バラ(秋薔薇・あきそうび) ~ものは壊れ人も…~
- 2017/11/18(Sat) -
秋薔薇171

チェーンソーが動かなくなった。
スタータノブを何度引いても始動しない。
ナンジャモンジャノキを伐ろうと思ったがやめた。
業者に修理を依頼した。
見た結果、部品が破損していて取り寄せになるという。

カメラが作動しなくなった。
電源が入らない。
バッテリーを充電して試みたが、まったくダメだ。
カメラ専門店に持って行った。
分解修理が必要でメーカーに送らなければ直らないという。

このごろいろいろなものが壊れる。
あるいは壊す。
身の回りにそんなことの連鎖。

形あるものはいつかは…。
心身は時が経てば必ず…。
そう、自分を見てよく分かる。

多くの木が葉を落とす中に赤い薔薇が咲く。
秋薔薇(あきそうび)、そのもの静かな思慮の姿。

  朝ごとに秋深くなる木草かな  (角川源義)

秋薔薇172
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ナンテン(白実南天)  ~偶然の再会~
- 2017/11/17(Fri) -
白実南天171

洗車のため行きつけのガソリンスタンドに立ち寄った。
「中でお待ちください」と言われ、休憩室の椅子に腰掛けた。
と、ガソリンを入れ終わった白い車からジーンズ姿のすらりとした女性が降りて早足で入ってきた。
そして私に近寄り、「〇〇…ですよね」と声をかける。
30半ば頃。
「わかります?」と。
2,3秒巡らせる。

「中藤さん?」
「そう。うれしい。覚えててくれて」
「その笑顔でわかった」
「さっき見た瞬間、多分そうだと思って急いで降りて来たの」
「ずいぶん久しぶり。懐かしい」
「仕事の途中です。隣の〇〇村に嫁に来て、そこに家を建てて暮らしています」
「もう子ども3人もがいるんですよ」

22年ほど前、私が県の最南端地に赴任していた際、借りていた住宅近くにその家族は住んでいた。
当時彼女は中学一年生だった。
いつもニコニコした明るくて愛らしい子だった。
それ以来の再会。
互いによくも間を置かずに思い出せたものである。
「皆さんはお元気?」
「ええ、兄も妹も家を出て、この近くで暮らしています」
「そうか、では揃って遊びにきてください」
「声をかけて、一緒に伺います」
住所と電話番号を書いて渡した。

「これからまだ仕事がありますから」
「必ず行きますね」と言って、にこやかにガソリンスタンドを出て行った。
それにしてもほんの1分でも違っていたなら逢えなかっただろうこの偶然。
おもしろいものである。
いつになるかは分からないが、その日を楽しみに待つとしよう。

白南天の実がなっている。
房のところどころが欠けているのは、毎日声を聞かせてくれる尉鶲かもしれない。

   歳月はいま急流や実南天 (北登猛)

白実南天172
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ベニシダレモミジ(紅枝垂)  ~鮮やかさと長閑な刻~
- 2017/11/08(Wed) -
紅枝垂171

紅枝垂も色鮮やかな紅葉を見せてくれている。
表から眺めるのはもちろんだが、裏から見る葉姿も趣があり、好きである。
前の葉が下の葉に影を重ねる様などはなおさらである。

一匹の小さな蛾が細く切れ込む葉に留まる。
そうしたところにも秋の長閑な刻を感じたりする。

徒然なるままに…と、したためたくも。

  かざす手のうら透き通るもみぢかな  (大伴大江丸)

紅枝垂172

紅枝垂174

紅枝垂173
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タカノハススキ(鷹の羽薄) ~おお~い、いるかな~
- 2017/11/04(Sat) -
シナノゴールド171

昼食中だった。
「おお~い、いるかな」
ドアを開けて声を掛けてくれたのはニッカポッカ姿の小松さん。
大工兼林檎農家だ。
「ちょっとばかしキズ林檎だけど」
レジ袋には黄色い林檎が入っていた。
「シナノゴールドですか?」
「そうな、そこらべったり畑の上が黄色いざまさ。拾う気にもならんでほったらかしね」
シナノゴールドは秋映、シナノスイートと合わせ、最近評判となっている信州リンゴ3兄弟の末っ子である。
先日の台風でだいぶ落下したらしい。
少しのキズでも出荷規制をせざるを得ないのだという。
もったいない話である。

