子どもの木彫(着色) ~空の色~
- 2017/02/19(Sun) -
男子木彫23

ティーポットを落とした。
壊れた。
私専用のものだったので少し残念。
形あるものは必ず壊れるものだが…。
ただこのところこうしたことがよくある。
先日も小皿を割ったばかりだ。
手から落としたり、うまく持ち上げられなかったり。
滑りやすくなっている指先を見れば、指紋の溝が浅くなり、その渦の形も不明瞭になっている。
このごろ、手の機能や感覚の衰えをも実感する。

10日ほど前に彫った子どもの木彫に着色をした。
最後まで迷った靴の色は空色にした。
「すずさん」の見上げる空が思い浮かんだ。

   雨水より啓蟄までのあたたかさ   (後藤夜半)

男子木彫20

男子木彫21

男子木彫22

男子木彫24
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子ども(木彫) ~久しぶりに彫る~
- 2017/02/10(Fri) -
男子木彫6

寒いですね~。
いつまでも寒いですね。
インフルエンザがかなり流行っているようですが、大丈夫ですか?
ええ、あまり外へ出ないですから。
家では何をしているんですか?
本を読んだり、音楽を聴いたり、それから…。
退屈しませんか?
そんなことないです。やりたいことはいっぱいあって。
どこかに出掛けるということはないんですか?
がんらい出不精で。
へえ~、もてあましそう。
そうそう、久しぶりに木を彫ったんです。見ます?
ぜひ。
これなんですがね。
あら、こどもさん?
はい、ずっと前からこどもを彫ってみようかと思っていたんです。
小さい。よくまあ。
なんとか彫り上げることができました。
堅そうな木ですね。
いえ、朴の木ですのでそれほど堅くはありません。
何を使って彫るんですか?
今回は主に小刀と反り小刀を使いました。所によって彫刻刀も使ってあります。
細かくて大変でだったでしょう。
そうですね。刀が入らなくて難儀したりしました。でも楽しみながらぼちぼちと。
どのくらいかかりましたか?
どうでしょう。一週間くらいですかね。
これで仕上がりですか?
ええ、一応およその彫りは終わりですが、この後細かなところに手を入れてから着色しようと思っています。
じゃあ、また色が付いたのを見せてください。
そうですね。ではまたしばらくしたら、時間を見てお出かけください。

  きびしさと春の寒さとあるばかり  (上村占魚)

男子木彫1

男子木彫2

男子木彫3

男子木彫0

男子木彫5

男子木彫4

小刀と反り小刀

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サクラ(木彫の桜落葉) ~大事に取ってあったもの~
- 2016/12/08(Thu) -
桜落葉1

拾われた桜の落葉が一枚ある。
部屋に入れたのは10月21日。
時のオブジェのように置かれ、今に至る。
その間、時々手にとっては眺めた。

よく見ると、それはなぜか落葉であって落葉以上のものを感じさせたりも。
たとえば生きているような、話しかけられているような感覚とでもいおうか。
そんな不思議さの大事に取っておいた桜落葉。

「彫る?」
「彫る!」

材は厚さ4㎝の朴の板。
形を描き入れ、鋸で輪郭を大まかにカットする。
久しぶりに彫刻刀を手にする。
滑り止めにゴム手袋をはめる。
葉の起伏に合わせて板を薄く薄く彫っていく。
葉先と葉柄を折らないように気をつけながら。
ゴム天袋を取りはずし、細部に入る。
人差し指と親指で挟んで厚さを確かめつつ削る。
慎重にしたつもりだが、2箇所ほどに穴を開ける。
わずかに浮かぶ葉脈や縁取る鋸歯も。
ポスターカラーで着色。
ところどころにある染みも表す。
彫り始めてから3日。
思いの外短時間で完成。

心に温かいものが満ちる一人過ごした冬のいい時間。

   削るほど紅さす板や十二月  (能村登四郎)

桜落葉2

桜落葉3

桜落葉4

桜落葉5

桜落葉6

桜落葉7

桜落葉8
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キクイモ(菊芋のレリーフ) ~暦では冬立つと~
- 2016/11/07(Mon) -
菊芋163

小さな畑だがそれでもそれなりにやることが結構ある。
大根を間引いて土寄せをする。
そして葉枯れの茗荷を片付けたり、ナスの支柱を揃えて束ねたり。
リュウキュウシカクマメの棚も払う。

