フウリンオダマキ(風鈴苧環) ~暑い中を来て下さった~
- 2017/05/21(Sun) -
風鈴オダマキ775

叔父が来て下った。

先日、「持っていきたいものがあるから」と電話があった。
「私の方で伺います」というと、「たまには外に出ないと、却って体にも良くないから」と返事された。
最近、高齢者の重大な交通事故(特に加害者として)がニュースとなる。
叔父はもう80も後半、片道40分の車の運転が心配になる。
しかし、出かけるのを楽しみにしている様子に、「わかりました」と。

持ってきてくださったのはルリタマアザミの実生の株だった。
「お宅にはなかったんだよな」と。
二年前にその切り花を持ってきてくださった時、初めて見た私が「きれい」だと言ったのを覚えてくださっていた。
そんな気持ちをありがたく、大事に育てる。

「月見草もそろそろ咲くかな」
今丁度蕾を付け始めているそれも、3年前に叔父が持ってきてくれたものだった。
この1週間のうちには咲いてくれるはず。

そんなこんなの会話をして1時間ほど、「そろそろ」と言って腰を上げる。

「だいぶ腰も曲がってきてな」と、外出には常に杖を頼りにするようになった叔父。
手を添える。

車が出た後、薔薇の端に場所を決め、すぐに植えた。

李の下では風鈴苧環が咲いている。
叔父も山野草が好きである。

   苧環や木曾路は水の音の中   (蟇目良雨)

風鈴オダマキ770
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ツツジ(躑躅) ~「蕗を持ちに来て」~
- 2017/05/18(Thu) -
白躑躅173

「蕗を皮を剥いて煮てあるので、持ちに来て」と義姉から電話。
「すぐに行きます」
車を走らせてで5分ほど。
レジ袋に入れて用意してあった。

軽トラがないので尋ねる。
「これからは畑も、少しずつやめていくつもり。だから車はもう2台もいらないかと思って」

わかる。
一人住まいだし。
必要なものを必要なだけにして、生活を軽く、コンパクトにしていく。


「また、お茶にお出かけください」
「そうね、近いうちに」

白い躑躅が咲く。
ところどころにピンクの模様が不規則に入り、それがそれぞれの花のポイントとなっていい感じだ。

  花びらのうすしと思ふ白つつじ  (高野素十)

白躑躅172

白躑躅171
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サツキ(皐月) ~突然のことを受け入れられず~
- 2017/05/17(Wed) -
サツキ171

義理の叔母を見舞いに行った。

高齢で一人暮らしだった。
春先に風邪をこじらせたといって、受診のため近くの病院に行った。
そこで倒れた。
脳梗塞だったという。

病院の中でよかった。
もし家だったら、そのまま動けず、誰にも知られなかったかもしれない。
卽入院ということになった。

すぐに見舞いをと思ったが、諏訪に住む娘さんによると、今はだめということだった。
それは病状に因るものでなく、叔母自身の気持ちからだった。
話せず、歩けずになったそんな姿を見せたくないということだ。
それまで何もかもすべてを一人でこなしてきた気丈な叔母、その現実を受け入れられないのだ。

待つことにした。
そして、「気持ちが落ち着いたようですのでもう大丈夫です」と。
入院してからすでに三ヶ月以上が経つ。

ちょうどリハビリの最中だった。
あのふくよかな叔母の顔は半分ほどの大きさになっていた。
それは入れ歯がなくなっていたこともあるかもしれないが、明るく元気なしゃきしゃきの姿からはあまりにも変わっていた。

私たち二人の顔はすぐに分かったようだ。
わずかに動く目で見つめて頷く。
それは嬉しさと悲しみが入り交じった表情にも見えた。
こちらの話していることはほとんど理解している。

あまり、時間を取ってはいけないので、お暇することを伝える。
すると、叔母の目が潤んできた。
「また来ますからね」と手を握ると、首が少しだけ上下に振れる。

このままずっと入院(あるいは介護施設への入所)ということになり、もう自宅に戻ることはかなわないと思われる。
精神はしっかりしているだけに、叔母の辛さといったら…。

さつきが咲く。
叔母は俳句と花好きである。

   濡れわたりさつきの紅のしづもれる  (桂信子)

サツキ172

サツキ173
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キバナイカリソウ(黄花錨草) ~草を刈る~
- 2017/05/13(Sat) -
黄花錨草171