「あがってお茶を飲んでいってください」
「だめな、これからフウチャンと松茸を採りにいくんな」
「えっ、11月でも出るんですか?」
「わからんけどな、今年はまだ4本しかとっておらんもんで、しゃくな。そんじゃ」
いつものようにそくそくと踵を返し、軽トラを走らせた。

毎年15,6本は採るという。
私もそのお裾分けに預かることがある。
成果があるといいが。

鷹の羽薄が穂を揺らしている秋の昼下がり。

  さよならに応へて風の薄かな   (西上十美)

タカノハススキ2171

タカノハススキ2172
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ウド(独活の実) ~夢の中で~
- 2017/10/30(Mon) -
ウドの実171

食べ物の好き嫌いはあまりない。
だがどうしても食べられないのが二つだけある。
特に「K」はいくらお金を積まれてもダメだ。
苦手とか嫌いというレベルではない。
生理的に受け付けないのである。
料理の中にそれが入っていることを知らずに、口に入れたとしても喉が即座に反応して戻してしまう。
何らかの出来事によるトラウマがあったのかどうかはよく分からないが、小さい頃からそうだった。
この歳まで、宴会などをも含め、様々な場面でも人に知られないようにうまく避け、上手に除けてきた。
それは普段の料理に多く使われる食材で、むしろ多くの人は好みかもしれない。
嫌いな物としてその名前を出すと、ほとんどの場合「なんでこれが?」と怪訝な顔をされる。
しかしこれだけは他人が入る余地のないデリケートな領域だ。

昨日のことだった。
夢の中で誰かの家に招待されて食事をしていた。
それがなんと、喉が拒絶するはずのソレが入った料理をいかにも美味しそうに箸で次々に運ぶ自分がいたのだ。
そして半分ほどを平らげた時、目が覚めた。
あり得ないことが夢の中で起きていた。
たとえ夢であったとしてもソレを自分が食べていたという恐ろしい事実。
こんなことは初めてだ。

首まわりに少しの汗を掻いていた。
ベッドから降りると、体が重くなぜだか腰が痛かった。

「夢の中だよ!夢!夢!」と、ほんとに頬をつねってみたくなった。
でも一体全体、この時期にどうしてこんな夢を見たのだろう。

多分この先も一生私はソノ「K」を喉に通すことはない。
いかに周りの人たちが、食物繊維を含んで健康にいいだの、味が染みこんで美味しいだの、その食感がたまらないだのと言おうが。


美術館へ出かける予定をも中止にさせた強い雨も朝のうちには上がるとのこと。
ずっと降り続いていたために体中に溜まっていた鬱屈した気分からもようやく解放されそうだ。
「♪知らない町を歩いてみたい。何処か遠くへ行きたい♪~」

独活の実が黒く色づき始めている。

   秋深き音生むために歩き出す  (岡本眸)

ウドの実172

ウドの実173
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月に雁 ~一緒に夕食を~
- 2017/10/16(Mon) -
月に雁297

朝、義姉から電話があった。
「夕食を用意するから、6時頃来てね」
家人が留守して四日目。
いろいろと気遣ってくださる。

1時からは講演会。
続いての会議は5時過ぎに終わった。
その後の懇話会は遠慮し、義姉の家に着いたのは6時丁度だった。

用意されていたのはチキンカレー。
カワタケ、ジコボウ、シイタケなどの茸類。
そして手作りコンニャクとジオウサイ。
小皿に鮮やかな紫の花菊の甘酢。
デザートは林檎の秋映と梨の南水。
秋の味覚に舌鼓。

箸を運びながら久しぶりに近況を尋ね合う。

明日は松本に歌会があるから早めに出かけるという。
そして下旬には東京まで『創画展』を観に行くと。
コンサートの予定も入っている。
いつも行動的である。
見習わなければ。