土手の菊芋も抜く。
根元に芋が見える。
もともとは栄養価の高いこの芋を食用にと植えたのが始まりだったのだが。
繁殖力が強く、今ではやっかいの感。
少しだけ掘り上げ、どうするか聞いてみた。
「味噌漬けにするから洗って…」と。
しばらくぶりに。

菊芋は初秋から中秋にかけて黄色いひまわりのような花を咲かせる。
そのくっきりした花をレリ-フにしたのは10月10日のことだった。

  冬来る眼をみひらきて思ふこと  (三橋鷹女)

菊芋161

菊芋162

キクイモレリ-フ162

キクイモレリーフ161

14年9月17日
                                                                 2014/9/17
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ハマギクとノギクのレリーフ(浜菊・野菊) ~やってきのは~
- 2016/10/26(Wed) -
浜菊823

寒かった。
暖房を入れようかどうか迷った。
県北では初霜だと伝えていた。

大根に土を寄せた。
畑仕事のあとの脚は冷えていた。

ツッ、ツッ、ツッ。
ツッ、ツッ、ツッ。
耳を傾ける。
それは何年も聞き慣れた声。
もしかしてと、急いで辺りを見渡した。
いた。
3月に伐り倒した桜の大きな切り株の上。
雄の尉鶲(ジョウビタキ)。
尾を上下にゆっくり振る姿が愛らしい。
10月も下旬、そろそろ現れるかと心待ちにしていた。
この時期になると、毎年北の大地から来てくれる。
雌の姿も早くみたいものだ。
三月までは、短くリズムを刻むその声を聞かせてくれる。

ダウンのベスト、ジャケットを出す。
長靴も冬用に替えた。

   一羽来てすぐ一羽来て尉鶲  (坂本宮尾)

ハマギク824

浜菊821

野菊825

浜菊822
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バラ・カクテルのレリーフ(秋薔薇) ~「あきそうび」という響き~
- 2016/10/21(Fri) -
カクテル192

飲み会のお誘いがあった。
年長の方が多く、立場的に気兼ねする会。
夜に弱く、併せてアルコールとあまり親しくしていない私。
丁寧にお断りした。
歳のせいか、そんなことが苦手になってきた。
「不義理な奴だ」と声が聞こえてきそうだが。
最近は疲れないことを優先する。

秋の薔薇には少しの淋しさともの悲しさがある。
少なくて小さくなって、でも深みがあって。
私は「あきそうび」というその響きが好き。

カクテルをレリ-フに。

   秋薔薇に袖垂れ去ぬる懺悔僧   (菅裸馬)

カクテル190

カクテル189

カクテル191
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ニンジンのレリ-フ(人参) ~夏畑の片付け~
- 2016/10/14(Fri) -
人参レリ-フ161

夏畑の片付けもだんだんに進める。

取り残してあった人参も。
抜くとどれもが小さい。

細かい葉とやわらかな茎と逆円錐形のその形。
レリ-フにするのも面白い。

構成は土も加えたイメージで。
色は人参らしさが出るまで丁寧に何度も塗り重ねる。
ん~ん…、まっ、いいことにしよう。

「虫も入れるとよかったかもよ」と声がかかる。

  人参を人参色に洗ひあげ  (小島花枝)

人参162

人参161

人参163

人参レリーフ162

人参レリーフ163
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アカマンマのレリーフ(犬蓼) ~一人ままごと遊び~
- 2016/10/10(Mon) -
赤まんまのレリーフ161

ところどころにアカマンマが顔を出している。
その名前と形がそうさせるのだろう、懐かしさと親しみを感じさせる花である。

そんな秋空の下の野の花をレリーフにした。
色も実際に近づける。

こんな愛らしいアカマンマの花言葉は「お役に立ちたい」。
 
  わが心やさしくなりぬ赤のまま  (山口青邨)

赤まんま162

赤まんま163
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レリ-フ(マリーゴールドとノギク) ~秋を切り取る~
- 2016/10/05(Wed) -
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マリーゴールドが咲き続けます。
そばではノギクも広がります。
二つの花をレリーフにしましょう。

バランスを整えてレイアウトします。
粘土に型取りして写します。
溶いた石膏を粘土の雌型に流し込みます。
1時間ほどおいて粘土と雄型を外します。
石膏雄型の汚れを洗い落とし、天日で乾燥させます。