草がぐんぐん伸びる。
日増しにその勢いは周りに緑を広げていく。

土手とその下の河川敷のを草払い機で刈り取る。
うなるエンジン音の間に、時々、カキーン、カキーンと刃が石に当たって高い音をたてる。

耳にラジオのイヤホンをして、一人で黙々。
燃料を2度補給して、予定した範囲をすべて片付ける。

モノをよりよい状況に維持するには労力と時間がかかるものである。

黄花錨草がその名のユニークな形に咲く。
シルクのような光沢のある淡黄色の花である。

  うすうすと窓に日のさす五月かな  (正岡子規) 

黄花錨草172

黄花錨草173
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シャガ(著莪) ~お隣さん~
- 2017/05/12(Fri) -
シャガ171

近くの大原さんが訪ねてこられた。
井水組合の集金だった。

家の横を幅が40㎝ほどの井が流れている。
しかし私は田を作っているわけではない。
ただ、井に隣接する家は多少なりその恩恵に預かっているということで協力金を負担するのである。
昔からそういうしきたりになっている(らしい)。

ついでにあがって彫刻のことや世間話をしていかれた。
近所の方と会話をするのは楽しいし、さまざまな社会の情報を教わる事が多い。
こうしたさりげないかかわりによって、さらに相互の親睦や信頼も深まるものだ。
田舎ならではのこと、大事にしたい。

李の木の下に著莪の花。
別に胡蝶花の名もあるという。
白い花びらに青紫と蜜柑色の斑模様のアクセント。
その彩りはたしかに美しい蝶を連想させる。

  紫の斑の仏めく著莪の花  (高浜虚子)

シャガ172

シャガ173

シャガ174
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三渓園 ~たまには田舎から出て~
- 2017/05/08(Mon) -
三渓園171

たまには田舎と違う空気を吸って文化に触れてくるのもいい。

朝5時34分の高速バスに乗って9時15分新宿バスタに到着。
新宿湘南ラインに乗り換え横浜へ。
横浜そごうのバスターミナル2番乗り場から市営バスに乗り、中華街などを通り過ぎて約35分。
バス停から住宅地を5分ほど歩けばそこは目的地、“三渓園”。

53,000坪という広大な敷地の中を、案内順路に沿って歩く。
地形を生かした自然豊かな庭園と織田、豊臣、徳川等々縁の17棟の歴史的建造物が一体となって静かにとけこむ。
それはわびさびの空間であったり、時代を映す文化の息づかいであったり、歴史のある時間だったり。
たとえば千利休“身代わり灯籠”などがそうした時空を駆け巡らせてくれる。

都市と切り離されたかのような丘陵の一角だが、展望台に上がると、そこから見えるのは海と高速道路と工場群。
これもまた現代と過去が混在する不思議な景色である。
三重塔を見て、帰りのバスの時刻を意識しながら少し端折り足早に歩を進める。
一時間半ほどで正門に辿り着いた頃には、家人は多少疲れ気味ではあったが、顔には堪能した表情を浮かべていた。

これらすべてが一実業家によって造営されたというのだから驚きというほかない。
そしてまた、園すべてそのものが匠の誇りと意識の高さがあまねく貫かれた寸分無駄のない総合芸術という感がする。
できれ春夏秋冬、それぞれの季節の景観と彩りを味わいたいと思いつつ、副都心の宿に向かう。

  門川に流れ藻絶えぬ五月かな  (河東碧梧桐)

三渓園172

三渓園173

三渓園三重塔

三渓園襖絵

三渓園身代わりの石灯籠
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スイセン(水仙)  ~取り出した本~
- 2017/04/27(Thu) -
うたのある風景

書架から取り出して読んでいたのは『うたのある風景』、今から30年ほど前に発刊された古い本だ。
筆者はこの四月初めに亡くなられた大岡信さん。
訃報のニュースを見て、今一度その文章に触れてみたくなった。
『うたのある風景』は随筆集で67編が収められている。
季節感の濃さ、観察と批評の深さは言うまでもないが、その綴られる文章もまた清流のようにまことに心地よい。
「あとがき」で随筆について述べた箇所がある。