近々、家にも来ていただくことにして、お暇する。

実は朝、私が作ったのもカレーだった。

床の間の絵が九月のまま、替えなくては。

  釣瓶落しといへども光芒しづかなり   (水原秋桜子)

月に雁298

月に雁296
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キク(菊) ~懐かしい文字~
- 2017/10/14(Sat) -
菊2170

隣村に住んでいる女性から便りが届いた。
その結婚式にも出席した20数年前の職場の同僚である。
以来、年賀の交換を続けてきた。

管理栄養士を目指して学生生活を送る娘さんのこと。
高校野球に打ち込む息子さんのこと。
この時期、果樹農家として多忙なご主人のこと。
自身の現在の勤めのことなどの近況に加え、一緒の頃の思い出など。
手書きの流れるような美しい文字は、昔折に触れて目にしたのと変わらずだった。

秋は人にペンを持たせる。

私も早速に万年筆で返事を書いた。

山茱萸の下では薄紅の菊が咲いている。

  今日はまた今日のこゝろに菊暮るゝ (松尾いはほ)

菊2172

菊2173
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ヘデリフォリウム(Cyclamen Hederifolium・原種シクラメン) ~都会の空気~
- 2017/10/05(Thu) -
ヘデリフォリウム1722

早朝の高速バスに乗って美術館に出かけた。

そのあと青山の明治記念館で行われたパーティーに出席した。
250人を越える参加者、著名な評論家も数名招待されていた。
初めての私はテーブルを囲んで交わされる芸術観や慣れない場の雰囲気に緊張。
周囲に無理に合わせるような背伸びはしなかったがちょっと肩が凝る。
皆さんの言も酔いとともに勢いを増し滑らかとなる。
解き放たれてホテルに戻ると、奇妙な疲労感に包まれる。

朝の目覚めは日常のサイクルと変わらずに3時過ぎ。
野山に囲まれた田舎と大きく異なる都会の空気の中でも体内時計はしっかり働いてくれている。

日々、鳥や野菜や花などと過ごすスローな流れの中にいる私はやはり自分のペースでのんびり動く方があう。
一つの経験にはなった。

   秋は美術の石柱(ひらし)囲む人ごころ (石原八束)

展025

展024

展021

展030

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テラオカアザミ(寺岡薊) ~秋なのに~
- 2017/10/03(Tue) -
テラオカアザミ2171

「艶々して美味しそうに見えたから柿を一つ採っちゃった」
そう言って家人が私に渡した。
実の重さで撓んでいる枝から手の届くところのものを採ってきたようだ。
受け取ったその朱はまだ薄かった。
「早い。葉がほとんど落ちた頃が収穫時期だよ」
「食べてみる?」
「固いから1週間ほどおいた方がいい」
「じゃ、そうする。色がきれいだったのは夕陽のせいだったのかもしれないね」

木に登って収穫するのはずっとずっと私だけ。
そんな作業をしたことのない家人は、その時期を把握していない。
葉はだんだんに落ちつつある。
ビクを腰にして捥ぐのも近々。

テラオカアザミがまた咲いた。
アブが飛んできてとまった。
このところ庭で再びの花がよく見られる。

  水音の消えては生れあざみ咲く  (稲畑汀子)

テラオカアザミ2172

テラオカアザミ2173

テラオカアザミ2174
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ミョウガ(茗荷の花) ~読む~
- 2017/09/29(Fri) -
茗荷の花2171

机の上にはしばらく前から『論語』がある。

混沌と流動する世情において、時宜に相応しく道しるべとなる言葉なども目にすることができる。

・君子は矜(おごそか)にして争(あらそわ)ず、群(ぐん)して党せず。

・政(まつりごと)を為すに徳を以てすれば、譬えば北辰(ほくしん)其の所に居りて、衆星之に共(むか)うが如し。
※仁徳のある人が政治を行えば、たとえば北極星が不動の位置にあって、それをとりまく多くの星々が、すべて深い畏敬の念を捧げきらめいているように、世の中の人々はその為政者の徳を慕って集まってくるものなのだ。