ブロンズ風に着色して仕上げます。
ビリジャンとバーントシェンナとカーマインの3色の混色です。
化繊を使って表面を軽く磨き、立体感を浮き出させます。
はい、壁掛けができ上がりました。

秋を遊んでいます。

   秋暁や胸に明けゆくものの影  (加藤楸邨)

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バラ(薔薇) ~秋には~
- 2016/09/02(Fri) -
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夜には一段の虫の音。
リリリリリリ…、リリリリリリ…。
私はここにと鈴虫。

私も秋。
作品を仕上げる。

赤い薔薇を一輪剪った。
彼女のそばに。
香る。

   薔薇剪るや深きところに鋏入れ  (島谷征良)

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直付け造型2016/8 - コピー (2)


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フキン(木彫の布巾) ~台所の片隅に~
- 2016/05/04(Wed) -
布巾0

通常、台所には立たない。
でもたまに洗い物をすることはある。

折り畳まれた布巾があった。
その柔らかな感じと布の質感…彫りで表現してみよう。

朴板を用いる。
およその形を切り取る。
全体の厚みを丸刀で彫り下げる。
各部分の段差を出す。
重なりを表す。
布と布の間にできた隙間を彫る。
僅かに見えるなだらかな凹凸、折り角にできる皺、端の反り返りなども。
サンドペーパーで磨き、刀痕を消す。
着色はいつものようにポスターカラーで。
以前に彫ったエンドウ、トウガラシ、ピーナツを乗せてみる。

さて今日は「みどりの日」、草刈りでもしよう。
♪みどりのそよ風 いい日だね  ちょうちょもひらひら 豆のはな~

  木々の香にむかひて歩む五月来ぬ  (水原秋櫻子)

布巾1

布巾2

布巾3

布巾4

布巾5

布巾6

布巾7 - コピー

布巾9
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ホン(木彫の本) ~本棚の中から~
- 2016/04/07(Thu) -
本1

心を耕してくれた古い本など、愛着があってなかなか処分できない。
その中の一冊を彫ることにした。
昭和17年発行、定價二圓八拾銭。

朴板を本のサイズに切る。
全体の厚さに合わせて丸刀で薄くしていく。
微妙に反りのある表紙、裏表紙を表す。
丸い背と開き溝の線を形作る。
天と地と小口を彫り下げる。
束に筋をつけ一枚一枚の感じを出す。
筆とスポンジを使って着色。
経年で退色した紙の質感を混色して表現する。
角の傷みを色を削って落とす。
破れや汚れは水分を多く含ませて滲ませる。
ひとまず完成。

外は四月の雨。

  靄に透く紺の山なみ四月かな  (三森鉄治)

本棚の古本

本2

本3

本4

本5

本6

本7

本8

本9

本557
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ホシガキ(木彫干し柿) ~干し柿作り~
- 2016/04/03(Sun) -
干し柿01

ここらは昔から、干し柿のブランドの地域として知られる。
晩秋の農家の軒や納屋に並ぶ柿暖簾は風物詩となっている。
11月の中旬、私も家庭用に少しばかりを剥いて干した。
正月に間に合わせた。

春の皿の上に季節外れの干し柿。

朴の木で彫った。
昨日仕上がった。

果肉のやわらかさ。
できる深い皺。
三段になった蔕の表情。
軸にもいろいろな形。
それぞれの特徴を表現する。

着彩はポスターカラー。
糖分の白い粉は歯ブラシでスパッタリング。
ホワイトをつけ、指で弾いて霧状に飛ばす。
蔕の堅い感じも色を変えそれなりに。

「はいどうぞ」。

  あらたしく四月だからと始め事 (あや)

干し柿01-1

干し柿2

干し柿2-2

干し柿3

干し柿3-3

干し柿194

干し柿205
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ホウチョウ(木彫包丁) ~質感を出すには…~
- 2016/03/28(Mon) -
包丁6

包丁を彫った。
桜の一枚板を使う。

桜はやや堅めの材。
赤味を帯びたその肌理(きめ)は美しい。

形を切り取る。
厚さのセンターに線を引く。
刃先と峰が真っ直ぐ通るように。
柄の形が対称になるように。

彫る。
刃全体を薄くしていく。
柄の握りの微妙なラインを出す。
刃と柄が合わさるマチの部分に少し難儀する。

今回は包丁のシャープな機能的特質を出すために刀痕を消す。
当て木を巻いた#80のサンドペーパーで凹凸をフラットな面にする。
同様に#240、#320、#400と徐々に番数を細かくしていく。
最後に#1000で仕上げる。