 随筆は短い文章である。(略)短い文章はだらだら長い文章よりもずっと難しい。
 それはいかに惜しかろうと捨てねばならぬ材料が多いからだし、一語一語にかかる全体の比重も大きいからである。
 何よりもまず、随筆にする材料を選ぶのは難しい。
 筆に随って思いのままに何でも書けばよろしい、というようなものではない。

評論家、詩人として言葉の重みを大切にしてきた大岡さんの思いの一端を感じ取ることが出来る。

“山のあなたの空遠く、「幸(さいはひ)」住むと人のいふ。”で始まるカールブッセの詩についても取り上げている。
そこには時代の懐かしさと、最近のできごとに連なる叙述もあって興味深いものがあった。

 人には何となくおぼえこんでいる名文句とか愛誦詩の一節とかがあるものだ。
 詩句や文句の意味そのものに対してはもはや感動をおぼえることもないのに、ふと口をついてよみがえると、一瞬心がなごんで
 やさしい気持ちになることがある。
 「山のあなたの空遠く」というこのドイツの一叙情詩人の小曲は、そう言う意味ではずいぶん大勢の日本人にとって、「何となくおぼえている」  愛誦詩だったともいえるものではなかろうか。
 さすがに今では古びてしまったような気がするが、ある落語家がこの小曲をもじった新作落語で「山のあなあな」とやって大受けに受けたのは、決して大昔のことではなかった。

当時、新作落語で「山のあなあな」とやったある落語家とは、先日亡くなった三遊亭円歌さんだった。
(私達には〈歌奴〉の名の方がなじみ深いが)
随筆の中に取り上げて書いた人と取り上げられて書かれた人が、同じ四月に旅立たれたその偶然。

時々、古い本を取り出して読むのもいい。
なぜ自分がその本を残したのか、そんな意味を思い起こさせたり、欲したその頃の自分に遡ることもできる。
あと少し、残っているが今日中には終えそうだ。

庭ではまだいろいろな水仙が咲いている。
  
  一茎の水仙の花相背く  (大橋越央子)

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水仙2173

水仙2174
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シュンラン(春蘭) ~犬と青大将~
- 2017/04/26(Wed) -
春蘭171

竹林さんがいつものように愛犬を連れて散歩していた。
大型の黒いラブラドール・レトリバーだ。
見るからに力がありそうで、体重は40㎏ほどあるという。
人なつっこく、顔を近づけて愛想を振りまいてくれる。
艶かな美しい毛並みはなかなか魅力的である。
と、動きが止まり、シモツケの辺りを凝視している。
「何かを警戒しているな」と竹林さん。
顔を出したのはアオダイショウ。
「家の周りにもよくおるんな」とも。
もちろん私の家でも年に何度か現れ出る。
3人(2人と犬一匹)で、彼を見る。
全身を現した時、長さは1㍍を有に超えていた。
逞しい竹林さんだが、「オレはヘビはダメよ」という。
それはゆっくりと、私の外の作業小屋へ入っていった。
黒い彼はまた前足を私に掛けるようにして関わりを求めて来る。
「散歩の邪魔したね」と言って、頭を撫でて別れる。

いよいよヘビも季節か…。
実は私も大の苦手なのである。

二株の春蘭にも花が見られるようになった。
そばには桜の花びら。

  春蘭を得し素朴なる日を愛す (吉田草風)

春蘭172

春蘭173

春蘭174
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ヒメリュウキンカ(姫立金花) ~電話~
- 2017/04/22(Sat) -
ヒメリュウキンカ171

ラジオでは俵万智の『サラダ記念日』に触れて、“家電話”のことが話題になっていた。
それが発刊されたその頃は携帯電話はなかった。
だから電話というはわざわざ断らなくても当然固定電話のことを指す。
しかし、現在は携帯端末の普及に伴い、その区別の概念として新たに「家電話」という言葉が生まれたのだと。
作家の言葉に頷きつつ、その当時、自分も「〇〇記念日」を付けて、歌遊びをしたことを思い出していた。

「叔父さんから電話」と、呼ばれた。
話すのは去年の秋以来になる。
「いただいて鉢植えにしておいた柏葉紫陽花がしとなっとるが、地面に植え替えた方がいいかな」
「地植えするとかなり大きな株になるので、植える場所をよく考えた方がいいですよ」
「そうかな、じゃあ今年はそのままにしておくか。また見にお出かけて」。
ご自身は車の運転での外出は控えていらっしゃるようだった。
「それから、ルリタマアザミの実生もたくさん出てきているんだが、いるかな」
来週、二人で訪ねることにした。