・苟(いやしく)も其の身を正しくせば、政に従うに於て何か有らん。其の身を正しくすること能(あた)わずんば、人を正しくすることを如何せん。
※もしも自分自身を正しくすることができるなら、政治を行うに困難なことがどうしてあろうか。これに反して、自分の身を正すことができないようでは、いかにして人を正すことができようか。

深まる秋に毎日少しずつ紐解く。

土の上にひっそりと咲く茗荷の花。

  つぎつぎと茗荷の花の出て白き  (高野素十)

茗荷の花2172

茗荷の花2173

茗荷の花2174
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ヒガンバナ(白花彼岸花・Lycoris albiflora) ~落ち葉掃き~
- 2017/09/27(Wed) -
アルビフローラ171

少しずつ落ち葉が広がるようになりました。
今は柿と花水木です。
落ち葉を掃くのは好きです。
箒目を見て嬉しくなります。

赤い彼岸花に混じって一本の白い彼岸花が咲いています。

  落葉掃くおのれを探しゐるごとく (平井照敏)

アルビフローラ172

アルビフローラ173
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キクイモ(菊芋) ~個展の案内~
- 2017/09/20(Wed) -
キクイモ171

個展の案内が届きました。
絵画と彫刻を並行して制作している古くからの知人です。
23日の初日に行ってこようと思います。

心深まる芸術の秋です。
美を求めていろいろ出かけたくなる季節です。

菊芋が咲いています。
ヒマワリにも似た黄色い花です。

  秋天に流れのおそき雲ばかり  (星野高士)

キクイモ172
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宿根アスター ~台風一過~
- 2017/09/19(Tue) -
宿根アスター171

青空が広がり気温が上がった。

久しぶりに散歩をした。

無人販売で林檎を買った。

1袋3個入りで100円だった。

2袋下げて帰った。

少し汗ばんだが気持ちよかった。

脳にも汗をかこうと思った。

  誰彼もあらず一天自尊の秋  (飯田蛇笏)

宿根アスター172

宿根アスター173
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キャットミント(Nepeta) ~脚が冷える~
- 2017/09/17(Sun) -
キャットミント614

冷え症である。
このごろさらに脚の冷えを感じる。
今朝からは膝掛けが暖める。

初夏から咲き続けていたキャットミントの花茎も一つだけになった。

  暁のひやゝかな雲流れけり (正岡子規)

キャットミント615
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リンゴ(林檎・津軽) ~近所の温もり~
- 2017/09/07(Thu) -
ツガル171

軽トラが止まって小松さんが降りて来た。
荷台にはいくつものコンテナにたくさんのリンゴが積み込まれている。
収穫を終えてきたところだったようだ。
「クズ林檎だけど」と言って20個ほどくださった。
クズというのは、鳥に少し啄まれたり、こすれたりして出荷できないもの。
品種はツガルで、そろそろ終わりに近づいていると。

「寄ってください」
「これから仕分けしなくちゃ」と、そくそくとエンジンを掛けて去った。
温もりに感謝。

   りんご紅し机上に愛をころがして (飯村寿美子)

ツガル172
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フイリヤブラン(斑入り藪蘭) ~秋になれば~
- 2017/09/04(Mon) -
斑入り藪蘭171

テラコッタを主とした彫刻家の個展があって茅野まで出かけた。
アフリカをテーマにした木版画家の個展案内があって観に行った。
静謐な空間の中で、脳が思索の道を彷徨い体が情熱の渦に流される。

今、さまざまな芸術があちこちに。
心澄ます季節。

私も公募展への作品を発送し終えた。

昨日、斑入りの藪蘭に花が二つ、三つ咲いているのに気がついた。

  野の秋へ鈴ふるやうに花の咲き  (岩津厚子)

斑入り藪蘭172

斑入り藪蘭173

斑入り藪蘭174
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ヒガンバナ(彼岸花・曼珠沙華) ~花にも季節感~
- 2017/08/30(Wed) -
ヒガンバナ171