できあがったのを見ると木目(もくめ)の出た白木のままも味があっていい。
迷ったが、今回はよりらしさをと着彩を施す。
刃はデザイナーズカラーのシルバーを使う。
一度塗りのあと、サンドペーパーで研ぎ、再度塗ってより金属質を出す。
柄にはポスターカラーのホワイトとブラックを混色して、やや厚塗りの一回で済ませる。
乾いたところで、化繊布で磨く。
刃には少し艶が増し、柄には鈍色が出て、それぞれの質感が多少なり表われる。

ここまで。
それにしても桜は彫っていて気持ちのいい材だった。

家の桜もぼちぼち咲き出している。

   こだはりのさくらいつぽんありにけり   (山本嘉郎)

桜の板

包丁3

包丁1

包丁4

包丁4-1

ポスターカラー

包丁5

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ナス(木彫茄子) ~やわらかな感じ…、春だもの~
- 2016/03/23(Wed) -
木彫ナス1

色艶、フォルム…いい。
一袋4つ入って197円の春ナス。
食材でなく彫刻のモチーフとして。

材は科の木。
大きさを決め、木取りする。
鉛筆の線のぎりぎりで鋸を入れる。
荒取りして面を落としていく。
大丸刀でぐいぐいとおよその形を出す。
実の部分を徐々に丸くしていく。
蔕の微妙な動きと凹凸のある質感を表していく。
特に実と接する箇所や僅かに浮き上がったところの細かい表現を。
最後に果柄の部分のディテールを。
彫りの終了。

今回は怪我をしなくてよかった。
この後着彩して仕上げ。

   少年や六十年後の春の如し (永田耕衣)

木彫ナス2

木彫ナス3

木彫ナス4

木彫ナス5
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カエデ(木彫楓・科の木) ~思うところあって彫る~
- 2016/03/16(Wed) -
木彫イロハカエデ0

春ですが、秋の楓を彫りました。

ほどよい厚さの科の板があります。
大きさと形を決め、切り取ります。
葉の先端と葉柄の部分は折れないように特に慎重に。
丸刀で全体の動きをざっくり形作ります。
実際の厚さと同じくらいまで全体を薄くしていきます。
平刀を用いて丸刀痕を消すように削り取り、滑らかにします。
走る主脈を、その細さと高さに注意して表します。
最後に小刀で鋸歯を出して終了です。

左の親指を3㎜ほど切ってしまいました。
ちょっと痛かったです。
慣れから来る油断です。
いけません。

あとは秋に撮った写真でも見て彩色を施すことにします。

  春の夢心驚けば覚めやすし  (富安風生)

木彫イロハカエデ2

木彫イロハカエデ1

木彫イロハカエデ3
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意思を持った若い頃(木彫) ~「悩み多き者よ」「されど私の人生」などと~
- 2016/03/08(Tue) -
意思の人1

 もし私が入社試験の面接官だったとしたら、必ず一言次の質問をします。
 「あなたはこれまで人生に悩んだことはありますか?」と。
 そしてキッパリと、「悩んだことは一度もありません」と答えた人は採用しませんと。
叙述は不確かだが、これはたしか若い頃読んだ亀井勝一郎の文章の中にあったと記憶している。
悩むということは自己をしっかり見つめていることに他ならないと説いていたように覚えている。

勢いに任せて荒々しく自刻像を作ったのは悩み多き20代の頃だった。
それがなぜだか毀損されることもなく手元に残っている。
表現の巧拙は別として、手放せない思い入れがどこかにあったのだろう。

頭部に用いたのは小柿。
かなり堅牢な材だった。

最近になって下の部分に少し手を加える。
欅材をチェーンソーで切り取って、そのまま晒しておいたのを台座に据える。
それに馬の蹄鉄を。
アンバランスの妙。
静慮の中に動勢あり、沈思の中に情熱あり…。
そんなことなどを。

  肩に手をかけて話せば暖かし (大場白水郎)

意思の人2

意思の人3
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リンゴと黒い帽子 ~彩色木彫~
- 2016/02/10(Wed) -
木彫リンゴ53

