮮な驚きを感じたりもする。
加えてユーモア、ペーソス、アイロニーも随所に散りばめられたりもして…。

昨日は「木の花は こきもうすきも紅梅」と始まる第三七段。
草木の存在を簡潔明快に断じていて、そう言うのかとおもしろおかしい。
それは単なる観賞でなく、観照というに相応しい。

庭に遅咲きの梅がある。
読んだ後、見に行った。
花と蕾が六四くらいで満開とまではいかないが、爽やか感を広げてくれている。
これは豊後梅。
梅漬け用の木だが、少し大きめの花は薄桃色でなかなか美しい。
管理と収穫と梅干し作りまで一貫して私。
できあがるまでの一連の作業も好きだ。
花のつき具合は今年もびっしりの様子。
豊作を予感させ、大量に漬けられそうで今から楽しみだ。

第三七段の梅の後は桜、藤、橘と続く。
そして梨の花と楊貴妃のことも記される。
あらためて、いにしえ人の博識と豊かな感性を憶う。

   ひらきたる薄紅梅の空に触れ  (深見けん二)

豊後梅172

豊後梅173

豊後梅174
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シロハラ(白腹) ~四月一日という日~
- 2017/04/01(Sat) -
シロハラ171

辺りが白みはじめた頃から聞こえる、キョッキョッの声。
その主はシロハラである。
そう、彼もまた朝がきわめて早く、このところ欠かさず毎日のことだ。

だいたいはぴょんぴょんと跳びはねながら地面を動き回っている。
やっていることは嘴を使って落ち葉のかき分け。
中に潜んでいる虫たちを捕食する。
彼が通り過ぎたあとの周りはいつも葉が散乱している。
私は竹箒を持つ。

名が示す通り腹部を白くするが、全体には茶褐色で、今の時期の葉色に紛れてあまり目立たない。
渡りの冬鳥で、この先さらに春らしさが増すと、北の大陸へと戻っていく。
その体力を付けるためにも十分の栄養を摂るがいい。

さて、年度替わり。
時間は昨日と変わらず時を刻んで繋がってはいるが、やはり四月という言葉の響きは特別にわくわくさせるものがある。
私も脳に気持ちのいい汗をかけるように…。

そして、空に向かって「おかあさん、四月一日ですね」と、沈丁花と三椏を毎年剪る日。

   鶏鳴に起され四月はじまりぬ  (菖蒲あや)

シロハラ172

シロハラ173
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サンシュユ(山茱萸) ~春黄金花というに価して~
- 2017/03/31(Fri) -
サンシュユ171

山茱萸はいつもより二週間ほど遅れての開花である。
その咲く姿はまさに「枯れ木に花」の如くを見せる。
そして、黄色の小花を枝いっぱい密につけるその様子は、それが春黄金花とも呼ばれるに相応しくもある。
どっしりとした老木の下方の樹幹には胴付きの花があり、これもまた風情がある。

時々、鵯や四十雀がやって来てせわしく動き回っていたり、雉鳩がのんびりとまっていたりする。
彼らもその色から元気や幸せをもらいにでも来ているのだろうか。

“三月は去る”という言葉があるが、私の場合もその刻はたしかに駆け足だった。

   枯色に山朱萸の黄の新しや  (高木晴子)

サンシュユ172

サンシュユ173

サンシュユ174

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キセキレイ(黄鶺鴒) ~「桜咲く」の話~
- 2017/03/29(Wed) -
キセキレイ1712

ラジオのパーソナリティーが「あなたにとっての“桜咲く”はいつのどんなことでしたか」と問いかけていた。
応じてリスナーからは、さまざまな人生桜の開花物語が披露される。
たとえば初めての出産だったり、それぞれの時々のあんなこと、そんなことなどが。
多くは人生の中で大きな転換期となった喜びの場面。

私達の頃と言えば「桜咲く」は大学合格したことを知らせる電報の符丁だった。

チチッチチッと鳥の声が庭に響く。
黄色い胸と腹を見せるのは黄鶺鴒。
長い尾をリズミカルに上下に振る。
その脚を置く染井吉野はまだ固い蕾のまま。
こちらの“桜咲く”はどうやら四月に入ってからになりそうだ。

  鶺鴒やめつむりきけば近づき来  (加藤楸邨)

キセキレイ1711
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