昨日の朝も5時半から畑に出て草取りをしていた。
いつもの様に耳にイヤホンを付けてラジオを聞きながら。

突然聞き慣れぬ防災行政無線が流れた。
少し拡散し聞き取りにくいが、町の広報とは明らかに違う。
作業をやめ耳を傾ける。
「ミサイルが…、頑丈な建物の中へ避難してください」
全国瞬時警報システムJアラートだった。

ラジオは特別放送に切り替わって、繰り返し警戒を呼びかける。
畑のど真ん中、しばらく空を見上げていた。
再びのJアラートが日本の上空を通過したと伝える。

草取りの続きをした。
だいぶきれいになった。
汗をかいた。

花にも秋の彩りが出始める。

    曼珠沙華揺れては言葉こぼしをり   (窪信路)

ヒガンバナ172

ヒガンバナ173

ヒガンバナ174
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ハルシャギク(波斯菊) ~失敗に学ぶ~
- 2017/08/23(Wed) -
波斯菊171

顔の前面で小さな音がして何かがコロッと床に落ちた。
と、鼻に違和感が。
すぐにメガネを外してみると左側の鼻パッドの基部が折れている。
転がる鼻パットを拾う。
フレームとの接続部分が破断している。
まずい、もしかして眼鏡自体を新しいのに買い換えなくてはいけないのか。
思わぬ出費になりそうだ。

それでもと思い、とりあえず壊れた眼鏡を持って専門店に行った。
見せて状況を説明し修理が可能かを尋ねる。
すると、手に取って見た店員はいとも簡単に答えた。
「ああ、大丈夫ですよ。一週間もあれば直ります」
「最近は修理できないのはほとんどないと言っていいと思います」
「フレームがまん中から折れても元通りにできます」
「およそ7000円前後になりますかね」
その説明にほっとする。
「では、お願いします」

そもそも眼鏡を掛けたまま、着替えようとした自分がいけなかった。
脱ぐ服に鼻パッドが引っかかってのことだった。
やはりちょっとのことでもズクを惜しんではいけない。
こんな失敗ばかりが続く此の頃である。

どこかから種が飛んできて、波斯菊が花を咲かせている。

  カサルスのセロ聞えくる処暑の朝   (堀島濤平)

波斯菊172
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サルスベリ(猿滑・百日紅) ~まさにてらてらと~
- 2017/08/18(Fri) -
この世界の片隅に公式アートブック

お盆も過ぎ、人々は街に帰っていった。
近隣の家々の庭に駐まっていた都会ナンバーの車も消え、田舎はまたもとの静かな時間を取り戻した。
その間、私は新しく手に入った本を読んで過ごした。
心打たれた漫画、そして映画の感動と、いろいろが頭を駆け巡った『この世界の片隅に』の公式アートブックを。
読書というのではなく、眺め流すという感じだったが。

純朴なすずさんを思い浮かべながらページを捲った。
原作者のこうのさん、片淵監督の表現者としての哲学、思想、過去と現代を繋ぐ深い心が染みこんだ。
これまでと違うお盆になった。

再上演があればまた観よう。

   散れば咲き散れば咲きして百日紅  (加賀千代女)

サルスベリ171

サルスベリ172

サルスベリ173
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ヘリオプシス・アサヒ(旭) ~おや?~
- 2017/08/16(Wed) -
ヘリオプシス・ヘリアントイデスアサヒ171 - コピー

昨日の朝のこと。
いつもの様に3時少し前に起床。
そしてお茶を入れ、窓を開けるルーティン。
と、リッル リッル リッル リッル リッル …。
「おや?」
耳を窓の外に傾ける。
はっきり、そして大きく、暗闇にその声は鳴り響く。
「コオロギ…」

虫たちも空気の移ろいを感じて喉を披露し始めている。
それは次の季節が徐々に近づきつつあることを教える。

今朝も鳴いている。
合唱になるのもそう遠くはなさそうだ。

  堂一つ一つ開けゆく朝の虫  (深見けん二)