風呂を出ると電話が鳴った。
義兄からだった。
「緑を守る会」についてだった。
町の生活環境について、樹木の維持と豊かな緑を大事にした景観保持を訴えていた。
その趣旨説明と賛同をということだった。
日を改めて直接話をしたいという。
了解した。

庭には艶やかな黄色い花が咲いている。
姫立金花という。

  野の花に「またありがとう」と春の日   (あや)

ヒメリュウキンカ172

ヒメリュウキンカ173
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ハナニラ(花韮・Ipheion) ~挨拶状と思い出~
- 2017/04/19(Wed) -
ハナニラ171

昔の同僚から退職の挨拶状が届いた。
38年間を勤め上げたと。
一緒の時の懐かしい思い出が手書きで添えられていた。
事務的に通り一辺倒でなく、そんな心遣いを常に持っていた。
誠実、勤勉、適確、信頼、そんな言葉を着ているような仕事の出来る人だった。
これから先のことは書かれていない。
完全にリタイヤして趣味に没頭するのだろうか。

それぞれに新しい生活を始めている四月。

ハナニラがあちこちに顔を出している。
知らないうちに増えている。

    縁とは絆とは春の愁かな (富安風生)
 
ハナニラ172
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クリスマスローズ(Christmasrose)  ~「おめでとう」「アハハハ」~
- 2017/04/05(Wed) -
クリスマスローズ965

いつものように定時のニュースを見ていた。
全国放送の後、地元局に切り替わる。
「今日はS大学の入学式がありました。今年の新入生は8学部合わせて2100人余りです」
体育館での式のあと、外へ出てきたにこやかな顔をした女学生のインタビューが映し出される。
「あっ」と思わず声が出る。
画面の中で受け答えしているのは、母親が以前にその合格を報告してくれた子だったからだ。
あどけない中学生の頃のイメージしかないが、大学生らしい落ち着いた顔になっていた。
続いて“S大学入学式”の看板の前にその子と挟んで立つ笑顔の母親の姿も。
ニュースの後、すぐに母親に電話した。
「おめでとう。今テレビ見ていたよ」
彼女は「アハハハ」と大きな声で笑った。
それにはテレビに映ったことへの嬉しさと恥ずかしさが入り混じって、戸惑いを隠すような照れを感じた。
「良い思い出になったね」と私。
「帰省した時にまた一緒に出かけます」と。
大勢の晴れ姿の中からカメラに選ばれた偶然とそれをたまたま家で寛いで見ていた偶然。
そうそうあるものでなく、少しの時間、私の顔には楽しい笑みが続いた。
教師を目指すという彼女、その目的達成のため四年間の中で多くのことを学び、身につけて欲しいと願わずにはいられない。

庭のクリスマスローズも今が盛り。

  入学の子の顔頓(とみ)に大人びし  (高浜虚子)
 
黒クリスマスローズ966

黒クリスマスローズ967

黒クリスマスローズ968

クリスマスローズ996
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マンサク(満作・金縷梅) ~開ける、開けられない~
- 2017/03/30(Thu) -
満作1724

毎日使う器具の動きが弱くなってきた。
パワーが低下しているようだ。
電池の交換することにして、収納蓋を開けようとした。
が開かなかった。
何度もチャレンジしたがダメだった。
これまでは簡単にできたはずなのだが。
いろいろな補助具を使ってなんとか開けた。

手指の力に加え、その操作力も衰えている。
前に出来ていたことが出来なくなりつつあることの現実を認識する。
今はこうしてゆっくりと坂道を下っているのだということを自分に言い聞かせる。

二月下旬に咲き出したマンサクはまだ盛りの様を見せてくれている。
ひょろひょろとしたその独特の外観にもよらず開花期間は意外と長い。
この黄色い紐花が地に一面広がる頃には葉も出始めるはずである。

   まんさくや中也詩集の染み一つ  (火村卓造)

満作1723

満作1722

満作1721
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レオパとレオコ(ヒョウモントカゲモドキ・豹紋蜥蜴擬) ~いやされて~
- 2017/03/24(Fri) -
レオパとレオコ517