ボレロを聴きながら。

リンゴに着色する。
帽子は薄黒に。
服は濃朱。
顔は地色を生かす。

胸に穴を開ける。
リンゴに棒を付けて挿し込む。
うまく嵌まる。

ひとまず終了。

冷える足、暖かい膝掛け。

紅茶を啜りながら。

   我恋は林檎の如く美しき  (中川富女)

帽子403

木彫リンゴ399
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リンゴ(木彫林檎) ~コツコツと彫る~
- 2016/01/27(Wed) -
リンゴ制作2

このところのデザートはリンゴ。
いただきもののストックがたくさん。
しばらくはこれ。
皮を剥くのは私。
果物ナイフで薄く。
こういうことはけっこう器用。
楽しいし、好き。

彫った。
欅は堅い。
ザクザクとはいかない。
スッスッと少しずつ。
コツコツと丸みの形に。
木目のあるリンゴ。
肩が凝った。

  寒波きぬ信濃へつゞく山河澄み  (飯田蛇笏)

リンゴ制作1
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女(楠・木彫) ~とりあえず切る~
- 2016/01/15(Fri) -
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鼻の奥まで届くような木の香りが部屋中に充満する。
ドアを開けると、隣の部屋にまで行き渡る。
それを発しているのは楠。

納得出来る作品ではない…と、公募展から帰ってからずっとそう思っていた。
毀損するか、新たに手を加えるかと作業場に運び入れたものの、何することなく時が過ぎた。

今年に入ってから何も作っていない。
「いけない…、始めなければ…」と、道具を手にする。

もとは胸像だが、特に頭部が気に入らない。
額から鋸で切り落とす。
その上に別の材を継いで、新しく造形し直すとする。
で、作品に鋸を入れた途端にあの特有の強い香りが広がったのである。

とりあえず気になる部分は取り除かれた。
原型を生かしながら想を再構築する。
今回はじっくり時間を掛ける。

それにしても楠はいい材だ。

  屑払ふにもかけひきや日脚伸ぶ  (安住 敦)

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ヤツデ(木彫八つ手の葉) ~秋の雨の降る日に~
- 2015/11/10(Tue) -
木彫八つ手の葉151

茶色い八つ手の葉があった。
八つ手は常緑樹なので、これはかなり前に落ちた葉なのだろう。
心を惹く形をしている。
そのまま置いてもオブジェとしてもいい感じになりそう…。

部屋に入れ、しばらく眺めているうちにまた彫ってみたくなった。

用いる材は朴(ほお)の木。
葉の大きさに板を切り取る。
輪郭を鋸で切る。
後は地道に彫刻刀で彫っていく。
常に全体を見ながら形を決定していく。
葉の厚さは1ミリにも満たない。
ひたすら削って落としていく。
葉が重なり合っている部分と柄の先端の洞のようになっている所に手間取る。
時折実物を持って、見て、触って、感じて作品に映す。
微妙な変化を見せる反り返り。
葉の裏表に表れる葉脈のライン。
何度も見比べながら。
左手の親指と人差し指で葉を挟みながらその厚さを確かつつ、慎重に作業を進める。
実際と同じ厚さに近づけるようにぎりぎりに。

薄く薄く…。
神経を刀の先に集中させて。
細く細く…。

彫り終える。

しとしと雨が降っている。

   秋雨は無声映画のやうに降る  (仁平 勝)

木彫八つ手の葉152

木彫八つ手の葉153

木彫八つ手の葉154

木彫八つ手の葉155

木彫八つ手の葉156

木彫八つ手の葉157

木彫八つ手の葉158

木彫八つ手の葉159

木彫八つ手の葉1510

木彫八つ手の葉1511
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サツマイモ(木彫甘藷) ~黄色い皿の上~
- 2015/10/21(Wed) -
サツマイモ制作1

甘藷を掘ったのは10月10日だった。
その後まとめて籠に入れられたそれはなかなか減っていかない。

そしてまた彫った。

いくつか手に取りながら、サツマイモの形がよく表れているのを一つ選んだ。
材は朴(ホオ)。
ぎりぎりの線で木取りしたあと、彫刻刀で彫りに入る。

大きな面を見て平刀で荒彫りする。
常に全体の量感や動勢を意識しながら大きく大きくとらえていく。
時々鉛筆で線を入れたり塗りつぶして、塊の大きさや面の流れを確かめる。
ライトを当てると、できる陰影によって彫りの深さや高さの凹凸感がクリーヤーになる。
丸刀を使って徐々に角を落とし丸みを出していく。
細部の表情を小丸刀や淺丸刀を使い分けて表す。
表面にいくつかある小さな凹みは極細印刀と極淺丸刀を使い分けて形を作る。
尾の部分は折らないように弱い力で慎重に刀を進める。
全体が彫り終えたところで、刀痕の調子に統一感を持たせる。