ヘリオプシス・ヘリアントイデスアサヒ172

ヘリオプシス・ヘリアントイデスアサヒ173

ヘリオプシス・ヘリアントイデスアサヒ174


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バラ・ゴルデルゼ(薔薇Goldelse')  ~届いた暑中見舞~
- 2017/08/11(Fri) -
ゴルデルゼ1721


昨日、頭に「暑中見舞」と筆文字で大きく書かれた葉書が届きました。
差出人の名を見てすぐには分かりませんでした。
書かれてある内容を読むうちに、思い出しました。
5月頃に初めて「個展」を開いた20代の女性でした。
その折に少し話をしたのですが、そのことを覚えてくださっていたようです。
最後には「さらに精進を重ねていきたいと思います」と結んでありました。

若い人の才能や活躍、応援したくなります。
早速返事を書きました。
「残暑見舞」を頭にして。

ゴルデルゼが咲きいています。

   ロココ美として極まれる薔薇もあり  (京極杞陽)
 
ゴルデルゼ1722
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ムラサキシキブ(紫式部の花) ~とおりゃんせ~
- 2017/08/10(Thu) -
ムラサキシキブ170

♪八月葉月の虫の音は~
♪愛しゅうてならぬと鳴きまする~

学生の頃に知った曲、「通りゃんせ」。
歌っていたのはケメ(佐藤公彦)。
語りかけるような繊細な声だった。
好きだった。
一人の下宿でよく口ずさんだ。
少し前に彼も泉下の人になったという。

♪通りゃんせ 通りゃんせ ここはどこの細道じゃ~

ムラサキシキブは薄紫の小さな花。
中に黄色い蕊がちょんちょんと。

  うち綴り紫式部こほれける   (後藤夜半)

ムラサキシキブ171

ムラサキシキブ172

ムラサキシキブ173
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ルドベキア・タカオ(Rudbeckia・triloba ‘Takao’) ~台風の後~
- 2017/08/10(Thu) -
ルドベキアタカオ194

ホームセンターで先輩にばったり会った。
数年ぶりだろうか、比較的近くに住んでいるのだがだいぶ久しぶりになる。
なにやら文房具を買いに来たらしい。
私は農作業用の手袋を求めてのことだった。

「かわらないね」
「湯川さんこそ、全然歳取らないですね」
「どう、続けてる?」
「ええ、他にできることがないので」
「羨ましいなあ」
「今はどうされています?」
「あと2年は勤める予定。それでキッパリ終わることにする」
その道一筋に勤め上げたあと定年を迎え、そして今は関連した社団法人に勤めていらっしゃる。
店内でしばらく懐かしい昔のことや共通の知人友人のことなど、あれこれの話をする。
「知ってる?福島さんが亡くなったって?先日も会ったばかりで、元気にやっていたんだに」
福島さんとはやはり同職の先輩で、一度我が家にも来ていただいたこともある。
「わからんもんだなあ」と、先輩は同年の友人の死に思いを深くしている様子だった。
「お互いに気をつけなきゃな」
「そうですね」
「またどこかで飲もうや」
「ありがとうございます。また奥様とご一緒にうちにもお出かけください」
奥様と私は若い頃職場の同僚だった。
「うん、伝えておく。じゃあまた」

台風の去ったあと、気温が一気に上昇した。
ルドベキアタカオの花にムギワラトンボとベニシジミがとまっていた。

  炎帝の昏きからだの中にゐる  (柿本多映)

タカオにムギワラトンボ

タカオにベニシジミ
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ナナフシ(七節・竹節虫) ~柄が動いた~
- 2017/08/09(Wed) -
七節170

それは一昨夜のこと。

自分の部屋で机に向かっていた。
そこには彫刻作品が10点余置いてある。
時折、気分転換や目を休めるためにそれらをボーッと眺めたりする。
その時だった。
カーテンの柄が動いたように見えた。
最近また遠近の調節がうまく機能しなくなってきている。
錯覚だろうと思った。
でもやはり動いている。
椅子から立ち上がって近づいてみた。
「ああ」
柄だと思っていたのは七節だった。
少しずつゆっくりとカーテンの上の方へ移動していく。
それにしても締め切った部屋になぜいるのだろう。
どこから入ってきたのか不思議だ。
机に戻って事の続きを進めた。