レオパとレオコはすっかり仲良し。
最初は年寄りと若い子を一緒にしてどうなるかと心配したが。
今ではその年齢差も厭わず、互いにスキンシップして平和に同居する。
やはり同類の肌は馴染むのだろう。
脚を乗せたり体をくつけ合ったり。
交互に上になったり下になったり。
心を通わせ、信を寄せ、互いの存在を認め合うように。

掌に乗せるといい子で目を細めてじっとしていたりする。
睦まじい二人を見ていると、こちらまでも心穏やかになる。

明日は部屋を掃除してあげよう。
それからお風呂にも入れててきれいに。
かわいいお客さんがお見えになる日だ。
ふたりもご挨拶しなくては。

今朝は弓形の春の月が東の山なみのすぐ上にある。
「きれいだ」

  外にも出よ触るるばかりに春の月  (中村汀女)

レオパとレオコ518

レオパとレオコ519
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クンシラン(君子蘭) ~お伺いしていいですか?~
- 2017/03/23(Thu) -
君子蘭171

携帯が鳴った。
唐鍬の楔を買いにホームセンターへ向かって歩いているところだった。
遠く九大で学ぶ彼女の名が表示される。
昨夏、帰省した折には祖母と訪ねて来てくれ、学びの様子や、学友とのふれあいなどを楽しそうに話してくれた。

「やあ久しぶり。もう春休みになったのかな」
「はい、それで妹たちがどうしても遊びに行きたいって言うんですが、お伺いしていいですか?」
「そうか。ツインズも進路が決まったのかい」
「ええ、ノリは…へ、マリは…へきまりました」
「それは良かった。で来るのはいつ」

仲良し三姉妹である。
双子の妹たちも進学先が決まり、家を離れる前に揃って遊びに来るとのこと。
我が家には女の子はいないので、今時のどんな話題が口から飛び出すか楽しみである。

迎える部屋には丁度、満を持してのクンシランが鮮やかなオレンジの花をまとまり咲かせる。
葉に抱かれるようにした花芽を見つけたのは今から約ひと月前だった。
少しずつ茎を伸ばし、蕾を膨らませ、色を纏い、閉じられた袋の先を一つひとつ開いていく。
今日はどうか、まだかまだかと毎日のように眺めてきてようやくである。
まさにグッドタイミング。

来るのは土曜日の午後。
ちょっときれいにして迎えよう。

   君子蘭整理のつかぬ文机  (北さとり)

君子蘭175

君子蘭174

君子蘭173

君子蘭172
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クリスマスローズ(Christmasrose)  ~それぞれのはるやすみとさくらのかいか~
- 2017/03/22(Wed) -
赤紫クリスマスローズ171

テキストを買いに本屋へ行った。

いつもと違って子どもの姿が多いのに気がついた。
そうだ、春休みだ。
進級、進学へむけての準備のこの時期。
いいなあ。

昨日で12月から進めてきたのが終わった。
また新たに始める目的の3冊を購入した。

毎日続ける。
少しずつでも。
例外を作らない。
これが自分で決めたこと。

東京では桜の開花だという。
庭にも花姿がだいぶ増えてきた。
葉も花も同じような濃い赤紫のリスマスローズがある。

   春休み子等の大地の賑はひに  (川畑火川)

赤紫クリスマスローズ172
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クロッカス(Crocus)  ~水と花と線香の香りと~
- 2017/03/21(Tue) -
クロッカス171

墓地は歩いて30分ほどのところにある。
そこまでの道のり、野の花や家々の庭を見ながら歩を進める。
特産小梅の白梅の広がりを抜けると、もうそこである。
天竜川を見下ろせる眺めの良い地。
すでに多くの墓に新しい花が供えられている。

一連のことを済ませ、手を合わせる。

同じコースを返す。
畑地や果樹に、シロハラ、ムクドリ、ツグミ、ヒヨドリなどを見る。
チョウも飛ぶ。
風もなく、適度な運動にもなった。

2日ほど前からクロッカスも咲く。

  月日過ぎただ何となく彼岸過ぎ (富安風生)

クロッカス170
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クリスマスローズ(Christmasrose)  ~静かに溶け込んで~
- 2017/03/19(Sun) -
緑クリスマスローズ723

自治会の本年度の決算について会計監査をした。
諸帳簿等全般において適正に処理されていることを確認し、会計報告書に署名捺印をする。
滞りなく済み、ほっとした表情を浮かべる会計さんを労う。