着彩はポスターカラーを用いる。
混色してサツマイモのメインの色を作る。
ところどころに濃淡の変化を付けて完成。

できた作品を黄色い皿に乗せて「はい、どうぞ」。

   ほの赤く掘起しけり薩摩芋  (村上鬼城)


サツマイモ制作2

サツマイモ制作3

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サツマイモ制作4-2

サツマイモ制作5

サツマイモ制作6

サツマイモ制作7

サツマイモ制作8

サツマイモ制作9

サツマイモ制作10
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ジロウガキ(木彫次郎柿) ~「こんな感じはどうだろう」~
- 2015/10/12(Mon) -
次郎柿制作151

次郎柿を彫る。
材は榀。
いつものように実物大。

角材を鋸で切る。
それをぎりぎりの線で面取りする。
およその形が見える
彫刻刀に持ち替える。
ゴム手袋を両手にはめる。
一つは材を落とすことを防ぐ滑り止めと、刀に力が入り易くするため。
もう一つは怪我防止のためである。

実の部分から彫っていく。
やわらかみのある四角っぽい丸みを意識しながら。
その特徴である側面に見られる縦の凹みは底の部分まで繋がっている。
次に軸と枝を彫る。
ここは形がシンプルでなのですいすいいく。
最後に蔕。
4枚がそれぞれに反りや捻れなど、変化ある形を作る。
その微妙な違いを小さな刀を使い分けながら彫り進める。
薄く薄く、できるだけ実際と同じ厚さにと。
途中何度も刀を研ぐ。
割れたり、折れたりすることもなくほぼノーミスで彫り終了。

着色はポスターカラーを用いる。
イエローディープ、バーミリオン、レモンイエロー、バーントシエンナを適度に混色して柿色を作る。
同様に蔕、枝と軸も何色かを混ぜ合わせて、面相筆で塗っていく。
化繊布で擦りだし光沢を少し出して仕上げる。

気がつけば右腕の肘が痛い。

   君が恋柿のへたとも思はれず   (佐藤紅緑)

次郎柿制作152

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カキ(木彫の柿) ~「ん~ん、まだまだ」~
- 2015/10/04(Sun) -
木彫柿0

2本の甘柿がある。
一本は富有柿、もう一本は次郎柿。

富有柿の方を彫ることにした。
選んだのは少し小さめの実。

材は軟らかい科の木を使う。
いつもの手順に沿って始める。
鋸で面を大きく落としたあとは、丸刀でざくざくと。
極淺丸刀に替え、全体の丸みを出していく。
次に細枝、ここは小丸刀を用いる。
最後に蔕の部分、できるだけ実際の厚さに近づける。
割れないように折れないように慎重に慎重に。
着色して完成。

なんとか柿らしくは見えるが…。
「ん~ん、まだまだだね」
そんな胸の声が耳をかすめていく。

今日すべての柿を収穫する。
今度は次郎柿を彫ろう。

  柿うましそれぞれが良き名を持ちて  (細谷喨々)

木彫柿1

木彫柿2

木彫柿3

木彫柿4

木彫柿5
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ジャガイモ(potato・木彫の馬鈴薯)  ~彫ってみるか~
- 2015/09/25(Fri) -
ジャガイモ1

食糧庫には三つの籠にジャガイモ。
7月に収穫したものの、なかなか減らない。
今年も多くがこのまま年を越す…。

先日の連休中のことだった。
手にとって見ていたら彫ってみたくなった。
ジャガイモにはそれほど個性的な形があるわけではない。
でも一つひとつが面白い表情をしている。
丸でも楕円でもないジャガイモ独特のでこぼことした不定形。
芽や根の跡が作る凹みの微妙な配置や深さ。
ただ、表面全体の滑らかさは果たして彫刻として味となるのかどうか。