翌朝、雨音を聞きながら同じように坐ってカーテンを眺めた。
いなかった。
そばによってカーテンを開いたり閉めたりしてみたが見つからない。
レースも確かめる。
部屋中の床や天井、壁棚などをくまなく探したが姿はどこにもない。
締め切ってあるのに何処へ行ったのだろう。

七節がくれた今年の夏の一つの思い出。

   八月の月光部屋に原爆忌 (大井雅人)

七節171

七節172

七節173

七節174

七節175

七節176
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キバナコスモス(黄花秋桜)  ~夏休み~
- 2017/08/07(Mon) -
キバナコスモス171

畑をしていると子どもたちの声が聞こえる。
ラジオ体操へ行くらしい。

夏休みかあ。

庭にはキバナコスモス。
アブが楽しんでいる。

   夏休みありき人生論読みき   (橋本風車)

キバナコスモス173

キバナコスモス174

キバナコスモス175
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ユウギリソウ(夕霧草)  ~桃とかわいい訪問者~
- 2017/08/06(Sun) -
ユウギリソウ171

チャイムが鳴った。
隣の松山さんところの恵子さんだった。
「こんにちは、桃を持ってきました」
いつも笑顔で爽やかなお嬢さんだ。
大きな桃が10個入った箱を手にしていた。
90歳を超えるおじいさんがお一人で桃の栽培をされていらっしゃる。
少し離れた所に住んでいる孫の恵子さんは毎日実家にやって来て早朝からそれを手伝っているのだと。
後ろによちよち歩きの「しん君」の姿がある。
なにやら輪の付いた木製の奇妙なものを紐につけて曳いてきたようだ。
お気に入りで手放さないという。
前回見た時はまだ抱っこされていたのに、もう歩けるようになったのだ。
庭のあれこれに興味があるようで、手で触ってそれがどんなものなのかを確かめている。
その仕草が愛らしい。

裏の畑に回って貰い、トマト、ゴーヤなどを袋に詰めて差し上げた。
「しん君」は早速、ミニトマトを口にした。
そして木製のオモチャをごろごろ音を立てながら恵子さんに手を添えられて大おじいちゃんちへ戻っていった。

毎年こうして美味しい桃を届けてくれる隣人に、嬉しい気持ちと感謝するばかり。

  まだ誰のものでもあらぬ箱の桃  (大木あまり)

ユウギリソウ172

ユウギリソウ173

桃949
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グラジオラス(Gladiolus・和蘭菖蒲)  ~並んで買う~
- 2017/08/05(Sat) -
グラジオラス170

「直売店へ行って桃を買ってきて」

当地は果樹栽培が盛んな町。
大規模な選果場が近くにある。
ここではその時期に合わせて桃、梨、林檎などの選別作業をする。
今は桃がピークを迎えている。
丸い整った形、まんべんない色付き、無傷、それから少し外れたものは規格外とされる。
それらが規格品の3割ほどの価格で隣の直売店で販売されているという。
もちろん見た目だけの問題であって、味にそう変わりはない。
それを買ってきてと言うのである。

店のオープン5分前に着いた。
驚いたことにすでに20人ほどが並んでいる。
入り口は店の左右の2箇所。
左側は通常出荷品と贈答用が並ぶところ、そしてもう一箇所が規格外品の箱売り。
すべての人がその右側に並んでいる。
店で並んで購入したり飲食することを苦手とするし、そんな経験はほとんどない。
しかし頼まれた以上、手ぶらで帰るわけにはいかない。
ドアが開く。
人々が一斉に積み上げられた箱の山の前に流れる。
「はい」「はい」と、連携して5,6個も手渡しで台車に乗せる夫婦。
多くの人は一人で3個ほど抱える。
山はあっという間に低くなっていく。
ようやく手が出せる位置に立ったときは数個ほど。
一つなんとか手に取ることができた。
会計を済ませて、出ようとするときには箱はすべてなくなっていた。
10分くらいのことだった。