薄緑のクリスマスローズが咲いている。
花は葉色と似ているので、紛れてあまり目立たない。
それぞれの持ち味。
そんな姿に共感を覚えたりする。

  花咲くといふ静かさの弥生かな  (小杉余子)

緑クリスマスローズ722
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フキノトウ(蕗の薹) ~ほろにがい旬~
- 2017/03/18(Sat) -
フキノトウ682

子どもの頃から大相撲が好きだった。

テレビ中継の取り組みの合間に昔の力士の映像などが流れると見入る。
先日は一世を風靡したいわゆる栃若時代の栃錦と初代若乃花の一戦が白黒で映されていた。
激しい攻防の熱戦の末、若乃花が勝利した。
勝負のあとのその表情を見て、「土俵の下には銭が埋まっている」という、“土俵の鬼”と言われた彼の言葉を思い出した。

次の柏鵬時代では、私はなぜか柏戸の贔屓だった。

新しい流れを感じさせる今場所、優勝の行方が楽しみである。

個人的にはせつない思いもある。
親しくしていた君の四股名が番付から消えてしまったからだ。
高校卒業して入門し、精進を重ね昨年ようやく三段目まで昇った。
中学生の時から知っているだけに、【郷土の力士成績】欄にその名がないのは淋しい。
また新たな境地のもとで、自身の人生を切り拓いていって欲しいと願う。

フキノトウを取った。
まだ薄皮を被っているモノもあり、それは残した。
味噌汁に入れた。
春の香りがした。
ほろ苦かった。
次は蕗味噌もいい。

  洗ひても蕗味噌練りし箸匂ふ  (金だみき)

フキノトウ683

フキノトウ684
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ユキワリソウ(雪割草)  ~♪はるかな空の果てまでも 君は飛び立つ♪~
- 2017/03/17(Fri) -
ユキワリソウ1731

夕方のニュースを見る。
「県下の小中学校は卒業式のピークを迎えています」
アナウンスとともに流れる映像。

きりりとした姿の子等とその確かな成長を見つめ喜びを深くする保護者の顔。
画面のこちら側でその晴れやかな場を嬉しい思いで共有する。
今の別れと旅立ちの余韻はしばらくしてまた新たに始まる希望と期待に充ち溢れていくのだろう。
三月は少年と少女の胸を熱くする素敵な季(とき)である。

そんなこととは無縁だが、同様にこの時期を自分の一つの節目として意識化する。
歳に肯いつつも新たな未見の我を見つけるべく。
その時々の初心。

伸び出した秋明菊の葉に囲まれるように濃いピンクの小さな花があるのを見つけた。
ひょろっとした細い茎にたくさんの蕊、これも雪割草のようだ。
昨日までは気づかなかった。
そこに植えた記憶もない。
ひょいとしたそんな発見が楽しい日々である。

   ゆく雲の遠きはひかり卒業す  (古賀まり子)

ユキワリソウ1732

ユキワリソウ1730
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シブガキ(渋柿) ~伐る~
- 2017/03/16(Thu) -
渋柿伐採601

混合油を買いにホームセンターへ出かけた。
チェンソーの燃料だ。

ついでに園芸売り場も見る。
ジャガイモの種芋が売られていた。
畝の準備はまだしていない。
畑作業も煽られる。
月末までにはなんとかして植えられるようにしよう。
パンジーをはじめとした色とりどりの花も並ぶ
それらの花々に誘惑されそうだった。
財布の紐を締める。

4L缶を購入した。

伐ったのは結構の高さになっていた渋柿だ。
三脚などを駆使しても手が届かず、収穫するに困っていた。
2時間ほど掛かった。
離れたところにあるもう一本の渋柿は残す。
少しでも自家用の干し柿作りは続けよう。

思えばこの1年でだいぶ木を伐った。
生活をコンパクトなものにしていこうと思った。
まだまだだ。
もっともっと。

   春といふ大いなる掌の上  (内藤悦子)

渋柿伐採600
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ユキワリソウ(雪割草)  ~それぞれにあるモノやコトからの卒業~
- 2017/03/15(Wed) -
雪割草570