米栂(ベイツガ)を使うことにする。
それは宮大工の淵沢さんが祠造りで使った余りだとくれた物。
黄白色で香りがある。
初めての材なのでどんな性質を持っているかわからない。

まず実際の形とほぼ同じ大きさの角材にする。
次に糸鋸で木取りし、荒取りをしていく。
そしておよその形を大丸刀で削り出す。
平刀で徐々に面を落とし丸みを出していく。
へこんだ部分は細い切り出しを用いて形作る。
根や芽も丁寧に掘り出す。
平刀で表面の柔らか味を出して完成。

米栂は縦の繊維に多少の強さがあったものの、全体としては軟材で彫るにはさほど問題はなかった。

「触ってみたくなるわね」
「店に出ていたけどね、日本南瓜もいい形していると思うけど、どう?」

まだしばらくは身近な野菜シリーズが続きそうである。

   「ます」を聴き馬鈴薯彫る九月かな  (あや)

ジャガイモ2

ジャガイモ3

ジャガイモ4

ジャガイモ5

ジャガイモ6
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木の葉(木彫の木の葉) ~「作って…」「分かったよ」~
- 2015/07/09(Thu) -
木の葉791

5月下旬、私は個展会場に居た。 
昼食を摂っていたある日のこと、一枚の木の葉を見つけた。
場所は玄関からかなり離れた奥にある休憩所のテーブルの下。
そこは周りの窓やドアはすべて閉じられた空間だ。
なぜここに?
そう思いつつ拾い上げると、その葉がとてもいい表情をしていた。
そしてそれはまるで「私を連れて行って」とでも言っているかのように見えた。
食事を済ませた後、私は館長にその葉を見せ、何の葉かを尋ねた。
「分かりません。でも毎朝開館前に職員が揃って館内の清掃を行っているんですよ。不思議ですね」
私はギャラリーの外へ出て、この葉を落としたと思われる木を探した。
周りに植栽されている木々にはそれらしきものは見つからなかった。
唯一大きさと形が似ていたのはマサキだったが、双方には鋸歯の有無の相違があった。
私はその葉が愛おしいものに思え、家に持ち帰ることにした。
そして普段お茶をしたり本を読んだりして過ごす部屋の目のつくところにずっと置いていた。

個展も済み、お礼状も書き終え、その他いろいろが一段落した。
私は時々その葉を手にとっては眺めた。
掌に乗せたり、葉柄を持って翳してみたり。
「いい顔をしているね」。

7月に入った。
木の葉が言っている。
小さな声で。
「作って」。

使う材はイタヤカエデにした。
いつものように木取り、鋸入れ、荒取りをしていく。
その後はただひたすら彫刻刀を動かし、地道に彫っていく。
思いの外、木は堅い。
時折、刃が負けそうになる。
途中何度も刀を研ぎ直す。
薄く薄く、割れないように、折れないように。
そして造型が終了。
木の葉とイタヤカエデの地の色が比較的近いので、着色せずともよさそうだ。
木地の保護のためにワックスを薄く塗る。
完成。

近いうちにもう一度あのギャラリーへ出掛け、それが何の葉であるかをゆっくりと確かめよう。

  七月や心を洗う葉色かな  (あや)

木の葉792

木の葉793

木の葉794

木の葉795

木の葉796

木の葉797

木の葉798
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レリ-フ(Kちゃん) ~しっかりもののお姉ちゃん~
- 2015/05/11(Mon) -
かれんちゃん0

Kちゃんは5歳。
弟の面倒をよく見るしっかり者。
そしていくつもの教室で色々を学ぶがんばりやさん。
キッズなんとかやらでは3歳から英語に親しんでいる。
先日家に来てくれたときには、自己紹介と挨拶を上手に披露してくれた。
他にスイミングや絵画教室なども。
何もかもが早い気がするが、これが今時の子育てなのだろう。

弟のO君をレリーフにした後、Kちゃんも同じように作ることにした。
二人で訪ねてきてくれたのに、O君一人だけが作品になっていては可愛そうだ。

粘土を叩き伸ばして板にする。
それにスケッチを写す。
後は粘土を付けては取ってを繰り返す。
後ろで束ねた長い髪。
意思を感じさせる真っ直ぐ前を見る目。
引き締まった口。
その表情を立体的に表していく。
造型を終え、粘土を石膏に型取って仕上げる。