「すごい人だった」とひとこと言って渡した。

    グラジオラス一方咲きの哀れさよ   (村山古郷)

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ルドベキア・タカオ(Rudbeckia・triloba ‘Takao’) ~夏の陽射しの中で~
- 2017/08/02(Wed) -
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玄関チャイムが鳴った。
立っていたのは半ズボン姿の清人さんだった。
「枝豆持ってきたで」
手には立派な枝豆の束。
「ありがとう、うれしいなあ。寄っていって」
「そうもしておれんのな。孫たちが来てワンワンしていて」
「では今度時間を作って、ゆっくりと」
「ん、じゃあ」と、そくそくに車に乗り込んだ。

いつも笑みを浮かべて優しい顔の彼は行政書士。
先日は奥さんの穂波さんがいろいろな夏野菜を持ってきてくださった。
二人は若い頃から「清人君」、「穂波さん」と互いを名前で呼び合うほど、仲睦まじい素敵なご夫婦だ。
車で5分ほどの所に住んでいて、遠い親戚になる。

今を盛りと、庭を縁取るようにルドベキア・タカオが咲く。

  或時は谷深く折る夏花かな  (高浜虚子)

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クロコスミア(Crocosmia・姫檜扇水仙)  ~「子ども食堂」~
- 2017/07/29(Sat) -
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畑作業の後、シャワーを浴びて一休みしていたときだった。
「こんにちは~」と山岡さんが玄関に。
お嬢さんは一人でNPO法人を立ち上げて「子ども食堂」を始めた。
「ジャガイモの煮っ転がしを持ってきました」
白いお皿には艶のある茶色のタレに包まれた小粒のジャガイモ。
「先日いただいたジャガイモで煮っ転がしを作って出したら、みんな美味しいと喜んでくださって」
少し前に家で収穫したのを、食材に利用して頂ければと届けたのだった。
その中の小さいのを丸ごと煮っ転がしにしたとのこと。
数日前にも大きなジャガイモを使ったカレーを鍋に入れて持ってきてくださった。
却って申し訳ない。
ちょうど採ってあったトマトとゴーヤを差し上げた。
「子ども食堂」の方は子どもたちの参加が増え、いっそう賑わい忙しいようである。
いつでも誰でも自由にをコンセプトにしているので、その日によって余ったり、足りなくなったりもするようだ。
ほとんどの料理はお母さん(山岡さん)が手がけている。
できる形で少しでも協力と支援をしていきたい。

クロコスミアが濃橙色の花を咲かせている。

  夏休みありき人生論読みき   (橋本風車)

クロコスミア171

クロコスミア172
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クロホオズキ(黒鬼灯) ~わかります?~
- 2017/07/27(Thu) -
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昨晩、女性の声で電話があった。
「こんばんは、小笠原よしみです。わかります?」
「ああ、よしみさん?もちろんわかるとも」
あの頃の顔がさっと思い浮かぶ。
何年ぶりぶりだろう。
10年?いや20年経つか。
今は銀行に勤めていて、そのお付き合いの酒の席からだと。
一緒のお相手が偶然に私の昔の先輩同僚で、その共通の話題に話が弾み、懐かしくなり電話をかけたという。

仕事関係で彼女と繋がりができたのは20代後半の頃だった。
笑顔を絶やさない朗らかさが印象に残る。
異動の後、当時のみんなで集う会で2度ほど会ったような気がする。
それ以来である。

先輩が換わる。
「今度家に行くから、一緒に飲もう。彼女は強いぞ~」
だいぶ酔っている様子。
先輩は陽気で歌と酒好き。
「楽しみにお待ちしています。都合のいいときにお出かけください」
でもほんとを言うと今の私はあまりアルコールは…。
ともあれ嬉しいこと。
雰囲気を楽しみ旧交を温めよう。

庭の黒鬼灯もだんだんに青い花を見せはじめた。
この花は午前中は休んでいて、気温が上がる午後になると咲く。
お暑いのが好きのよう。

    くさぐさの色目や夏のおもむきに   (上川井梨葉)

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