大きな市庁舎を過ぎて左折し、天竜川と並行して走る国道を南に向かう。
その時である。
家人が助手席から身を前に乗り出して声を上げる。
「あれ、あれ、見て。大きい鳥が飛んでいる。あれ何?」
フロントから見える上方に大きな翼を広げて一羽の鳥が飛んでいた。
「アオサギだよ。ほら、魚を咥えている」
「アオサギ?へえ~」
悠然と飛んで視野から消えた。
広い河川敷に目を遣ると、他にもいろんな鳥の姿があった。
用あって、数十㎞離れたI市に行った帰路のことだ。

ラジオはそれぞれの「卒業」やその思い出について語っていた。
尾崎豊の歌が流れていた。

庭にはまた一つ雪割草が咲いた。

   潦あれば日があり卒業す  (秋元不死男)

雪割草571
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クリスマスローズ(Christmasrose)  ~きせつの便り~
- 2017/03/14(Tue) -
クリスマスローズ366

気象予報士が教えていた。
鶯の初鳴きが各地で始まっているのだと。
すでに銚子、熊谷、前橋など、関東でも観測されたという。
もうそうなのか。
その美声がこの地に響き渡るのもそう遠くはなさそうだ。

耕していたらミミズが出てきた。
結構太く長かった。
今年初めてのご対面である。
突然明るいところに引っ張り出されてびっくりだったろう。
小さな命にも春の光。

スーパーに買いものに付き合った。
「ねえ、ウルイが出ているよ!」と手に取って私に見せる。
薄黄色のスーと伸びたやわらかな葉が数枚パックに入っていた。
野菜として売られているとは知らなかった。
早い気がするのはハウスで栽培されているからなのか。
大葉擬宝珠は家にいく株も植わっている。
旬の時期に好きな時に好きなだけ取って食べる。

いろいろな季節の便りが届くこのごろである。

   ホワイトデーお返しの形は心だけ (あや)


クリスマスローズ367
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フキノトウ(蕗の薹)  ~思い出す景色がある~
- 2017/03/11(Sat) -
フキノトウ171

数日前、懐かしいメロディーがラジオから流れてきた。

♪四つ葉のクローバー
♪ノートにあった
♪あのときあなたが
♪つんでくれた

歌うのは初めて聞く名の“アプリコット”という女性グループだった。
私が覚えているその『四つ葉のクローバー』はガロの歌だ。
それはそうと、一緒に口ずさんだ。

先日亡くなった“かまやつひろし”さんの作曲である。
ミュージックセレクターが彼へのトリビュートとして選曲した中の一つだった。
髪の長い頃を思い出した。

庭の片隅ではフキノトウが出て丸くなり、伸びてきた水仙の葉と寄り添っている。

心静かに春の今日。
心鎮めて春の今日。

   西行のいのちの山ぞふきのたう   (太田鴻村)

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クリスマスローズ(Christmasrose)  ~いただきます~
- 2017/03/10(Fri) -
黄色クリスマスローズ171

「ホウレンソウいる?」
義姉から電話があった。
「うれしい。いただきます」
「じゃあ、これから持って行くから」

車で数分のところに一人住まい。
手にするレジ袋にはいっぱいの大きな葉のホウレンソウ。

あれやこれやのよもやまの話。
臘梅や満作に梅桜、叔父さんの紙細工に近くの温泉での同級会、彫刻と展覧会と歌会…。
久しぶりに話が弾む。

「そういえばこのあいだ、家の土手を雄の雉が歩いていましたよ」
「どこか近くに巣があるんじゃない?」
「そうですかね」
「下の河原の田圃にはよく巣があったのを覚えている。すぐ近くまで刈っても逃げないのよ」
これまでに何度か庭をのんびり歩くことはあったが、巣を見たことはない。
言うように、きっとこの辺のどこかの草むらにあるんだろう。

感性豊かな歌人である義姉はいつも場を和ませ、穏やかな気分にさせてくれる。
時計を見て、昔からの友人が来るのだと帰られた。

さても春の団体さんは少し足踏みする。
青空のポカポカ陽気は変わって冷たい強風になったり、雨はまた戻って雪に、そして睡蓮鉢にはうすらいすらも。
これだから三月というは楽しい。

  薄氷に書いた名を消し書く純愛  (高澤晶子)

黄色クリスマスローズ172
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クリスマスローズ(Christmasrose)  ~今でも覚えている~
- 2017/03/09(Thu) -
薄赤クリスマスローズ173