額に入れて完成。
新築祝いとして、姉弟の家の壁に揃って飾って貰おうか。

  うすうすと窓に日のさす五月かな  (正岡子規) 

かれん1

かれん2

かれん3

かれん4

かれん石膏取り5
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レリ-フ(O君) ~久しぶりの粘土の感触~
- 2015/05/10(Sun) -
おとうと0

3月、小さな姉弟が訪ねてきてくれた。
5歳と3歳の明るく元気な子どもたちである。
スケッチした。

大型連休中のこと、そんな可愛い二人をレリ-フで表してみようと思った。
だいぶ時間は経っていたが…。
久しぶりに粘土を取り出す。

粘土を板で叩いてフラットにし、およそ2㎝程の厚みにする。
その上に細かいヘラでスケッチを施す。
輪郭を彫り下げる。
頬の膨らみを盛り上げる。
全体の顔の丸みが出たところで、鼻、耳、目などの部分に取り掛かる。
肩や背中を感じさせるように服を作る。
髪の毛のやわらかな流れを処理する。
粘土ならではのタッチの味。
最後に全体の大きさを決めて、バランスを見て余分なところを切り取る。

次は石膏取り。
まずは粘土に直接溶いた石膏をふりかけ、塗り重ねて雌型の作成。
固まったところで粘土をきれいに抜き取る。
次に雌型の内側に離型剤として薄めたママレモンを塗る。
そこへ石膏を流し込み、補強材を入れて雄型を作る。
そして雌型を割り出し、雄型ができる。

表面の汚れや付着したママレモンを洗い流す。
それにポスターカラーを使って着色。
今回は粘土に近い色に。
青いフェルトをベニヤ板に張り、作品を取り付け、額に入れて完成。

  四十雀さえずる朝のバースデー (あや)

おとうと1

おとうと2

おとうと3

おとうと4

おとうと5

おとうと6
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レリーフ(relief) ~正面は…~
- 2015/04/20(Mon) -
レリーフ20

スケッチブックを開く。
少し斜めに視線を向ける女。

正面の顔…。
難しそうだ。
できるか。
案ずるより動く。
結果ダメであったとしても、それはそれできっと得るものが。
彫ってみよう。

レリ-フ3作目。
前2作は横顔。
正面は初めて。

厚さ2センチの石膏板。
まずスケッチに忠実に線彫り。
髪の毛から。
そして服、次に顔。
口、目、鼻とパーツを。
丸み、膨らみ、高さを。
刀の力加減を微妙に調整し。
刀の向きを操り。
刀の先に目と神経を集中。
少しずつ彫り下げ、少しずつ残し。

額に入れてみる。
気になるところがいくつもある。
考える。
少しの迷い。
ふう~っ。
ここまで。

今度は塑造や木彫でのレリーフにもチャレンジしてみよう。

  桜便り松前にもと春暖かな   (あや)

レリーフ21

レリーフ22

レリーフ23

レリーフ24

レリーフ25
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ピーマン(piment・木彫ピーマン)  ~今度は~
- 2015/03/14(Sat) -
8ピーマン

「今度はピーマンはどう?」と言う。
最近は食材を選びながらも、その形が彫刻の題材としてはどうかとも見てくれている。

袋から取り出し、手に持つ。
たしかにどれもこれも彫りを誘う姿をしている。
調理しやすいようにということなのだろう、花柄はすべて切り取られている。
しかし、彫刻にするにはあった方がいい。
作品には花柄を付けて動き持たせるようにする。

榀の木(シナノキ)を選ぶ。
軟らかい材なので、さくさくと刀が行く。
全体の造型が手際よく進む。
胴の中にあるいくつかに分割された膨らみの大きさを確かめながら彫る。
お尻にある3つの丸みを作っていく。
頭部に張り付くようにしてある萼を丁寧に薄くしていく。
柄は長さと太さのバランスを考えて、イメージで創作する。
彫り終わり、両手で撫でてみる。
それらしい感触が伝わる。

水彩絵の具で着色し、最後にナイロン布で磨いて仕上げる。

「いい感じ」
「やはり柄があって正解ね」
「ジャガイモもあるんだけど」

  このごろはピーマンも佳いよお母さん   (片山花御史)


01ピーマン

1ピーマン

2ピーマン

3ピーマン

11ピーマン


4ピーマン

5ピーマン

9ピーマン

0ピーマン
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