風が強い日だった。

高校入試だったらしい。
テレビで受験に臨む様子が映し出されていた。
無事に全力を出し切れただろうか。

進路の決定。
15の春…。
遠い昔のことだが、いろいろのことをなぜか覚えている。

「大丈夫よ」「大丈夫」

クリスマスローズは春を喜んでいる。

  受験子の言葉少なに戻りけり   (梅田實三郎)

薄赤クリスマスローズ171
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キジバト(雉鳩)  ~春の煙~
- 2017/03/05(Sun) -
雉鳩940

町内一斉の土手焼きの日だった。
朝、至る所から煙が上がっているのが目に入る。
私もそれに合わせて、庭から出た草木を焼いた。
風知草を焚きつけにし、木蓮の落葉や冬に切り落としてあった栗、花梨などの枝を。

役場は広報で、水を用意することと決してその場を離れないようにと伝える。
そして風が強くなった際には消火し、土手焼きを中止するようにと。

レーキを使って燃材を時々まとめるようにかき寄せた。
風はなかったが、ラジオを聞きながらずっとそこにいた。
1時間半ほどで燃え尽きた。
細かできれいな灰が出来ていた。

19日には「道作り」だという。
こうして周りからもだんだんに春仕事を促される。

毎日のように雉鳩が庭に遊びに来てくれる。
そのユーモラスな歩き方や姿態に癒やされる。
それにしてもまあ、よく霜土の上を裸足で。

   啓蟄の鳥語すずろに美しく  (後藤夜半)

雉鳩941

雉鳩942

雉鳩943
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タイヤ交換(冬用から夏用へ)  ~車も衣替え~
- 2017/03/04(Sat) -
XTRAIL240.jpg

うんとこしょ、どっこいしょ。
『大きなかぶ』ではないが、そんな声を出しそうになる。

先週に続いて、3台目のタイヤ交換である。
私の車は径が大きく幅広で、重い。
でも老体(?)を励ましつつ、なんとか自分でできた。
最後の1輪を嵌め終わった時の成就感。

このところ、体力について少し自信を失いかけていた。
結果、まだできるという嬉しさと、満ち足りた思い。
「頑張ったね」と自分を褒める。

スタッドレスタイヤを洗い、清々しい気分で小屋に運ぶ。
今年の12月にはきっとまた自分でと…。

汗をかいた。
部屋に戻ると桜餅が出ていた。

   しっとりと葉の濡れてをり桜餅   (下田美花)

XTRAIL241.jpg
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雛飾  ~春がきて~
- 2017/03/03(Fri) -
雛飾171

それは昨日のことである。

突然の雪だった。
驚き、少し困惑した。
予報は雨で、頭にも描いていなかったことだったから。
時期的に無いことではないが、
それも大きい牡丹雪だった。
まるで綿のように。
次々に、次々と。
積もるだろうか。

しかしやはり春。
雪は地面に触れるとすぐに溶けていく。
心配なかった。
脳裡ではこの季節定番の歌が流れていた。

玄関には叔父手作りの小さな紙雛飾。
我が家には女の子はいないが。

   雛飾りつゝふと命惜しきかな  (星野立子)

雛飾172

雛飾173

雛飾174
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ヒヨドリ(鵯)  ~静かに時間を遡って~
- 2017/03/02(Thu) -
ヒヨドリ194

何度目の三月?

苦しかった三月。
辛かった三月。
悲しみの三月。
喜びの三月。

さまざまな過去が思い起こされる三月。

父の顔が浮かぶ三月。

今があることに感謝する三月。

桜に鵯。
彼はいつも元気だ。

  春愁を消せと賜ひしキス一つ (日野草城)
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メジロ (目白) ~二月も尽きて~
- 2017/02/28(Tue) -
メジロ3753

石垣が崩れていた。
なぜか、その原因はよく分からない。
積み直した。
それぞれの石の形や大きさを見ながら、バランスと角度を考えて置く。
約二時間、なんとか積み終わる。

生活しておれば、思わぬところで意外なことが起きたりする。
モノの劣化、カタチの崩壊、自然の力がもたらす変化。
そしてヒトとの関係なども。
それらに伴う、様々な現象等々。
不器用だが、それなりに対応して過ごす。

にわかの石積み。
さて、いつまで持つか。
地震には耐えられるか。

桜にも目白が遊ぶ。
まだつぼみは固い。

  光りつつ鳥影よぎる二月尽  (小沢明美)

メジロ3754

メジロ375
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